プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

民間教育だからこそのスピード感で日本のプログラミング教育を引っ張る!全国学習塾協会 会長安藤大作さん

学習指導要領の改訂に伴って、2020年から小学校でも導入されるプログラミング教育。学校教育が大きく変わろうとしている今、塾などの民間教育も大きな転換期を迎えています。これからの民間教育のあり方、そして民間教育がプログラミング教育に果たす役割について、公益社団法人 全国学習塾協会 会長の安藤大作さんにお話をお伺いしました。
(インタビュアー:GMOメディア株式会社 代表取締役社長 森 輝幸)

いまこそ民間教育が一致団結して取り組むべきとき

――まず、全国学習塾協会とはどのような団体なのですか?

​​​​ご存知かとは思いますが、学習塾を開くためには特別な許認可を受ける必要はなく、私たちのような協会に加盟する義務もありません。もともと塾経営に携わる方の中には、組織に属する意識が希薄な方が多いのも事実です。1970年代、80年代の学習塾の黎明期などは、ただ子どもが集まればいいという風潮があり、これといったルールもありませんでした。しかし時代が変わり、塾産業が成熟するにつれて、社会の一翼を担う責任をもってコンプライアンスにも高い意識を持つ必要が生まれました。
 
「学習塾協会」はすでに30年の歴史を持つ、塾団体の中では唯一の公益法人です。受験戦争が激しくなり学習塾が盛況を迎えた時代に、経済産業省(当時の通産省)からの要請も受けて、法令遵守に向けて業界内努力を促進するためにできたのが始まりです。塾の団体としては最も規模が大きく、私は6代目の会長にあたります。今や学習塾は子どもの成長を支える一大産業にまで登りつめました。巨大化した塾市場の中における私たちの使命とは、大手も個人塾も関係なく一丸となって、民間教育機関として社会が求める務めを果たすことだと考えています。学校外での子どもの居場所として民間教育機関の果たす役割は大きく、学校では学びきれないことを深く、また幅広く学べる場として社会に貢献してきました。
 
昨今は、スポーツ教室で算数や国語を教えたり、学習塾でもそろばんを教えたりするなど、習い事の垣根がなくなってきています。協会としては、いわゆる5教科(国語、数学、理科、社会、英語)だけでなく、ピアノやそろばんなど他の習い事も含めた「民間教育」という大きな括りで、課題多き未来にたくましく生きていける子どもたちを育むために、学校教育だけでは対応しきれないレベルを、国や社会の未来のために挑戦していく気概も求められています。そして、今こそ私たちが取り組むべきなのがプログラミング教育です。


――もともと個人塾を経営されていた安藤さんは、どのようなきっかけで団体に関わるようになったのですか?

​​​​私は両親と疎遠だった生い立ちから人生の方向性に悩んだ時期も長く、出口を求めて無我夢中で行動していました。しかし思い方考え方で人生の主人公は自分であり、自分次第で無限の可能性が広がっていくことを実感しました。そこで、未来ある子どもたちにも勇気と積極的姿勢で人生を歩いて行ってほしいと思い、開塾しました。しかし運営が順調に進むうちに、自分のような人間が先生と呼ばれることに疑問を感じ始めました。そんな時にこういう協会があることを知り、もっと広く深く社会に貢献したいという思いに駆られて入会しました。当時、業界団体は利害関係や感情論など様々な要因からまとまりきれない状況がありましたが、私は入会の目的が社会奉仕そのものでしたから、塾の大小の規模問わずの連携に奔走し、民間教育全体で社会に一定のプレゼンスを示していけるように、そのことでより良い社会や未来を作っていく一助になれればという思いで現在も活動しています。
 
私自身、18歳を筆頭に3人の子どもを持つ父親です。自分の子どもたちの将来に思いを馳せると、今の社会が抱えている問題や、未来への不安を強く感じずにはいられません。今の日本社会に足りないのは、より良い未来を作り出すための「ソリューション(解決策)」だと思います。課題多き未来に生きる今の子どもたちが身につけるべき力こそ「課題解決力」であることは言うまでもありません。しかし、多くの人は日々生ずる目の前の課題を解くことだけに精一杯になっていますが、大切なのは10年後、20年後の課題を想像し、解決策を創造する力を育むことではないでしょうか。教育とは、人がより良く生きるためにはどうすればよいか、という課題を解決する力を与えることに他なりません。
その目的からもプログラミングの知識は、これからの時代にまさに不可欠な素養だと思います。コンピューターやロボットなどのサービスを自分が利用するだけではなく、自らそのサービスや仕組みを作り出すことで、よりよい人生や社会にするという、明確な意志を持った人間を育てることが、私たちに与えられた使命だと思います。

プログラミング教育はこれからの社会が求める「実学」


――2020年から小学校で導入されるプログラミング教育は、どのような役に立つのでしょうか?

​​​​小学校で導入されるプログラミング教育とは、なにも難しいコンピューター言語を学ぶわけではなく、情報を活用する能力を養うことが目的です。すなわち、問題の解決には手順があること、思考力、判断力、表現力、そしてそれらの知識を生かしてよりよい人生や社会作りを志すような人間の育成がねらいです。ですからプログラミング教育という授業を行うのではなく、算数や理科などの既存の教科にその手法を取り入れるというスタイルをとるわけです。
 
保護者の方々自身はこのような教育を受けていませんから、疑心暗鬼になるのも当然でしょう。しかし、その傾向も少しずつですが変わりつつあると感じます。私は日本PTA全国協議会の副会長をしておりましたが、少し前までは、子どもにスマートフォンは絶対に持たせない、という親御さんが大半でした。しかし現在では、テクノロジー弱者にならないよう、その利点や危険性をきちんと学ばせたうえで使わせるほうがよい、という考え方が主流になってきています。プログラミング教育も同じだと思います。最初は何の役に立つのか想像もつかないから、保護者の方々も否定的でしょう。しかし浸透するにつれて、その必要性は必ず理解されると考えています。

――プログラミング教育に果たす民間教育機関の役割とは、どのようなものでしょうか?

​​​​学校教育は例えれば大きな船のようなものです。潮の流れが少し変わったからといって、細かに舵をきることはできません。常に学校教育法はじめ多くの教育法に基づくよう求められており、移り変わりの激しい社会のニーズに丹念に応えるのは容易なことではありません。しかし現在、社会環境は目まぐるしく変化しています。これから日本は人口が減少して極端な高齢化が進むという、今まで経験したことのない時代に突入します。そんなときに過去の教育をそのまま行っていては、社会そのものが麻痺してしまうでしょう。そんな社会のニーズと公教育の限界とのギャップを埋める存在こそが、民間教育機関だと思います。
 
私の考えでは、プログラミングの知識は手段や部品などではなく、いずれ社会のベースになるものではないかと思います。例えば江戸時代には、文字を読める人はまだそれほど多くはありませんでした。いってみれば当時の識字率は、今のプログラミング知識の浸透率に相当するかもしれません。明治時代に入って急激に識字率が上がったのと同様に、プログラミングの知識が当たり前のようになる時が必ずやってくると思います。今の子どもたちが大人になった頃の常識は、私たち世代の常識とは違っていることでしょう。昔の日本では算術が生きるために欠かせない、いわば「実学」であったのと同様、プログラミングはいずれ重要な「実学」になると思います。

民間のフットワークの軽さとスピード感を生かした教育を

――民間教育が学校教育に勝るのは、どのような点でしょうか?

​​​​スピード感と柔軟性でしょう。民間である限り経営として成り立たせなくてはいけませんから、社会の流れや保護者の要望に合わせて、日々柔軟に対応することが求められます。また、いつまでも同じことを続けていてはダメで、まだ見ぬ未来のために挑戦するマインドを持っていなければなりません。私たちは学校教育を否定する立場ではなく、むしろ学校教育と民間教育の垣根を越えて、時代の変化に立ち向かわなければいけないと思っています。それほど今の子どもたちが置かれている状況は、緊迫しているということです。
 
今回の新学習指導要領の内容には私も賛成です。ただしこれはあくまでも方針であって、学校の先生たちがすぐに対応できるのか?という疑問は残ります。そこで、学校では対応しきれない部分を、比較的融通の利きやすい民間教育が補っていくべきだと考えています。例えば、学校で泳ぎ方を習っただけではオリンピックに出られませんよね。学校の音楽の授業だけ受けていてもプロの音楽家は生まれないでしょう。入り口は広くあるべきなので、公共教育で体験する機会が与えられることは好ましいと思います。しかし、より追求したくなったときに受け皿となるのは民間教育機関だということです。
 
プログラミングも同じで、学校の授業で触れて興味を持ったお子さんたちが、もっと深く知りたいと思ったときに学べる場所として、民間の塾や教室の体制を整える必要があるでしょう。

――今後、プログラミング教育が浸透するには、どのようなことが必要でしょうか?

​​​​プログラミングという文化が深く社会に浸透するには、まず入試や採用試験など評価が変わる必要があるでしょう。入試問題が変われば、教育現場も自ずと変わってきます。そうすればプログラミング教育に対する保護者の意識も変わりますから、民間教育へのニーズも変わります。今のところ昔ながらの学習塾ではいまだに定期テストの対応に追われ、プログラミング教育への対応には慎重な姿勢を見せています。塾に関して言えば、よほどの挑戦マインドのあるところしか、まだ取り組んでいないのが現状です。
 
実際のところ、プログラミングそのものを塾の先生方が教えるのはハードルが高いですから、どのような方法で取り入れるのかについては私たちも試行錯誤の最中です。また同時に、経営が成り立つような仕組みも必要です。せっかく未来に向けた挑戦マインドで取り組もうとしても、経営が成り立たなくては継続することができません。その点では、国として課題多き未来に子どもたちを送り出すための国策としてのプログラミング教育ならば、新しい試みを積極的に取り入れる民間教育機関に対して、国からの助成金などの援助に期待します。
 
これからの教育は「何を知っているか」ではなく、「何ができるようになるのか」という中長期的視点が重要になってきます。まずは塾の先生方が、そのようなビジョンを保護者の方に語れるようにならなければいけません。民間教育機関のスピード感と挑戦マインドがこれほど試されている時期は、過去にはなかったでしょう。学校では網羅できない部分を補い、国の大切な教育資源の一部として社会への役割を果たすことができるよう、これからも私たちは常に学び続け、進化していく所存です。

編集部コメント

教育とは、よりよい人生や社会を目指してソリューションを見つられるような人材をつくること、と強く言い切る安藤さん。時代のニーズに沿って大きく変わろうとしている公共教育が網羅できない部分を補うべく、持ち前のスピード感と挑戦マインドで、柔軟に時代に対応する民間教育の気概と可能性を感じました。

プロフィール
安藤大作(あんどう だいさく)

1991年大学卒業と同時に8畳一間で安藤塾を開業。広告宣伝もせず口コミだけで圧倒的な人気を誇り、地方都市でたった1人で何百名もの生徒を集める名物塾へ。両親と疎遠だった自身の生い立ちから子供の心理、親の心理、親子の心の通い合いに鋭く踏みこみ、大勢の生徒の師として独特の指導を展開する。保育園も2園経営、地域サッカークラブも創設し、子供を取り巻く環境すべてが教育、と様々な教育シーンで活躍する。
2012年にはフォレスト出版より「欠けた心の磨き方」を出版。その後月刊誌「致知」にも特集され、テレビやラジオ、雑誌などでも特集される。地元FM局ではおよそ2年間、自身のレギュラー番組も放送。

2013年公益社団法人日本PTA副会長就任。
2013年より公益社団法人全国学習塾協会の会長も務めている。
株式会社Believe代表取締役
社会福祉法人むげんのかのうせい理事長

安藤大作公式ホームページ
http://www.believe.jpn.com/ando/



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この記事を書いた人


工樂真澄

国立研究機関での研究生活を経て、現在は小中高生の理科に関するお仕事と、サイエンスライターとして活躍中。『最新の科学を誰にでもわかりやすく!』をモットーに、日々研鑽しております。博士(理学)。

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