株式会社CLUE | 屋根外壁点検をドローン・ITソリューションでDX。点検実施から事業成長までを後押し
株式会社CLUEではこうした課題に対し、安全に屋根外壁の調査ができるところから他社との差別化や集客までを支えるドローンサービス「DroneRoofer」を展開。誰でも安全に簡単な操作でドローンを飛ばすことができるため、誰でも屋根外壁の調査が可能になります。屋根外壁の状態を実際にお施主様に見せて確認してもらうことで、安全で透明性の高い調査が可能になります。
またカスタマーサクセスという専門部署が、ドローンの活用定着だけでなく、顧客の様々な課題を解決していくために一緒に伴走していきます。
他にも顧客管理やデータ活用などさまざまな業務改善に使えるクラウドアプリケーション「RooferCloud」も開発・提供するCLUEのカスタマーサクセスチーム・安達龍太郎氏に、各プロダクトの導入メリットや開発背景などを取材しました。

株式会社CLUE カスタマーサクセスチーム 安達 龍太郎氏
危険と隣り合わせの屋根点検をテクノロジーの力で変える
――まず、貴社の事業について教えてください。安達:
我々は、「テクノロジーを社会実装して世の中の“不”を解決する」というミッションを掲げています。まずは建築・建設業界におけるさまざまな課題解決に注力しており、現在は当社のドローンアプリケーションとクラウドアプリケーション「DroneRoofer」「RooferCloud」を通じて、業界の具体的な課題に一つひとつ取り組んでいる状況です。

建築・建設業界では、外装リフォーム、工務店、ハウスメーカー、太陽光パネル設置事業者による屋根外壁の現場調査という重要な業務があります。
一般住宅やマンションなどは築10~20年ほど経過すると、屋根外壁の塗り替えやふき替えといった修理工事が必要になってきますが、修理する前に現場調査をし見積を作成しなければいけません。
従来の点検では職人や営業の方々がはしごをかけて屋根に上り、写真撮影や触診、踏んだ感触などから調査を行っていましたが、やはりこうした手法では転落の危険が隣り合わせとなっており、安全性が最大の課題となっています。
――屋根点検における課題について、より詳しく教えてください。
安達:
建築建設業界では安全対策として様々なことに取り組んでいるようですが、実際には命綱やハーネスなどの墜落防止措置を取らずに調査が行われることも多く、転落事故や死亡事故が発生しています。
雨の翌日は屋根が滑りやすくなったり、劣化した屋根を踏み抜いてそのまま落下したりと、屋根点検には数多くの危険因子が常に存在しているのです。
物理的な制限も大きな課題ですね。高い所が苦手な人や体格や筋力を理由に登れない人もいますし、東京などの都市部では3階建ての建物も多く、はしごをかけること自体が困難なケースもあります。
このような場合は築年数による仮説で見積を作成することになるため、工事金額の正確性が損なわれたり、結果的にお客様の金銭的な負担が増えてしまったりすることにもなりかねません。
――このような屋根の調査の課題を解決することができるのですね。こうした課題感が、ドローン技術の活用を始めたきっかけだったのでしょうか?
安達:
DroneRooferの開発のきっかけは、岡山県のある屋根材問屋さんから「ドローンに魅力を感じた。屋根点検には危険性という課題があり、ドローンで解決できないか」というメッセージをいただいたことです。私たちが業界を選んだというよりも、業界の方からドローンでこの課題を一緒に解決しませんかという声をいただいたことが、事業開発のスタートとなりました。

屋根点検の現場から生まれた「DroneRoofer」
――DroneRooferも、こうした市場ニーズに基づいたサービスとして開発されたのですね。安達:
その通りです。DroneRooferはパッケージサービスとなっており、機体選定から国土交通省への登録手続き、飛行許可書の取得・リモートIDの設定まで、導入時の煩雑な手続きを全て代行しています。
通常はDIPS2.0という国土交通省のシステムを通じて行う飛行計画の通報を、携帯端末から1分程度で完了できる仕組みを整えているのも特長です。導入のハードルを下げるため、ドローン本体やiPadの手配といった基本的なところから当社で行っています。

操作に関しても、基本的にはiPadやモニターをタップするだけの直感的な操作で飛ばせるので、特別な技能がなくても安全に運用が可能です。講習会の実施やトイドローンによる事前練習も提供しており、年齢や性別に関係なく、幅広い層の方々に活用いただいていますね。
――具体的な機能面での特徴を教えていただけますか。
安達:
まず基本的な機能として、ドローンで撮影した写真から屋根や外壁の平米数を算出し、見積の基礎となる面積を簡単に計算することができます。一辺の長さと勾配を入力するだけで、全ての部位の長さや合計平米数が自動計算される仕組みです。そのため見積作成までの時間短縮を実現することができます。
さらに調査時に撮影した写真や、調査結果の情報をまとめた報告書を生成する機能も特徴の1つです。業者に点検を依頼する方は自分で登って屋根を見ることができないため、顧客との信頼関係を醸成するためのツールとして活用できます。


安達:
さらに、住宅街でドローンを飛ばす際には近隣からのクレームが懸念されるため、「ドローン点検のお知らせ」というチラシも提供しています。このチラシが営業ツールとしても機能し、新規顧客案件の獲得にも繋がっているという声もいただいています。
――導入サポートだけではなく、導入後の事業支援も行っているのですね。
安達:
我々カスタマーサクセスでは効果的な集客方法や、契約率を向上させるための活用方法など、ドローン活用に関するさまざまなアドバイスを提供しています。
DroneRooferの活用方法だけでなく、関連システムの情報提供や、他のユーザーの活用事例の紹介なども行っています。お客様の課題や目標に応じて、きめ細かなサポートを提供することで、導入効果の最大化を図っています。
――DroneRooferの導入実績や導入事例について教えてください。
安達:
現在DroneRooferは47都道府県全てで導入実績があり、主に外装リフォーム業者の皆様にご利用いただいています。
たとえば外装事業者の多くは、少人数で経営されており、一人ひとりが幅広い役割を担っています。現場調査から見積の作成、現場管理、職人や足場事業者の手配、材料発注まで、業務は多岐にわたり、日々の負担が大きいのが現状です。
そんな中、DroneRooferを活用することで、業務効率が大幅に向上した事例が増えています。従来は屋根に登って行う必要があった屋根調査や屋根や外壁の寸法の測定が、ドローンを活用することで安全かつ迅速に実施可能になりました。さらに、収集したデータをもとに、見積作成までを簡単に行えるため、作業時間を大幅に短縮することができます。
「屋根に登らずとも調査や見積ができるようになったことで、安全性が向上しただけでなく、空いた時間を他の業務に充てられるようになった」という喜びの声が多く寄せられています。
少人数経営で多忙を極める外装事業者の皆さまにとって、DroneRooferは、業務効率化を実現しつつ、安全性と生産性を両立させる強力なツールとして注目されています。
iPadとドローン本体があれば調査ができるので、現場調査もはしごが不要になります。トラックの駐車スペースがないような住宅地でも、軽自動車に一式を載せておけば屋根の調査が可能になるので、お客様からも好評ですね。
屋根に登らず、簡単かつ安全に現地調査を済ませられる方法として、株式会社CLUEが開発したのが「ドローンを自動操縦して屋根の写真を撮るアプリ」である『 DroneRoofer(ドローンルー ファー) 』です。 ...
https://drone-roofer.com/mottobe/topics/case/55/ >
データの一元化・新たなビジネスチャンスも掴む「RooferCloud」
――各企業からは、貴社の手掛けるクラウドサービス「RooferCloud」の評価も高いと伺っています。安達:
RooferCloudはドローンで撮影した写真をクラウドに保存し分業、情報連携、分析、案件管理ができるツールです。DroneRooferと一緒に導入いただくことも多いですね。

中小規模の事業者様では、営業担当者ごとにバラバラに管理していたり、その時の工事内容や対応といった履歴が適切に管理されていないことが多く、担当者が退職した際に情報が失われてしまうこともあったんです。
しかしRooferCloudを使えば、現場で撮影した写真情報をアップロードすれば会社としてクラウドに情報を残すことができるようになります。また、リアルタイムで事務所のスタッフと共有でき、見積書作成の並行作業が可能になり、分業体制を確立し業務効率化の実現も可能です。営業担当者が事務所に戻った時には見積書が完成しているので、翌日すぐに顧客訪問できる体制が整います。
またデータ分析機能も備えているので、担当者や支店ごとの実績比較もできるため営業の標準化にも貢献できるほか、「今月はチラシからの案件が多かった」「先月はホームページからの問い合わせが多かった」といった傾向を把握し、より効果的なマーケティングが可能になります。

激流にあるリフォーム業界に確かなソリューションを
――最後に、業界の現状と今後の展望についてお聞かせください。安達:
近年、リフォーム業界は大きな変化の時期を迎えています。職人の高齢化や若い人材の参入は減少、業者数の増加が進む中、技術継承と新規顧客の獲得が業界全体の課題となっています。
我々はこのような状況において、単にアプリケーションを提供するだけではなく、具体的な課題解決に注力していく必要があると考えています。そのため既存のお客様とは定期的にコンタクトを取り、オンライン面談や訪問、電話などを通じて、ドローンの活用促進の提案や他社様の事例の情報提供を行っております。
将来的には全ての外装工事に関わる事業者にDroneRooferを提供していきたいと考えています。そのためにも、今後はテクノロジーやプロダクトを中心に、クライアントの抱える課題に対して総合的なソリューションを提供できる企業に進化していくことを当社の使命として、さらに取り組みを進めていきます。

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