60歳でも続けられる仕事とは?正社員など雇用形態別に解説

60歳でも続けられる仕事とは?正社員など雇用形態別に解説
60歳前後で定年や退職について考え、これからの働き方について悩んでいる方もいるでしょう。この記事では、さまざまな働き方の選択肢や、そのメリット・デメリットについて紹介していきます。
 
自分の目標や価値観に合わせて適切な選択を行うためには、事前の情報収集が大切です。セカンドライフこそ、自分らしいライフスタイルをデザインできるタイミング、ぜひこの記事を参考にして「新たな働き方と生き方」を考えてみてください。

次の可能性に向かって、まずは基本的な「働き方」のバリエーションを見ていきましょう!

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「雇用」と「働き方」の種類について

雇用の種類 
正社員 期間の定めがない
フルタイム勤務で長期雇用が前提
正規雇用
嘱託社員 期間が定められている
1年など期間ごとに契約更新
フルタイムに準じた働き方だが柔軟性はある
一般的に定年後の契約社員を指す
非正規雇用
契約社員 期間が定められている
1年など期間ごとに契約更新
フルタイムに準じた働き方だが柔軟性はある
非正規雇用
派遣社員 派遣会社から派遣先企業に派遣される 非正規雇用
パート/アルバイト 勤務時間が正社員より短時間で時給 非正規雇用

働き方の種類
フリーランス 業務委託契約を結ぶ
(労働契約や雇用契約ではない)
プロジェクトや案件ごとに契約
幅広く用いられるが
一般的に個人として仕事を請け負うことを意味する
起業 自分が経営者となる 一般的には事業を始める、法人設立を意味する
副業 雇用されている企業での本業をしつつ
休日などを利用して業務委託や別の仕事をする
副業は主となる本業がある
複業・兼業は複数の職を持つ意味に用いられる
ことが多い
※フリーランスや起業は幅広く用いられる用語のため、分類も多く、さまざまな見解があります。ここでは一般的な解釈を取り上げました。
 
参考:さまざまな雇用形態/厚生労働省

60歳からの決断「正社員・嘱託/契約社員・派遣社員・パート」

正社員 嘱託 契約社員 違い

雇用形態も細かく分けるとたくさんあります。ここでは「正社員・嘱託/契約社員・派遣社員・パート(アルバイト)」にわけて、メリットやデメリットを解説します。

60歳以降も正社員として働く

メリット
  • 安定した収入を得られる
  • 賞与があれば対象になる
  • 社会保障制度(社会保険・雇用保険等)への加入

デメリット
  • 60歳以降(65歳など)を定年としている企業はまだまだ少ない
  • 60歳定年後もこれまで同様に働ける「勤務延長制度」のある企業もまだ少ない
  • 60歳時点での待遇や年収と同様の「新たな勤務先での正社員雇用」を見つけるのは難しい

定年が65歳や定年制廃止の企業では、そもそも60歳以降もこれまで同様に正社員として普通に継続して働けます。

勤務先が60歳定年の場合は、それ以降も従来とほぼ同様の待遇・ポジションでそのまま正社員として働く「勤務延長制度」があれば利用できます。

たとえ制度がなくても、専門的なスキルがあったり、企業が特に必要としている人材であったりすれば、引き続き「正社員として働いてほしい」ということもあるでしょう。

ただし、今のところ、60歳以降も同じ条件・待遇で正社員として継続して働ける企業はそれほど多くありません。ですから、そのまま同じ条件で正社員として働けるかどうかは、自分の意志以上に、今の勤務先次第ということになってしまいます。

「正社員」として働く、もうひとつの方法としては、定年退職をして新たな勤め先を見つける再就職です。

60歳以上歓迎の正社員募集は一定数ありますが、必ずしも希望どおりの条件とは限りません。そのため、60歳定年の場合、実際には次に解説する「嘱託・契約社員」として、現在の勤務先で働くケースも少なくありません。

60歳から増える嘱託社員と契約社員

メリット
  • 安定した収入がある
  • 一定の条件を満たせば社会保障制度へ加入できる

デメリット
  • これまでの年収より大幅に低くなる傾向がある
  • 従来の肩書やポジション、部署からの変更があり得る
  • 賞与の対象とならない場合も多い

定年後の働き方としてよく耳にする「嘱託職員」ですが、実は法律による定義はありません。嘱託は、一般的に60代以降の「正社員ではない契約社員」を指します。
60代 嘱託 年収が減る

嘱託や契約社員になると、年収は定年前よりかなり低くなる傾向があります。また、60歳時点でのポジションや部署に在籍できるとは限らず、立ち位置によっては「前と比べて働きづらい」と感じるケースもあります。

一方で、通い慣れた企業で働き続けられることや、年収は低くなっても正社員同様の社会保障制度や福利厚生がある企業も多いことから、「65歳までは年収が減っても今のままで」という人もいます。

60歳からの転職は希望通りにいかない可能性も高いため、派遣やフリーランスと比べて安定した収入が得られる嘱託・契約社員を選ぶという考え方もあります。

定年後の再雇用で「嘱託・契約社員」になる場合、基本的に契約更新は65歳まで継続* されます。そのため、期間の定めはあるものの、ある程度安定した収入と働き方ができると言えます。

* 60歳定年制を採用する企業にとって、65歳までの再雇用は法律上の義務であるため。参考:高年齢者の雇用/厚生労働省

60代からシニア向け派遣社員

メリット
  • 労働時間や出社日など比較的自由に選べる
  • 派遣元企業で条件を満たせば社会保障制度に入れる
  • スキルやキャリアによっては高い時給を得られる

デメリット
  • 常に派遣先があるとは限らないため収入の保証がない
  • 一定の期間で勤務先が変わるので不安定に感じる

派遣社員のメリットは、パートよりは時給が高く、比較的自由に働き方を選べることです。たとえば「残業なし・週4日」とか、「夏には1ヶ月の旅行に出たいから、それまでの半年間勤務したい」といった働き方もできます。

契約にはない業務をすることがない点や、一定の期間で離れるので、職場に対するストレスが少ないと感じる点をメリットに挙げる人もいます。

60歳をひとつの区切りとして、働く日数や労働時間を短縮したい場合には、派遣は悪い選択肢ではありません。

とはいえ、非正規雇用であり、常に仕事があるとは限りません。また希望通りの条件に合った勤務先があるとも限りません。安定した収入を得るという面では不安も残ります。こうしたデメリットを把握した上で、これまでとは大きく違う働き方が、60代になった今、できるかどうかも考慮する必要はあります。
60代 再雇用 再就職
最近はミドルエイジからシニア(50代〜60代〜)に特化した派遣会社もあるので、関心がある方は資料や公式サイトを見て、相談会や説明会に参加してみるとよいでしょう。

60代からパート/アルバイトで働く

メリット
  • 勤務日や勤務時間など自由に裁量できる
  • 体力など自分に負担のない範囲で働ける
  • キャリアやスキルがなくても新たな業種や業界で働ける可能性が高い

デメリット
  • 体調不良などで休めばバイト代は出ない
  • 一定以上の労働時間等の条件を満たさないと社会保険などに加入できない
  • 雇用の安定性に欠ける

パートやアルバイトは時給で計算すると、会社員時代と比べて「ずいぶんと収入が少なくなる」と感じるかもしれません。一定以上の労働条件を満たさないと社会保険などの加入もできませんし、「来月からバイトを減らすから」といきなり仕事がなくなる可能性もあります。

とはいえ、好きな曜日や時間帯を選んで働けるのは大きなメリットです。

また、これまでのキャリアに関係なく、ってみたかった職種や業界へも飛び込みやすいのがパート勤務です。資格取得を目指してみてもいいでしょう。
参考:60代資格

ポイント1:契約社員と嘱託社員の違い

 契約社員は基本的に嘱託社員と同じです。

要するに明確な区別はないのですが、「嘱託社員」は定年後の社員向けである認識が強いということです。

ポイント2:勤務延長制度と再雇用制度の違い

引用:65歳までの雇用確保 (義務) 70歳までの就業確保 (努力義務)

厚生労働省による「令和4年就労条件総合調査」では、60歳定年としている企業は約72%です。しかし、法律によって65歳までの雇用確保は義務づけられ、定年制の廃止や定年年齢の引き上げの他、次の制度が適用されます。

  • 勤務延長制度
  • 再雇用制度
1勤務延長制度, 2 再雇用制度, の 2つに分けられる。 勤務延長制度とは定年到達者を退職させることなく, 引き続き雇用する制度である。 他方再雇用制度とは, 定年到達者をいったん退職させ, 再び雇用する制度を言う。
引用:定年延長と継続雇用制度/独立行政法人労働政策研究・研修機構
再雇用制度では、一般的に嘱託や契約社員という形になり、年収が減ったり業務内容が変わったりします。場合によってはグループや子会社への配置変換もあり得るでしょう。

いっぽうで勤務延長制度は、多くの場合、従来と同じ勤務形式のまま働きます。つまり、いったん定年という形はとるものの「これまでと同じ正社員」で大きな変化がありません。

令和4年就労条件総合調査では、再雇用制度のみの企業が約64%で、勤務延長制度(両制度併用含む)の企業割合は約30%となっています。全体的に見ると、60歳定年で引き続き勤務する場合は、嘱託や契約社員として働く「再雇用制度」が多いわけです。

定年後は「嘱託で働く」という人が多い印象があるのは、こうした背景もあるのでしょう。

ポイント3:再就職か再雇用か

定年後 嘱託 再就職 再雇用

60歳定年の場合、「再雇用=これまでの勤務先で働くか」「再就職=退職をして新たな勤務先を探すか」が大きな選択となります。

定年後の目標やライフスタイルによって、どちらがより適切かが変わります。もし定年後も前職での経験や専門知識を活かしたいと考えているなら、これまでの企業での仕事を続けることもひとつの選択です。一方で、新たな挑戦や興味を追求したい場合は、新しい企業や業界での仕事を探すことも魅力的かもしれません。

嘱託では年収が一気に落ちてしまうので、退職をして新たな企業を探そうとしたものの、結局のところ「退職時と同等の待遇で受け入れてくる会社はなかった」という話はよく耳にします。

しかし、これまでの会社が働きやすいだろうと考え残ったとしても、人によっては不満を感じることも。つい最近まで部下だった社員が自分に指示を出す立場になり、「わかっていたけど、モヤモヤする」とストレスを感じたり、まったく違った部署に配置転換されて「こんなはずではなかった」と落胆することもあるようです。

再雇用か、再就職かは、なかなか難しい選択です。

ポイント4 退職金をもらうタイミング

退職金は就業規則により定められています。そのため、実際には退職金がない企業もあります。

会社によって「退職金を、いつ、どのようにもらうか」はかなり違います。

60歳で退職金をもらい、嘱託や契約社員として再雇用されるか、あるいはそのまま仕事を続けて退職金は辞める時点でもらうのか、選べる場合もありますし、就業規則で退職金が支払われる時期が細かく定められていることもあります。

また、60歳と65歳ではもらえる金額が違うこともあります。

「うちの会社は退職金があるからな」と漠然と考えていたら、いざ定年となった時に思っていた状況とは違うこともありえます。
退職金があるケースでは、かならずどのような制度になっているかを早めに確かめておきましょう。
株式投資などでお金を増やす選択肢もあります。
参考:株シミュレーション
参考:AI株価予想アプリ

ポイント5 60歳「何を重視するのか」が働き方の選択につながる

収入や安定性を最重視するのか(必要に迫られて収入の確保を最優先する人は決して少なくありません)、勉強やスキルアップを行い、次のステージでの活躍を志すのか、あるいは自分の時間を楽しむために今後はのんびりペースで働くのか、いっそ「働かない」選択をするのか。

いずれにしても、定年を迎える少し前から、自分のセカンドキャリアや働き方について少しずつ考えをまとめていくことが大切です。
早めの段階から現在の勤務先の定年以降の雇用形態について知り、時間をかけて納得がいく「選択」ができるようにしたいですね。

60代以降で自ら選ぶ「働き方」の種類 

60代から 働き方 種類

会社勤め以外の「働き方」について、見ていきましょう。

フリーランスは「すべて自分で管理する」

メリット
  • これまで培ったスキルや専門知識、人脈を活かすことができる
  • ある程度は働く時間や時間帯を自分で裁量できる
デメリット
  • 収入が安定しない
  • 社会保障がない
  • 自己管理の負担
 
フリーランスは、プロジェクトや案件ごとに契約を結んで仕事を行います。雇用関係はなく、業務だけでなく請求書の発行や入金等の管理も自分で行います。つまり、フリーランスは実際の業務以外に、総務も経理も営業も、すべて自分で行うことになります。

一方で、仕事の内容や業務量、稼働日について自分で裁量できる良さがあります。

フリーランスとして独立し、毎月一定の収入を得るのは簡単ではありません。たとえば、「家計として毎月25万の収入がかならず必要だ」という場合には、かなり不安が残ります。

フリーランスで毎月30万以上の収入がある人は、その全体数から見れば多くはありません。
しかし、スキルがある、実績が豊富、必要とされる業務ができる、クオリティの高い仕事ができれば、高い報酬を得られる可能性も、もちろんあります。
60代 定年後 働き方 種類

業務も報酬もすべて「自分しだい」であることが魅力であり、同時にリスクでもあるということです。
参考:フリーランスになるには

60代からの起業は「事前準備」が重要

メリット
  • 成功すれば収入が増える可能性はある
  • 自分のやりたい仕事を自分なりの方法で行える
デメリット
  • 起業するために一定の蓄えと準備金が必要
  • 失敗したときに財産等を失う可能性がある

これまでのキャリアを活かして「起業」にチャレンジする方法もあります。

フリーランスと重なる部分もありますが、一般的に起業は「法人設立」を意味します。法人を設立すれば、税金や社会保険などの手続きが必要です。

規模にもよりますが、起業のための準備資金があり、起業後の受注などもある程度計画できている状態が必要です。
起業を考えているのであれば、しっかりと事業計画をたて、必要な資金を準備する必要があります。
参考:起業スクール

60代で副業を始めるなら「いくら稼ぎたいか+今後のプラン」を考えて 

メリット
  • 家計に必要な収入や自分のためのお金「追加の収入」が得られる
  • 将来的に独立や起業へつなげることができる
デメリット
  • そもそも本業で副業を認めているか
  • 本業と副業で「休む時間がなく」、疲労感やストレスを感じる

副業は法律的に「禁止されていない」ので、本来であれば個人の自由で行えるものです。とはいえ、実際には副業を禁止している、あるいは推奨していない企業はまだまだ多いので、まずは就業規則を確認しましょう。

休みの日や本業の勤務後の時間に仕事をする副業は、体力的な負担もかかります。短期間ならできても、長期に渡ると疲弊感が増すこともあるでしょう。
60代で嘱託社員となって業務の負担が減り残業もなくなって、時間的な余裕を感じるケースならどうでしょうか。

「月給が減った分、副業でお小遣いくらい稼ごう」「65歳まで嘱託で働くつもりだが、その後は趣味を活かしてフリーランスで多少でも収入を得たい」といった思いから、副業を始める60代の方もいます。

本業にプラスして「副業」ですから、当然ながら収入は増えます。本業で「3万円の昇給」はなかなかありませんが、副業で毎月3万円を稼げる可能性は低くはありません。追加の収入を得られる、また、その業務が将来的に自分のやりたいことにつながっていればキャリアアップや実績にもつながるメリットがあります。
参考:在宅副業おすすめ

個人事業主とフリーランスの違い

フリーランスは非常に幅広く使用されており、解釈もさまざまです。なお、内閣府は以下のように定義しています。
フリーランスの定義として、①自身で事業等を営んでいる、②従業員を雇用していない、③実店舗を持たない、④農林漁業従業者ではない者としており、法人の経営者を含む。
引用:日本経済2021-2022/内閣府
個人事業主もフリーランスと言えますが、税務上の区分があります。税務署に開業届を提出した人を個人事業主と呼びますが、個人事業の開業届書の提出対象である人も含まれます。
参考:フリーランスと業務委託の違い

ポイント2:副業・複業・パラレルワーカーの違いとは

副業

通常の仕事をしつつ、追加で別の仕事をすることを指します。副業は、主に収入の増加やスキルの獲得、興味の追求などを目的として行われます。主な収入源となる業務に影響を与えない程度に行われます。
参考:おすすめの副業

複業

複数の仕事を同時に行うことを指します。これは、副業よりも広い概念であり、通常、複数の仕事を主要な収入源としています。複業は、時間やスキルを異なる仕事に分配することで、収入の安定性を向上させたり、多様なスキルを活用することができます。

パラレルワーカー

異なる分野や業種で、複数の仕事を同時に行う人を指します。パラレル=並行ですから、いくつかの異なる業務を並行して行うこと、一般的には「複業」と同じ意味合いで使われています。

多様化する働き方とセカンドライフだから「自分で選ぶ」

改正高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保(義務)と70歳までの就業確保(努力義務)が定められました。

今の60代は昔と比べて健康で元気、アクティブです。少子高齢化の影響もあり、今まで以上に「働きたい人は、長く働ける環境」が整ってくることでしょう。

今日の社会では、働き方がますます多様化し、セカンドライフとしての新たな可能性が広がっています。定年後や60歳を超えても、自分自身の人生設計や価値観に応じて、新たな働き方を選択することが重要です。

正社員、フリーランス、起業家、派遣社員など、様々な選択肢がありますが、それぞれにはメリットとデメリットが存在します。本記事ではごく簡単に働き方をご紹介しましたが、自分らしい生き方を実現するために、自らの選択肢を積極的に探求していきましょう。

あなたの「60歳から始まる未来への第一歩」を応援します!

参考:
さまざまな雇用形態/厚生労働省
65歳までの雇用確保 (義務) 70歳までの就業確保 (努力義務)/厚生労働省
知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~/厚生労働省

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