事業活動包括保険でドローンって実はすごく使えるって知ってた?保険のプロ・東中さんにお聞きしました
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今回お話を伺った方
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保険代理店ACF(エイ・シー・エフ)代表取締役
東中 浩太郎氏ドローン保険および関連領域に携わり、事業者向けのリスク対策や保険設計を支援。保険約款や補償範囲の解釈を踏まえた実務的なアドバイスをおこなう。現場と制度の両面から、ドローン運用における適切な保険活用を提案している。
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前回の記事では、ドローン保険の基本となる「機体の補償」と「賠償責任の補償」、そしてJUIDAの団体保険制度について解説しました。今回は第2弾として、この事業活動包括保険について、保険のプロ・東中 浩太郎氏(保険代理店ACF:エイ・シー・エフ 代表取締役)へのインタビューを通じてお届けします。
「ドローン保険はどれも同じだろう」という思い込みが、事故時の大きな損失につながっています。本記事では、ドローン保険に特化した代理店として多くの事業者をサポートしてきた株式会社エイ・シー・エフ代表・東中浩太郎氏に、保険選びの失敗例から、JUIDA制度の活用法、農業・複数人運用への対応まで、詳しく話を聞きました。
2026/06/30
ドローン保険の基本は「機体」と「賠償責任」の2本柱

ドローン保険の基本形は、機体そのものを守る「機体の補償」と、事故の相手に対する「賠償責任の補償」の2つで構成されており、この基本を押さえたうえで、事業の形に応じた備えを重ねていくことが大切です。
前回の記事では、JUIDAの団体保険制度を軸に、機体保険と賠償責任保険という「ドローンを飛ばす行為そのもの」を守る保険を詳しく紹介しました。JUIDA準会員になれば、ライセンスがなくても会員登録は可能で、JUIDA団体保険への加入資格も得られます。
また、多くの保険で対象外となりがちな機体の紛失(ロスト)も、フライトログなどの客観的証拠があれば全損認定の審査対象となり得る点も特徴です。ただし、あくまで機体・操縦者という単位で加入する保険のため、体験会の運営やレンタル業務といった、事業活動全体のリスクまではカバーしません。
- 機体の補償:機体そのものの損害を補償する
- 賠償責任の補償:事故の相手(対人・対物)への賠償を補償する
- JUIDA団体保険:JUIDA準会員登録で加入できる、東京海上日動の優遇プラン
今回は、この基本を土台にしながら、ドローンスクールという「複数の講師が複数の機体を使い、体験会やレンタル講習など複数の収益源を運営する」事業形態に特有のリスクを取り上げます。
ドローンスクールの現場で今、何が起きているのか?保険トラブルの実例

東中 浩太郎氏(保険代理店ACF:エイ・シー・エフ 代表取締役)
体験会やレンタル講習の現場では、単発の機体保険だけでカバーしきれないトラブルが増えています。
── まず、ドローンスクールの現場ではどんなトラブルが実際に起きているんでしょうか?
東中氏:よくご相談いただくのは、体験会中に受講生の方が操作を誤って機体を破損させてしまうケースですね。あとはレンタル機体を貸し出して、返却時に傷が見つかるパターン。講習中の接触事故で対人・対物の賠償問題に発展することもあります。
対人賠償は人にケガをさせてしまった場合の補償、対物賠償は他人の物を壊してしまった場合の補償のことです。
── そうしたトラブルは、今の保険でカバーしきれているんですか?
東中氏:単発の機体保険だけでは、正直カバーしきれないケースが多いんです。
今お話ししたような、体験会中の破損やレンタル機体の傷、接触事故による賠償問題まで、機体・操縦者単位の保険だけで、すべてを賄うのは難しいのが現状です。
制度と実務の間には、まだギャップがあるんです。今後はそのギャップを埋める保険商品の必要性が、さらに高まっていくと思います。
体験会やレンタル講習は、参加者がドローンに初めて触れる機会であることも多く、機体の操作ミスやトラブルが起こりやすい場面でもあります。トラブルの規模が大きくなるほど、修理費や賠償金の負担も増えていくため、備えの見直しが欠かせません。
「事業活動包括保険(超ビジネス保険)」とは?機体ではなく事業全体を守る保険

事業活動包括保険(超ビジネス保険)は、機体単位ではなく事業活動全体を売上ベースでまとめて守る保険で、前回紹介したJUIDA団体保険とは「守る対象の粒度」がそもそも異なります。
── そこで注目されているのが「事業活動包括保険」だと伺いました。
東中氏:はい。東京海上さんが出している「超ビジネス保険」という商品があるんですが、これは一般的に「事業活動包括保険」と呼ばれるものです。ドローン事業者との相性がかなり良いんですよ。
── 具体的にはどのあたりが良いんでしょうか?
東中氏:一番のポイントは、売上ベースで保険料が決まるという点ですね。機体の台数が増えても減っても、保険料自体は変わりません。それからドローン事業だけではなく、副業や新規事業にも対象が広がる。対人・対物リスクも幅広くカバーしてくれます。
JUIDA団体保険が守るのは、機体と操縦者という「飛ばす行為」そのものです。一方、事業活動包括保険が守るのは、売上を上げる事業活動全体です。
体験会の運営やレンタル業務、副業や新規事業など、機体の運用に直接ひもづかない部分まで含めて、1つの契約でまとめてカバーできる点が特徴です。
事業活動包括保険(超ビジネス保険)のカバー例

少しわかりづらいので、実際に超ビジネス保険がカバーする例を、東中氏に教えてもらいました。
どちらを選ぶべき?「状況に応じて保険代理店に相談」
保険代理店ACF(東中さんが代表を務める代理店)は、JUIDA団体保険と事業活動包括保険(超ビジネス保険)のどちらも取り扱っています。JUIDA団体保険はJUIDA準会員登録などの手続きを経由する流れになりますが、いずれの保険も窓口となる指定代理店は同じACFのため、機体単位の備えと事業全体の備え、両方の視点から相談したい場合も一貫した設計がしやすくなります。どの保険が適しているか、どんな特約を付けておくと安心かは、扱うドローンの種類や事業内容、スクールの規模、体験会やイベントの有無など、状況によって大きく異なります。判断に迷う場合は、代理店に相談しながら整理していくとよいでしょう。
目安として、次のような状況に当てはまる方は、事業活動包括保険の検討価値が高いといえます。
- 複数の講師・複数の機体でスクールを運営している
- 体験会やレンタル講習など、機体単位の保険だけでは追いつかない業務がある
- ドローン事業以外に副業や新規事業への展開も考えている
| 項目 | JUIDA団体保険 | 事業活動包括保険 (超ビジネス保険) |
| 守る対象 | 機体・操縦者 (飛ばす行為) |
事業活動全体 (経営そのもの) |
| 対象範囲 | ドローン運用に限定 | 副業・新規事業も含む |
| 加入条件 | JUIDA準会員登録が必要 | 事業者としての申告が中心 |
| 保険料の決まり方 | 機体の種類・保険金額などで決まる | 売上高ベースで決まる |
事業活動包括保険の保険料はどれくらいかかるのか

売上400万円程度までは保険料がほぼ変わらない設計になっており、事業規模が小さいうちほど割安に感じられます。
売上規模別の保険料目安
| 売上目安 | 年間保険料の目安 |
| 〜120万円 | 約7,000円〜2万円弱 |
| 〜400万円 | ほぼ同水準(大きな変動なし) |
| 1,000万円 | 約3万円 |
なお、上記の保険料はあくまで目安です。実際の金額は事業内容や契約条件によって変わるため、加入前には代理店に見積りを依頼して確認することをおすすめします。
創業したばかりで実績がない場合は
── 創業したばかりで実績がない場合はどうすればいいですか?東中氏:初年度は事業計画ベースで概算売上を申告する形でも大丈夫です。たとえば「月10万円×12ヶ月=120万円」という見込みで申告するケースが一般的ですね。
保険代理店選びで注意したいポイント

事業活動包括保険自体は多くの代理店で取り扱いがありますが、ドローン事業のリスク設計は、引受実績(過去に同種のリスクを審査・契約してきた実績)のある代理店に相談すると安心です。
── 保険代理店を選ぶとき、注意すべきポイントはありますか?
東中氏:意外と知られていないのですが、保険代理店にも得意・不得意があります。事業向けの保険、特にドローンのような比較的新しい分野は、扱った経験のある代理店とそうでない代理店とで、提案の中身がかなり変わってきます。
── 同じ商品でも、相談先によって差が出るということですか?
東中氏:出ますね。事業活動包括保険(超ビジネス保険)自体は多くの代理店で取り扱いのある商品ですが、ドローン事業のリスクをどう見積もるか、どの特約を付けるべきかという設計の部分は、引受実績がないと判断が難しい。
ですから、ドローン事業者の引受実績がある代理店に相談されることをおすすめします。最初に「ドローン事業での事業包括保険の引受実績はありますか?」と聞いてみるのが、いちばん確実な確認方法だと思います。
ドローン保険代理店選びのポイント2つ
代理店選びのポイントをあらためて整理すると、次の2点になります。- 保険代理店にも得意・不得意があり、ドローン事業の引受実績によって提案内容に差が出る
- 相談時は「ドローン事業での事業包括保険の引受実績はありますか?」と確認するのが確実
代理店ごとに得意分野が異なるのは、保険業界では珍しいことではありません。ドローン事業のように歴史の浅い分野は、実際にリスクを見積もった経験の有無が提案の質に直結しやすいと東中氏。
まずは「ドローンを扱ったことがあるか」を、保険代理店に確認することが重要です。
フリーランス・業務委託の講師が見落としがちなドローン保険の穴

個別の機体保険だけに加入している場合、自分の機体以外を扱う場面では補償の対象から外れてしまうことがあります。
── フリーランスで活動されている講師の方は、どんな保険に入っていることが多いのでしょうか?
東中氏:個別の機体保険だけ、という方が目立ちますね。ただ、これには落とし穴があって。自分の機体ではなく、他の人の機体を使う場面では、補償の対象から外れてしまうことがあるんです。
── 体験会やレンタル講習だと、自分の機体以外を扱う機会も多そうですね。
東中氏:そうなんです。そこが見落とされがちなリスクなんですよ。
たとえば、体験会でスクール所有の機体を借りて指導する場合、契約している保険が「自分の機体」のみを対象にしていると、貸与された機体で起きた事故は補償の対象外になってしまうことがあります。
自分がどの機体を使う場面で保険が適用されるのか、契約内容を一度確認しておくと安心です。
▶ フリーランス・業務委託講師も安心!WEBで手軽に申し込める東京海上日動のドローン保険
フリーランス講師の多くは、実際には「業務委託」という契約形態でスクールに関わっています。ここからは、その契約関係の中で保険の責任がどう分かれるのかを整理していきます。
業務委託講師の保険責任、どう整理すればよいか

スクール運営側は現場全体の管理責任を、業務委託講師(フリーランス)は独立した賠償責任をそれぞれ別に持つため、講師個人でも保険加入を検討する必要があります。
スクール運営側と業務委託講師、責任範囲の違い

── スクール運営側と、業務委託の講師との間で、保険の責任範囲はどう考えればいいですか?
東中氏:スクール側は現場全体の管理責任を持つ立場です。一方で、業務委託契約で入っている個人事業主の講師さんには、独立した賠償責任が別途発生する可能性があります。
── スクール側が「まとめて保険を管理したい」と言っても、それだけでは済まないということですね。
東中氏:そうですね。運営側がまとめて管理したいと考えるのは自然なことですが、業務委託講師の独立した責任そのものはなくなりません。ですから、講師個人としても自分自身で保険に入っておくのが望ましい、というのが実務上の結論になります。
建設業界の元請け・下請け構造との共通点
── 何かこれに近い構造は他の業界にもありますか?東中氏:建設業界の重層下請け構造に近いと思います。元請け・下請けそれぞれが、自分の責任範囲に応じた保険を持つという考え方ですね。この考え方は、ドローン業界にもそのまま応用できる部分が多いです。
元請け会社が受注した工事の一部を下請け会社に任せる建設業界では、下請け会社も自社が担当する工事内容について、独立した責任を負います。
ドローンスクールでも同じように、業務委託講師は自分が担当する指導内容について、運営側とは別に責任を持つことになります。
農薬散布など特殊用途のリスクにも保険で備える

農薬散布用途では、対人・対物リスクに加えて散布ミスによる農作物への損害リスクも想定した備えが必要です。
── 農薬散布用途のドローンについてはいかがですか?
東中氏:農薬散布の場合は、対人・対物リスクに加えて、散布ミスによる農作物への損害リスクも想定しておく必要があります。風で薬剤が想定外の場所まで飛んでしまう「ドリフト」も、その代表例です。
こうした特殊用途は、通常の包括保険だけでなく、用途に応じた特約(基本の契約に追加で付けられるオプションの補償)や個別商品も選択肢に入れておくといいと思います。
農薬散布は、風向きや天候の影響を受けやすい作業でもあります。散布前に気象条件を確認することはもちろん、万が一のトラブルに備えて保険で備えておくことも、あわせて考えておきたいポイントです。
機体・操縦者を守る保険と事業活動全体を守る保険、両方の視点で考える
ドローンスクールの保険は、「機体・操縦者という飛ばす行為」を守るJUIDA団体保険などの備えと、「事業活動全体」を売上ベースで守る事業活動包括保険の備えを、それぞれの役割を理解したうえで考えることが大切です。- 「機体・操縦者」という飛ばす行為そのものの備えとしては、前回紹介したJUIDA団体保険(機体保険・賠償責任保険)が引き続き重要
- 運営者は事業活動包括保険で、体験会運営やレンタル業務、副業・新規事業まで含めた事業活動全体の対人・対物リスクをカバーする
- 業務委託講師は個人でも独立した保険加入を検討する
- 農薬散布など用途特化型のリスクは個別に対策する
── 最後に、ドローンスクール運営者・講師の方に向けてメッセージをお願いします。
東中氏:保険は「入っていれば安心」というものではなく、自分の立場や契約形態に応じて適切に組み合わせることが大事です。機体そのものを守る保険と、事業活動全体を守る保険、それぞれの役割を理解したうえで、必要な備えを過不足なく揃えることが、安全な事業運営の第一歩になると思います。
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