エンジニアのうち、企業などのネットワーク分野を専門的に扱っているのが、ネットワークエンジニアです。専門性の高いネットワークエンジニアという職種で、フリーランスとして働き続けることは可能なのでしょうか。
この記事では、ネットワークエンジニアがフリーランスになることは可能かどうかをご紹介するとともに、クラウド時代におけるネットワークエンジニアのキャリア形成方法について詳しく解説します。
ネットワークエンジニアとは
そもそもネットワークエンジニアとは、企業・組織におけるネットワークシステムの設計や構築、運用・保守などを行う職種です。企業・組織内で利用する電子機器やコンピューターとLANケーブル・ルーターを接続し、要望に応じた最適のネットワーク環境を構築する役割を担っています。
ネットワークエンジニアは、いわゆるインフラエンジニアに分類されます。そのため、ネットワークエンジニアには、サーバーや機器、サービスの特性を理解することはもちろん、これらを適切に連携するためのケーブルや回線といったプロトコル技術の知識、信頼性やセキュリティ、コストなどを踏まえた設計技法など、幅広い知識が求められます。
ネットワークエンジニアはフリーランスになれる?
ネットワークエンジニアは、フリーランスエンジニアとして働き続けることができるのでしょうか。結論から先に言えば、ネットワークエンジニアがフリーランスになることは可能です。
日本は深刻なIT人材不足の渦中にあり、ネットワークエンジニアだけでなくIT人材が大幅に不足している現状があります。このため、ネットワークエンジニアがフリーランスとして働ける場所は数多くあると言えるのです。
日本における企業・組織の多くは、オンプレミスと呼ばれる自社管理設備内の情報システムを利用しています。そしてネットワークエンジニアは、このようなオンプレミス環境において、ネットワークシステムを構築するのが主な仕事です。
ある調査によると、大企業の約7割はオンプレミス環境を維持する意向を示しており、オンプレミス環境で働くネットワークエンジニアの需要は、引き続き高いことが予想されています。
ネットワークエンジニアの年収相場は?
ネットワークエンジニアの年収相場はどうなっているのでしょうか。まず、正社員のネットワークエンジニアの年収について見ていきましょう。求人統計データによるネットワークエンジニア(正社員)の平均年収は497万円となっています(2023年11月時点)。
参考:ネットワークエンジニア 正社員の求人の給与|求人ボックス給与ナビ
次に、フリーランスとして働くネットワークエンジニアの年収です。フリーランスの求人統計データによると、案件ごとの月額単価相場の平均値は54.9万円となっています(2023年11月時点)。
これを単純計算すると、フリーランスのネットワークエンジニアの年収は658.8万円ということになります。
参考:ネットワークエンジニアのフリーランス求人・案件 月額単価相場|フリーランススタート
比較のため、全職種の平均年収も見ておきましょう。国税庁による「民間給与実態統計調査」によると、2022年の日本人の平均給与は458万円でした。
参考:令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁
ネットワークエンジニアが、正社員、フリーランスともに平均年収より高いことが分かります。特にフリーランスの場合、保有するスキルや経験にもよりますが、高い年収を期待できるでしょう。フリーランスエージェントを利用し、高単価案件を紹介してもらうこともできます。
参考:フリーランスエンジニアの年収
フリーランスのネットワークエンジニアの仕事内容
ここでは、フリーランスのネットワークエンジニアの仕事内容について見ていきましょう。設計
フリーランスネットワークエンジニアの仕事の一つに、ネットワーク設計が挙げられます。クライアントからの要望と予算に応じてシステムに必要な要件を検討し、キャパシティや拡張性を考慮したうえでドキュメントに落とし込む作業です。インターネットで繋がっているシステムにおいては、ネットワークに不具合があると何をすることもできません。そのためネットワーク設計は非常に重要であり、必要に応じてクライアントと意識のすり合わせを行いながら進めていきます。
構築
ネットワーク設計が完了すると、次に環境構築を行います。設計フェーズで作成した仕様書を元に、必要な機器を選定し、正常に動作するかといった確認作業、設定投入作業、機器の設置などを行うものです。システム本番環境の基幹と言うべき部分を扱うため、一つ一つ丁寧に作業を行うことが求められます。途中で何らかのトラブルが発生した場合には、その都度原因を突き止め、解決していく必要があります。
保守
ネットワークシステムが実際に稼働すると、システムが正常に稼働するための保守作業も必要になります。ネットワークエンジニアの保守作業では、ネットワークの障害やトラブルに対応し、復旧を行います。障害対応のほかに、ネットワーク機器やソフトウェアのアップデート、メンテナンス、交換といった作業もあります。これらのメンテナンス作業は、営業時間外や業務の影響範囲が少ない時間帯に行われるのが一般的です。
運用
実際にシステムが稼働すると、ネットワークエンジニアは運用というフェーズを担当することが多くなります。ユーザーがネットワークを利用していて不自由に感じることがないよう、システムを安定的に稼働させる仕事です。具体的には、障害をいち早く検知できる仕組みを導入したり、日常的に発生する小さなトラブルに対応するなどの作業が挙げられます。
フリーランスネットワークエンジニアの将来性
世界中がインターネットによって繋がる現代社会において、ネットワークエンジニアの仕事が無くなることはありません。安全で安定したネットワーク環境を構築する機会は今後もさらに増えることが予想されるため、フリーランスネットワークエンジニアの将来性は高いと言えるでしょう。インフラ環境のクラウド化、デジタル技術の広がりを受けて、ネットワークエンジニアが活躍できる場は広がっています。働く場所や時間が多様化するなか、クライアントのニーズに沿って柔軟に対応できるフリーランスネットワークエンジニアは、高い年収や自由度の高い働き方を得られるでしょう。
ネットワークエンジニアにおすすめのフリーランスエージェント
ここでは、ネットワークエンジニアにおすすめのフリーランスエージェントについて詳しくご紹介します。レバテックフリーランス
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企業との日程調整や単価交渉、契約代行といった煩わしい手続きを代行してくれるだけでなく、初めてフリーランスとして活動を始めたエンジニアでも寄り添ってサポートを受けられます。また参画者にはフリーランスのための福利厚生パッケージの提供があり、ヘルスケアにも対応しているのは嬉しいところです。
ネットワークエンジニアの求人・案件も2000件以上と多く(※2024年2月時点)、フルリモート、一部リモートの働き方も選択できます。ライフスタイルに合わせた働き方をカウンセリングで相談してみましょう。
参考:レバテックフリーランスの評判・口コミ
※実務経験1年以上×週4~の方におすすめです。
※週3日以下の案件はハイスキルが求められます。
TECH STOCK
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上場企業から発注を受けた好待遇案件や非公開求人を多数抱えており、フリーコンサルタントやITエンジニアの高報酬案件紹介を受けられます。また会員限定のフリーランス向け福利厚生サービスを受けられるので、健康面でも安心です。
インフラ・ネットワークエンジニアの案件・求人も豊富で、常駐からリモートまで働き方もライフスタイルに合わせて選べます。興味のある人は、コーディネーターとの面談で希望を伝えてみると良いでしょう。
参考:TechStockの評判・口コミ
※ITエンジニア経験3~5年以上&週4以上稼働可能な方が主な対象となります。
ランサーズエージェント
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ランサーズエージェントは、Web・モバイルアプリ開発案件を中心に取り扱うエージェントサービスです。
母体は日本最大級のクラウドソーシングサービス『ランサーズ』を運営している株式会社ランサーズだけあり、案件の保有数も業界随一。
さらに保有案件は全てエンド・元請け直案件のため、間に無駄なマージンが発生しません。そのためフリーランスに対しても高単価な報酬を提示してくれる点が魅力。
また案件の9割以上がリモート案件のため、年収UPを希望する人だけではなく「今の働き方を変えたい」「プライベート重視の働き方を実現したい」と考える人にとってもおすすめのサービスと言えるでしょう。
※以下の言語・FWで経験年数3年以上のものが1つ以上ある方が対象
Java・PHP・Python・Ruby・Go・Scala・JavaScript・Swift ・Objective-C・Kotlin・
Unity ・C#・C++ ・R・TypeScript・Stylus・ESLint・Vuex・Rust ・Dart
参考:ランサーズエージェントの評判・口コミ
Midworks
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取り扱っている案件の70%がエンド/SIer直案件で、利用者の平均年収は840万円と高水準です。他社エージェントから乗り換えて報酬単価が20万円アップした、正社員から年収が最大600万円アップしたなどといった事例もあります。
ネットワークエンジニアの案件も豊富に取り扱っており、要件定義や提案対応、ネットワーク系機器の各種計測やパフォーマンス測定、機器のバージョンアップ対応などさまざまなものがあります。興味のある人は、キャリアアドバイザーとの面談で確認してみましょう。
Midworks(ミッドワークス)の評判・口コミ、利用の流れ、特徴などがバッチリ!フリーランス・転職・副業サービスで自分に合ったキャリアを選択しましょう!
この記事をcoeteco.jp で読む >※週3~週5、フル稼働可能(1日8時間以上)な案件がメインとなっており、実務経験2年以上の方が主な対象となります。
※副業案件はありません。
クラウド時代におけるネットワークエンジニアのキャリア形成方法
IT人材不足を背景に需要の高まるネットワークエンジニアですが、現状に甘んじてもいられません。新型コロナウイルス禍の影響により、従来のオンプレミス環境をクラウド化しようとする動きが加速しているのです。総務省の「情報通信白書」によると、2022年時点で、企業においてクラウドサービスを「全社的に利用している」と回答したのは、全体の44.9%でした。さらに「一部の事業所又は部門で利用している」と回答したのが27.3%、「利用していないが、今後利用する予定がある」は9.6%にのぼります。
![](https://static.coeteco.jp/coeteco/image/upload/c_limit,f_auto,q_auto,w_1400/v1/cs-product/froala/iVZbm_-zDYQa8T0RH5s76g.png)
このように企業・組織においてクラウド利用が増加するなか、オンプレミス環境で専門性を発揮するネットワークエンジニアの将来性は、安定しているとは言いがたいのです。
この先もネットワークエンジニアとして高いキャリアを志向するのであれば、多くの企業が参入を検討しているクラウドサービスに関する知識を習得しましょう。
とくに、世界的に需要の高いクラウドサービスに関する専門知識とスキルを習得しておけば、ネットワーク分野に強いクラウドエンジニアとして、高いキャリアを描けるでしょう。
参考:クラウドエンジニアフリーランス
ネットワークエンジニアがスキルを習得すべきクラウドサーバー3選
アメリカの調査会社Canalysによると、2023年の第2四半期におけるクラウドサービスの世界シェアは、以下のようになっています。- AWS(Amazon Web Service):30%
- Microsoft Azure:26%
- Google Cloud:9%
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Amazon、Microsoft、Googleという、いわゆる米国ビックテックによって、世界シェアの半数以上が独占されているというから驚きです。
日本国内においても、これら3社のサービスへ移行を検討する企業は増加傾向にあります。特にAmazonのAWSの人気は高く、日本政府の推進する「第二期政府共通プラットフォーム」においてAWSが採用され、2020年10月に運用を開始したという実績があるほどです(その後、2023年度末で廃止が決定しています)。
参考:政府共通プラットフォーム第二期整備計画(改定案)|デジタル庁
これらのクラウドサービスに特化したスキルを有していれば、ネットワークエンジニアとしての市場価値が高まり、フリーランスとして安定して働き続けられるようになるでしょう。
なお、上記クラウドサービスのスキル習得を目指すなら、認定資格の取得がおすすめです。
- AWS:AWS認定資格
- Microsoft Azure:Microsoft認定資格
- Google Cloud:Google Cloud 認定資格
ネットワークエンジニアとして働く際の注意点
まずネットワークエンジニアとしてフリーランスになるまえに、会社員としての経験を積み、一般的なビジネスマナーを身に付けておくことが大切です。エンジニア未経験からネットワークエンジニアを目指すなら、まずは副業から少しずつ始めてみて、慣れてきてから独立するというのも一つの手と言えるでしょう。フリーランスネットワークエンジニアは出社して働くことが多く、在宅ワークの案件は少ない傾向があります。とくにオンプレミス環境では在宅ワークが難しく、オフィスへの出社が必須です。サーバーがクラウド環境であればリモートワーク自体は可能ですが、ネットワーク環境の構築はクライアントの意向を聞きながら進める必要があるため、勤務時間などに制約がある場合があります。
出社して働くことが前提となるため、フリーランスネットワークエンジニアの仕事は都市部に集中している傾向があります。そのため、地方では案件獲得が難しいかもしれません。地方在住でフリーランスネットワークエンジニアを目指すなら、在宅で勤務可能な案件があるかどうかをしっかり確認しましょう。
ネットワークエンジニアフリーランスまとめ
ネットワークエンジニアがフリーランスになることは可能です。IT人材不足を背景に高い需要が見込まれるため、専門的な知識やスキルを活かして活躍できる場が広がるでしょう。一方で、サーバー環境は世界的にオンプレミスからクラウドへと移行しつつあり、オンプレミス環境に依存したネットワークエンジニアでは生き残りに苦戦する可能性があります。将来にわたって安定して働き続けるために、需要の高いクラウドサービスのスキルを習得し、キャリアアップをはかりましょう。