この記事では、スマート農業に強いドローンスクール6選やスマート農業の市場規模などについてわかりやすく紹介します。
スマート農業の市場規模
出典:株式会社 矢野経済研究所矢野経済研究所の調べでは、2021年のスマート農業の国内市場規模は247億円だったのに対し、2028年には倍近くの624億円まで成長すると見込まれています。スマート農業の市場規模が拡大している背景として、人員不足を補える点やAI、ロボティクス技術の目覚ましい進化などが挙げられます。
また、2019年に農林水産省より「スマート農業実証プロジェクト」が実施されてから、全国で200以上の地区がスマート農業を導入するようになりました。スマート農業の導入に伴い、近年では若手の新規就農者が増えている傾向があります。情報を共有しやすくなったことで、経験の少ない若手でも農業に参入しやすくなりました。
ただし、スマート農業の要となる農業用ドローンを導入するためには100~300万円ほどかかるため、小規模な農家にとっては導入しづらいことが現状だといえるでしょう。費用面の負担を軽減するために、ドローンを共同購入する農家も増えています。
農業にドローンを活用するメリット
ここでは、農業にドローンを活用するメリットについて説明します。作業時間の短縮
通常の農薬散布では1反あたりの散布に1時間ほどを要しましたが、農業用ドローンを導入すれば、1反あたり約1分ほどで農薬散布することが可能になります。幅広い作業が自動化できるようになったことで、少ない人員でも作業を効率的に行えるようになりました。農薬散布だけではなく、肥料散布や播種なども農業用ドローンで行うことが可能です。安全性の確保
ドローンを遠隔操作できることによって、散布者が農薬に接触したり吸い込んだりするリスクを抑えることができます。また、真夏の炎天下や寒冷期などに動噴機械を背負い防除作業をすることは、散布者にとって大きな身体的負担になるケースも少なくありません。そのような身体的負担を軽減するためにも、農業用ドローンは一役買っています。規模拡大が可能になる
作業の効率化が図れることで、農地の規模を拡大しやすい点がメリットです。農業用ドローンを導入することで、生産性も向上するでしょう。近年では就農者が高齢化し、人手不足が叫ばれています。しかし、農業用ドローンを導入すれば、少ない人員で農地の規模を拡大することもできるでしょう。スマート農業に利用されるドローンの種類
スマート農業で利用されるドローンは、DJI機が圧倒的なシェアを誇っていることが特徴です。そのほかには、丸山製作所やエンルート、クボタなどの農業用ドローンが利用されている傾向があります。農業用ドローンのなかでは、完全自動飛行や完全自動散布機能など、便利な機能を有する機体が人気を得ています。農業用ドローンを導入する際には、最大飛行時間やタンク容量、散布性能などをチェックしたうえで選ぶことが重要です。また、発火のリスクを抑えるためにも、インテリジェントバッテリーが搭載されたドローンを選ぶことがおすすめです。
スマート農業に活用できるドローン技術
ここでは、スマート農業におけるドローン技術や活用方法について詳しく解説します。農薬散布
ドローンで農薬散布を行う際には、機体に農薬を積載してドローンを飛ばします。産業ヘリとは異なり、農業用ドローンを活用することでピンポイントで農薬散布しやすい点がメリットとして挙げられます。また、機体が計量でコンパクトであることから、1人でも農薬散布を行いやすいことが特徴です。ドローンによる農薬散布は、田畑や果樹園などで広く利用されています。
肥料散布
肥料散布する際は、ドローン対応の薬剤かを確認しておくことが重要です。基本的には、ドローンやヘリ用に開発された空中散布専用肥料を利用しましょう。一般的には農薬散布用のドローンと同じ機体を用い、肥料を散布する際には、粒剤用のタンクに付け替える必要があります。ドローンを活用することで、傾斜地や広範囲の農地でも散布ムラが起きづらいことがメリットです。また、圃場内に踏み入ることなく空中から散布できることで、作物を傷める心配もありません。
播種
ドローンで播種を行うことで、種まきや育苗などの作業をカットすることが可能になります。例えば、田植えは通常8~10名の人員を要しましたが、ドローンで直接播種することで人員は2名まで削減できます。ドローンでの播種は、丈が長く倒れにくい品種に向いていますが、酒米などには向いていません。ドローンで播種することで、作業時間はおおよそ2分の1までカットすることが可能です。ただし、土壌が滞水している場合は、苗立ちに悪影響を及ぼすことも少なくありません。そのため、AIで土壌を画像解析し、滞水部をあらかじめ把握しておくことが重要です。
受粉
リンゴ農家などでは、人工授粉を行う際に農業用ドローンが活用されています。リンゴの木は背丈が高いため、高所作業となる人工授粉は常に危険が伴いました。ドローンを活用すれば安全性を確保するだけではなく、作業時間をおおよそ8分の1まで短縮することが可能です。農作物等の運搬
農作物の運搬に関しては、落下や衝突などのリスクを伴うため、より高い操縦スキルが求められます。ただし、ドローンで農作物の運搬を行うことができれば、作業者の身体的負担を大幅に軽減することが可能になります。ドローンによる収穫物や農業資材の運搬に関する実証実験は、全国各地で行われています。株式会社SkyDriveの実証実験では、農作物約15kgを片道1km運搬することが可能であることがわかりました。
圃場センシング
圃場センシングとは、ドローンの空撮により作物の生育調査を行うことを指します。生育状況を正確に把握できることで、適切な防除や追肥が行えるようになります。これまでは大規模な農地の場合は人工衛星を利用してリモートセンシングを行うケースもありましたが、高精度のセンシングを行いづらいのが欠点でした。その点、農業用ドローンなら近い距離で高精度なセンシングを行うことが可能になります。
鳥獣被害対策
鳥獣被害が深刻な農家にとって、ドローンによる鳥獣・害獣対策は導入したい活用方法の1つ。ドローンにカメラを搭載することで、野生鳥獣を監視し、追い払うことも可能になります。ドローンにサーチライトや音響装置を搭載すれば、威嚇効果を高められるでしょう。また、野生鳥獣の生態をデータ化できることで、猟師と情報を共有しやすくなります。ドローンで野生鳥獣を追尾することも可能であるため、獲物を捕らえやすくなるでしょう。さらに、サーマルカメラを搭載したドローンなら、夜間に野生鳥獣を監視することもできます。
情報収集・発信
ドローンで収集した情報は、同業者や後継者に情報を共有しやすいことがメリットです。情報が共有しやすくなったことで、農業の分野に新規就農者が参入するハードルが低くなったといわれています。ただし、ドローンにより得られた情報を管理するためには、最低限のITリテラシーが求められます。高齢の生産者でITリテラシーが乏しい場合は、スマート農業を導入するために人員を増やすことを検討しても良いでしょう。
スマート農業に強いドローンスクール6選
ここでは、コエテコが厳選するスマート農業に強いドローンスクール6選を紹介します。ドローンマスターズスクール アグラス野田校
出典:ドローンマスターズスクール アグラス野田校DPA認定校のなかでもスマート農業コースを有しているのは、ドローンマスターズスクール アグラス野田校です。完全アフターフォロー型の教習校で、卒業後も無料で練習場を利用できることがメリット。さらに、受講生は就職をバックアップする「SORAeMON」と呼ばれるマッチングサービスを利用することが可能です。
スマート農業コースは、1~5日間の受講日数から選ぶことができます。なお、受講料は1日コースで132,000円(税込)、5日コースでは418,000円(税込)となっています。カリキュラムを修了すると、「農薬散布ドローンオペレーター」の資格を取得することができます。
ドローンスクール明光社
出典:ドローンスクール明光社5日間の講習で農業に利用できるドローンのスキルが習得できるのは、ドローンスクール明光社です。ドローンの整備からアフターサービスまで充実しているため、ドローンの操縦が初めての方でも安心して利用できるでしょう。
AGRAS農業ドローン協議会推奨のカリキュラムを採用しているため、安全性を重視した操縦スキルを習得できることがメリット。初心者の方の場合は、座学2日間・実技3日間の計5日間のカリキュラムを受講します。受講料金は275,000円で、オペレーター技能認定証(MG-1)を取得できます。
福島ドローンスクール
出典:福島ドローンスクール人材開発支援助成金を活用しやすいのは、福島ドローンスクールです。特定訓練コースと一般訓練コースは人材開発支援助成金を利用することができるため、受講料の約半額が負担額となります。福島ドローンスクールでは講習や体験会などを盛んに開催しており、災害対応時のドローン活用方法などを学ぶことも可能です。
ドローンのプロパイロットが講師を務めるため、現場で活かせるスキルを身に付けやすいことがメリット。農薬・肥料散布講習は5日間の講習で、DJIの農業機MG-1の安全な運用方法を学習できます。受講料は、初心者向け5日間コースで240,900円(税込)、経験者向け4日間コースで196,900円(税込)となっています。
横浜ドローンウォーカー
出典:横浜ドローンウォーカー合宿コースや産業機コースなど、幅広いコースを用意しているのは横浜ドローンウォーカーです。フライトフィールドは屋外であるため、より実践的な操縦スキルを習得したい方に向いています。 農薬散布コースでは、石川エナジーリサーチ社製農薬散布ドローンの扱い方を学びます。
3泊4日の合宿で、受講料は440,000円(税込)となっています。体験コースは2時間あたり16,500円(税込)で利用できるため、気になる方は体験コースを利用したいですね。なお、横浜ドローンウォーカーではフリーフライトイベントも積極的に開催しています。
JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京本校
出典:JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京本校ビジネスシーンで活用できる操縦スキルが身に付くのは、JUAVACドローンエキスパートアカデミー東京本校です。空中散布コースでは、国土交通省が定める「危険物の輸送」「物件投下」の技能認証を習得できることが特徴。
実技では実際に空中散布を行い、空撮・8の字飛行などのスキルを習得できます。座学では農業用ドローンの基礎知識から気象・電波に関する知識まで幅広く学習します。なお、カリキュラム修了後には国土交通省への飛行許可申請が行えるようになることもメリットです。
ドローンスクールを利用してスマート農業を始めてみよう!
スマート農業を導入する際には、最低限のITリテラシーや初期投資が必要となります。目的を明確にしたうえで、スマート農業を導入するかを検討したいですね。スマート農業が導入できれば、農薬や肥料散布などを効率的に行うことが可能になります。人件費などのコストをカットしながら、農場の規模を拡大することも難しくはないでしょう。ドローンスクールを利用すれば、スマート農業に活用するドローンの操縦スキルを短期間で習得できます。安全性の高い操縦スキルを身に付けたい場合は、ドローンスクールの体験会などを利用して入会を検討してみましょう。