【自治体初!】千葉県いすみ市で大型物流ドローンを活用した講習を実施
今回はその様子をコエテコドローン担当・高橋が取材しました!
千葉県いすみ市の抱える課題とは
千葉県内でも、災害時に孤立しやすい地域を多く抱えている同市では、移動手段を持たない、または移動が困難な高齢者が増加していることが深刻な課題とされています。また、頻発する自然災害において、土砂崩れなどで道路が寸断される状況下でも、迅速に物資を届ける手段を確保することが急務となっています。
このような状況を踏まえ、市ではドローン技術がこれらの課題解決に貢献できる可能性に着目し、今回の取り組みを実施しました。
日本ドローンビジネスサポート協会が後援。講習を担当
職員が操縦訓練を受けるという自治体初の取り組み。今回の講習は、いすみ市とドローン活用に関する包括連携協定を結んでいる「一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会」が後援し、指導を行いました。同法人は、ドローンを使った空撮や物資輸送で、緊急時にドローンを用いた効率的な対応を実現しています。昨年、甚大な被害に見舞われた能登半島地震においても車が立ち入ることのできない地域に物資輸送を実施しました。
また、全国100を超えるFC加盟事業者を抱え、災害時以外にも空撮、農薬散布、測量、点検など専門的な分野でドローンを活用したい自治体や事業者の支援を行なっています。
ドローンでしあわせに
https://aotori.jp/ >
国家資格取得後、応用として物流ドローンの操縦訓練へ
まずはじめに、ドローンを座学・実技ともに基礎から学ぶため、国家資格である「二等無人航空機操縦士」の講習を受講しました。二等無人航空機操縦士は、無人航空機(ドローン)を安全に操縦するための国家資格の一つです。
日本の航空法に基づいて国土交通省が定めている資格制度の中で、無人航空機の運用における基本的な技術や知識を習得したことを証明するものです。
二等免許では、カラーコーンの間を八の字飛行で飛行させたり、自動ホバリングやGPSの補助がない「ATTIモード」での飛行スキルが求められます。この実技試験の他に航空法等を問われる筆記試験もあり、双方に合格すると免許を取得することができます。
この国家資格取得に向けた講習は、同じく千葉県でドローンスクールを運営している「ドローンスクール千葉TBT」が担当しました。日本ドローンビジネスサポート協会の加盟校です。
ドローンスクール千葉TBT(運営:株式会社GOODREI)のカリキュラム(座学・知識、対象(受講資格・条件))、料金(受講料・諸費用)、取得できる免許・資格や特徴など解説。
https://coeteco.jp/drone-school/schools/tbt-chiba >
「二等無人航空機操縦士」の講習を受ける市職員
「二等無人航空機操縦士」の講習を受ける市職員
大型物流ドローン「DJI Fly Cart30」の講習へ
無事に全員が資格を取得した後、次のステップとして「DJI Fly Cart30」の応用講習が実施されました。この講習で使用された「DJI Fly Cart30」は、市内で災害が発生した際の孤立集落地域への物資輸送をはじめ、さまざまな分野での活用が期待されています。DJI Fly Cart30
最大積載量は30キロまで対応可能で、災害時に医薬品や食料、機材などの物資を運搬する際、他の小型ドローンでは運搬できない重い荷物を輸送できる点が大きな強みです。また、飛行距離は最大28km(荷物なし)、満載時でも最大16kmに達し、交通インフラが破壊された地域やアクセスが困難な場所への物資輸送が可能となります。
今後、災害が発生した際の孤立集落への物資輸送を想定し、職員に対して同機体の操縦方法が指導されました。
A long-distance heavy lifter with powerful signal and intelligence, DJI FlyCart 30 supports Cargo mode and Winch mode and ascends beyond traditional logistical limits to deliver a safe, economical, and efficient air transport solution.
https://www.dji.com/global/flycart-30 >
機体点検、座学講習
講師から最初に機体の詳細な説明が行われました。国家資格のカリキュラムで使用した機体とは異なり、今回使用する物流ドローンはその大きさや性能において大きな違いがあります。折り畳まれたパーツの組み立てから操作方法に至るまで、注意すべきポイントが多くありました。「40度以上を超える環境で保管するとバッテリーが危険」
「バッテリーの取り外しの際は垂直に引っ張るように」
など、現場経験豊富な講師から指導いただき、実際に触りながら取り扱い方法を学んでいました。
物流ドローンなので、物資を吊るす際の設定方法も学びます
ドローン本体のみならず、プロポ(操縦機)の設定方法にも細心の注意を払う必要があります。高度や飛行距離、バッテリー残量が少なくなった際の飛行など、初期設定もしっかり確認します。
飛行訓練、物資運搬訓練
機体の仕組みや物資の積載、吊るし方について学んだ後は、いよいよ飛行訓練です。場所を移動し広いグラウンドにて基本的な飛行と物資運搬の実践的な訓練を実施しました。

まずはグランウド内で基本的な操縦(前後左右の移動)を全員が体験。
一般的なドローンよりかなり大きいので、10mほど上空に飛行させても機体がはっきり識別できました。
この距離感に慣れることも大切とのこと。
物資を吊るしての飛行訓練も行われ、500mlの水24本が入った段ボールをカゴに吊るしての飛行を実施しました。
震災時を想定し、訓練は隣接する駐車場を挟んで100mほど先の別グラウンドへ物資を運ぶ形で行い、無事に成功を収めました。
最後に自動航行の訓練
最後に、自動航行の設定に関する講習が行われ、ドローンを飛行させる場所、高度、時間などを自動設定する方法について学びました。これにより、災害時にドローンが自動で飛行できる体制が整えられます。

まとめ
今回、コエテコ担当・高橋が現地に伺い、いすみ市の職員の方たちが物流ドローンについて講習を受ける様子を見学させていただきました。ドローン関連の事業者と災害時の協定を結ぶ自治体は増えていますが、一般的には「パイロットを派遣する」という条件での協定がほとんどです。
実際に市の職員の方が操縦を学び、災害時に活躍できる体制を整えているというのは、ありそうでなかった取り組みで、職員の方も積極的に質問されている様子が印象的でした。
今回の事例をもとに、今後他の地域でも同様の取り組みが増えて、災害や防災でのドローン活用がますます普及していくのではないかと感じました。
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