【2026年対応】2025年総括とドローンスクール最新動向
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ガイド
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コエテコドローン責任者
柴垣 泰2001年GMOメディア株式会社に入社後、営業責任者を経てドローン関連の新規事業開発を担当。コエテコ・ドローンの事業責任者として全国100校以上のドローンスクールを取材し、業界動向を深く把握。国土交通省や有識者への取材を通じて、ドローン・ロボティクス分野の最新トレンドと事業者の情報に精通。E.R.T.S産業用無人航空機操縦技能認定を保有。幅広い人脈を活かしてドローン関連企業・自治体・教育機関をつなぐ橋渡し役を担い、業界の発展に努めている。
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価格競争の激化、産業分野でのドローン活用拡大、企業ニーズの変化、そして制度面での大きな動き。これまでの延長線上でスクール運営を続けてきた事業者ほど、環境変化のスピードに戸惑いを感じたのではないでしょうか。
一方で見方を変えれば、2025年は「選ばれるスクール」と「そうでないスクール」の輪郭が、浮かび上がったきた年でもあります。
本記事では、2025年のドローンスクール業界を象徴する3つの変化を整理しながら、今後の規制動向も踏まえて、2026年におけるスクール運営や事業展開のヒントを探っていきます。
ドローンスクール業界を象徴する3つの変化

最初に、2025年のドローンスクール業界やドローン領域を振り返りながら、3つの変化を見ていきましょう。
変化1:低価格でも満足度が高いドローンスクールの台頭
2025年に入って特に顕著だったのが、受講費用を抑えつつ、講習内容もしっかりしているドローンスクールの人気上昇です。実際にドローンスクールを取材する中で、これまでにはない低価格の受講料に驚かされることが何度かありました。低価格スクール台頭の背景
低価格化が進んだ背景には、競争の激化とともに、業務や指導体制の効率化(座学のオンライン化など)があります。ドローンの機体そのものも、産業用は依然として高額ですが、エントリーモデルや初心者モデルは低価格ブランドやコストを抑えたものが増えてきています。また、私自身の取材経験からの印象としては、「スクールへのアクセスは多少悪いが、その分、料金もかなり安くし、かつ送迎サービス等も充実させている」ドローンスクールが台頭してきているなという感覚があります。
価格と品質を両立するスクールの特徴
価格競争の中でも評価を高めているスクールには共通点があります。- 実技講習の時間が十分に確保されている
- 国家資格(一等・二等無人航空機操縦士)を見据えた内容
- 修了後の相談や情報提供などのフォロー体制
- オンライン学習と実技訓練の効果的な組み合わせ
- 少人数制による密度の濃い指導
- 卒業生のコミュニティ形成によるアフターフォロー
- 地域の企業や自治体との連携による実践的なカリキュラム
単に「安い」だけでなく、「価格以上の価値」を明確に示しているドローンスクールが支持を集めています。
受講生側のメリットと業界への影響
受講生にとっては、これまでと比べてかなり安い講習が増えたことで、初期投資のハードルが下がり、ドローン操縦を学びやすくなりました。一方で業界全体としては、価格だけでの差別化が難しくなり、スクールごとの方針や強みがより問われる局面に入っています。
変化2:インフラ点検・農業・物流で急増する産業用ドローン需要

2025年は、産業用ドローン分野の人材育成ニーズが一段と明確になった年でもあります。点検、農業、物流といった分野で、ドローン活用が「実証」から「実装」へ進みつつあります。
具体的な活用分野
現在、特に需要が高い分野は以下の通りです。インフラ点検
橋梁、トンネル、送電線、ソーラーパネルなど、さまざまな構造物の点検に活用。従来の足場を組んでの点検と比べて、コスト削減と安全性向上の両面でメリットが大きい。農業
農薬散布、生育状況の把握、圃場の測量など。人手不足が深刻化する中、ドローンは貴重な労働力として期待されている。物流
山間部や離島での物資輸送。2026年度に予定されているドローン航路登録制度の開始に向けて準備が加速している。また、上記以外にも、2025年には特に問題となった「熊の対策(鳥獣被害対策や生息調査)」、災害時の被災状況の確認などでも、ドローンの活躍が目立ちました。まだまだ「実験段階」とされていたドローンが、企業だけでなく自治体やインフラ業界でも「実際に活用する」段階になりつつあります。
これらは、国や自治体の後押しもあり、今後も拡大が見込まれています。
産業用ドローン人材に求められるスキル
産業用途では、単なる操縦技術だけでは不十分です。分野 |
求められるスキル |
| 共通 | • 安全管理やリスクアセスメント能力 • 業務フロー理解と現場対応力 • 関連法規や飛行許可申請の知識 |
| 点検分野 | • 構造物の知識 • 異常の判断能力 • 報告書作成スキル |
| 農業分野 | • 農薬の知識 • 気象条件の理解 • 安全な散布技術 |
| 物流分野 | • 航路設定 • 緊急時対応 • 法規制の理解 |
こうした複合的なスキルが求められるため、スクール側にもより実践的な教育が期待されています。
産業用ドローン市場拡大の背景

経済産業省のロードマップでは、2026年以降のドローン社会実装加速が明記されています。「ドローン航路導入ガイドライン」では、ドローン専用の飛行ルート整備と安全運用の標準ルールが示され、これにより物流・点検・災害対応などの実用化が加速する見込みです。
つまりは、産業ドローンを扱う人材の需要が高まり、対応するカリキュラムや実践的なコースのあるドローンスクールにとっては追い風になるでしょう。
参考:経済産業省「ドローン航路政策」
変化3:企業研修とドローン運用内製化が生む新たなビジネスチャンス
2025年は、個人受講生だけでなく、企業単位での講習ニーズが増えた1年でした。背景にあるのが、産業ドローン運用の「内製化」です。内製化が進む理由
外注コストの増加や、業務ノウハウを社内に蓄積したいという考えから、ドローン運用を自社で行う企業が増えています。- 外部業者に毎回依頼するよりも、自社で人材を育成した方が長期的にはコストを抑えられる
- 必要なタイミングで迅速にドローンを活用できる
- 自社の業務内容を熟知した社員が操縦することで、より効果的な運用が可能
その結果、以下のようなニーズが生まれています。
- 業務内容に合わせた操縦訓練
- 自社機体・自社ルールに沿った安全教育
- 社員複数名を対象とした短期集中研修
カスタム講習・企業研修の具体例
企業の具体的な課題に応えるカスタマイズされた講習が求められています。- 建設会社向け:測量と進捗管理に特化したプログラム
- 電力会社向け:送電線点検の実践的トレーニング
- 農業法人向け:大規模圃場での農薬散布技術
- 自治体向け:災害時の状況確認と情報収集
補助金活用の動き
人材育成関連の補助金を活用し、企業研修としてドローン講習を導入するケースも増えています。人材開発支援助成金や、地域によっては自治体独自の補助制度を利用できるケースがあります。企業側は研修費用の負担を軽減でき、スクール側は大口の受講生を確保できるため、双方にメリットがあります。スクール側が補助金情報を提供できる体制を整えることは、大きな差別化要因になります。
企業研修は個人受講生と比べて受講料が高く設定でき、一度に複数名を受け入れられるため、収益性が高いビジネスモデルといえます。
2026年ドローン規制の最新動向と事業者が今すべき準備とは

2026年は、ドローン規制にいくつかの進展や改正等が見込まれています。最大のトピックは「航路登録制度」の全国展開です。
航路登録制度の本格開始
経済産業省のロードマップによると、2026年度から航路登録制度の本格開始が予定されており、事前に認証された航路を使用すればDIPS申請が大幅に簡略化されます。これにより、物流やインフラ点検における自動飛行が現実味を帯び、国家資格保有者が優位に立つ状況となります。
小型無人機等飛行禁止法の改正見込み
警察庁は小型無人機等飛行禁止法の改正案を通常国会へ提出する見込みです。重要施設周辺の飛行禁止区域が現行の300mから1000mへ拡大されるため、都市部でのドローン運用に大きな影響が出ると予想されます。また、リモートID義務化が完全施行され、UTM(無人航空機管制)との連携が必須となります。
国家資格と民間資格の位置づけ
2025年12月5日以降、民間ドローン資格を保有していることで国土交通省への飛行許可申請が簡略化される優遇措置は廃止されています。この点について、誤解も多いため整理が必要です。制度変更の正確な内容
重要なのは、民間資格が無効になるわけではないという点です。廃止されるのは、あくまで「飛行許可申請の簡略化」という優遇措置のみです。民間資格そのものが廃止されたり、無効になったりするわけではありません。国家資格の重要性の高まり
一方で、国家資格の重要性は確実に高まっています。- レベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を行う場合には事実上必須
- ビジネスとしてドローンを運用する場合に求められる
- 企業が採用や業務委託の条件として国家資格保有を求めるケースが増加
ドローンスクール卒業生の取材で印象的だったのが、次のような声でした。
「大手企業の撮影依頼が増えてきた頃、『ドローンの資格を持っていますか』『どの免許を持ってるのですか』と聞かれることが増えてきたんですね。」
(国家資格を取得してから)「資格を持っていますか」と聞かれたら、「持っています」で終わりですから、大きな企業さんとか自治体さんとかでも、すんなりお話が通るようになりました。※詳しい内容は「大阪ドローンスクール NICO TECH drone卒業生インタビュー|国家資格を取得した理由とその価値とは」をご覧ください。
こうしたケースは今後さらに増えていくでしょう。業務での信頼性確保や企業案件への対応を考えると、国家資格取得を支援できるスクールの価値が一層高まると考えられます。
スクール運営者が今すべき準備
- 航路登録に対応したカリキュラム開発
- リスクアセスメント能力の強化
- 国家資格更新の提供体制
スクール運営者は、航路登録に対応したカリキュラムの開発と、リスクアセスメント能力の強化を急ぐ必要があります。
さらに、国家資格の更新も見逃せません。特に二等無人航空機操縦士は2026年1月末に有効期限を迎える方が多いため、更新講習の提供体制を整えることが、新たなビジネスチャンスにつながるでしょう。
▶GoogleマップやGoogle検索で表示されるスクール情報に予約ボタンを表示しよう!
ドローンスクール検索サイト「コエテコドローン」
価格競争を抜け出すドローンスクール差別化をめざす

「最安値」を打ち出すだけの競争は、すでに限界を迎えつつあります。
価格競争は底なしであり、常に価格を下げ続けることは経営の健全性を損ないます。価格以外の価値を明確に示せるスクールこそが、次のフェーズに進めると、取材を通じて強く感じています。
ターゲット別コース設計で実現する高い受講満足度
2026年以降、スクールに求められるのは「ドローンを飛ばそう!」といった漠然としたアピールではなく、明確なターゲット層と目的を設定したコース展開です。受講生のニーズは多様化しており、それぞれの目的に応じた専門的なカリキュラムが必要とされています。差別化につながる具体的なコース設計例
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趣味向け入門コース
空撮の楽しさを体験できるプログラム -
FPV特化コース
レース技術やマニュアル操縦に特化 -
空撮特化コース
撮影技術から編集ノウハウまでの総合カリキュラム -
国家資格取得コース
一等・二等資格の合格に照準を絞った効率的プログラム -
産業用特化コース
点検、農業、測量など業務分野別の専門プログラム -
法人向け研修パック企業
自治体のニーズに合わせたカスタマイズ研修
「何に強いスクールなのか」を明確にすることで、受講生は自分に合ったスクールを選びやすくなります。スクール側も専門性を深めることで競合との差別化が図れ、口コミでの評判向上にもつながります。
Webサイトでの見せ方も重要です。
複数コースを用意する場合は、受講生が迷わないよう明確に区分しましょう。
たとえば、「初心者向け基礎コース」「資格取得コース」「趣味・空撮コース」とページを分け、一覧ページで各コースの特徴と学習内容を端的に示します。訪問者が「自分に合うコースはどれか」「どの順番で受講すべきか」を一目で判断できる設計が不可欠です。
ドローンスクールがめざすべき3つの進化の方向性

2025年の取材を通じて、私自身、ドローンスクール業界の変化を肌で感じてきました。 その経験から、2026年以降の運営において重要になると考える3つの方向性をお伝えします。
1:専門性の深化
すべての分野をカバーしようとするのではなく、得意分野を磨き、その領域でのNo.1をめざす戦略が有効です。私が取材したUn Bois Sky Tech(兵庫マルチローター教習所)では、実際の田んぼでドローンを飛ばす実習を行い、農薬管理指導士の資格を持つスタッフが常駐しアドバイスをする体制があり、スマート農業に特化したコースが人気とのことでした。
ドローン教習所 北海道モビリティ校は、コエテコドローンの取材で卒業生が実際の測量で、「自動帰還機能が使えなくなった場面でもマニュアル操作に切り替えて無事に対応できた。スクールでは測量技術だけでなく、ドローンの緊急時対応を学んだことが役立った」と話しています。
複数コースを展開する際のポイント
実際には複数のコースを提供するドローンスクールが多いですね。複数コースを展開する際は、講師の経歴や使用機体などを踏まえた「専門領域」を明確に打ち出すべきです。コース名を並べるだけでは訴求力が弱まります。「○○分野の実務経験を持つ△△講師による専門コース――こんな方に最適」といった形で、ターゲットを絞り込んだ提案が有効でしょう。
2:地域との連携強化

地元企業や自治体との信頼関係を構築し、地域のドローン活用のハブとなることで、安定的な受講生確保と事業拡大が期待できます。ドローン情報共有プラットフォーム* なども活用し、最新情報を把握しながら地域ニーズに応えていくことが重要です。
3:長期的な関係構築
一度きりの受講で終わるのではなく、卒業生が継続的に学び、成長できる場を提供することで、スクールの価値は大きく高まります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。今回は、「アフターフォロー」と「コミュニティ運営」に焦点を当てて、継続的な関係性が生み出すスクール運営の成功法則をご紹介します。多くのドローンスクールが受講生を集めるのには熱心ですが、その後のサポートについては「差」があります。卒業後も充実したアフターフォローを行っているスクールでは、卒業生の活躍が新たな受講者を呼び込む好循環が生まれています。
2025/08/05
変化に対応し、選ばれ続けるスクールへ
ドローン領域において、2025年は「転換点」、2026年は「分岐点」の年となります。ドローンスクールは今、「資格取得の場」から「人材育成と事業支援の拠点」へと進化が求められています。制度・市場・企業ニーズを的確に捉え、柔軟に対応できるスクールこそが、2026年以降も選ばれ続けるでしょう。
スクール集客や運営でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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