プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

レゴ教材の強みは「作ったものが動く感動」!マスター・モデル・ビルダーなかやまかんなさんにインタビュー

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子どもの創造力をのばす玩具として、根強い人気を誇るレゴ®️ブロック。実は20年以上前から、プログラミング教材として使われてきたことをご存知でしょうか。

レゴブロックで作ったロボットなら、組み立てやアレンジも自由自在。壊れたって、簡単に作り直すことができます。

今回は、レゴランド®️・ディスカバリー・センター大阪のマスター・モデル・ビルダーなかやまかんなさんに、レゴ教材の良さから子どもたちの声かけまで、親御さんの「気になる!」をお伺いしてきました。

建物外観

「レゴ社に入りたい」と言い出したのは幼稚園の頃

—本日はよろしくお願いします。さっそくですが、なかやまさんがマスター・モデル・ビルダーになられた経緯などについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

はい。まず、マスター・モデル・ビルダーというのを簡単に説明しますと、施設専属のレゴ職人です。レゴブロックの楽しさを、作品を通してお伝えするのが私のお仕事になります。

私がレゴブロックに興味を持ったのは1歳の頃からでした。きっかけとしては、家にレゴブロックがあったから自然に、という感じですね。子どもの頃からレゴブロックが好きで、幼稚園の頃にはすでに「レゴ®️社に入りたい」と言っていたそうです。

他のおもちゃでも遊びつつ、小学生になっても、中学生になってもレゴブロックだけはずっと遊び続けていました。高校生のときだけは、一緒に遊ぶ人がいなかったこともあって一度もレゴブロックを触っていないのですが、買うことだけはしていましたね。

身近には遊び相手がいなかったものの、当時はインターネット掲示板や個人サイトが広く普及しはじめた頃ということもあり、そのようなサイトに入り浸っていました。

今で言うところの「Youtube」や「ニコニコ動画」のような感じでしょうか。大人が高度な作品を発表しているのをネット越しに見ながら「すごいなー」と憧れるような生活でした。

そんなこんなで大学に入り、何かアルバイトをしようと求人誌をペラペラ〜っとめくっていたら「レゴブロックを使って、子どもにプログラミングを教えないか?」というような募集がありまして。

「私にピッタリじゃん!」ということで、このアルバイトを7年間続けました。お仕事としてレゴブロックを触り始めたのは、それが原点ですね。

なかやまさん作品なかやまさんが手がけた作品。船を見ているミニフィグ(人形)の豊かな表情もあいまって、
リアルながらもキュートな作品に仕上がっている。

ジオラマは大阪の街を再現しており、一定時間ごとにライティングが昼→夕方→夜と変わっていく。

一番多い質問は「どうやったらなれるんですか?」


—なかやまさんは、日本人女性初のマスター・モデル・ビルダーということで、コンテスト優勝直後から今までずっと注目を浴びていらっしゃいますよね。保護者の方からも、いろいろと質問されているかと思いますが、特に多い質問は何でしょうか。

親御さんから一番よく聞かれる質問は、やはり「子どもの頃からレゴブロックが好きなんですか?」「うちの子もレゴブロックが好きなのですが、どうすればマスター・モデル・ビルダーになれますか?」といったことですね。

マスター・モデル・ビルダーになるには、コンテストで優勝する必要があります。一つの施設につき一人しか置かれない職種なので、かなり狭き門です。

それでも目指すのであれば、レゴブロックの組み立て技術を磨くだけでなく、算数や理科、英語ができるといいですよ、とお伝えしています。

実は、学校の勉強で得るような知識がないと、大きかったり、丈夫だったりする作品は作れないんです。たとえば階段を作るにも、補強がなければすぐ崩れてしまう。

そうなったときに、どこに何個のレゴブロックを入れるか考えるには、計算がいります。そういうことですね。

確かなノウハウの蓄積があっても、玩具なので入りやすい


—ところで、なかやまさんは「プログラミング教材大好き」だとか。数ある教材の中で、レゴブロックが優れている点はどのようなところでしょうか?

やはり有名な知育玩具ということで、「レゴブロックなら家に何箱かあるよ」というのは強いなと思います。イチから揃えるのではなくて、ちょっと家にあるものを触る、というか。「おもちゃ」という認識だから、手に取りやすいのでしょうね。

レゴ社の持つ教育ノウハウの蓄積も相当なものです。レゴブロックに教材としての価値を見出したレゴ社は、約40年前(1980年)にはすでに、教育製品部門(現在のレゴ・ダクタ)を設立しています。かなり早い時期から教育への応用可能性を知り、研究を行ってきたわけです。

一方、テクノロジーやプログラミングに関して言えば、1985年にはMIT(マサチューセッツ工科大学)のシーモア・パパート氏と共同研究を始め、1998年には、レゴブロックとプログラミングを組み合わせた教材「レゴ マインドストーム®️」を発売しています。

こちらも約20年前から、「これからがプログラミングの時代だ」と見抜いていたわけで、すごく早いですよね。レゴブロックという教材は、こんな風に先見の明のある会社が、きちんと蓄積をしてきた結果だと思うんです。


—そもそもなかやまさんご自身は、プログラミング教育の必修化については肯定派でしょうか、慎重派でしょうか。

完全に肯定派です。プログラミングの本来の目的は、「論理的な思考能力を育てる」ことだからです。

「論理的な思考能力」というのは、「こうしたら、こうなる。こういうときは、これを判断する。Aの場合はこう、Bの場合はこう。」というような考え方のことです。

プログラミングに限らず、どんな仕事にも求められる能力ですよね。プログラミングが題材として選ばれたのは、論理的思考の育成のために便利だっただけのことです。

レゴブロックを例にして説明すると、まず、ブロックで作ったロボットが思い通りに動いたら、単純にうれしいですよね。一方で、もしも思い通りに動かなかったら「どうしてだろう?」と考える。

プログラムのどこが悪くて思い通りに動かないのか。どうすれば動くようになるのか。それを試行錯誤するのが、論理的思考を育てるということなのです。

—なるほど。では早速、教材を見せていただいてもよろしいでしょうか。

いいですよ!とりあえずやってみましょう。

実際にレゴ®️BOOSTでプログラミングを体験

ロボットを操作するアプリケーションを見せてくれるなかやまさん。
レゴ BOOSTでは、この「バーニー」くんをタブレット端末から動かすようになっている。

—この、ジグソーパズルみたいなアイコンでプログラミングをするんですね。

そうですね。一個一個の行動がアイコンになっていて、「手を握る」「しゃべる」と並べれば、「手を握られたら、しゃべる」というプログラムになります。もしもうまく書けておらず、ロボットが動かなかった場合でも、どの行動が原因なのかチカチカっと光って教えてくれるので分かりやすいですよ。

プログラミングといえば、難しそうな画面に文字がいっぱい……というイメージだが、
レゴ BOOSTのアプリは非常にシンプルで取っつきやすい。

—アプリには言葉での説明が一切ないですね。このボタンは一体……?

そういうときは、まず触ってみましょう!ロボットをよく見ればわかるかもしれないですよ。

—(ロボットをひっくり返してみて)あっ、なるほど、ここのボタンで左右のタイヤの動き方を変えられるんですね!

その通りです。言葉での説明がないのは、どこの国の子どもでも触れるように、というのもあるし、そもそも子どもは文字を読みません(笑)。触れそうなところがあればどんどん触っていくんですよね。それを考慮しています。

—画面を見ると、「バーニー」くんだけでなくて、「ギター」や「猫ちゃん」の姿も見えましたね。

そうです。そのほかにも、「車」や「ブロック組み立て機械」があります。「バーニー」くんの画面にもレベルがいろいろあって、高いレベルのものだと、関数を使えたり、より複雑な処理ができるようになっているんですよ。

子どもの創造性を伸ばすために、心がけたい声かけのコツ

—レゴ BOOST、予想以上に楽しかったです!子どもだったらもっと夢中になってしまいそうですが、子どもが遊んでいる間、親はどのように接するのが良いのでしょうか。

もしも子どもが「レゴブロックが好き!」という子であれば、「見守る」というスタンスでいてあげてほしいです。もっと言えば、「何それ?」「すごいやん!」と声かけしてあげるといいかもしれないですね。

親が興味を持ってくれると知れば、子どもはどんどんやる気を出します。大人から「すごいやん!」と言ってもらえれば、「自分はすごいもんを作ったんや!」と自信がつきます。

私の場合、ここ(レゴランド・ディスカバリー・センター大阪)は対象年齢が低めなので、ちょっと大人の目から見ると何を作ったのか分かりづらいときもあるんですね。だからまず、「何つくったん?」と声をかけて教えてもらう。

「さかな〜!」と答えが返ってきたら、「なるほど、だからここがこうなってて、こっちはこうなってるんやね」と細部を見てあげる。

その上で、「魚やったら、ここにヒレがあったほうがええんちゃう?」「家やったら、えんとつがあったほうがカッコいいんちゃう?」とプラスアルファのアドバイスをする。次の課題を与えるわけですね。

そして、その課題ができれば持ってきてもらい、また見てあげる。その繰り返しです。


なかやまさん曰く、「お客さんとして来てくれた子どもに『何が一番楽しかった?』って聞くと、『ジャングルジム〜』って答える子も多いですよ。でも全然オッケー。楽しいのが一番!」とのこと。

はじめからレゴブロック目当てというより、「子どもの遊び場」くらいの興味で遊びに来る人も多いそう。
 

徹底してレゴブロックで作られたアイテム・オブジェの数々。
置いてあるパーツは自由に使ってOK。幼児向けの、大きくてやわらかいブロックもある。

—なるほど。子どもの作ったものにきちんと興味を持たないと、うまい声かけはできないですよね。大人からすれば「何だこりゃ?」という形でも、子どもにとっては大事な工夫かもしれないし。

そうなんですよね。親御さんの中に、「ウチの子、作ったものをすぐに壊しちゃうんです」と相談してきてくださる方がいます。「せっかくきれいにできたのに、なんで壊しちゃうんだろう?」と思うのかもしれませんが、レゴブロックはプラモデルではありません。「壊している」のではなくて、「次に作りたいものの材料にしている」のです。

覚えておいていただきたいのは、レゴ BOOSTやその他のキットは「子どものオリジナルの作品」ではないということです。パーツはキットとして売られているし、作り方は全世界に配られていて、誰でも同じものを作ることができる。それを壊すことには、なんの抵抗も感じなくて良いんです。

親からすれば、組み上がったロボットはカッコいいし、壊すのは惜しいかもしれない。形だけでなく、興味を引くような仕掛けもあるし、教材としての価値も高いです。

でも、それは子どもが工夫して作り上げたものではない。説明書通りに作ったものなんですね。一方で子どもがいちから作り上げたものは、大人から見ると何を作っているのか分からないようなものであっても、思い入れがあるし、大事なんです。

だから、オリジナルのものを作るためにロボットやキットをバラバラにしていても、とがめないであげてほしいと思います。


ショップの中にはブロックの量り売りコーナーも。特定のパーツが足りないときも、それだけ買い足すことができて安心!「私が子どものときはこんなショップなかったので、パーツを集めるのが大変だった!これは便利だと思います」とおっしゃていました。

「なんか、イクラに似てるよね」とお茶目ななかやまさん。

—なるほど。そのほかに「これだけは言ってほしくない」というNGセリフはありますか。

そうですね……やっぱり、「いつまでも子どもみたいなおもちゃで遊んで」っていうのは避けたほうがいいかなと思います。大人になっても自由に遊べばいいわけだし、こういった声かけは、子どもの「好き」という気持ちをつぶしてしまう。

—プログラミングに限らず、「好き」という気持ちがないと続けられない面はありますよね。

「好き」という気持ちは、作ろうと思っても作れないものなんです。無理やり何かを「好きになれ!」と言われても、なれるわけではない。

でも「好き」だからこそ、時間やエネルギーを割いて上達していくことができるわけだし、ど真ん中ではなくても、「好き」に近い仕事に就けたら人生ハッピーですよね。

だから何かが「好き」なんだとしたら、その「好き」という気持ちを大事にしてあげてほしい、と思います!

—ありがとうございました!

■ なかやま かんな(なかやま・かんな)プロフィール

レゴランド®️・ディスカバリー・センター大阪にてマスター・モデル・ビルダーを務める。1989(平成元)年、兵庫県生まれ。2008年に大阪大学基礎工学部に入学。大阪大学大学院(博士課程)を経て、2015年より現職。大阪大学レゴ部を創部し、メカトロニクスのワークショップを開催、大型ワニロボットを製作するなど仕掛けのある作品・ユニークなモデル作りで子どもたちからの人気を博す。


レゴランド®️・ディスカバリー・センター大阪

レゴランド®・ディスカバリー・センター大阪は、とてもカラフルで創造力溢れる屋内体験型の施設です。

対象年齢3歳〜10歳のお子様を中心に楽しめるアトラクションが常設されています。

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この記事を書いた人


夏野かおる

博士課程の大学院生。ライターとしての専門は教育分野です。「愛を感じる」と言っていただくことが多いです。ご指名お待ちしております。

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