世界でただ一人の吹奏楽作家であり、「吹奏楽部あるある」収集の第一人者として「あるある本」を5冊出版している私、オザワ部長がみなさんに吹奏楽部の爆笑あるあるをお届けします。
ネタを通じて吹奏楽部の「秘密」を知ってしまったら、あなたはもう吹奏楽部の底無し沼から抜け出せない!?
【楽器・パート別】吹奏楽部のパート別あるある
多くの楽器が集まって成り立っている吹奏楽。楽器ごとに奏法や役割が違うのと同じように、あるあるネタも違います。未経験者や他パートからはうかがい知れないパート別のディープなあるあるワールドをご紹介しましょう。フルートあるある
楽器を横向きに構えて演奏する姿は優雅だが、実はかなり肩が凝る。
ピッコロを吹くと、自分の聴覚がやられそうになる。
入部してフルート担当になってから、やけにモテるようになった。
クラリネットあるある
クラリネットパートは最大派閥だけに内部のドロドロも半端ない。16分音符や32分音符が連なるパッセージを必死に練習しても、いざ合奏をすると苦労のわりに目立たない。
右手の親指に通称「クラだこ」ができる。
自分が発したリードミスの音に心を引き裂かれる。
バスクラリネット奏者は楽器愛が異常に強い。
オーボエあるある
水入れの中は普通の水だが、他パートからは特殊な液体だと思われる。道端に鳥の羽根が落ちていると、「楽器の掃除に使えるかな?」と考えてしまう。
配られた楽譜に「Option」と書かれていたときの悲しみ。
ファゴットあるある
合奏中にしばしば指揮者から忘れられる。「トッポ」と呼ばれる。
ドアを通り抜けるとき、常に頭上に気を配る。
サックスあるある
ストラップをつけたまま帰ろうとする。必要がないのにフラジオやスラップタンギングなど特殊奏法の練習をする。
ソロを吹く前、意味もなくマウスピースの角度を微調整する。
トランペットあるある
「トイレットペーパー」を「トランペットパート」に空目する。どの曲を吹いてもいちばん目立つが、音を外したときもいちばん目立つ。
本気を出せば、3秒で楽器を片付けられる。
トロンボーンあるある
ロックを外し忘れたまま吹こうとして、スライドが「ガッ」となる。スライドで前にいる奏者の背中を突っついてしまう(被害者は主にユーフォニアム )。
スライドを使ってツバ雑巾の位置を動かす。
ホルンあるある
先生はトランペットにばかり「唇は大丈夫か?」と聞くが、ホルンだって同じくらいきつい。記念写真を撮るとき、ベルを頭にかぶる。
《アフリカン・シンフォニー》を吹くとき、心の中に野生が目覚める。
ユーフォニアムあるある
部外の人には高確率で略称「ユーフォ」を「UFO」と間違われる。冬場にセーターを着て練習をしていると、ウォーターキーにセーターを引っ掛けてダメにしてしまう。
未経験の人に楽器名を言ったとき、「そんな楽器あったっけ」と返される切なさ。
チューバあるある
コンサートの楽器紹介コーナーで吹く鉄板ネタは「ゾウさん」。他パートの部員がチューバのベルに頭を突っ込み、どれだけ爆音に耐えられるかという我慢大会が行われる。
合奏中に暇なとき、管体を枕にして仮眠する。
コントラバスあるある
ボディの中に何かが入っていて、動かすとカラカラ音がする。指揮者に「そこはもっとこういうふうに吹いて」と言われると、心の中で「弾いて、だけどね」とツッコミをいれる。
「木管、金管、打楽器に分かれてセクション練習」と言われると、どこに加わればいいのか困惑する。
打楽器あるある
何か音が変だと思ったら、ビブラフォンの電源が入っていなかった。イライラするとマレットの先っぽをむしる。
ウィップに指を挟んで悶絶する。
手汗で滑ってスネアのスティック(バチ)が飛んでいく。
合奏練習中、暇なときは大型打楽器の陰で休憩タイム。
管楽器のチューニング中、暇すぎる。
吹奏楽部の日常あるある
吹奏楽部に入部すると、その独特な文化・伝統に少しずつ染まっていくことになります。ここに挙げたあるあるネタに半分以上「わかる!」と思えたら、あなたも立派なブラバンピープルかも!?練習あるある
楽器の長さでソーシャルディスタンスを測る。いちばん便利な楽器はトロンボーン。音楽室でみんながバラバラに練習しているとき、ふとすべての音が消える瞬間がある。
個人練習中、誰かの演奏に他の部員が乗っかって吹き始め、いつのまにかプチ合奏が始まる。
譜面台をたたむときに指を挟み、密かに苦悶する。
ゴトンッと何かが落ちる音がすると全員が振り返る。
循環呼吸にチャレンジする。
コンクールあるある
遠目にはピシッとしたステージ衣装だが、近くでよく見ると薄汚れている。制服で出場する学校は、ステージ衣装の学校を見かけると「負けた……」と思う。
他の部活の友達から「吹部って銅賞だったの? すごいじゃん!」と言われて落ち込む。銅賞は3位ではない……。
コンクールから戻ってきた部員に言ってはいけない言葉は「どうだった?」(「銅だった?」に聞こえる)
結果発表のアナウンスを最初しか聞かない。「◯◯高校、ゴ……」「キャーッ!!」(最初の1語が「ゴ」なら「ゴールド金賞」、「ぎ」なら「銀賞」、「ど」なら「銅賞」)
吹奏楽部員の習性あるある
ドラマや映画のコンサートのシーンで、演奏中なのに客席で登場人物が会話をするのが気になって仕方がない。CM・ドラマ・映画などの管楽器の演奏シーンに全力でツッコミを入れる。
マーチングをやっていると、常に5メートル8歩で歩こうとしてしまう。
SNSのアカウント名に楽器の名称を入れる。
相手の言葉が聞き取れなかったときは「アンダンテ(何だって)?」
楽器をどこかにぶつけたとき、「いたっ!」と言ってしまう。その後、楽器に謝る。
部員勧誘あるある
先輩は、新入生が正式に入部するまでは敬語。新入生は、先輩の言う「うまいね!」「才能あるよ!」という褒め言葉は信じてはならない。
先輩が男子の新入部員に言う「女子が多いからモテるよ」も決して信じてはならない。
部活紹介でMCが言う「日々楽しく活動しています」は、「毎日ガチで練習しています」という意味。
学校生活あるある
部活が忙しいし、教室にいるときも部員が集まってプチミーティングをしたりしているため、クラスに仲の良い友だちができない。少数派の男子部員がやたら結束力が高く、休日に一緒に出かけたりする。
心肺能力や根性に自信がある吹奏楽部員は、体育祭の長距離走で活躍する。
授業中、シャーペンを使って運指の練習。
野球応援あるある
自分の学校の野球部の打線が強力であればあるほど、吹奏楽部は疲弊する(応援演奏する時間が長くなるから)。スタンドで応援する野球部の補欠メンバーのメガホン叩きがどんどんテンポアップし、吹奏楽部の演奏が乱れる。
野球のルールをまったく理解しておらず、まわりに合わせて歓声を上げる女子部員。
敵味方のトランペット奏者が「必殺!」のソロで対決する。
吹奏楽の楽曲あるある
吹奏楽では、吹奏楽のために作られた「吹奏楽オリジナル曲」、クラシックから編曲された「編曲作品」、ポップスやジャズなどから編曲された「ポップス曲」などを主に演奏します。また、吹奏楽コンクールではその年の「課題曲」(大編成のみ)と各校ごとの「自由曲」を制限時間以内に演奏することになっています。これからの楽曲にも吹奏楽部ならではのあるあるネタが潜んでいるので、ご紹介していきましょう。
コンクール自由曲あるある
「クラシック曲の編曲作品」派と「吹奏楽オリジナル曲」派が対立する。たまたま自由曲が同地区の強豪校とかぶってしまったときの絶望感。
定期演奏会では、必死に練習した自由曲よりノリのいいポップス曲のほうが観客にウケるのが悲しい。
先生の指示を楽譜に書きこみすぎて、もはや楽譜が見えない。
コンクール課題曲あるある
課題曲に歌詞をつけ、歌って練習する。課題曲の作曲者は「春」と「風」と「青」が好きすぎる。
「この曲、いいな」と思った課題曲はたいてい選ばれない。
「みんなはどの課題曲がいい?」と話し合わせておきながら、最後は先生の独断で課題曲が決まる。
《ディスコ・キッド》というハジけたタイトルに戦慄する(1977年の課題曲)。
《高度な技術への指標》というタイトルにビビりながら聴いてみたら、ポップス曲だった。しかし、実際に演奏してみたら「高度な技術」すぎた……(1974年の課題曲)。
ポップス曲あるある
最新のヒットメドレーの楽譜を配られたが、一つとして知っている曲がなかった。えっ、《宝島》ってもともと吹奏楽の曲じゃないの!?
普段はおとなしいコントラバス奏者だが、エレキベースに持ち替えた途端、ロックの魂に目覚める。
「ベルアップして」と言われても、頭を上げるしかないフルートパート。
祖父母や父母にウケる曲を演奏した結果、やたらと昭和歌謡に詳しくなる。
その他の吹奏楽あるある
吹奏楽部にどっぷり浸ってしまった結果、部活を引退しても身についた習性がなかなか抜けません。引退後の部員たちを待ち受けているあるあるネタをお送りしましょう。感動の卒業式なのに、後輩たちの演奏の音程やハーモニーが気になる。
卒業した瞬間にギャル化する元女子部員。
入試や就職の面接で部活のことを聞かれると、急に生き生きして語りまくってしまう。
卒業後、現役生の定期演奏会の会場で始まる近況報告会。
卒業後、現役生の演奏を見たときに自分が年をとったことを実感する。
自分の結婚式で、配偶者とともに二重奏を披露する。
子どもが生まれると、名前に「奏」「音」を入れがち。
まとめ
改めて、吹奏楽部に入るだけで、こんなにもたくさんのあるある(これでもまだごく一部です!)を経験することがお分かりいただけたと思います。吹奏楽部は他の部活に比べて練習が大変だったり、コンクールへの取り組みがシビアだったりしますが、それだけはでなく、爆笑あるあるの宝庫でもあります。吹奏楽部の経験は一生使えるネタになる、と言っても過言ではないでしょう。
また、たとえ地域や学校が違っても、日本全国あるあるで通じ合えるのが吹奏楽経験者のいいところでもあります。
未経験の方、こんなに楽しい吹奏楽部にぜひ入りましょう! そして、現役の部員や卒業生の皆さんはこれからも吹奏楽を楽しんでくださいね!