ドローンスクール「登録講習機関の更新期限」が迫っています!見逃すと事業停止の重大リスク
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今回お話を伺った方
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バウンダリ行政書士法人 代表行政書士
佐々木 慎太郎氏2015年に仙台で行政書士事務所を開業し、2019年にBOUNDARY GROUPを設立。2020年にバウンダリ行政書士法人に改組。ドローン法務に特化したサービスを提供し、著書やYouTubeで法規制の普及活動を行う。各種公的機関のメンバーとしても活躍。
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国土交通省(DIPS2.0:ドローン情報基盤システム)からは、2025年8月下旬から順次、登録されているメールアドレス宛に更新案内が送信されています。しかし、メール通知のため見逃しているスクール運営者や担当者が多数存在すると予想されます。
更新時期がまだ先のドローンスクールについても、今から準備を進めておくことが重要です。
今回は、ドローンの関連において日本トップクラスの法務実績を誇る「バウンダリ行政書士法人」代表行政書士である佐々木先生に、登録講習機関の更新手続きについて詳しくお話を伺いました。実際の画面上の写真を用いた、申請の手続き解説もしているので、ぜひご活用ください。
緊急!登録講習機関の更新期限が迫っています

ドローンスクール登録講習機関の更新期限について
コエテコ柴垣:佐々木先生、まず登録講習機関の更新について、特に注意すべきポイントを教えてください。佐々木先生:登録講習機関は無人航空機の国家資格取得のための講習を行う機関ですが、登録の有効期間は3年間です。有効期間満了後も継続して事業を行うには、期限満了前に更新手続きを完了する必要があります。
ここで重要なのは「申請だけでは不十分」であることです。登録満了前に申請を行えばよいのではなく、申請をし、必要な書類等を送付し、すべての手続きを完全に終えて「完了」しなくてはなりません。

更新手続きには審査時間がかかるため、有効期間満了日の3ヶ月前を目安に手続きを開始することと、国土交通省も推奨しています。
実際に申請してから1ヶ月なのか、2ヶ月かかるのか、たとえば書類に不備があれば、その分、余計に時間もかかりますから、とにかく早めの準備が必要です。
2022年9月に登録講習機関の申請受付が始まり、11月や12月に登録を完了されているドローンスクールが多いのですが、逆算すると、すでに更新の申請が終わっていないと間に合わない計算になります。
コエテコ柴垣:更新のタイミングについて、具体的にはいつ頃から準備すべきでしょうか?
佐々木先生:繰り返しますが、重要なのは、有効期限内に「手続き完了」させる必要があることです。申請書の提出が有効期間満了前までではなく、申請してから手続き完了までが有効期間満了前まででなければなりません。
手続きにどれくらい時間がかかるかは我々ではコントロールできないため、早めの申請をお願いしています。
後ほど、くわしく解説しますが、もし失効してしまうと、新規に登録申請をしなくてはなりませんし、その間、ドローン国家資格の登録講習機関としての運営はできなくなります。
事業がストップするという大きなリスクがあるので、とにかくまず、お手元の登録証をご確認いただき、更新時期をしっかり把握し、準備していただきたいです。
国交省からの通知システムと見逃しリスク
コエテコ柴垣:メール通知はどのように配信されるのでしょうか?佐々木先生:3ヶ月前と1ヶ月前にメールが配信されると記載されていますが、12月前後が期限の登録講習機関は審査が混み合い、1ヶ月前になると間に合わない可能性が非常に高いです。
1ヶ月前のメールは「今から手続きしても間に合うかどうか確約できません。期間満了日までに審査が完了しなかった場合、登録講習機関としての運営はできなくなります。再開するには新規で申請してください」といった内容になるのではないでしょうか。
コエテコ柴垣:メールのみの連絡なのでしょうか?
佐々木先生:国土交通省のホームページには、更新についての資料は掲載されています。しかし、メールを見逃している、またホームページについても気づいていないドローンスクール運営者や担当者の方は少なくありません。
コエテコ柴垣:では、ここからは具体的に登録講習機関の更新手続きについて教えていただきます。
ドローン登録講習機関の更新手続き「基本の仕組み」

登録講習機関更新手続きの基本的な流れ
コエテコ柴垣:更新手続きの基本的な流れについて教えてください。佐々木先生:基本的に手続き内容は、登録講習機関の新規申請と同じフローです。
DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)での申請と添付書類をメールで提出するという流れになっています。手続き自体は前回同様なのですが、今回は時間的制約が大きな問題です。
つまり、正しく初回の「登録講習機関」としての登録日を確認し、3年の期限が終わる日付の前に「手続きそのものが完了している」状態にするということです。
コエテコ柴垣:登録期間の確認はどのように行えばよいでしょうか?
佐々木先生:登録証に登録日と登録期間の3年間の日付が具体的に記載されています。

航空局のホームページにあるリストは、事務規程の届出が受理されたタイミングで掲載されているので、登録日は確認できません。必ずお手元の登録証をご確認いただくようお願いします。
必要書類の詳細確認が重要

コエテコ柴垣:添付書類について注意すべき点はありますか?
佐々木先生:航空局のスライド(登録講習機関の更新について)だけを見て書類を準備すると、足りないものが出てきます。
たとえば、④講師の条件への適合宣誓書(様式3)等となっています。具体的には、講師の運転免許証の写しや飛行記録、国家資格の添付、インストラクターの資格などが必要ですが、その内容については提示されているPDFの確認が必要です。
スライドだけを見て「書いてある書類は用意した」と提出してしまうと補正が来て、審査完了まで時間がかかってしまうので、必ず詳細を全部確認するようにお願いします。
登録講習機関の更新を怠った場合の深刻なリスク

更新が完了が期限内にできなかったら「登録講習機関」としての運営がストップする
コエテコ柴垣:更新手続きを怠った場合、どのようなリスクがありますか?佐々木先生:更新手続きが漏れると、新規申請が必要になり、登録免許税を再度納める必要があります。
国家資格1等を取り扱う場合は9万円、2等を取り扱う場合は9万円、両方を取り扱う場合は18万円です。
ただし、更新手続き自体では、この登録免許税を納める必要はありません。
新規申請はご存じのとおり、手続きに一定の時間がかかります。有効期間が満了し、新規申請が完了するまでは認定されていない状態ですから、事実上、登録講習機関としては事業停止になってしまいます。
コエテコ柴垣:つまり、登録講習機関としての有効期間内に更新手続きが完了できなかった場合には、新たに申請を行うことになり登録免許税もかかる、しかもその間、登録講習機関としての運営はできなくなってしまうわけですね。
佐々木先生:そうです。それが一番のデメリットなので、本当に気をつけていただきたいです。更新を怠ると運営停止に加えて、この登録免許税も再度納付が必要になってきます。
登録免許税の負担額
更新ができず再度新規申請時に必要となる登録免許税
- 1等国家資格のみ取扱:9万円
- 2等国家資格のみ取扱:9万円
- 1等・2等両方取扱:18万円
通常の更新手続きでは登録免許税の納付は不要ですが、期限切れにより新規申請となった場合は、再度これらの費用負担が発生します。
しかも、改めて登録講習機関として新規の申請をして、事務規程が受理されるまでは、登録講習機関として運営はできません。これは最悪のパターンですから、くれぐれも気を付けてください。
更新手続きは「DIPS2.0申請」と「必要書類のメールによる提出」

登録講習機関の更新は「2つの手続きの流れ」がある
第1段階:DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)での申請- gBizIDによる本人確認
- 申請情報の入力
- システム上での申請完了
第2段階:添付書類のメール提出
- 必要書類をPDF化してメール送信
- 提出先:info@mlit-drone.com
コエテコ柴垣:手続きの具体的な流れについて、もう少し詳しく教えてください。
佐々木先生:そうですね、登録講習機関更新の手続きは2段階あると考えるとよいでしょう。
まず、DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)にログインして、登録講習機関の更新に進みます。
登録講習機関は法人でしか申請できないので、皆さんgBizIDを持っていると思います。そちらで本人確認を行って、入力して申請をします。やり方については次に詳しく説明しますね。
ただし、DIPS2.0での申請だけでは審査は進みません。添付書類をメールで送らないと審査が進まないのでご注意ください。DIPS2.0の入力を行い、別途、必要な書類を揃えてメールで指定のアドレスに送る、両方を滞りなく行ってください。
コエテコ柴垣:DIPS2.0での申請だけでは、手続きは完了しないとしっかり認識しておく必要がありますね。他に注意点などありますか?
佐々木先生:申請に必要な書類などは、最初の登録時とほぼ同じです。ですから、ご自身で行った場合は思い出していただければいいのですが、当時の担当者やお願いした行政書士がいない場合は注意が必要です。
航空局のスライド(登録講習機関の更新について)を見ていると、特にこちら、DIPS2.0による申請が終わると「手続きは完了した」と勘違いしがちです。

繰り返しになりますが、
- DIPS2.0による申請
- 必要書類をメールで送付
写真つき!登録講習機関更新「DIPS2.0申請手続き」のやり方
STEP1:ドローン情報基盤システムにログインする

最初に、DIPS2.0にログインします。ログイン・アカウント作成をクリックすると、次のように表示されます。

登録講習機関として登録しているので、すでにアカウントは開設済みのはずです。ログインIDとパスワードを入れましょう。
ログインできたら、事業者用ページをクリックします。
STEP2:登録講習機関/登録更新講習機関の有効期限の更新画面に進む

ドローン情報基盤システム(事業者用画面)が出てくるので、「登録講習機関を希望する事業者の手続き」を押します。次の画面では、「有効期限の更新」を押します。
STEP3:本人確認を行う
この後は、gBizIDにログインし、本人確認を完了させましょう。

「次へ」を押すと、スマートフォンアプリの認証待ち画面になります。認証が完了したら、申請者情報入力に進みます。
STEP4:申請者情報を入力する


情報を入力したら、「次へ」を押します。
STEP5:登録講習機関情報/登録講習機関情報を入力する

実際の画面ではスクロールしていくと、記入欄が続きます。最後まで行うと、次へのボタンが見えてきます。
更新情報の入力が完了したら、「次へ」を押します。
STEP6:申請情報を確認する


内容に誤りがないかよく確認をしてください。間違いがあれば、修正ボタンを押しましょう。問題がなければ、更新申請を押します。
STEP7:到達確認をする
確認のメールが送付されるので、メールを開いて到達確認をします。確認が終了するとメールアドレスに通知されます。ここまでがDIPS2.0による更新申請です。
※DIPS2.0の申請だけでは「登録講習機関の更新申請手続き」は終わりではありません。書類送付の手続きを忘れずに行ってください。
注意!登録講習機関の更新「よくある勘違いと注意点」

監査を受けているだけでは「更新」できない
コエテコ柴垣:スクール運営者によくある勘違いはありますか?佐々木先生:ここ2週間ぐらいいただいている中で意外と多かったのは、「毎年監査を受けているから、それが更新の手続きだと思っていました」という方です。
監査はあくまで適正な運営を確認するためだけであって、登録期間は登録証に書いてある通り3年間です。続けるなら更新の手続きを別にしないといけません。
コエテコ柴垣:監査と更新手続きは全く別のものということですね?
佐々木先生:はい。登録講習機関は、3年間の登録期間中に1年ごとに監査を受ける必要がありますが、3回目の監査と更新のタイミングが重なることがあります。ただし、それでも更新はできます。監査を終えていなくても登録の更新は可能です。
登録更新講習機関と登録更新講習の更新の違い

コエテコ柴垣:他に混同しやすい制度はありますか?
佐々木先生:非常に似ているので間違いやすいのですが、登録更新講習機関と、登録講習機関の更新はまったく別のものです。
登録更新講習機関は国家資格の更新時に受講するスクールのことです。自動車の免許を更新するときの免許センターのような位置づけですね。
今回、お話しているのは「登録講習機関」の「更新」です。登録講習機関が必要とする手続きです。
コエテコ柴垣:呼び方も似ていて、混同しそうです。
佐々木先生:インターネット検索などをしても、言葉の混同で正しい情報が出にくいこともあります。航空局の説明も少々わかりづらいので、気をつけてください。
手続き完了タイミングによる期間前倒しの問題
コエテコ柴垣:更新手続きが完了した後の注意点はありますか?佐々木先生:登録の手続き完了したら、その日から次の3年間がスタートします。そのため、実は申請を早めにしすぎても損してしまうのです。
かといって、審査期間はコントロールできないので、3ヵ月前に申請して1ヶ月ぐらい損しても、期限が切れて運営が止まるよりはいいという判断になると思います。
正直、元の日付から継続してほしいとは思うのですが、システム上できないようです。手続きは期限前に完了していないといけない、しかし早めに申請すれば期間前倒しになって損してしまう……悩ましいところです。
こちらは大きな問題なので、今後改善される可能性はあります。例えば航空局のお知らせどおり期間満了日の3ヵ月前までに添付書類の提出も含め、更新申請が完了している場合は登録期限の翌日から次の3年間がスタートするなど。
専門家サポートの活用メリット

専門家活用の効果
専門家によるサポートの主な効果
- 補正リスクの最小化
- 審査期間の短縮
- 確実な期限内完了
- 業務負担の軽減
- 必要書類の適切な管理
コエテコ柴垣:行政書士に依頼した場合、どのようなサポートを受けられますか?
佐々木先生:更新については、期限が切れないように手続きを進めることを第一に、、手続きの代行を行います。
また、弊社で監査を受けた、手続き代行をした企業様は書類が結構揃っています。必要な書類が揃っているので、一から全部集めたり、過去の資料を掘り出したりする手間を削減できます。
コエテコ柴垣:更新手続きのみの依頼も可能ですか?
佐々木先生:それもできます。前回は自分でやったけれど今回はお願いしたい、他の行政書士にお願いしていたけれど今回はお願いしたい、といった単発のご依頼も全てお受けしています。
コエテコ柴垣:料金はいくらでしょうか?
佐々木先生:基本料金は20万円(税込22万円)です。その他のサービスとの提携による割引があることもありますので、詳しくはお問い合わせください。
コエテコ柴垣:最後に、スクール運営者の皆様へのメッセージをお願いします。
佐々木先生:登録講習機関の更新は、スクール運営の存続に関わる重要な手続きです。期限を過ぎてしまうと強制的に運営停止になってしまうので、早めの対応をお願いします。困ったら専門家に早めに相談することが一番重要だと思います。
今すぐ確認すべきチェックリスト
更新手続きの漏れを防ぐため、以下の項目を今すぐ確認してください。登録証での期限確認方法
□ 登録証の所在確認□ 登録日の確認
□ 有効期限の確認(登録日から3年後の日付)
□ 登録内容の確認(1等・2等・両方のどの資格を取扱っているか)
国交省メールの確認
□ 早い時期に登録した場合は、8月下旬以降のメール確認 (登録日のおよそ3か月前と1ヶ月前に送信される予定)□ 迷惑メールフォルダの確認
□ 現在DIPS2.0に登録しているメールアドレスの確認
必要書類の準備状況
□ 新規申請時の書類保管状況確認□ 講師関連書類の最新性確認
□ 法人情報変更の有無確認
□ 施設・設備変更の有無確認
特に以下に該当する場合は、速やかに専門家への相談を検討してください。
- 2022年11月〜2023年2月に登録完了したスクール
- 新規申請時と担当者が変更になったスクール
- 初回の更新手続きで不安を感じるスクール
- 他業務で手続き対応の時間が取れないスクール
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