コロナウイルス感染対策として、必要に迫られてオンライン対応を始めた塾は多いものの、同塾は最初から運営にITテクノロジーを積極的に導入し、オンライン個別指導として学習サービスを提供していました。時代の一歩先を読むその先見性に、今多方面から大いに注目を集めている存在です。
奇しくも、新型コロナウイルス感染拡大によって日本の教育現場が抱える問題が浮き彫りとなり、学びの周辺環境は否応なく変容することになりました。ITテクノロジーを融合させた新しい教育方法で、現在の教育が直面している最大の難関へと挑み続けるスタディカルテLab(株式会社スタディカルテ)代表の樋口 雅範氏にお話を伺いました。
オンライン指導で地域的・経済的教育格差を解消
──「スタディカルテLab」はどんな塾ですか? 創業の目的や経緯を教えてください。
「スタディカルテLab」を運営する株式会社スタディカルテは、「だれもが自分の夢を信じられる社会へ」という理念のもと、テクノロジーによる新しい教育手法を提供する企業です。創業の目的は「地域的、経済的格差のない良質なコンテンツを提供する」こと。ITテクノロジーを駆使して個々に最適な学習環境を提供することで教育格差をなくしたいという思いが私たちのサービスの根底にあります。例えば、優秀な講師の個別指導を受講しようとすると、どうしてもコストが高くなり、首都圏でしか受けられないなど、経済的、地域的な格差が生じてしまうもの。また近年、急速に増えた学習動画配信サービスは、場所や時間に制限なく利用できるというメリットはあるものの、学力が低い生徒ほど使いこなせていないという傾向があります。これらの課題を解消するには、優秀な講師がオンライン個別指導をおこない、その学習に関するデータを二次利用することが有効であると考えました。
コロナ禍によって、必要に迫られてオンライン化する予備校や塾が増えましたが、当塾の場合は、コロナ禍以前の2015年ごろよりオンラインに特化した個別指導の展開を計画。事業の第一歩として、まずは優秀なプロ講師によるオンライン個別指導サービスの「スタディカルテLab」を2019年9月にスタートしました。スタディカルテLabは、対面授業を超える「オンラインだからこその良さ」を最大限に活かしたサービスとなっています。
3つの受験戦略で医学部・難関大合格へと導く
──スタディカルテLabが提供するサービスについて教えてください。
スタディカルテLabは、オンラインに特化した個別指導サービスですが、主に以下の3つのサービスを提供しています。受験のプロがマンツーマン&一貫担当制で指導
大手予備校での指導、地域に根付いた指導実績などを持つ優秀なプロ講師が個別指導を行います。志望校合格まで教科ごとにひとりの先生が一貫して担当する担任制となっています。当塾に在籍しているのは厳しいセレクションを突破した実力派の講師のみ。学生のアルバイト講師や経験の浅い講師は一人も在籍していません。生徒さんは、体験授業を受講後、優秀な先生の中から気に入った先生を指名することができます。オンラインの良さを最大限に生かしたサービス
授業の前に宿題や生徒の疑問点を共有することで、講師から必要なフォローやピンポイントの指導が受けられるようになり、学習密度が上がります。また、授業の内容は、翌日からLINEやアプリで閲覧や印刷ができるようになるため、復習や自宅学習に活用しやすく、理解の定着もスムーズです。
独自開発のアプリ「Study Karte」による学習サポート
スタディカルテLabの特徴は、独自開発されたアプリ「Study Karte」を通じて、プロの先生と学習プランナーがチームになって生徒をフォローします。
「Study Karte」を使って、以下のようなことを行います。
・目標設定、苦手克服など何をするべきかをアプリ内や通知で確認
・一年前、半年前の単元を絞り込んでの復習
・テスト結果をどうカリキュラムに反映していくかのテスト分析
・1日の振り返り
アプリやLINEを通じて、保護者の方も指導内容や情報、学習計画と進捗状況を共有していただくことができます。
対面指導を超えるスタディカルテLabのオンライン個別指導とは
──現在の一般的なオンライン指導の課題はどこにありますか?スタディカルテLabのオンライン指導は他塾のオンライン指導とどう違うのですか?
近年はコロナ禍によりオンライン指導のニーズが高くなりました。そのため対面指導を行っている学校や予備校、個別指導塾がオンライン授業や指導に切り替えるケースもたくさんあります。元々対面式の授業や指導を行っていた塾や予備校がオンライン指導を行うと「生徒の手元を映すだけ」といった家庭教師に近いスタイルになることが多く、それではオンラインの良さを活かしきれません。当塾が他のオンライン指導と異なるのは、はじめからオンラインに特化したサービスをリリースしていることです。この点において、「オンライン指導をいかに対面に近づけるか」を考える塾や予備校とは根本的に違います。また、対面指導を行っている講師がいくら優秀でも、必ずしもオンライン指導が上手、オンライン指導へのリテラシーが高いとは限りません。当塾では、厳しいセレクションによって、優れたオンライン指導ができる講師をそろえています。さらに講師全員にiPadを使用してもらい、必要に応じて1ヶ月以上の技術研修を実施したり、講師間でノウハウ共有をする機会を積極的に設けたりなど、オンライン指導に対して高いリテラシーを得る取り組みも行っています。
──対面指導を超えるオンライン指導は可能でしょうか?
私は、むしろオンラインのほうが対面よりも教えやすくなってきていると感じています。「オンラインは対面より劣る」というイメージは、オンラインの良さを引き出せていないからです。対面指導では、生徒が教室に来て分からないところを指導します。そのため、指導内容がどうしても場当たり的になりがちです。しかし、オンライン指導なら事前に生徒から提出された宿題などを通じてできていないところを把握した上で、授業を行うことができます。生徒一人ひとりのフォローする内容に応じて、オーダーメイドの教材を用意するなど、カスタマイズされた指導が受けられます。
オンラインはツールとしても優れたポイントが多くあります。例えば、3次元の立体図などを板書するのはとても難しいですよね。しかし、オンラインであれば、そうしたものをパソコンの画面上で簡単に見せられます。また、過去の指導履歴をデータとして保存しておけば、簡単に再利用することができます。このように、対面にはないオンラインならではのメリットはたくさんあります。
──どのような生徒達が指導を受けているのですか。
従来型の集団指導でカバーしきれない生徒ですね。学力の高い生徒、低い生徒の両方が受講しています。学力の高い生徒は、ハイレベルな集団塾に属していることが多いものですが、集団塾では志望大学の医学部受験に完全に準拠した指導が受けられないことがあります。優秀な生徒であっても、それぞれ「自由英作文が苦手」「微積分の応用問題になると解けない」「高分子化合物が丸暗記になっている」などの学習課題があり、それを集団授業で解決するのは非常に困難です。そして、そのピンポイントな課題を対策できたかどうかの差が、ハイレベルな医学部受験で合否を分けることがとても多いのです。そのため、医学部受験対策のために、自分の学習課題に完全最適化された指導を受けたいという生徒が当塾を利用しています。また、集団指導の大手学習塾や予備校の授業についていけない、どうしても苦手な教科がある、理解できないところがあるといった生徒も利用しています。
オンライン個別指導というと、周りに塾や予備校がない、優秀な先生がいないなど、塾の選択肢が少ない地方の生徒が利用するイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、当塾では、地方の生徒が3割、首都圏の生徒が全体の7割を占めています。つまり、塾の選択肢が豊富にある首都圏の生徒が、あえて当塾を選ばれているわけです。従来の集団指導や個別指導に満足できない情報感度の高い生徒が利用していることが伺えます。
医学部を目指す生徒がオンラインで受講するメリット3つ
──医学部の受験は他学部の受験とどう違うのですか?
医学部受験と一口で言っても、出題傾向は大学によって大きく異なるので、ただがむしゃらに勉強するだけでは結果は出ません。合格のためには大学ごとの特徴を踏まえて、自分の学力特性を生かせる大学を見つけることが大切です。医学部受験は、費用面もさることながら競争率の高さにおいても非常にシビアです。用意周到に準備をしなければ勝ち抜けません。そのためには、良質な塾探しが必須です。スタディカルテLabでは、このようなシビアな医学部受験に特化した指導ができるプロの講師が伴走者となって、最短距離でゴールへ導きます。医学部受験に必要な教科に特化した講師からの専門的なノウハウも受けられます。
──医学部を目指す生徒がオンライン指導を受講するメリットは?
割安な価格で受講できる
オンラインに特化することで、教室の賃料や人件費などの固定費を大幅にコストカットしました。その分、講師の報酬に上乗せすることで、全国から優秀な講師を確保しています。もちろんコストカット分はご家庭にも還元。質の高い指導を従来の医学部予備校の約2割抑えた価格でご提供しています。生徒の負担が少なく保護者も安心
オンラインなら地方の自宅にいながら、優秀な先生からの個別指導やきめ細かな学習指導が受けられます。夜遅くの通塾や地方から一人上京しての予備校通いといった負担がないため、親御さんの目の届くところで指導が受けられるのも、オンラインのメリットです。こうした安心感や安全面は、お金に代えられません。オンラインならではのきめ細かな指導が受けられる
アプリやLINEなどのツールが使用できるのもオンライン指導のメリット。講師にスマホでいつでも相談でき、学習課題の分析や受験に必要な情報提供などは学習プランナーが行います。オンラインながら先生や学習プランナーがいつでもそばにいてくれるという安心感にもつながっています。
スタディカルテLabは今後どう進化する?
──今後の目標や展開について教えてください。
まずは、必要な方に私たちのサービスをしっかりお届けできるようにして、その価値を実感してもらいたいですね。体験授業を受けた生徒の大多数が入塾していることから、これまでの学習塾の指導に満足できなかった生徒や保護者の方のニーズは非常に高いと感じています。今後は、優秀な講師の授業のデータを蓄積し、二次利用することで、さらに低コストでサービスが提供できるように、アプリ開発を進めています。同じ優秀な講師の指導であっても、生徒は一人ひとり学力や属性が違うため、指導の内容や教え方は異なります。生徒の学力や属性に合わせた学習データを蓄積し、それを活用できるサービスの構築を目指しています。Q&Aサイトの学習版といったところでしょうか。集めた学習データを二次利用することで、良質かつ低コストのサービスやコンテンツが提供できると考えています。 スタディカルテLabの今後の展開にもどうぞご期待ください。
まとめ
一口にオンライン指導と言っても、対面の代替手段としてのオンライン指導なのか、オンラインに特化した指導なのかによっても大きな違いがあります。サービスの内容や質もそれぞれ異なるため、オンライン塾を活用して受験対策をするなら、実際に体験授業を受けるなどしてしっかりと比較検討した上で塾選びをする必要がありそうです。今回インタビューを行ったスタディカルテLabは、2015年から研究と投資を重ねて、オンライン指導の可能性とそこから得られるメリットを徹底的に追求してきたオンライン個別指導塾。最新テクノロジーを駆使して、生徒一人ひとりのニーズや課題に合わせて学習体験をパーソナライズ化していることが特長です。実際に体験授業を受けた生徒の大多数が入塾しているということですから、多くの受験生の期待に応える学習サービスを提供していることは間違いないようです。興味を持たれた方は、一度受講してみてはいかがでしょうか。