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(レポート) micro:bit LIVE in Japan 2023|プログラミング教材「micro:bit」支持者が一挙集結!活用事例や今後の展望を語る

micro:bit LIVE in Japan2023 イベントレポート in青学つくまなラボ
去る4月27日・28日、プログラミング学習教材 micro:bit (マイクロビット)の開発・提供団体 micro:bit 教育財団による「micro:bit LIVE in Japan 2023」が行なわれました。27日は東京、28日は大阪での開催で、東京の部では青山学院大学の「革新技術と社会共創研究所」が共催を務めました。

本イベントは、micro:bit(マイクロビット)を支持する方々が一堂に会するファンミーティング。教育機関やNPOとして実際にmicro:bitを取り扱っている方々が登壇し、micro:bitにかける思いや現場での活用事例について語られました。

当記事では、1日目(27日)に東京会場「青学つくまなラボ」で行われたイベント内容をダイジェストでお届けします。

micro:bit(マイクロビット)とは?

micro:bit(マイクロビット)」とは、2016年イギリスの公共放送局「BBC」によって開発された、ポケットサイズの教育用マイコンボードのことです。同年10月には、本イベントの主催である「micro:bit教育財団」が設立。それ以降急速に普及が進み、誕生から2年足らずの2017年8月、日本でも使われるようになりました。

micro:bitは複雑なテキストコーディングなしに様々な電子工作を実現できることから、プログラミングの入門用に最適。小・中学校をメインに、さまざまな教育機関の学習用教材として取り入れられています。日本でのmicro:bit販売店である「株式会社スイッチエデュケーション」によれば、イベント開催時点ですでに18万台以上購入・活用されているとのことです。

本イベントは、そんなmicro:bitを用いたモノづくりに普段から取り組んでいる教育関係者・民間企業・NPO・研究所など、さまざまな現場の人たちを招き「より良い教育の実現に向けた情報交換や学びの場として活用してもらう」ことを目的として開催されました。

本イベントの会場「青学つくまなラボ」とは?

本イベントの会場となった「青学つくまなラボ」は、青山学院大学の「革新技術と社会共創研究所」によって立ち上げられたものづくり拠点。すべての子どもたちに「作ることで学ぶ」を実現できる創造的な環境を届けたいとの思いから、2023年5月20日に正式に開設する研究施設(ラボ)です。

イベント時には開設準備中だった「青学つくまなラボ」ですが、青山学院の生徒・学生たちはすでにラボを利用した活動に取り組み始めているそう。イベント当日も、中等部のマイコン部の生徒たちが、実際にmicro:bitを用いた開発にいそしんでいる真っ最中でした。ある生徒は「micro:bit のジャイロセンサーの動きをもとにPC上のScratch画面内の自機(UFO)を操作し、敵となる恐竜を倒す」ゲームを作っていました。

開発したゲームをプレイしている様子。時間切れでゲームオーバーになる仕様も搭載。


開発した生徒によれば「制限時間の作り方などはネットで調べたりもした」とする一方で、ゲームシステムに関しては「Scratchに用意されたコードブロックを一から組み合わせて作成した」とのこと。Scratchには、既存のゲームを自分なりに変更できる「リミックス」といった機能もありますが、それを使わずに実現させるのは「プログラミングに強い興味・関心があるからこそ成せること」だと感じました。

この生徒の指導を担当する青山学院中等部 技術科教諭の濱口拡輝先生も「子どもたちにとってプログラミングは 『好きなこと』 『興味の強いこと』であるため、やっていく中で「ここはどうなんだろう」という探究心が芽生えます。特段こちらから指示を出すことがなくとも、自発的・自主的に行動できるんです」と話します。


また濱口先生は、青学つくまなラボが創設されたことに対して「以前までは機材の揃っていないコンピュータ室で活動していたため、生徒たちのアイデアや発想が制限されてしまっていた。今はこれまで溜め込んでいたものをすべて発散し、活発にアウトプットに取り組めている」との喜びも語ってくれました。

なお本イベントには、micro:bit教育財団CEOである Gareth Stockdale氏も参加。青山学院の生徒たちがmicro:bitで思い思いのものづくりに励む様子を眺め、「生徒の創造性に驚いた」と話しました。

青山学院の生徒たちの前でスピーチするGareth Stockdale氏

(講演パート)現場でmicro:bitを利用する方々の活用事例

イベントのメインとなる講演パートでは、実際にmicro:bitを利用している教育機関・NPO関係者の計4名が登壇。授業や活動にmicro:bitを取り入れた経緯や実例紹介をメインに、micro:bitにかける思いや今後の展望について語りました。

(小学校でのmicro:bit活用事例)東京都板橋区志村第二小学校 図工教員 田村 久仁子氏


最初の登壇者は、板橋区志村第二小学校にて図工専科の教員を務める田村 久仁子氏です。画用紙・粘土といった材料を使う従来の図工に「ICT」を組み合わせることで、子どもたちの創造性の可能性を広げていきたいと思ったのが「micro:bit×図工」を始めたきっかけとのことです。

小学校低~中学年のうちは、まずプログラミングへの抵抗感をなくすことを目的に、簡単にプログラムできるものからスタート。図工ならではのアナログの材料で作る楽しさも大切にしつつ、自然とプログラミングとつながるように意識したといいます。3年生では、振動させると顔が変わる「変顔マシーン」、4年生では、同校の創立85周年を記念し、音と光の出る「おめでとうカード」を作ったとか。

小学校3、4年生で作った作品。たびたび不具合が出ても、子どもたちは諦めず改善に取り組んでいたとのこと。


高学年になると、より発展的な内容を取り入れ「micro:bitを使ったらどんな夢の新製品ができるか」を自ら考え・実現する授業も開始。セッションでは以下4つの作例が紹介されました。

  • 抱っこして寝るとよく眠れる、廃材を活用した人形「すやるん」
    睡眠用なのに大きめの音が出てしまうという、子どもらしさが垣間見れる作品。
  • 忘れ物がないか教えてくれるマシン
    ボタンを押すと判別開始。忘れ物がある場合「×」が表示され、光と音でお知らせ。
  • 液体粘土から粘土作品が生まれ、その作品がお手伝いをしてくれる「ねんどう」
    micro:bitでテーマソングを作成、粘土の動きはコマ撮りアニメーションで表現し、新製品のオリジナルTVCMを作成。
  • LED点灯・点滅を活用した「ピカピカモンスター」
    造形要素の1つである「光」を、照明や自然光を使わずプログラミングで表現。外観には図工らしく紙コップを利用。

4つ目の作例として挙げた「ピカピカモンスター」の授業の振り返りでは、9割以上の子どもたちが「とても楽しく取り組めた」と回答していたとのこと。他にも「作りたいものの発想がどんどん出てきた」といった、プログラミングならではの良さに気づいている児童も複数名いたそうです。一方で「操作面が難しい」と訴える子も少なからずいたことから「より分かりやすい端的な指導にブラッシュアップすることも課題」と話しました。


田村氏は、今後もmicro:bitを活用して「子どもたちと一緒に、楽しく『自分らしい表現』を見つけ出せるような授業づくりをしていきたい」との意気込みを語りました。

(高校でのmicro:bit活用事例)神奈川県横浜国際高等学校 鎌田 高徳氏


神奈川県横浜国際高等学校で情報Iを担当する鎌田 高徳氏からは、プログラミングにおいていかに「問題解決」の思考が重要か、というお話がありました。

鎌田氏によれば、教科情報のゴールは「問題の発見と解決」。日常生活の中で見つかった「これ解決してみたい」を生徒に実現させるための手段の一つが、micro:bitだったと言います。

どちらかというと小〜中学生向け教材というイメージの強いmicro:bit。あえて高校の授業で取り入れている理由として鎌田氏は「変数の概念を学ぶ上でmicro:bitほど良い教材はないから」と話しています。というのも、高校でプログラミングをやって生徒が最初につまずくのは、間違いなく「変数」なのだそう。テキスト言語などの実態のない環境で教えるよりも、micro:bitというハードウェアで実際に体感しながら学ばせることで、理解につながりやすいのだとか。

鎌田氏は、自身の授業においては「答えを教えることはせず、ひたすら生徒に議論させアイデアを浮かばせるようにしている」と話しています。その一環として「生活に潜む問題・悩みを解決するmicro:bit商品を企画・プレゼンする」といった授業を行なったところ、さまざまな独創的なアイデアが生まれてきたとのこと。

  • 気配切り鬼ごっこ
    センサーから鳴る音の大きさを頼りに、目隠しをした状態で相手に近づき、気配を察して切りつけるというゲーム。センサーは相手との距離を判別し、近づくほど音が大きくなる。
    学校の勉強で溜まったストレスを発散するために開発。

  • Z世代のポケベル
    かつて一世を風靡した「ポケベル」を、micro:bitを使って現代風にアレンジしたもの。
    簡単にコミュニケーションが取れる今の時代だからこそ、原点に戻ってみようという意図で開発。

  • Bit pet
    動物を飼い、餌をあげる・育てていくといった遊びを楽しめる育成ゲーム。
    日常生活にちょっとした癒しを求めて開発。

生徒が考案した製品の一つ「Z世代のポケベル」。送られてきた数字を解読する、といった使い方も本物さながら。


鎌田氏の目指すゴールは、生徒の中に眠るアイデアを引き出し、世界でたった一つだけの何かを発見・作成させること。この目標を達成するべく「生徒自身がアイデアを発信し、それを発表する。そんな『問題解決型』の授業を今後も展開していきたい」との展望を示しました。

(大学でのmicro:bit活用事例)青山学院大学 青学つくまなラボ 阿部 和広氏


3人目に登壇したのは、本イベントの会場である「青学つくまなラボ」の開設に携わってきた、青山学院大学の阿部 和広氏。青学つくまなラボの実現に至った経緯や、青山学院大学でのmicro:bit活用事例についての話がありました。

そもそも青学つくまなラボの「つくまな」とは、「つくる」と「まなぶ」を組み合わせた造語。アメリカの計算機科学者アラン・ケイ氏の論文「A Personal Computer for Children of All Ages(あらゆる年齢の「子供たち」のためのパーソナルコンピュータ)」に掲載されている「世界を知るためには、それを自ら構築しなければならない」という言葉に影響を受けたとしています。

実際、青山学院大学 社会情報学部のプログラミング分野では、2010年よりScratch(Microbit More)とmicro:bitを活用し、延べ3,000人もの生徒が「作ることで学ぶ」を実践してきたのだとか。外部にもこの考えを広めようと、Scratchを習得した生徒自らがファシリテーターとなり、各地でさまざまなワークショップも開催してきたと言います。


しかし、どうしてもイベントが終わってしまうと熱が冷め、一過性の学びになってしまうことに頭を抱えていた阿部氏。そこで「継続的に学べる『場所』がいるだろう」と思ったことが「青学つくまなラボ」開設のきっかけになったということです。「青山学院には初等部〜大学院まで全てそろっていることもあり、みんなが使える学びの場を設けたら子どもたちがどんな反応を示し、どんな良い影響が起こるのかを見てみたかった」と、阿部氏は話します。


講演の最後には「初等部・中等部といった生徒はもちろん、教える側(メンター)である大学生や教員も『全員が思うがままに作ることで学ぶ』環境を構築していきたい」と、あらためて「つくまな」の重要性を述べ、「micro:bitは、この目標を実現するための非常に重要な表現手段・ツールの一つだと考えている」と結びました。

(NPOとしてのmicro:bit活用事例)NPO法人みんなのコード 利根川 裕太氏


本イベント最後の登壇者は、NPO法人みんなのコード代表理事である利根川 裕太氏。「micro:bitと一緒に作る、私が創りたい未来」というテーマで、団体の活動内容やmicro:bitでの取り組みについて語っていました。

同団体は、プログラミング教材「プログル」を提供していることで知られていますが、そのほかにも「教員養成」「調査研究・政策提言」「子どもの居場所づくり」などさまざまな事業を展開しています。特に「子どもの居場所事業」に関しては、米国発のコミュニティ「コンピュータクラブハウス」を、日本の石川県加賀市で初導入したという実績も。2023年で運営5年目ということもあり「子どもの成長」という形で多数成果が出てきている、と利根川さんは話します。以下はその一例です。

  • 1.不登校だった子
    コンピュータクラブハウスで身に着けたスキルが自信となり、登校を再開。クラスで学級委員長を務めるほど積極的に。
  • 2.勉強ができず不本意な高校に進学してしまい、自虐的になってしまった子
    IT企業のイベントに参加した際、社員から能力を認められたことでアクティブに。その後AO入試に受かり、金沢の大学へ進学を果たした。
  • 3.「映像制作」の道を志すも、教われる環境がなかった子
    コンピュータクラブハウス内で映像作家と出会い、活動を本格化。映像を極めて慶應義塾大学SFCに合格。


そのほかにも子どもの教育の一環として、小学校6年生の理科の学習支援教材「プログル理科」を開発しています。この教材の中にはmicro:bit本体はもちろん、micro:bitに接続できる独自の拡張ボード「プログルボード」も同梱。2023年5月時点で約1万枚弱利用してもらえているとのこと。micro:bit本体が日本で18万枚売れていることを踏まえると、ざっくり5%程度はプログルボードも一緒に使っている計算になります。

なお、年間利用者数は販売数を大きく上回る67,349人。これについて利根川氏は「1クラスだけでなく、学校全体でしっかりと使ってもらえているのでは」との見解を示したうえで、授業を行なっている先生たちへの感謝も表しました。

累計販売数9,287枚に対して、累計利用者数は年間67,349人と7倍以上の結果に。


現在同団体では「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」との思いを実現するべく、各種政策提言活動にも力を入れているとのこと。直近では「2030年代の情報教育の在り方」「生成AI(ChatGPT)のガイドライン策定に向けて検討すべき事項」等といった内容を提言したようです。

  • 2030年代の情報教育の在り方
    高校では情報が必修化したものの、小・中学校ではまだまだ科目の一部に組み込まれた程度の状態。情報活用能力の重要性が叫ばれている今、どの学校段階でも情報教育の基盤を作っていくべきではないか。

  • 生成AIのガイドライン策定に向けた提言
    ChatGPTをはじめとする生成AIに脅威を感じ、中には禁止とする企業・自治体も出てきている現状。やみくもに一蹴するのではなく「人間に思考を深める使い方もあるのではないか?」「コンピュータと適切に対話する力も今後必要なのではないか?」といった観点でも議論を交わすべき。

利根川氏は「プログラミング教育に携わる皆さんと意見を出し合いながら、一緒により良い教育・未来を作っていきたい」との思いを述べ、講演を締めくくりました。

まとめ| micro:bit LIVE in Japan 2023 


「micro:bit LIVE in Japan 2023」は、プログラミング学習教材「micro:bit」を支持する教育関係者・民間企業・NPOなど、多様な現場で活動する方々が一堂に会するイベントとなりました。

micro:bit教育財団では、より多くの人にmicro:bitの良さを知ってもらおうと、現在活動を広げている真っ最中。micro:bitを使って実演してくれる先生たちが集うコミュニティ「micro:bit Champions」を全国に展開していたり、作って楽しむことを目的とする「たのしいmicro:bitコンテスト」を毎年開催していたりと、実に様々な取り組みを行なっています。2023年も6月16日からコンテスト出場者の募集を始めるとのことで、同財団の畑 紗羅氏は「子どもはもちろん大人まで楽しめるようになっているので、ぜひアイデアを持ち寄って参加してほしい」と話していました。

micro:bit教育財団 畑 紗羅氏


複雑なコードを書くことなくプログラミングを体験できたり、ハードウェアで取り組むことで直感的な理解につながったりと、micro:bitには「授業に取り入れるメリット」「生徒の興味・関心を引き出す仕掛け」がふんだんに盛り込まれています。もしプログラミング教育の進め方に悩んでいるのであれば、今回登壇された4名の講演も参考に、micro:bitの活用を検討してみるのもいいかもしれません。

(2023年6月16日から、「たのしいmicro:bitコンテスト」がはじまります!)

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