(取材)デルタドローンスクール 臼井慧太氏|京都で60年以上の指導実績を誇る!デルタ自動車教習所運営のスクール
「車は運転免許証を持った教官が指導する。ならばドローンもそうあるべきだ」との強い信念のもと、難易度の高い国家ライセンス一等を取得した臼井さん。今後のデルタドローンスクールをけん引していく臼井さんに、指導者としての現在と、ドローンの未来についてうかがいました。

株式会社デルタテクニカルセンター 業務課長 臼井 慧太氏
自動車教習所がドローンスクールを開校?父の命でドローン研修へ
―― まずは臼井さまの簡単なご経歴と、ドローン事業に携わった経緯について教えてください。私の実家は京都で長く自動車教習所を営んでおりました。私には兄が3人おり、いずれも家業の教習所で働いているのですが、一人くらいは違う業種で、視野を広げる人間がいてもいいのではないかと思いました。それで私は京都には戻らず、大学を卒業後はそのまま東京で介護の仕事に就きました。
――介護の仕事というと、病院や高齢者向け施設などでしょうか。
はい。そのなかでも、高齢者のトラベルサービス事業に従事しておりました。
この会社との巡り合わせもなかなか面白くて。もともとは旅行関連の企業を目指しており、そのつもりで説明会へ足を運んだところ、なぜか建築関係の会社だったのです(笑)。しかも、自宅のバリアフリー化事業から派生して介護福祉用品の取り扱いも始めたのだとか。さらには元気でバイタリティ溢れる高齢者の旅行プランを考え、ヘルパーとして同行する事業まで始めたというので驚きました。
事業の広がりがおもしろいだけでなく、社長の考えもユニークでした。新卒で入る際、社長には『4年で辞めるつもりです』としっかり伝えていたにも関わらず、「うちから盗めるものはできるだけ盗め」と、私の入社を許してくださったんです。
――懐の深い会社さまですね。ちなみに4年後、本当に退職したのですか?
はい。しっかり勤め上げて退職しました。管理職のお声もかかったのですが、さすがに無責任なので、昇格前に退職することにしました。この会社には本当に多くのことを学ばせていただき、感謝しかありません。
会社を辞めた後は、家業の手伝いに入りたい意思を、会長である父に伝えました。すると突然、「じゃあ、北海道でドローンのセミナーがあるから、行って受けてきて」と言われたのです。たしか2018年か2019年ごろ、東京から実家の京都に帰ってすぐのタイミングでしたね。
その頃から、父はドローンが今後免許制になることを見越していたようです。だとしたら、車と同じように教習所が必要になると。実際に2022年12月から免許制度が始まったのですから、先見の明があったのでしょう。

スクール卒業後、研修期間なしで本番業務に臨む
――実際に北海道に行ってみて、いかがでしたか?北海道へ行ったのはゴールデンウィーク頃でしたが、着いて3日後には、本格的なドローンの講習を受けていました。その頃はまだ国家ライセンスのない時代でしたから、SkyLink Japanと提携するドローンスクールに通い、民間資格を取得したのです。
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そうしている間に北海道は夏の農薬散布のシーズンに突入していました。せっかくだからと、ドローンを使った農薬散布に携わらせてもらうことになって。講習が終わって2週間、実際に顧客の依頼で農薬散布業務をしていました。自分はパイロットではなくナビゲーター(パイロットを補佐する役)でしたが、いくつかの現場では実際に操縦も担当させてもらいました。
――いきなりプロフェッショナルのグループに入ったのですね。研修期間なしで本番は厳しかったのでは?
もちろんです。もう、何をしたらいいかすらわからない状態でした。言われるままにひたすら飛ばしたりナビをしたりしているうちに、気づいたらドローンスクールの教官になる操縦時間の条件をクリアしていました。スクール卒業後すぐに実務に携わることができたおかげで、本来なら1年間かかるような下積みを3ヵ月ぐらいで終えてしまったんです。
――実際に仕事をしていて、どんなことにやりがいを感じましたか?
北海道には結局1年ほど滞在し、農薬散布のためのドローン操縦やナビゲーション業務を担当しました。私はどちらかというと、操縦よりもナビの方がおもしろいと感じましたね。自分でプランニングして、効率よく仕事が回るようオペレーションするのが好きなのでしょう。ナビゲーション業務は1番大変ですが、その分1番やりがいがある仕事だと思います。
今は京都の家業に戻りましたが、会社の内部経営に入り込むよりも、やはり現場にいたい。現場でゲームキャプテン的な仕事に携わっていたいですね。
生徒に教えるのだから、今後ライセンスの取得は必須
――そんな臼井先生は先日、一等の国家ライセンスを取得されたと伺いました。かなり難しい資格ですが、なぜ取得しようと思ったのですか?それには、家業がもともと自動車教習所だということが関係しています。自動車教習所では、運転免許証を取得したい生徒の隣に、運転免許を取得した教官が座り、指導します。でも、これをドローンに置き換えると、どうでしょう?生徒を教えるのは、必ずしもライセンスを持った講師ばかりではない現実があります。
もちろん今は制度の過渡期ですから仕方がないこともあります。また、今まで長年ドローンを飛ばしてきた講師であれば、たとえライセンスがなくとも他人に教えるだけの技術があるかもしれません。しかし私は、本来免許取得希望者に教えるのは、免許を取得した者であるべきだと考えています。だからこそ、自分でも国家ライセンスを取得しようと決めました。

――とはいえ、一等ライセンスはかなりレベルが高いと聞きます。試験を受けてみていかがでしたか?
一等ライセンスは将来「空飛ぶクルマ」のパイロットとなれるかどうかを想定した資格ですから、二等と比べてずっとレベルは上がります。技術的なところでいえば、二頭では操縦を補助するセンサーをONにして飛行させますが、一等ではセンサー類は全てOFFで飛ばさなければなりません。なおかつ、夜間や目視外でも飛行させなければなりません。
ただ、自分としては実技よりも座学に苦労しましたね。航空力学や揚力、推力の計算など、昔数学で習った知識を駆使して計算しなければならない場面もあり、文系出身の私にとってはかなりの難関でした。いずれにせよ、中途半端な知識や覚悟では受からない内容だと感じました。
――実際にドローンで農薬散布をする仕事から受講生に教える立場になってみて、ご苦労はありましたか?
実際にドローンを飛ばすのと、受講生に教えるのとでは全く分野も違うので、考えさせられることも多くありました。しかし、さいわい私には先に自動車学校の教官として働いている兄たちがいます。兄たちの仕事を現場で見るわけではありませんが、たとえば実家に帰ったときなどに、日々どういうことを考えて指導をしているかという話をしてくれるんです。
兄たちの話を聞いていると、その指導方法などが自然と見えてきました。それを自分なりに理解しつつ実際に受講生に試してみて、「こういう人にはもっとこういう伝え方にした方がいい」と微調整しながら、その人に合った指導方法を日々研究しています。
――現在の仕事内容は、どのような配分で受けていますか?
現在は、デルタドローンスクールでの講師、Skylink Japanのドローンスクールでの受託講師を務めるほか、デルタの卒業生で農薬散布事業をしている方へのコンサル業の3本柱で働いています。
デルタは60年以上前から京都で自動車教習所を営んでおりましたので、やはり強いブランド力があります。ありがたいことに、その名前だけで信頼を集め、受講生に選んでいただけています。
今はまだ民間ライセンススクールが多い印象ですが、今後国家ライセンスの需要が増えてくるでしょう。デルタドローンスクールでは、民間ライセンス・国家ライセンスの双方を進め、農業用のドローンライセンス事業にも展開できればと考えています。
ドローン業界は甘くないが、大きな可能性を秘めた世界
――今、ドローンをきっかけに大きくキャリアチェンジを考えている方に向け、アドバイスやメッセージをいただけますか。夢を壊してしまうかもしれませんが、ドローン業界は甘くない世界です。ドローンを買って、操縦技術が身についたら仕事にできるかといえば、そういうわけにはいかないでしょう。軽いノリで始めると、もしかしたら大きな出費になるだけかもしれません。さらには車と同じように、事故を起こせば人命にも関わります。
本気でやろうと思ったら、時間もお金もかなり費やさなければならず、相当な覚悟が必要です。真剣にドローン業界への参入を望むなら、やはりスクールへ通い、最低限の知識や技能をしっかりと身につけていってほしいと思います。
もちろん、今後ドローンのパイロットが増えていくことは、産業全体にとってとてもよいことです。ドローン業界には、大きな可能性があります。少し敷居が高いと感じるかもしれませんが、それを乗り越え、一緒に働ける日を楽しみにしています。

日々需要が増す農業用ドローンのパイロット。いざ携わるとなれば、気になるのがその実態ですよね。コエテコドローン編集部が向かったのは、実際に農薬散布を請け負いながら、農業用ドローンのパイロットを育成するSkyLink Japanのドローンスクール。 この企画では、5日間の教習+3日間の実践研修の全貌をお伝えし、知っておくべき実践の厳しさも忖度なしでお届けします!
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