この記事では、現代の子どもたちや、さらにその子どもたちの世代に対して大きな影響を及ぼすことが予想される世界の総人口の増加が、どのような推移をたどり、2100年の時点でどのような変貌を遂げているのかということについて解説していきます。
1.2100年の世界人口を国連が予測、人口バランスに変化
2017年6月、国連が「世界人口予測」として最新の人口予測を発表しました。その報告によると、毎年約8,300万人の人口が増えることで、2050年には総人口が98億人、2100年には112億人にまで達すると予測されています。2017年時点での世界総人口は76億人ですから、2100年までのあいだに36億人も増えるというのです。
このような数字は、冒頭で述べた日本の人口の減少傾向からは大きくかけ離れているように思えるでしょう。しかし、アジアやアフリカの人口増加の勢いは、一部先進国の人口減少の勢いを上回るものと予想され、世界総人口の増加に大きな影響を及ぼすと考えられているのです。
では、世界総人口が112憶人に達するまでの90年間に、世界の人口バランスはどう変化するのでしょうか。
2030年には、世界総人口の50%以上を占めるアジアの総人口が緩やかに減少しながらも、アフリカの総人口が世界総人口の20%まで到達し、世界人口の増加が加速します。
2060年にはさらにこのような傾向が顕著になり、アフリカが28%、アジアが52%を占めるようになり、世界の人口バランスが「アジア・アフリカ時代」に突入するといわれています。
そして2100年には、アフリカが39%、アジアが44%、つまり両地域に世界総人口の80%近くが集中するのと同時に、世界の総人口が112憶人に達すると予測されています。
2.112憶人の理由と世界全体への影響
次に、国連経済社会局の「世界人口予測」で世界総人口が112憶人を記録する理由について考えていきます。
先進国では高度医療が発達し、平均寿命が伸びるものの、出生率の低下にともない総人口が減少するとみられていますが、これは日本でも例外ではありません。
一方、インドやアフリカ諸国をはじめとした発展途上国では、現時点でも出生率が軒並み高いうえ、医療技術の向上により平均寿命が伸びるので、人口増加の勢いが加速すると考えられます。
以上のことを踏まえると、先進国の人口減少を上回るほど、インドやアフリカ諸国における人口増加傾向は顕著となり、2100年に世界総人口が112憶人に達する大きな理由の一つといえます。
世界総人口の増加がどのような影響を与えるかについても考えてみましょう。現在、世界全体における高齢者の割合は12%を超えています。この割合はさらに増加し、2050年には15歳未満の子どもと60歳以上の成人が同数になり、労働人口の減少による社会生活全体への影響と、人口増加が集中する最貧国での飢餓が懸念されます。
3.日本における人口の変化とその影響について
世界の総人口が112憶人に向けて加速する中、日本の人口変化とそれにともなう影響について解説していきます。
社会問題としても取りざたされるほど、日本の出生率が低下しています。一方で、長寿大国ともいわれる日本人の平均寿命は、男女ともに毎年80歳前後を記録しているので、平均寿命が今後横ばいになると予想されます。
出生率の低下に歯止めがきかない以上、医療技術の進歩とともに、さらに平均寿命が伸びることを考慮したとしても、日本の総人口は減少すると考えられます。
推測によると、現時点で日本の総人口が1憶2500万人前後であるのに対し、2100年には8500万人にまで減少すると考えられています。
しかし、日本では2050年頃に高齢者人口の増加がピークに達し、徐々に減少していく可能性が指摘されています。
日本では労働人口が大幅に減少したことで、労働力人口の不足におちいるとみられています。高齢・女性の労働者が増えているのにもかかわらず、日本経済全体の「需要」が「供給」を下回り、GDP(国内総生産)が激減します。つまり、日本は経験したことがない不況へ突入するとされているのです。
まとめ
今回は、国連経済社会局が発表した「世界人口予測」に基づき、世界総人口の増加推移とその原因を考察するとともに、日本における総人口の変動と影響について解説しました。
世界の総人口が112憶人に達するとみられる2100年までに、アフリカやアジア地域で集中的に人口が増加し、労働人口不足ばかりか深刻な飢餓の蔓延が指摘されています。
一方、日本では大幅な出生率の低下を理由に人口減少が加速し、GDP(国内総生産)も底を打つといわれています。
世界はよりグローバル化を進めると予想されます。これからの時代を生きる現代の子どもたちは、世界総人口の増加に無関係ではいられません。国内外の人口推移が、将来的に子どもたちの生活に大きな影響を及ぼすことは明白です。
私たちの世代は、このような世界規模の変化に対応できるよう、子どもたちにどのようなことを教える必要があるのか考える必要があるはずです。