「コエテコEXPO2023秋(1日目)」レポート|プログラミング教育の現在地とこれからのスクール運営戦略。レッドオーシャンを生き抜く差別化戦略とは?

コエテコEXPO2023秋一日目 レポート
2023年10月17・18日の2日間、「コエテコ byGMO」はプログラミング教育サービスと課題解決などのノウハウが集結するオンライン展示会「コエテコEXPO2023秋」を開催しました。

本セミナーは、民間プログラミングサービスを運営する企業、その他IT関連のビジネス・サービスを展開する方々にご講演いただくことで、プログラミング教育という新しい分野・業界のさらなる発展を促すものです。

1日目となる17日には、

  • 国立教育政策研究所 渡邊 茂一氏
  • 株式会社船井総合研究所 犬塚 義人氏
  • 株式会社プログラミング総合研究所 飯坂 正樹氏
  • わかやまエデュケーションシステム 小佐田 裕美氏
  • 合同会社ドリーマーズギルド 宮城島 崇之氏
  • エデュケーショナル・デザイン株式会社 脇田 真太郎氏/今澄 亮太氏
  • 株式会社ティルモ 前田 純氏
  • Lead Innovationセンター株式会社 藤本 雄一郎氏

の合わせて8社9名が登壇しました。

モデレーターは「コエテコ」サービス責任者 沼田 直之が担当。学校教育でのプログラミング教育の全体像や、レッドオーシャン化するプログラミング教室のこれからの戦略ノウハウ、社会課題への解決に繋がる教育の模索まで、幅広いテーマのトークが行われました。

目次:

(国立教育政策研究所)学校教育でのプログラミング教育の現在地 〜2020年度から必修化された学校でのプログラミング教育、小中学校での現状と課題とは〜


国立教育政策研究所教育課程研究センターで、中学校技術分野および小中学校プログラミング教育の教育課程調査官を務める渡邊 茂一さん。2020年度から順次必修化された学校でのプログラミング教育について、教育課程調査官として全国の小中学校を訪れる中で見た現状と課題についてお話がありました。

日本政府は、Society 5.0を実現するために、さまざまな政策や取り組みを進めています。その中で、現在のプログラミング教育は小学校、中学校、高等学校と発達の段階に従って公教育で育成するよう計画されました。


小学校のプログラミング教育の目的は、プログラミングの体験を通して、次のような資質能力を育成することとされています。

  • 「知識および技能」
    生活の中でコンピューターが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気づくこと。
  • 「思考力、判断力、表現力等」
    発達の段階に即して、プログラミング的思考(課題解決に向けて必要な動きを分けて考えて、それぞれの動きに対応した記号を組み合わせ改善することを論理的に考える力)を育成すること。
  • 学びに向かう力、人間性等」
    発達の段階に即して、コンピューターの働きをよりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養(かんよう)すること。

実際に小学生のプログラミング教育の事例も紹介されました。

  • 学習指導要領に例示された学習活動(分類A)
    • 算数5年 正多角形の作図
    • 算数6年 電気の利用
    • 総合的な学習 情報の探求における自動販売機のプログラミング
  • プログラミングの体験を学習活動に位置付けた各教科等の授業(分類B)
  • プログラミングの資質・能力の育成を目指す授業(分類C)

例えば、小学校1年生ではViscuitを活用してコンピューターを使う練習をした事例や、2年生の国語の単元で、組み立てを考えて発表する際にプログラミングを活用した事例。

3、4年生以降では、ゲームのようなものを制作した事例や、総合的な学習の時間に大豆栽培での害虫駆除を目的として、センサーとモーターを利用したプログラムを開発した事例が紹介されました。

5、6年生になるとさらに高度になります。総合的な学習の時間で学んだ食料生産について、オーストラリアでの課題を解決するものを考えて、GIGAスクール構想で連携している企業のオーストラリア支社に実際に送り、遠隔で修正するといった取り組みも。

渡邊さんが全国を回った体感だと、およそ2割の自治体は小学校1年生からかなり積極的にコンピューターを活用しているそうです。しかし一方で、活用できていない自治体も2割程度ある印象とのことでした。今後は、自治体の格差をなくしていくことが課題と言えそうです。

続いて、中学校では「生徒にプログラミングによる問題解決の学習をさせること」が目的であると解説されました。

中学校の技術家庭科の技術分野では、課題を設定したり、全体構成アルゴリズムを構想してアクティビティ図に表したり、それを実際にプログラミングしたりする力が求められている、と渡邊さん。

技術科では、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」「計測・制御に関するプログラミングによる問題の解決」の2つが必ず行われます。講演では、テキストプログラミングを使ってWebAPIで都市の天気データを連携して表示・翻訳する事例や、白杖の先に物が近づくと手元が振動して教えてくれるシステムなどが紹介されました。

一方、初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインも発表されており、その中には活用が考えられる例として「生成AIを用いた高度なプログラミングを行わせること」という記載もあります。渡邊さんは「問題を解決する情報処理の手順をきちんと構造化し、ChatGPTを利用しながらその構想通りにプログラミングするような事例も今後出てくるのではと期待している」と語りました。

国民として誰もができるようになることを目指す公教育の範囲を超えて「もっとやってみたい、もっとできるようになりたい」という子どもたちは、学校の外で学ぶ必要があります。それが、デジタル人材の育成やイノベーション人材の創出の強力な後押しになる、と渡邊さん。企業との連携について「公教育と企業の良い循環ができるようになることが望まれる」と語り、講演を締めくくりました。

(株式会社船井総合研究所)2020年からのプログラミング教育必修化振り返りとこれから ~民間のプログラミング教育事業で年商1億、5億、10億を実現する経営ロードマップ~


株式会社船井総合研究所の犬塚 義人さんからは、スクール・学習塾経営の専門家の視点から、プログラミング教室の2024年からの事業戦略・マーケティングセオリーについてお話しいただきました。

「情報教育白書2023」によると、子ども向けプログラミング教育市場は、教育必修化や大学入試への導入、世間の盛り上がりなどによって2018年から安定的に成長しています。しかしながら、プログラミング教育市場全体で見れば活況であるものの、「個々のビジネスとしての成長性・収益性を見てみると、他の教育業界のジャンルと比較してもかなりの過当競争(レッドオーシャン)が起きている」と犬塚さんは話します。
そのような厳しい競争環境の中、成功の目安となる年商1億、5億、10億を目指すには高度な経営戦略が必要です。

目安として1拠点の年商を約1,000万円と仮定すると、1億円を達成するために必要な拠点数は3〜10拠点、5億円なら30〜50拠点、10億円なら50〜100拠点となり、かなりの拠点数が必要になります。

しかし、この「直営教室の展開」という基本発想と向き合わなければ、事業としてしっかりとした売り上げの柱を作ることは難しい、と犬塚さん。直営教室に特化せずに教材販売などの事業を同時に行うと、そこに相当のリソースを割くことになり企業の成長が鈍化してしまうからだと説明します。そのため、教室数の展開イメージから逆算して戦術を組み上げていく必要があるとのことです。


まず、事業規模1億円突破に向けてのポイントは「家業から企業」になることです。属人性をなるべく排除して、どんなメンバーでも成功させられるような企業化が大切になります。そのための戦略として以下の3点が挙げられました。

  • 1. 再現性のある生徒募集施策
    別の立地・担当者でも想定する生徒募集ができるか?
  • 2. 単店利益を確保できる収益構造
    雇用した上で1拠点あたりの年間営業利益200万円以上を確保できる
  • 3. 正社員(数名)採用
    社長以外の教室経営ができる社員が最低2名は必要

再現性のあるマーケティング施策については、どのように認知を高めていくのかが最も重要であるとし、具体例の解説もされました。

  • 1. 圧倒的なブランドでの指名集客
  • 2. 立地&看板 or 交通広告など
  • 3. デジタルマーケティング

さらに、5億円、10億円突破に向けてのポイントは、中堅企業としての組織作りだと言います。それまでのマーケティング施策や1つ1つの教室運営を頑張るだけでなく、企業として本部機能や間接部門を作り、充実させていくことが必要になります。

プログラミング教育市場におけるビジネスが激化する中、教室運営は厳しさを増しています。犬塚さんは、1億円まではマーケティングやビジネスモデル設計に集中するべきだと強調し、1億円を突破した後については「サステナグロースカンパニー(持続的成長ができる会社)を目指す場合は、本部機能・間接部門を充実させることがカギになる」と話し、締めくくりました。

(株式会社プログラミング総合研究所)プログラミング教育における定着度評価の検討と実践 ~公教育・プログラミングスクールにおけるプロ検の事例から学ぶ~


株式会社プログラミング総合研究所の飯坂 正樹さんからは、受験者数国内最大のプログラミング検定「プロ検(プログラミング能力検定)」のプログラミング教育現場における活用事例や見えてきた傾向についてご紹介いただきました。

2022年度から高等学校での「情報Ⅰ」の必修化が実施され、2025年度からは大学入試にも「情報Ⅰ」が追加されます。公教育・民間教育問わず、プログラミング教育は加速している状況です。

しかし、小学校での必修化から数年たったものの、プログラミング教育の定着はまだ道半ばであり、さらなる定着のためには、公教育・民間教育の連携が必要であると飯坂さんは指摘します。セミナーでは、プロ検の受験データによるプログラミング教育の傾向について、考察がいくつか紹介されました。

まず、学年、校種の比較では、学年が上がると正答率が上がるという傾向がみられました。一方で、プログラミングスクールで学んだ小学生は、学校で学んだ高校生よりも正答率が高いことから、年齢よりも学習内容や頻度による差が大きいということも分かりました。


また、全国と比較してプロ検の正答率が高いつくば市の小学校では、正答率が高い理由として以下の点が考えられ、学校教育においてもやり方次第でプログラミング力は伸ばすことができると示されました。

  • つくば市では小学校1年生からScracthも導入している。
  • プログラミングスクールで学んだ児童がクラスの中で先生役になっている。
  • 授業の内外で積極的に端末やソフトウェアを利用している。
  • 発表する際などに紙、スライドなどとともに「選択肢の一つ」としてプログラミングがある。

プログラミング概念による差を分析したデータでは、小中高問わず、苦手な領域は共通していることが分かりました。例えば「wait文」「初期化」「並列処理」といった日常生活の中であまりイメージできない動きは相対的に正答率が低い傾向があります。

また、「正・負の数」「数字の大小」「角度」のような、小学校低学年ではまだ習っていない算数の知識は差が大きく出ています。逆に言えば、プログラミングを通して、低学年でまだ習っていない知識を先取りして身につけることに繋がるので、他の教科の学習の助けになったり、あるいは底上げになったりするのではないかと飯坂さんは話します。


プロ検の導入効果についても紹介がありました。あるプログラミングスクールでは、プロ検を年4回受験した生徒と、1回も受験しなかった生徒では、スクールの在籍期間に2倍の差があったとのことです。飯坂さんは「プロ検を受験することでモチベーションを保つことができるのではないか」と分析します。

最後に、さらなるプログラミング教育の定着のために3つの提言がありました。

  • 1. 早い段階からプログラミングに触れさせる
    →民間スクール、教材の力が必須
  • 2. 進学時の定量的なデータ引き継ぎ・あるいは入学時の測定
    →プロ検の活用
  • 3. 他教科との相互補完、課題解決能力との相関
    →プログラミング概念を細かく見ることで可能になる

日本におけるプログラミング教育の課題として、小中高等学校の校種が変わるタイミングで一度学習状況がリセットされてしまう問題があります。プロ検などを活用し、プログラミングの学習状況を引き継いでいくことで、効率よくプログラミング教育を浸透させることができる可能性が高まります。飯坂さんは「プログラミング教育の定着に向けて今後もさまざまな活動をしていきたい」と締めくくりました。

(わかやまエデュケーションシステム)和歌山で唯一無二のポジションを獲得「WESスクール」の生徒自身が成長を実感できる自己評価システムとは? ~選択理論を基にした顧客満足度の高め方と生徒に寄り添った多様なニーズへの対応~


和歌山のプログラミング教室の中で、唯一無二のポジションを獲得しているわかやまエデュケーションシステム。代表の小佐田 裕美さんからは、スクールのコンセプトや顧客満足度を高めるための取り組みについてお話しいただきました。

WESスクールは、小中高の子どもを対象とするプログラミングスクールとして2020年1月に開校しました。女の子の割合や中高生も多いことがスクールの特徴で、「子どもたちの内在する可能性を引き出す」ことを大切にしています。

一般的なプログラミング教室では「学習塾とは異なり、生徒の成長や成果が分かりづらい」「決まったカリキュラムで進んでいかなければならない」「テキストから外れたことができない」ということも多いかと思います。WESスクールでは、数値的に評価できない「非認知能力」を高めていくことに重点を置き、生徒自身が成長を実感できる自己評価システムを採用しています。
講演では、WESスクールの4つのポイントについて紹介されました。

  • 1. WESスクールで土台にしている考え方〜選択理論とは?
  • 2. 多様なニーズや「個性や強み」に寄り添うレッスン
  • 3. 生徒自身が成長を実感できる自己評価システム
  • 4. 保護者と丁寧なコミュニケーションで高い満足度

1つ目はWESスクールで土台にしている考え方である選択理論について。選択理論心理学は「人がいかに動機づけられ、いかに物事を認知し、いかに行動するのか」という一連の脳の働きを説明した理論のことです。

選択理論は、前提として「私は自分しか変えられないし、生徒のことを先生がコントロールしたり無理やり変えたりすることはできない」と考えます。そのため、個々の違いを尊重しながら、生徒たちが成長していくのをサポートするという立ち位置で関わっていきます。子どもたちは、自ら行動したくなり、自分で選んだという自己責任の考え方も身に付いていくのがポイントだと小佐田さんは話します。

さらに、選択理論では人を動機づけるものとして次の「5つの基本的欲求」があるとしています。

  • 1. 愛・所属の欲求
  • 2. 力の欲求
  • 3. 自由の欲求
  • 4. 楽しみの欲求
  • 5. 生存の欲求

この欲求は人によって強さが違います。例えば「愛・所属の欲求」が強い生徒は友達と関わりながらやりたい、「生存の欲求」が強い生徒はカリキュラムに沿ってきっちり進めていく方がやりやすい、などの違いがあります。WESスクールでは、個々の生徒のタイプに合わせてどのように関わると取り組みやすいのかを踏まえたレッスンをしていくそうです。

2つ目の特徴は、多様なニーズや「個性や強み」に寄り添うレッスンです。WESスクールでは、子どもたちの目的に沿うように、Webプログラミングやロボットプログラミング、デザインプログラミングなど幅広いカリキュラムを積極的に採用。その取り組みの前に、生徒一人一人が好きなもの、興味があるものを知るため生徒たちには「取り組みシート」に書いてもらうそうです。そこから生徒の興味関心に沿ってレッスンを組み立てていきます。



3つ目は、生徒自身が成長を実感できる自己評価システムです。一人ひとりの好きや興味に合わせて5つの力を伸ばす自己評価システムを採用しています。
普段の授業では、最後に「良かったこと」「学びになったこと」「頑張ったこと」「次はどうするか」などをスライドにまとめる時間をとっているとのこと。学校では「できなかったこと」を振り返る機会が多いですが、ネガティブな部分を見がちになってしまい、できていることが見えにくくなってしまいます。まずは自分が良かったところを振り返り、自信を高めていってほしいと小佐田さんは語ります。

4つ目は、保護者との丁寧なコミュニケーションです。振り返りのスライドは保護者にも共有し、レッスンの状況が分かるようにしています。保護者とともに方向性を確認し対応を丁寧にすることで、WESスクールは顧客満足度を高めているとのことでした。

(合同会社ドリーマーズギルド)なぜマインクラフト?流行を牽引する教育とプログラミングスクールの結びつき


マインクラフトを活用した小学生向けのプログラミングスクール「コードアドベンチャー」を展開する合同会社ドリーマーズギルド。代表の宮城島 崇之さんから、マインクラフトが教育の場に急速に浸透している背景や、マインクラフトを核とした新しい教育の形についてお話しいただきました。

コードアドベンチャーのFCは、現在28都道府県に162の教室があり、2025年には47都道府県すべてで開校、250教室を目標に活動しています。順調に成長する同スクールですが、なぜマインクラフトのプログラミングはこんなにも生徒を集めることができるのでしょうか。宮城島さんは、「教育と経営を両立させることを目的とするなら、マインクラフトプログラミングは非常に有効」だと話します。

コードアドベンチャーが生徒数を集められる理由は4つあると言います。

  • マインクラフト自体の人気
  • 世代論
  • コードアドベンチャーの戦略
  • 提携校それぞれの努力

まずは、マインクラフト自体の人気の高さです。マインクラフトは2023年10月15日時点で3億ダウンロードされており、世界で一番知名度の高いゲームだと言えます。普及率が高いことから、マインクラフトは他のゲームに比べて配信が急に中止になるリスクも低いと考えられます。

また、YouTubeとの関連性が非常に強いコンテンツでもあります。YouTuberがさまざまな企画を考えて動画を撮りやすい構造になっているため、マインクラフトとYouTubeは相互性によって発展してきました。

さらに、マインクラフトをリリースしたMojang社を2014年に買収したMicrosoft社は、教育性を高める施策として2016年にはマインクラフト教育版をリリース、2020年には民間事業者でも使用可能になりました。
宮城島さんは、これらのことからマインクラフトは教材として適している、と話します。

次に世代論です。現在小学生のお子さんを持つ保護者世代は主に30代〜40代前半であり、小さい頃からゲームに慣れ親しんできた世代なのでゲームに対する抵抗感がありません。

この世代は塾世代・競争社会世代でもあり、楽しくないけれどとりあえず塾に通っていた方が多い世代でもあります。その反動として「楽しい学びがあってもいいんじゃないか」と考えている方が多いと宮城島さんは分析します。そのため、マインクラフトの教材に対する理解もかなり高いそうです。

一方で、現在10歳前後の子どもたちは動画ネイティブの世代だと言えます。YouTubeやTikTokなどの動画は、自分から検索して探すのではなくAIがおすすめの動画を表示してくれます。常におすすめが出てくることで、この世代は知らないものに対する抵抗感が高いと言われています。知っているものでコンテンツを作らなければ見てもらえません。逆に言えば、教材もよく知られているゲームで作れば見てもらえる可能性が高まります。

コードアドベンチャーの戦略としては、これまでのプログラミング教材がターゲットとしてきた「意識が高い層」や「先進的な考え方の家庭」ではなく、「マス層」向けの商品として開発しているとのこと。そのターゲットに興味を持ってもらえるようなビジュアル、動画構成を意識しているそうです。


2020年からプログラミング教育が必修化されたことでマーケットが広がりました。コードアドベンチャーは、既存の意識が高い層向けのプログラミング教材と競争するのではなく、中間層をターゲットにした方がマーケットも広がり教育的意義もあると考えている、と宮城島さん。

「例えば、習い事に通いたがらないような子が『コードアドベンチャーに参加して初めて習い事に行きたいって言ってくれたんです』という声もよく聞きます。そういった子どもたちを1人でも多く作るのが我々のすべきこと」だと語りました。

(エデュケーショナル・デザイン株式会社)メタバースの先駆けRoblox(ロブロックス)がプログラミング教育市場に!! 〜教育事業主なら抑えておきたい日本初のRobloxで学べるプログラミング教材をデジタネよりご案内!〜


エデュケーショナル・デザイン株式会社の脇田 真太郎さん、今澄 亮太さんからは、この数年で急速に知名度が高まっているRobloxの最新情報や、Robloxで学ぶプログラミング教材の学習効果についてお話しいただきました。

Robloxは、世界中で開発されたオリジナリティあふれるゲームで遊ぶことができるプラットフォーム。2023年6月時点で、デイリーアクティブユーザー数は6,550万人にのぼり、世界中で絶大な人気を誇っています。一方で、実際に自分たちが作ったゲームを世界に公開し、Robuxというゲーム内通貨を獲得し現金化できる仕組みも持っています。つまり、プレイヤーにもクリエイターにもなれる点が特徴です。

コロナ禍でステイホームが呼びかけられていた時期には、多くの人々がRobloxの仮想空間の中に居場所を求め、ユーザー数が増加する一因にもなりました。脇田さんいわく、アメリカの小学生の間では、学校から帰ってきたらRobloxの中で集まることや誕生日会を開くことも日常的に行われており、かなり日常に溶け込んでいるそうです。

日本でも、最近は小中学生の日常会話の中にRobloxが出てくるようになりました。脇田さんは「海外での人気の高さを考えると、この流れは確実に日本に来るだろう」と話します。

また、Gucci、NIKE、サンリオなどさまざまな有名ブランドや、ホンダや吉本興業といった日本の大企業も続々とRobloxとコラボしています。小中高校生とのタッチポイントの創出という観点で、非常に特徴的な活用方法だと言えそうです。

1年ほど前からは日本の人気YouTuberもRobloxの実況動画をアップしはじめ、日本の小中学生の知名度や人気も急上昇しています。プレイヤーの増加に伴い、ここからはクリエイターもますます増えていくだろうと脇田さんは予測します。また、Roblox社の創業者はもともと教育者だったこともあり、Robloxは教育的側面もあり、欧米ではRobloxの教育への活用も多く行われています。

同社は、小中高校生向けのプログラミング教材の開発と提供を行っており「デジタネ」というブランド名で展開。デジタネでは、Robloxでプログラミングを楽しく学べる「Roblox Studio」というゲーム制作プラットフォームを提供しています。

Roblox Studioの中では、3Dゲームを作りながらプログラミングや3Dモデリングを学んでいくことが可能です。今澄さんからは、Roblox Studioで実際にどのようにゲームを作っていくのか、デモンストレーションをしながら解説がありました。


初心者にはハードルが高いイメージがあるテキストプログラミングですが、Roblox Studioでゲームを作るときは最初からキャラクターを動かせたり、保存したゲームを公開したりするのも簡単なので、初心者でも取り組みやすいツールになっている、と今澄さんは話しました。ゲームを作りながら発想力やデザイン力を学べるのも魅力です。

1、2年前と比べ認知度が上がり人気が高まっているRoblox。子どもたちが普段遊んでいるサービスでゲームが作れるのはモチベーションが続きやすいのもメリットだそう。同社では、今回紹介されたRobloxコースのほかに、マインクラフトやディズニーのコースなど、さまざまなコースを取りそろえています。Robloxコースの人気の高まりを受け、今後は現在提供しているカリキュラムに加え、プログラミング初心者でも学べるコンテンツも追加し、楽しく継続的にプログラミング学習ができる環境づくりをしていくとのことです。

(株式会社ティルモ)加盟オーナーが独白!今最も勢いのある小学生向けプログラミングスクール「コードアドベンチャー」は本物なのか?


小学生向けプログラミングスクールFC「コードアドベンチャー」の最大加盟事業者である株式会社ティルモの前田 純さんは、オーナーの立場からコードアドベンチャーのカリキュラムの特長、生徒たちの反応や成果などの本音をお話しいただきました。

前田さんは、2021年5月にコードアドベンチャーの3番目の事業者として大阪と石巻の自身が運営する塾に導入。1週間の問い合わせ数150件、1.5カ月の体験会参加者数400名、開校前の入会生徒数100名超えなどの成果を上げました。2023年10月現在、11都道府県32教室の運営やサポートに関わっています。

コードアドベンチャー加盟のきっかけは、宮城島さんとマインクラフト実況者であるいぬたぬきさんが募集していたクラウドファンディングで、塾の保護者と生徒がコードアドベンチャーの体験会に参加したことでした。


その内容に満足した保護者の方が、前田さんにコードアドベンチャーを紹介したそうです。コロナ期間中に学習塾を運営する中で、今までの取り組みとは違うことにも挑戦したいと思っていた前田さんは、コードアドベンチャーへの加盟を決めました。加盟したことで、今までの学習塾にはいなかった小学校低学年の子どもたちが新しく入り、塾の幅が広がったと言います。低学年が入ったことで塾に活気が生まれたり、学年が上がったら通常コースに入塾してもらえたりといった効果もありました。

プログラミングを専門とするスクールとは違い、今まであまりプログラミングに関心がなかった層にアプローチできるようになったことは良かった点として挙げられました。

一方で、「本部が積極的にさまざまな提案をしてくれたり、イベント・コンテストを開催してくれたりするため、その情報に追いつくのが大変」という本音もありました。

他のプログラミングスクールとの違いについては「教材の訴求力が非常に強い」という前提に加え「本部運営に意見を反映してもらいやすい」「加盟校同士の繋がりが強い」の2点を挙げました。

コードアドベンチャーの本部組織は少人数ながら熱意があり、加盟校の意見を取り入れてもらいやすい環境だと言います。前田さんは「アイデアをすぐに形にするスピードも早く、定期的に振り返りしながら進めている」点を評価しました。

また、年に1回の総会では全国の加盟校が集まり、振り返りや交流をしているとのこと。オンラインでも月に1、2回のサロンがあり、学生アルバイトも含めた加盟校の先生が集まり悩みを相談したり、要望があれば本部に共有したりしているそうです。日常的にこうした機会を持っていることで、加盟校同士の繋がりが強く、普段から助け合うことが多いと話しました。

コードアドベンチャーの理念は「全ての子どもにプログラミング教育を」。自分の受け持つ地域の全ての子どもたちに届けられるような教室をやろうという思いでやっているという前田さん。この理念に共感し、本気度合いが高い事業者にはコードアドベンチャーをおすすめできるとのことでした。

(Lead Innovationセンター株式会社)スティーブ・ジョブズ氏やイーロン・マスク氏のような業界に変革を起こす 「日本版ゲームチェンジャーの育成」


自動車やエネルギー、電子制御系などの先端技術に20年以上関わっているLead Innovationセンター株式会社の藤本 雄一郎さんからは、プログラミング教育を学ぶことでどのように社会課題を解決することができるのか、いわば出口から逆算して作られた新しい形のアカデミーについてご紹介いただきました。

日本の国際競争力は年々低下し、今や1人当たりGDPも世界30位となっています。今まで日本が世界シェア50%以上を占めていたデジタル家電、モバイル機器、太陽光発電や蓄電池なども、現在のシェアはほとんど数%以下の状態です。

その背景には「インテリジェンス不足」「仕事に対する積極性の不足」「現状安住主義」などが影響していると藤本さんは説明します。この状況を打破するには、海外の先端技術に通じ、現状を変え、挑戦し続ける人材、すなわち「ゲームチェンジャー」の育成が急務であると指摘しました。

国際競争力を復活させるためには、数年単位の取り組みでは難しく、10年以上先を見据えた対策が必要です。そこで、これからの日本を担う子どもたちに、早い段階から先端技術に触れてもらう学習事業として立ち上げられたのが「ゲームチェンジャー育成アカデミー」です。

このアカデミーは、今の社会で何が起こっていて、それを解決するためにどのようにプログラミングを学んでいけばいいかという、いわば出口から逆算して作られたアカデミーです。11歳から22歳を対象に「自らモノやソフトを作り、現場に導入し、そこで起こるいろいろな課題を発見して解決していく」実践フィールドや、学習プログラムを提供しています。

ゲームチェンジャー育成アカデミーの主な特徴は「先端技術を自分たちで製作」し、それを「大規模自然フィールドで実施」することが挙げられます。

  • 先端技術を自分たちで製作
    カメラやセンサー、AIの仕組み、自然可能エネルギーなどのソフトウェアについて学び、さらにそこから自動運転カーやEV、ロボット、ドローンなどのハードウェアに入れるところまで自分たちで製作。
  • 大規模自然フィールドで実施
    教室で製作して終わりではなく、実践経験や失敗経験を積むことが重要。アカデミーでは、滋賀県の琵琶湖の近くに大規模な自然フィールドを用意しているので、製作したモビリティなどを実際に設置したり動かしたりできる。実践することでさまざまな課題を発見し解決する経験を積む。

プログラムは「サバプロ」「ドラプロ」「ビジプロ」の3つで構成されており、どれか1つを選択します。

  • 1. サバプロ
    先端技術を活用して、「今の気候変動に対応した新たな農業」にサバイバル挑戦する
  • 2. ドラプロ
    先端技術を組み合わせて、アニメに出てくるような「未来の道具を作っていく」
  • 3. ビジプロ
    先端技術と社会の動きを結び付け、その企画を行い、「実ビジネスとして展開していく」ことを疑似体験

講演では、それぞれのプログラムの詳細や、子どもたちの開発成果の例も挙げられました。


「プログラミングスクールが基礎を教える役割ならば、私たちは応用編で、社会とつなぐ役割だと考えている」と話す藤本さん。同アカデミーのプログラムによって、プログラミングが社会でどのように役立つのか分かることで、プログラミング教室や塾、学校で「もっとこういったことを勉強したい」という循環を生んでいければ、と展望を語りました。

まとめ|コエテコEXPO2023秋 1日目

「コエテコドローンスクールEXPO」1日目となる10月17日は、8社9名の方々にご登壇いただき、学校教育でのプログラミング教育の現状や、民間プログラミング教室の戦略、ノウハウ、社会課題解決についてなどを幅広くお話いただきました。

小学校でのプログラミング教育必修化、GIGAスクール構想、大学入試への「情報Ⅰ」に追加などの影響もあり、プログラミング教育市場は今も右肩上がりで伸び続けています。

一方で、急速な少子化や民間プログラミングスクールの増加により、市場はレッドオーシャン化してきていることも今回のコエテコEXPOでは指摘されました。今後は、より満足度の高いカリキュラムや教室運営、さらにはプログラミングで社会問題をどのように解決していくかも求められています。

今回ご登壇いただいた方からは、プログラミング教育事業戦略の考え方や、小・中・高と途切れずに継続する方法強みを活かし受講生満足度をアップさせる工夫といったお話もありました。「他スクールとの差別化がうまくいかない」「他の習い事と競合し、継続率がなかなかアップしない」などのお悩みを持つ方の参考になれば幸いです。
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