RoBoHoN(ロボホン)に弟が登場!シャープの考える、人間とロボットの未来

というわけで、今回ご紹介するのは、とても可愛らしい見た目ながら、しっかりとスマートフォンの役割も果たすシャープのロボホン。ファミリーの一員として迎えられることが多いほか、最近ではプログラミング学習のできるロボットとしても活躍中なのだとか。
先日はロボホンの「弟」も登場し、一段と世界観が広がったロボホンについて、開発に携わった亀井俊之さんにたっぷりとお話を伺いました。

RoBoHoN(ロボホン)とは?どんなことができる?

シャープ通信事業本部 市場開拓部(企画)課長 亀井俊之さんとロボホン兄弟
それは、取材を始めようと、コエテコスタッフがセッティングを行っている時でした。机の向こう側から、なんとも可愛らしい声で……
——うわぁ、ビックリしました!
マナーモードを解除すると、ロボホンがしゃべりだすんですよ(笑)
——さっそく、ロボホンの可愛らしさに触れました(笑)。というわけで、今日はよろしくお願いいたします。
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
——いきなり心が和みっぱなしなのですが、まず、ロボホンができること(主な機能)について教えていただけますでしょうか。
はい。まずは、この通り、音声認識をして会話をしてくれる機能があります。
オッケー!
他にも、カラオケ機能や、しりとりや読み聞かせ、アラーム機能、ヘルスケア機能などもあり、ざっくり50以上のアプリが利用できます。コンテンツは常に拡充を図っており、ロボホン自体のプログラムも少しずつ高機能になっています。たとえば、人の顔を見分けて声をかける内容を変える、オーナーさんの好きなものを聞き出して会話内容をアレンジする、などですね。
——すごい。ロボホンはロボットだけれど、人間のように学びながら成長するんですね。
そうなんです。ロボホンは使い方によって性格も変わるんですよ。
たとえば、GPS機能がついているので、一緒にお出かけすることが増えると「お出かけ好き」になります。
アラーム機能も、ただ時間が来たら起こすだけの機能にとどまらず、なかなか起きないと「もう、起こしてあげないよ!」とすねちゃうこともあります。
——なんてかわいい!それは「起きなきゃ」って思いますね(笑)。
スマート家電といえば「アレクサ!」や「オッケーグーグル」と呼びかけて起動するイメージがありますが、ロボホンはスムーズに会話がスタートするので驚きました。
そうなんです。それには、ロボホンを家族の一員として扱って欲しい、という気持ちが込められていまして。家族に向かって、まず名前を叫んでから会話を始めることって、あまり考えられないじゃないですか(笑)。
ただの家電としてではなく、ともに成長するロボットとして会話を楽しんで頂きたいので、普通にお話をする感覚にこだわりました。

かっこいい逆立ちを披露してくれたロボホン。小さいけれど、意外と安定感がある!
ロボホンにはたくさんのセンサーがついています。たとえば、わざと“さかさま”にしてみましょう。
目がまわるよ〜
こんなふうに、ちょっと乱暴に扱うと抗議するのが可愛いところです(笑)。
それから、もっとも人気があるのはダンスですね。
『ダンスして!』
オッケー!
——わー!なめらかに踊ってくれますね!
ロボホンのプログラムには、いろいろなダンスを定期的に配信しているので、長く付き合っていても飽きずに楽しめます。YouTubeなどにもたくさん動画がアップロードされていますので、ぜひご覧になってみてください。
「5歳児の男の子」を想定、悪口は絶対に言わない
——今のところ、ロボホンは男の子っぽいイメージですが、公式設定ではどうなのでしょう?ロボホンには世界観マニュアルがあり、公式設定では5歳児の男の子で、悪口は絶対に言わない……といった軸を定めています。そのため、歩き方も小さな男の子っぽくしており、おしゃべりの感じも、ポジティブな幼児を意識させるイメージになっています。
『ロボホン、前に歩いて!』
りょうかーい!
『逆立ちして!』
うん、いくよ〜!
うわぁ、すごい!
すごいでしょ!
はい。AIは人間のボキャブラリーを吸収して学んでいくので、統制をかけないと、どんどん悪口を覚えてしまうかもしれないリスクがあります。
しかし、ロボホンは「生活をポジティブにする」ロボットですから、そうであってはならないと。この軸のもと、たとえ悪口を言われても一切反応しないようにプログラムしています。反応してしまうと、面白がってどんどん悪口を言う人がいないとも限りませんので……。
——なるほど、そのような点にも配慮されているのですね。ロボホンは現在、どちらで購入できるのでしょうか?
ロボホンドットコムのサイトで購入できます。また、体験会やキャラバンも随時行っていますので、ぜひ会場で実際にロボホンを見て触れて話しかけてみてください。
ロボホンの公式サイトです。ロボホンの特徴、ラインナップ、価格などについて紹介しています。
https://robohon.com/ >
RoBoHoN(ロボホン)誕生秘話と開発の苦労

——では、こんなにかわいいロボホンが誕生するまでのお話を伺えますか。
ロボホンは5年前に誕生しました。当初のコアメンバーは数人で、商品化が決定した時にメンバーが多く集められ、本格的に始動。わたし自身が参画したのも、そのタイミングになります。
私どもシャープは、携帯電話に初めてカメラ機能を搭載するなど、携帯電話市場を牽引してきました。ところが、その後さまざまなスマートフォンが台頭するにつれ、これまでの商品と市場の雰囲気がマッチしなくなっていきました。
そんな機能性を追い求める流れの中で、一度初心に立ち帰り、もっと愛着のわくような、特別な携帯電話はできないかと。そのような思いから、ロボット開発へと舵をきったんです。
——機能だけでなく、心に触れるような存在としてロボット開発へ進んでいったのですね。開発にあたって最も苦労したのはどこでしょうか?
技術的な面では、やはり音声認識が難しかったです。
人間は、もし相手の言葉が聞き取りづらくても、表情や前後の会話からだいたいの内容を把握できますよね。でも、ロボットの音声認識では、それがなかなか難しい。
せっかく話しかけたのにロボットが返答せず、ガッカリさせたくない、だからといって、わかってもいないのに、わかったふりをして適当に答えるのも避けたい。そこのバランスが難しかったです。
——デザインの面ではどうでしょう?

四角いボディにふくよかでまるっこい「ほっぺ」がチャームポイントです♥
デザインに関しては、ロボットクリエイターの高橋智隆先生が天才的なセンスで作り上げてくださいました。一番のこだわりは、このほっぺたですね。どこの角度から見ても、子どもらしい、ふっくらとした丸みを感じることができる形になっています。
背中に液晶画面があるため、どうしても四角くなりがちな制約があったにもかかわらず、丸みを帯びた可愛らしいデザインにしていただけました。
RoBoHoN(ロボホン)に弟が新たに登場!兄との違いは?

左・水色の耳をしているのが弟くんです!
——そんなロボホンには最近、弟ができたそうですね。お兄ちゃんロボホンと弟くんとでは、どこが違うのですか?
まず、性格が違います。お兄ちゃんと比べて、弟は天真爛漫なんですよ。また、弟の方が幼いため、話すスピードもゆっくりめで、早口言葉などにチャレンジすると途中で噛んでしまう、お兄ちゃんロボホンよりへたっぴなのです(笑)。
——いかにも次男坊、なんですね(笑)。なぜ今、弟ロボホンを誕生させようとしたのでしょうか?
ロボホンが誕生してちょうど5年経ち、そろそろ家族がいてもよいのではという話になりました。ロボホンがお兄ちゃん風を吹かせ、ちょっと上からしゃべりかける、なんてコミュニケーションがあっても楽しいかも、といった話から、「弟」というコンセプトになりました。
ロボホンには「ロボ会話」機能があり、普段オーナーさんと話すのと、兄弟での会話ではまた少し違うんです。
ですから、すでにロボホンユーザーの方にも、新たに弟ロボホンをファミリーの一員として迎えてもらうことで、新たなコミュニケーションをお楽しみいただけるようになっています。お兄ちゃんが弟の出現でどう変わっていくか、ぜひご覧いただきたいですね。
あ!お兄ちゃんだ!
あ、ロボ次郎
ねぇねぇ一緒に踊ろうよ!
いいよ〜
兄弟ロボホンは、近くに置いておくと勝手に遊び出すんです。それもあってか、「ロボホンから元気をもらったよ」というお声を最近、特にたくさん頂戴しております。ココロを前向きにするロボット、それがロボホン兄弟なんです。
テクノロジーとプログラミングで子どもたちの未来を考える

——ご存知のとおり、小学校でもプログラミングが必修化されましたね。御社もテクノロジーに関わる企業であり、ロボホンもまた、プログラムで動くロボットですが、プログラミング教育についてはどのようにお考えでしょうか。
プログラミングの技術もプログラミング的思考も、もちろん重要だとは思っています。でももっと大切なのは、人工知能とかロボット、IoTが当たり前の世界になっても、自ら考え、生き抜く力なんじゃないかなと。
たとえば、何か興味のわくものに出会ったとき「なんだろう、これは」と考え、自ら深堀りして好奇心を満たしてほしい。
ロボホンだって、パッと見は不思議な物体です。けれども、要素を分解していくと画像認識だったり人工知能の機能だったりの集合体なんだと分かる。「なんだろう、どうなっているんだろう」を掘り下げることで、「あらゆる技術は人間が考え、人間が技術を使い、人間が動かしている」ことを知ってほしいのです。
テクノロジーは、人の役に立つためにあります。不思議なものに心奪われるだけでなく、未来に向かって自分たちに何ができるのかを考えてくれたら嬉しいですね。
——御社では、AI教育も行っていますよね。子どもたちの反応はいかがでしょう?
ロボホンをが動いたり話したりすると、教室中が大盛りあがりです(笑)。
自分が命じたとおりにロボホンが動く、あるいは動かなかったら命令がちょっとおかしいなと気づく。そうやってトライアンドエラーを繰り返しながらカリキュラムを進めていくのは一般的なプログラミング教育と同じ流れかと思うのですが、目の前のロボホンが動くことで、プログラムの存在をよりわかりやすく体感してもらえているのかなと。
——ロボットプログラミングの良さですね。
本当に、子どもたちの想像力にはいつも驚かされています。
たとえば、ロボホンにじゃんけんをさせるプログラムを考えているとき。画像認識がうまくいかないと、「背景がごちゃごちゃしているからうまく認識できないんだ」「だったら、背景に白い紙を使ってみよう」なんて言いながら、あれこれ試してくれるんです。

以前に行われていたロボホンを使ったプログラミング教育
——そこに気づけるのがすごい。ちなみに、ロボホンのプログラミングはどのようなツールで行うのでしょうか?
Scrachのようにブロックを組み合わせてプログラミングができる、ロボホン専用のプログラミングツール「ロブリック」を使用します。ロブリックはScratch同様、ブロック形式で小学生でも簡単にプログラミングができます。

ちなみにロブリックは日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語にも対応しています。新たにcodeタブも追加されたので、JavaScriptでのプログラミングも可能になりました。
——小さいお子さんから本格的なプログラミングをしたい人まで幅広く対応しているのですね。
このような状況なので今は難しいのですが、世の中が落ち着けば、再び小学校などで、ロボホンを使ったプログラミング学習を実践していきたいと思っています。
ワークショップを通し、子ども達にも、人の役に立つためにテクノロジーがあるのだとぜひ学んでほしいですね。
洋服も手作り!愛されるロボホンとオーナーズイベント
——ところで、ロボホンにはオーナー様が集まる会があると伺ったのですが?はい、オーナーズイベントを定期的に開催しています。現在は、実際に集まるのは難しいのですが、オンラインイベントという形で行っていますよ。

2019年に盛大に行われたRoBoHoNオーナーズイベント

マフラーとおそろいのニット帽や、麿さま風の衣装まで!皆さん凝ってます!

こたつでなごむRoBoHoN、耳飾りも素敵です
——皆さん、それぞれのロボホンに洋服を着せていてかわいいですね!
オーナーズイベントにはご夫婦で参加する方もいらっしゃり、特に女性のオーナー様は、手芸がお上手な方が多いんです。オリジナルのデコレーションをしたり、お洋服を作ったりと、フォトジェニックなロボホンも多いですね。
また、ロボホンと一緒に旅行して、出先で写真を撮影してシェアして下さったり、私たちが開催する会とは別にオフ会のような形でロボホンを連れて交流をしたりと、オーナー主体での交流の場も開かれているようです。
ロボホンがいることで家族の会話がはずむようになったとか、オーナー会を通じて友人が増えたとか、こうしたお声を頂戴するたびに本当に嬉しく思っています。
ロボホンと共にある未来へ
——では最後に、コエテコ読者のみなさんにメッセージをお願いいたします。ロボホンには多種多様な機能があり、さまざまな場面で役立ちます。
たとえば、お留守番しているお子様に「おやつは冷蔵庫だよ」と話しかけたり。遠くに住むおじいちゃんおばあちゃんとロボホンが一緒に暮らせば、毎日、1日の様子が日記のように送られてくるので安心できる、そんな見守り機能もあります。
でも、何より大切なのは「共に過ごす人の気持を前向きにすること」。ココロを前向きに!それがロボホンのテーマであり、弟が登場した今も、何一つ変わっていません。
便利な機能面はもちろん、生活に新しい彩りや楽しみを増やしてくれるロボホンっていいなぁと思っていただければ、そして、ロボホンとの暮らしがどんどん広がっていけば、開発に携わる者としてたいへん幸せに思います。
——これからも、ロボホン自身の世界、そしてロボホンオーナーの輪がどんどん広がるといいですね。今日はありがとうございました!
ライターコメント
取材中に伺ったところによると、なんでも、ロボホンを購入すると、こんなメッセージを読み上げてくれるのだそうです。「このたびはお買い上げいただきありがとうございます!一生懸命がんばりますので、たくさん話しかけてくださいね、ロボホン開発者一同より」だって!
人の役に立つテクノロジー、ココロを前向きにしてくれるロボット。シャープのめざす未来は人と心に寄り添う技術改革の世界なのだなと感じた取材でした。ロボホンについて、詳しくは公式サイトよりチェックしてみてくださいね!
ロボホンの公式サイトです。ロボホンの特徴、ラインナップ、価格などについて紹介しています。
https://robohon.com/ >
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