MFLP・LOGIFRONT東京板橋内に「板橋ドローンフィールド」が誕生!ドローン産業の未来を担う新たな拠点

新たなドローン産業を創出!  MFLP・LOGIFRONT東京板橋内に誕生 板橋ドローンフィールド
板橋ドローンフィールドが2024年10月2日に盛大に竣工し、ドローン産業の発展を担う新たな拠点が誕生しました。

板橋ドローンフィールド

物流 大型ドローン

東京23区内最大級の物流施設であるMFLP・LOGIFRONT東京板橋内に位置する本施設では、最先端のドローン技術の研究開発が進められ、未来の空の産業を創出していくことが期待されます。本記事では、会見や最先端のドローン技術が披露された内覧会、実際にドローンが飛び交うデモフライトの様子などを詳しくご紹介します。

「新たな時代が幕を開けた」板橋ドローンフィールド (MFLP・LOGIFRONT東京板橋)

板橋ドローンフィールド

板橋ドローンフィールドがあるMFLP・LOGIFRONT東京板橋は、都心でありながら広大な敷地を有する工業地域に位置しています。周辺には大型倉庫が並びますが、一方で、荒川河川に隣接した舟渡水辺公園に囲まれているため、豊かな自然と最先端の大型施設が調和した印象的な空間となっています。
 
この新しい施設において、2024年10月2日、竣工記者説明会が開催されました。説明会の冒頭では、日鉄興和不動産の加藤由純執行役員、三井不動産の篠塚寛之執行役員が施設の概要について説明。続いて、板橋区の坂本健区長から本プロジェクトへの期待が述べられました。
 

三井不動産の篠塚氏、日鉄興和不動産の加藤氏、坂本区長。


本施設は、かつて日本製鐵の製鉄所として利用されていた土地を、日鉄興和不動産と三井不動産が共同で開発したものです。

加藤執行役員は、本プロジェクトを「地域再生事業」と位置づけ、地域住民の暮らしを豊かにするとともに、災害時には防災拠点として機能させることを目指したと説明します。物流施設のテナントであるヤマト運輸、板橋区、三井不動産、日鉄興和不動産の4社による災害協定書を締結したことも発表されました。
 
一方、篠塚執行役員は、本施設が街づくり型物流施設の集大成であると述べるとともに、ドローンという次世代モビリティに注目し、不動産デベロッパーの枠を超えて産業デベロッパーとして、社会的課題の解決に貢献する目標を掲げていることに触れました。

これまで個人での使用や、産業活動でも限定的な使い方としての印象があったドローンについて、「国内メーカーによる開発が活発化し、今後は都心での物流、点検、災害支援といった領域での可能性が期待されている。市場規模も大きく成長していくと予想される」と語る篠塚執行役員。ドローン分野の実験/研究・教育/人材育成・連携/コラボレーションという、3つの機能を提供していくと続けました。(これらについては、記事の後半でより詳しく取り上げます。)

最後に坂本区長は、「この施設が水害・災害に強い街づくりに貢献するとともに、区民が憩える広場や緑道も備えていることで、地域全体の活性化に繋がるのではないかと期待する」と述べました。

ドローン実演が示す無限の可能性


会見後には、広大な倉庫を舞台に、ドローンによる実演デモンストレーションが行われました。


照明を落とした暗闇の中、非GPS環境下での点検に特化した、球体型のケージを装着したELIOS3が線を描くように安定した自律飛行を披露。その未来的なシルエットと飛行能力は、大きなインパクトを与えました。


板橋ドローンフィールド

また、物流用大型ドローンが、設置されたドローンポートから離着陸するダイナミックなデモンストレーションも実施され、その高い機動性と運搬能力をアピールしました。


このデモンストレーションでは、ブルーイノベーション株式会社熊田貴之代表が板橋ドローンフィールドの施設について説明を行いました。

さらに一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)鈴木真二理事長、三井不動産株式会社ロジスティクス事業部小菅健太郎氏が登壇し、挨拶をしました。

外壁や太陽光パネルの状態を空から点検

飛び立つMatrice300RKT


実演後は、施設内にある『あおぞら広場』に移動し、ドローンによる点検の実演を見学しました。Matrice300RKTという機種が使用され、建物の外壁や屋上の太陽光パネルの状態を空から点検する様子が披露されました。

太陽光パネル点検の様子


ドローンは力強い音を立てて垂直に上昇し、すぐに視界から消えてしまうほど高い位置まで上がっていきます。地上からは確認できない太陽光パネルの細かな部分までもがモニターを通して鮮明に映し出され、ドローンの活躍に驚かされました。

東京23区で空飛ぶ未来が始まる!ドローン実験場の全貌

板橋ドローンフィールド

板橋ドローンフィールドの素晴らしい点は、最先端の物流施設でありながら、緑豊かでリバーサイドならではの開放感があるところ。

約600m続く緑道には、周辺地域の在来種を基本とした四季折々の植栽が配置されています。今後はさくら並木も整備されるそうですが、はなの広場もあり、ボーネルランド監修の遊具が設置された子ども向けの「わくわく広場」もあります。

ボーネルランド 広場 遊べる

わくわく広場 内覧会当日も親子連れがにぎやかに遊んでいた。


では、実際に見てきた施設・設備や、内覧会での説明など詳細をレポートします!

 ドローン飛行施設「ネットフィールド」と「ドローンラウンジ」

板橋ドローンフィールド

フットサルコートにもなるネットフィールド


まずご紹介するのは、ドローンのフリー飛行が可能な「ネットフィールド」です。

板橋ドローンフィールド ネットフィールド


こちらは5面が高さ約14mのネットで囲まれているため、「屋内扱い」施設として、初心者の方でも安全にドローン飛行を楽しむことができます。川沿いの立地を生かし、自然環境下での実践的なフライト訓練が可能です。
 
なおネットフィールドはドローンの飛行場としての利用のほか、フットサルコートとしても使用できるようになっているそう。どこまでも住民に寄り添う、施設の持つコンセプトが実現されています。
 
KDDI ドローンスクール 板橋区

ドローンラウンジ、明るく広々としている


ネットフィールド近くの施設入口は、ドローンラウンジに続いています。大型モニター付き会議室も併設されており、ドローンビジネスの展開に向けた交流の場としても活用できるそう。

また、施設屋上には、ドローンの自動操縦・自動充電を行うドローンポートが設置され、ドローン物流の実現に向けた取り組みが進められています。

ドローンポート 東京都

ドローン人材育成の拠点「KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校」

引用:KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校公式サイト

本施設には、東京都初になる「KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校」が開校し、ドローン人材の育成も行います。前述したネットフィールドを、飛行練習場として活用します。

国家資格取得コースをはじめ、順次、運航管理、測量、目視外点検、物流、撮影、外壁点検など、ドローンに関する多岐にわたる専門コースが提供される予定です。ドローン業界における人材育成の拠点として、大きな役割を担うことが期待されます。

>KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校の詳細はこちら

研究・実証実験としての板橋ドローンフィールドを利活用


今後はこうした施設を用いて「三井不動産東大ラボ」での共同研究が行われる予定です。具体的には、GPSに依存しないドローン位置特定技術の開発や安定飛行の研究、高層マンション等におけるドローン垂直配送の実現性検証などです。
 
また、ブルーイノベーションによる、長距離/長時間・自動航行に対応する高性能ドローンポートの開発事業も行われるそうで、こちらは経済産業省の中小企業イノベーション創出推進事業に採択されています。

都心でこのような高度な実験ができる環境が整ったことは、ドローンの技術開発を大きく進める上で、非常に重要な一歩となるのではないでしょうか。

ドローンコミュニティの創出とコラボレーション

コラボレーションについてですが、板橋区、ブルーイノベーション、JUIDAによる連携のもと、災害時におけるドローン活用に関する協定が締結されています。

また、会員制ドローンコミュニティも創設され、様々なセミナーやイベントの開催を予定しています。

スタートアップ企業、大学、公的機関などが参画し、「実験・研究」「教育・人材育成」「連携・コラボレーション」の3つの活動を軸に、業界の垣根を越えた連携で、ドローン産業のオープンイノベーションを推進していきます。

板橋ドローンフィールドの今後の展望とは

非GPS環境での安定飛行をするドローン


板橋ドローンフィールドは、ドローン技術の発展に貢献するだけでなく、物流業界の課題解決や地域社会の活性化にもつながることが期待されています。たとえば、災害時の物資輸送や、都市部におけるラストワンマイル配送の効率化などが考えられます。
 
しかし、ドローンの実用化には、まだまだ多くの課題が残されています。人材育成や安全性確保、法規制の整備などが求められています。板橋ドローンフィールドは、これらの課題解決に向けて重要な役割を果たしていくことが期待されます。
 
板橋ドローンフィールドは、地域住民、企業、そして行政が一体となって、より良い未来を創っていくための拠点です。ドローンという最先端の技術を通じて、地域社会の発展に貢献していくことでしょう。

三井不動産株式会社 篠塚寛之執行役員にお話を伺いました

竣工記者会見で、三井不動産が「産業デベロッパーをめざす」という意向を示したことは非常に興味深かった点です。従来の不動産デベロッパーとしてのイメージが強い同社が、なぜ「産業デベロッパー」という新たな目標を掲げるようになったのか、その背景について、伺いました。
 

篠塚執行役員(三井不動産株式会社ロジスティックス本部長 執行役員)

弊社は、これまで不動産を通じて社会に貢献し、社会課題の解決を目指してまいりました。たとえば、不動産事業を通じて社会のニーズに応えることで、企業としての価値を高めてきました。
 
このたび、さらにその取り組みを加速させ、不動産デベロッパーの枠を超えて、産業デベロッパーとして新たな一歩を踏み出そうとしています。
 
具体的には、宇宙やライフサイエンスといった分野での事業展開を進めてきたように、ドローンという分野にも注目し、新たなビジネスモデルを創出したいと考えています。
 
今回、都内初となる物流施設併設型の『板橋ドローンフィールド』が、その第一歩となることを期待しています。この施設を通じて、ドローンを活用した新たな産業を創出し、社会の発展に貢献していきたいです。

ドローンがつなぐ未来に期待

板橋ドローンフィールド

板橋ドローンフィールドは、ドローン技術の研究開発から実用化まで、一貫して取り組むことができる、国内でも類を見ない施設です。この施設を通じて、ドローンが私たちの生活をより豊かにする未来が来ることを期待しましょう!
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