プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

現役東大生と与那国島の子どもをつなぐ!日本最西端の島で最先端のプログラミング授業

日本の最西端・沖縄県与那国島。東京から2,000km以上も離れたこの島で、現役東大生による授業が行われているのをごぞんじですか?

現役東大生による双方向遠隔ライブ授業サービス『東大NETアカデミー』を展開し、教育環境の地域格差解消、子どもたちの才能開花・発掘を目指す株式会社フィオレ・コネクションの代表取締役社長 松川來仁(らいと)さんにお話をうかがいました。

東大生を当たり前の存在にしたい

 
――『双方向遠隔ライブ授業』というサービスを始められたきっかけについて教えてください。

僕は沖縄県の出身です。本島なので地域による教育格差はあまりないと思っていたんですが、実際に東京に出てみるとやはり格差を実感しました。

東京のような都市部で学んでいる子どもたちの常識や環境、さらに保護者の意識というのは、沖縄などの僻地とは大きな差があります。これがまた離島に行くと、沖縄本島が東京のような存在なんですよね。

僕は親のサポートがあったので東大(東京大学)まで行くことができましたが、同じように環境さえ整えてあげれば埋もれずに済む子がたくさんいるのでは、という思いがありました。

また、東京にはたくさんの優秀な人材が集まってくるので、それを地方に還元できるような何かができたらいいな、とずっと考えていたんです。教育という分野での実現が一番価値があると思い、このサービスを始めました。

――確かにいまは生まれ育った地域によって、教育機会にだいぶ差がありますよね。

そうですね。そもそも知らないと考えることもない、選択肢にすら入らないんです。

与那国島にすごく優秀な子がいて、先生たちはこの子は大学に行くだろうと当たり前に思っていました。ところが、本人に「どういう所に行って学びたい?」と聞いたら、返ってきたのは「専門学校」という答え。彼の中で進学先の頂点がそこなんですよね。

「君なら大学に行けるよ!」と言っても、「でも大学に行った人なんて周囲に誰もいないから」となってしまうんです。

これを聞いて、彼らのような子どもにとって、東大生を当たり前の存在にしてあげよう、身近に感じてもらおう、というのが事業として目指すところになりました。

僕らは生徒を東大に入れることが目的の塾ではありません。東大生から習うことで、いろいろなことを知って、考えてほしい。その結果、自分が進みたいのが専門学校だったらまったく問題ないと思うんです。

しかし、専門学校という目標しか知らないのであれば、その子の選択肢はすごく限られてしまってもったいない。その間を埋めてあげる、視野を広げてあげる、視座を高めてあげる存在になれたら、と思って取り組んでいます。

採用率は20%!求めるのは愛嬌のある東大生?

 
――現在、講師はすべて東大生で構成されているのでしょうか?

はい。理由としては2点あります。ひとつは講師の質を保つため。もうひとつは、東大が一番分かりやすい象徴だからです。東大だったらどこへ行っても、誰でも分かるんですよね。

子どもたちも塾に来るまでは、東大生がテレビに出てるような特殊な人たちだと思っています。でも、誰だって生まれながらにして天才だったわけじゃない。努力して頑張って東大に行った、普通のお兄ちゃんお姉ちゃんなんです。

最初はすごくギャップを感じるらしいんですが、そんな先生たちに習っているうちに、どんどん東大生が身近で普通の存在になっていきます。

それによって、大学に対して臆することなく、ちょっと頑張ってみようかな?という気が起こったり、選択肢が広がったらいいなと思っています。

――講師の採用率は20%という狭き門とうかがいましたが、やはり質を担保するために採用条件を厳しくしてらっしゃるのでしょうか?

『東大NETアカデミー』のサービスは、テレビ電話を用いたライブ授業です。生徒と面と向かっていないので、いかに教え方が上手くても聞いてもらわないと成り立たない。なので、愛嬌を採用の第一条件にしてます。

(東大生ということで)学力はもう担保できているので見ていません。教え方も研修で教えればいい。ただ、どんなに良い教え方をしても生徒が見てくれなければ、生徒とコミュニケーションが取れなければ、ただの映像の授業と何も変わらない。

大切なのは人間的な魅力、愛嬌やコミュニケーション能力です。それらを重視すると5人に1人、厳しい時は6人に1人、といった採用率になっています。

――愛嬌がある人はすぐに分かりますか?

面接場所に入ってきた瞬間、もう3秒くらいで分かっちゃいますね。特に子どもはそういったものを敏感に感じ取ります。

塾に来るのって、基本的には勉強したくない子が多いんですよ。学習環境が整っていない子たちに学習環境を作っていくのが僕らの仕事なので、いかに子どもたちの心を開かせるか、いかに先生を好きになってもらうか、「あ、この先生なんか話しやすい」と思ってもらえるかどうかは重要です。

ほかには、社会に出て活躍できる人材か、という点も見ていますね。愛嬌やコミュニケーション能力と社会で人と上手くやっていく力はリンクしてると思います。

僕らの会社は東大のキャンパスの近くにあります。試験前は大学の図書館の代わりにここで勉強していいよ、飲み会を開いてもいいよ、と彼らに場を提供することで、エンゲージメントを高める工夫をしています。

――なるほど、そうやって講師の方たちの学生生活のサポートも行っているんですね。

彼らにとってバイト先であるこの塾で、一生付き合える友達を作ってもらう、というのがひとつの目標になっています。すでにOB会があったり、塾で出会った者同士で集まって飲みに行ったり、サークルみたいな感じになっていますね。

デジタル×アナログ!遠隔ライブ授業

 
――実際の遠隔ライブ授業の様子について教えてください。

講師がただ話すだけではビデオ授業と何も変わりません。一方的に話すのではなく、授業中はちゃんと生徒に当てて答えさせるなど双方向のコミュニケーションを重視し、アクティブラーニング形式で進めています。意識的にコミュニケーションを通常の2倍くらい行うようにしていますね。

1クラスはだいたい10人から15人くらい。1対1のオンライン家庭教師サービスはたくさんありますが、僕らは1対集団という形式を強みとしています。集団の中では競争心や、切磋琢磨しながら一緒に学んでいくという気持ちが生まれますし、そういう場となるよう努めています。

――講師と生徒が離れた場にいる遠隔授業ですが、宿題はあるんですか?

あります。そのあたりは全部アナログなんですよ。生徒がやってきた宿題プリントを教室で集めてスキャンして、そのデータを送ってもらってこちらで印刷。

それを講師が採点して必ずコメントを書き、またスキャンして教室側に送り直して印刷したものを生徒に渡すんです。

面倒なところもあるんですが、宿題を紙で生徒に手渡す所はあえて残しています。もともとアナログの対面授業に敵うものはないと思っているので、そこにいかに近づけられるかが勝負ですね。

必要なのは保護者の意識改革

 
――保護者の方が授業見学に来ることはありますか?

はい。すべての教室で実施しているわけではありませんが、チラシを配って保護者の方に授業見学を促している所もあります。

その理由が、子どもたちの参加状況や授業態度が悪いから、という場合もあるんです。

東京ではあまりないんですが、子どもが学校から帰ってきて「今日は部活が疲れたから塾休むね」と言うと「いいよ」と許してしまう保護者の方もいます。だから子どもが簡単に休んでしまうんです。

そういう場合は、子どもが休んだらひたすら電話をかける、という地道な方法を取ったりもします。休んだら電話がかかってきて面倒くさいなーとなって、通うのが習慣化されるまでお手伝いしないと、当たり前に塾に通っている子たちと差が出てしまいますから。

現在、いろいろな自治体とお取り組みを行ってるんですが、2年目以降になるとどこの教育委員会さんもそろって同じことを言うんです。「保護者の教育が必要だ」という話は絶対に出てくるんですよ。

保護者向け説明会を開催しても、やってくるのは意識の高い方だけです。保護者の教育という問題をクリアするには学校や先生の協力が必要なんですが、学校の先生もまた難しくて、「学校の力だけじゃ足りないのか!」という考えの方もたくさんいます。

足りないのではなく、塾では学校外の勉強をサポートしています、という説明をするなどご理解いただけるように努めています。

日本最西端の島で最先端のプログラミング授業

 
――株式会社フィオレ・コネクションは、算数タブレットによる遠隔学習サービスを提供するRISU Japan株式会社と協力して、与那国島でのタブレットによる学力テストや遠隔ライブ授業を実施していますが、どういったきっかけで始まったのでしょうか?

もともとエルテスくん(RISU Japan株式会社 取締役 加藤 エルテス 聡志 氏)と友達だったので、お互いのサービスを組み合わせて何かやりたいね、という話をしていました。

彼らは遠隔学習ができるタブレット商材、僕らは東京で先生を育成して授業という商品を全国に配信している。これを組み合わせたら面白いよね、と。

タブレットと授業の組み合わせから「これプログラミングもできるんじゃない?」という話に発展しました。

都心ではすでにプログラミングスクールが流行っていますが、ちょっと地方に行くとまったく存在しません。プログラミングは2020年度から小学校で必修化されますが、恐らく先生の数は足りないですよね。

都心から近い場所なら先生が派遣されたり、民間業者に委託されたりすると思いますが、離島など都市部から離れてしまうと費用対効果が悪い。そういった地域の子どもたちに、学校はどうやって対応していくんでしょうか。

教えられる人材を増やすという話もありますが、「そんなの無理だよ」「だっておそらく年に数回しか授業がないのに」「でも必修だからやらないといけない」という現場の声を聞いて、プログラミングの授業を遠隔でもできるようにしておけば面白いんじゃないかな、と思ったんです。

遠隔ライブ授業サービスについてはすでに8年ほど運営していたんですが、ロボットプログラミング授業の実施はチャレンジングなことでした。

そこでまず、与那国島で試させてもらったところ、改善点はいくつか見つかったものの、そこを直せば商品としてまったく問題なくロボットプログラミングの授業ができることが分かりました。

与那国島は東京から2000km以上離れていますが、そういう地域の子どもでも最先端の教育を受けられる時代が来ています。自治体や保護者の方が理解して受け入れてくれれば、僕らもどんどん子どもたちに学びの面白さを伝えていけるんです。

――最後に、保護者の方へメッセージをお願いします。

我が家にも小6、小4、5歳の娘がいますが、プログラミングスクールに行きたがったり、ずっとロボットで遊んだりしています。

親がこういう仕事をしているので、自分も将来は会社を作ると思い込んでるんですよ。「いろんなサービスを作りたい」と言うので、「プログラミングを知ったら作れるよ」と教えたりしています。

ひとつ言えるのは、子どもはプログラミングを楽しめる、ということ。保護者の方はプログラミングをすごく難しいものだと思われているかもしれませんが、中身はすごく単純なものです。気後れせず、毛嫌いせずに、子どもに委ねたらいいんじゃないでしょうか。

教育と思わず、おもちゃだと思って渡すと、子どもはすごく楽しんでやってくれます。そして、プログラミングは嬉しいことに、使うことで勝手に学びになってくれるんです。子どもが楽しみながら学ぶということに勝るものはありません。ぜひ、やりたいようにやらせてあげてください。




プロフィール
松川來仁(まつかわ らいと)
株式会社フィオレ・コネクション 代表取締役社長

略歴
1980年 沖縄県浦添市生まれ。
2004年 東京大学医学部健康科学科を卒業。
2006年 東京大学大学院医学系研究科生物統計学教室を卒業。
2006年 グラクソ・スミスクライン株式会社に入社。
2010年 「将来ある子どもたちの学ぶ『才能』を埋もれさせたくない」と株式会社フィオレ・コネクションを設立。
2011年1月 業界初のオンライン双方向授業を立ち上げ、離島などの教育格差を解消し、ひとりひとりの子どもたちの持つ力を大きく育てる環境づくりに取り組んでいる。


東大NETアカデミー
http://www.fioreconnection.com/
全国の学習塾・学校法人・自治体の抱える生徒へ、都心レベルの進学対策コースから基礎徹底型の補習特化コースまで幅広く授業導入をサポートするサービス。

50項目以上の研修を受け、プロ意識を持った講師が最難関校受験対策から通常授業へのキャッチアップまで丁寧に指導。


株式会社フィオレ・コネクション
http://www.fioreconnection.com/


(取材・文/冨岡美穂 撮影/大和田聖美)

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