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(イベントレポート)教材開発のトップランナー3人が語る、プログラミング教育に必要なものとは?

2022年9月28日、プログラミング教育に携わる企業のトップランナー3人による、現在と未来のプログラミング学習のあり方について語り合うオンライントークイベント「教材開発者の視点から見た、子どもプログラミング教育の現状について語ろう!」が開催されました。

民間企業としてプログラミング教育に携わり、全国で多くの子どもたちに親しまれている「toio」「Springin' 」「embot」を開発する3人の登壇者。教育関係者やエンジニアなどから寄せられるコメントに答えつつ、教材開発者だからこそ感じるプログラミング教育の課題や展望、そして子どもたちに伝えたいことなどについて、それぞれの思いを語りました。

登壇者紹介



田中章愛氏(toio開発者):
ロボコン少年時代の思いを、ロボットトイで形に

額田一利氏(以下敬称略):株式会社e-Craft代表取締役CEOの額田です。本日はよろしくお願いいたします。まず最初に、自己紹介をかねて、これまで作ってきたプロダクトや、プログラミング教育について思うことなど、それぞれから発表をお願いします!

田中 章愛氏(以下敬称略):僕は元々ロボコン少年でした。ロボコンに憧れて高専に行き、みんなで何かを一緒に作る、目的に向かって工夫する、自分のアイディアが形になる……こういうのって楽しいな、達成感があるなと感じていました。

僕が作っているのはtoio(トイオ)というロボットトイです。ロボコン時代のそうした経験をみなさんにお届けしたいと思って、このtoioを作りました。


toioは簡単に言うとキューブ型のロボットで、これにいろんな好きな形を載せたり、プログラミングして動かしたり、自分の好きなことを反映して遊ぶことができます。元々プログラミングを学ぶためのものではなくて、遊ぶためにコントローラーや、プログラミング環境も用意されている、というものです。


toioで遊ぶと、ロボットを動かすために、ロボットにどうお願いするかを考えるようになります。ちゃんとお願いするためにはちゃんとプログラミングする、いいプログラムを書くという風に、ロボットに何してもらおうかな?と考えることで、自然とプログラミングする能力が身につくのかなと思っています。


toioは2012年から研究が始まって、最初は仲間うちで作っていたのですが、皆さんに協力していただいて、いろんな人に遊んでもらっているうちにどんどんかっこいい形になっていきました。

ゲームとして遊べるようにするためには、自分の位置がわからないと、動いているうちにはみ出てしまったり相手を追いかけることができなかったりするので、自分の位置がわかるセンサーを搭載しています。また、プログラミングの方法もカード式だけではなく、スクラッチと同じようなビジュアルプログラムも使ったり、大人も楽しめるようにUnityにも対応しています。

教育視点でいくと、学校の教材としても使っていただいておりまして、自治体レベルでも千葉県流山市などで導入していただいております。他にも、いろいろと自由に作品を作った方がTwitterやYouTubeなどでたくさん紹介してくれているので、ぜひ興味がある方は見てみてください。

中村俊介氏(Springin’ Classroom製作者):
プログラミングを勉強するのはナンセンス

中村俊介氏(以下敬称略):僕は自分の会社で、たくさんのインタラクティブな作品を作ってきました。例えば甲子園球場の大型画面に映った観客がみんな虎に変身する広告とか、ショッピングモールにある、画面上の風船を子どもが割って遊べるものとか。いろいろなものを作ってきて思ったのは、「作る人が一番楽しい!」ということだったんですね。


こんなに楽しいのになんでみんな作らないのか、ひとつはプログラミングのせいなんです。プログラミングなんて難しくてできないよね、とみんなは思ってしまう。では、どうしたらプログラミングを難しいと思わずに作ることを楽しめるのか?

僕は、プログラミングを勉強するのはナンセンスだと思うんです。勉強しなくてもプログラミングができるようにすればいいだけじゃん。そう思って、100倍簡単にすることにしました。

そうやって作ったのがSpringin'です。そういう思いで作っているので、そもそもプログラミングを勉強させる気は全くないんです。なぜなら、勉強しなくていいって思っているからです。


何が一番大事かというと、勉強することではなく、作ることです。こんなものがあったらいいね、こんなの欲しいねって思ったものを作ることが大事です。ただ、作るためにはプログラミングがないと、無理なんです。しょうがないからプログラミングを使ってあげてるんです。

わざわざプログラミングを勉強するのに1年かかるなんてナンセンスなので、そこはテクノロジーとデザインを掛け合わせることで、ショートカットしてあげますよ、ショートカットして1時間ぐらいの勉強でできるようにするから、使ってね、ということをお伝えしたいです。

そういう経緯だったので、もともと教育用ツールじゃなかったんですが、プログラミング教育必修化が始まったことで、先生方から、教育現場で使えるように何とかしてほしいと要望が来ました。それで作ったのがSpringin’ Classroomというものです。総合の時間などで1時間ぐらいプログラミングを勉強してもらえば、あとは子どもたちが勝手に楽しんでいろいろと作れるようになっていますから、ぜひご利用いただければ幸いです。


額田一利氏(embot製作者):
アウトプット中心の仕掛けをどう作るか

額田:私は、embotというダンボールロボットを作りました。私はNTTドコモという会社の社員の所属も実はまだ持っているというちょっと独特な状況でして、社内ベンチャー制度というか、ドコモの中で子会社を設立するという形でe-Craftという会社の代表をやっています。ドコモでは課長なので、課長兼社長という独特な状況で仕事をしています。

embotは、簡単に言うとダンボールロボットです。モーター、ライト、センサーがあって、ブロックプログラミングで動きます。動くものを好きに付け替えることが出来て、自由に自分たちで物を作れるっていう体験をembotでやってほしいという思いで作りました。このプロモーションビデオも全部、嘘偽りなくembotで動かしています。


embotを事業化する前には、プログラマーとして世の中をけん引している人たちに話を聞きにいきました。

その方々がおっしゃるには、大事なのは、やりたいことの明確化だと。話を聞いた人たちの中で、プログラミングを学ぼうと思って学んでいた人はゼロだったんです。「よし、インプットからスタートしよう」という人は一人もいませんでした。

ある方は、自分の部屋が2階にあって、お年頃だったのでお母さんが勝手に部屋に来るのがとにかく嫌で、センサーをつけて「お母さん検知ロボ」を作りたいというのがスタートだったそうです。それを作るためには秋葉原にいって、そしたら勉強が必要だからインプットしてっていう順番で、気がついたらこの世界に入っていましたとおっしゃっていました。

多分、すごくそれが健全な学び方なんだろうなと思いましたし、そういうことを誘発していかないといけないんだと感じました。子どもが主体的にやっていくとかアウトプット中心でやるために、子どもが楽しむとかやりたいって思うことってすごく大事なんですね。そういう仕掛けを作るのは、学校の先生のお力だけだと難しいところがあると思うので、僕らみたいなメーカーの役割の一つなのかなと思っています。

自分の場合は、もうとにかく「Hello, World!」が本当に大変だったんですよね(編集部注:プログラミング初心者が、文字列を表示させる基本的なプログラムを最初に学ぶが、多くの場合、Hello, World!と表示させる例題となっている) 。なんかググったら訳がわからない英語だらけのところに飛んで、これ入力しろって出てくるから、やるしかねえ……みたいな。


これじゃない、もっと楽しいことやりたい、そうだハードウェアだ!と思って今度はパーツを買いに行くんだけど、お店の人にも相手にしてもらえず、自分で調べて一生懸命作って、出来たのはLEDをただチカチカさせるやつ。業界でいうLチカ(編集部注:マイコンを動かして、LEDを点滅させる処理。こちらも一般的に初心者が最初に行うとされる)っていうものなんですけど。びっくりするくらい面白くなかったですね。これチカチカさせて、いったい何?みたいな。

これをプログラミング必修化でやるなんて、それはダメだと思いました。だから、当時、embotでプログラミング教育をやろうと思ったときの軸足は、いかに簡単に作れてすぐに動かせるかっていうところなんです。ある方がSNSで「embotという、とてつもなく早くLチカができるハードウェアが出てきた」って言ってくれたことがあって、もう本当に嬉しかったです。

想像力や論理的思考…プログラミング教育の成果をどうはかるのか

額田:ではここで、コメントがたくさん来ているので、紹介していきたいと思います。
参加者
参加者

「想像力がついた」「論理的思考が身についた」みたいな、プログラミング教育での成果はどうはかればよいでしょうか。

中村:プログラミング教育ってすごく評価が難しいです。本当は評価したくないしするべきではないと思っているんですが、一度アンケート調査をして、保護者から150人ぐらいの回答を集めたことがあります。


Springin'を使って何かいいことありましたか?という質問に対しては、96%が「創造力がついた」と回答してくれました。あとは、すごく嬉しかったんですが、本を読むようになったという回答もありました。

なぜ本を読むようになったかと考えると、プログラミングって基本的にアウトプットだからだと思います。アウトプットするとインプットがどうしても必要になってくる。だから、アウトプットをすると、放っておいてもインプットをするようになるんです。


あとは、Springin'ユーザーの小学校の先生が「Springin'で良い作品を作れる子は、全員成績がいいんです」と言ってくれたことがあります。その先生が言うには、「なぜかというと、いい作品を作ろうと思ったら勉強するし、高度なものを作ろうと思うと、いっぱい考えるようになるからです。結果的に成績が上がるのは当然なんです」って。評価はしたくないのですが、そういう声があるとすごく嬉しいです。

田中:例えば、パッと作って試せて、自己満足できたとき。それって結局、自分で評価できているのではないでしょうか。

その先の、周りの人の評価も、「楽しい」がキーワードになると思います。「楽しい」のいいところは、自分でも楽しいかどうかわかるから自己評価できるし、周りの人も、客観的に評価できる。そのサイクルをどんどん回すことが大事だと思います。

そんなふうに自己評価して自分で磨くサイクルが早く回れば、成長も早くなるのではないでしょうか。芸人さんが、お客さんにたくさん笑ってもらうために芸を磨くように、教えられなくても自分で勉強するというサイクルです。そこに早く至るためには、早く試せて早く自己満足できる仕組みを作ることが大事だと思っています。

額田:自己満足っていいですね。そしたら学校で評価しなくていい。

田中:評価を外に委ねて、先生がつけるテストの結果をぼーっと待っていると、結局学びが深まらないんです。

中村:俺が楽しいんだからいいんだよって言ってしまえばいいんですね。

田中:そうです。その先にさらに客観的評価があればもう理想ですね。結局、教育で何が成功したかなんて、極論すると生きている間はわからない類のものだと思っています。死後に評価されることもありますからね(笑)。

アウトプットの楽しさを知った先、
「Hello, World!」と「Lチカ」にワクワクするためには

参加者
参加者

お三方は「Hello, World!」と「Lチカ」を乗り越えてきたイメージがあります。お三方のプロダクトを触った先に、子どもたちが「Hello, World!」と「Lチカ」にワクワクするためにはどうすればいいですか。

額田:中村さんや田中さんの話を聞いて僕の考えと共通しているなと思ったのは、インプットから入るときついなという点です。本を読み始めることからスタート、みたいな考え方が教育だとまだありますが、そうではなくアウトプットが先にあると、どこかの段階で必然的に「Hello, World!」をやらざるを得なくなると思うんです。なので、いかにアウトプットの場を作るかが大事かなと思うんですが、お二人はいかがですか。

中村:僕は「Hello, World!」と「Lチカ」はやらなくていい派です。最終的にね。

田中:僕もやっぱり「Hello, World」と「Lチカ」が第一とは思っていません。ただ、作りたいものをいったん作って、そして嬉しい楽しいと感じた後に、「Hello, World!」をやると、そういうことか、なるほどなと感じるのではないでしょうか。

それを踏まえると、僕は「Hello, World!」と「Lチカ」にも存在意義は一応あると思っています。いろんな言語を学びたくなったときに、同じものはこういうふうに書くんだっていう翻訳、基準になるし、共通点がわかりやすい。そういう役割はあるなと。

中村:それはそうですね、確かに。すごく面白い考え方ですね。

トップランナー三人から、子どもたちへのメッセージ

額田:最後に、せっかくなのでプログラミング教育を学ぶ子どもたちにそれぞれ伝えたいことをお願いいたします。

田中:最初にお伝えしたように、僕は中学生のころ、ロボットや工作が大好きでした。そしてロボコンをテレビで見て、みんなの前で、自分が作ったかっこいいものを披露できる手段があるんだと知って、とてもびっくりしたんですね。

小学校3年生ぐらいからずっとロボットを作って学校の工作で展示していたんですが、それまでは地味に作って、学校で展示したら動かされて落とされて壊されて、頑張ったのに…みたいな、悲しい思い出が多かったので、こうやって活躍することもできるんだと驚き、すごく憧れたんです。

音楽でもスポーツでも、そういう憧れのものを見つけることができたら、自分の感覚に合う中で何かやってみるといいんじゃないかと思います。

中村:僕が言いたいのは、「本当は嫌だけど、頑張らなきゃ」って方向の努力をするのはやめた方がいいということです。苦手なことを克服するための努力って、時間かかるし、嫌だし、苦手な能力がせいぜい普通になるだけじゃないですか。その時間ってめちゃくちゃもったいない。同じ時間を好きなものを伸ばすところに費やしたら、すごい人になるかもしれないんです。

だから、いやいや取り組むような方向性の努力はやめて、自分が夢中になれることや、「ただ楽しいから」で取り組んだ結果、何か良いことにつながるような分野をいかに見つけるかが大事だと思います。

額田:僕もせっかくなので、違う観点の話をしたいと思います。僕は、良い意味で「人から言われることは気にしない」という考え方を大事にしています。

というのもある人から、「3割以上の人が『それ面白いね』と言うものには、個性がない」って言われたことがあるんです。7割以上の人が「理解できない」って言うぐらいがちょうどいいと。

実際に僕は作ったものをボロクソに言われたこともありますし、なんでこんなこと言われてまで僕は作り続けるんだろうと思ったこともありました。

だけどそんな時は、人から言われることは重要じゃない、大事なのはまず自己満足で、自分が楽しいと思う時間をいかに最大化するかが大切なんだと思ってきました。そうやって自分が楽しいと思うことを続けていけば、結果的にどこかに行き着くと思っています。

人から言われたことを鵜呑みにしていたら、何かあったとき、絶対後悔します。中学校ぐらいは多感な時期なので、人から言われることをすごく気にしちゃうと思うんです。だからこそ、「人から言われたことは気にしない」と折に触れて意識してみてください。これを僕からのメッセージにして、本イベントを締めくくりたいと思います。
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