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そんな可愛らしい声とともに登場したのは、「セルフ受肉(じゅにく)お絵描きVTuber」の、四ノ宮しのさんです。
VTuberとは「バーチャルユーチューバー」の略。自分の代わりに2Dや3Dのアバターを使って配信する人たちのことで、2021年8月にHIKAKINさんがVTubeデビューしたのを皮きりに、近年一大ブームを巻き起こしています。
四ノ宮さんは自身を「新人VTuber」と名乗りながらも、Twitterフォロワーはすでに1万4千人超え。チャンネル登録者数も、2,000人に届きそうです。今回は四ノ宮さんに、VTuberになる方法や私生活で気をつけていること、気になる収益化の話までを詳しく伺いました。
ちなみに、今回のインタビューが異例なのは、いわゆる「中の人」ではなく、四ノ宮さんご本人が来てくださったこと。ひそかにファンだった筆者は、大興奮です。
四ノ宮しのさん(以下敬称略、四ノ宮):「セルフ受肉お絵描きVTuber」の、四ノ宮しのです。年齢は、「犬」換算で約3歳。2021年の5月に、VTuberデビューしました。配信ではゲーム実況をしたり、イラストを描いたりと、好きなことを中心にやっています。
ライター原:しのさんは、女の子の見た目をしていますが「犬」でいらっしゃるんですよね。動画、いつも観てます。こうやってお話しできるなんて、夢みたいです。か、可愛い……。
四ノ宮:インタビューは初めてなので、ちょっと緊張しています。可愛いと言っていただけて嬉しいです。今日はどうぞよろしくお願いいたします!
セルフブランディングのために、いざVTube界へ。最初は「私生活」との両立に苦労
原:今は、どんな活動をされているんですか。四ノ宮:もともとはフリーイラストレーターだったので、今もVTuberと、イラストのお仕事を兼務しています。あとは、前職でデザインのお仕事をしていたこともあり、今も少しだけ、デザイン制作のご相談をいただくことがありますね。
原:そもそも「VTuber」って、いったいどんなものなんでしょう。
四ノ宮:VTuberは、今の私のような平面のイラストを、まるで3Dのように動かせる「Live2D(ライブツーディー)」という技術を使っています。Webカメラを通して、モデルと自分を連動させて動かす点がユニークだといわれていますね。
原:モデルというのは、実際にVTuberとなるキャラクターのイラストのことですよね。ちなみにしのさんは、イラストのお仕事もされているから「お絵描きVTuber」なんでしょうか?
四ノ宮:そうですね。じつは、前髪をとめているピンや服の襟(えり)をペン先モチーフにしていたり、ちょっと見えにくいんですけど、服にインクがべちゃッとついてたりとか、絵描きっぽい要素を入れてます。
原:本当だ!よく見るとインク汚れがありますね。ちなみにイラストレーターは、いつから始められたんですか?
四ノ宮:イラストレーターとして活動しはじめたのは、2020年の夏ごろでしょうか。前職を辞めて、ちょっと疲れて何もせず過ごしていたときに、「さすがにもう生活していけない、何かしないと」と思い立ったのがきっかけでした。
昔からイラストを描くことが好きだったので、すでに下地はできていたと思うんですけれど、配色の仕方や、流行りの要素をどう取り入れるかという部分は、デザインの経験がずいぶんと生きていると思います。
原:なるほど。そこからVTuberを始めようと思われたきっかけは、なんだったんでしょう?
四ノ宮:そうですね。私、星街(ほしまち)すいせいさんという、大好きなVTuberさんがいるんです。その方に憧れて、「同じような世界に行きたいな」というのが、ひとつありました。ホロライブプロダクションという事務所に所属されているVTuberさんで、私とはぜんぜん畑が違うんですけど……。あとは、イラストレーターとしての自分を知ってもらうための、セルフブランディングにもなるんじゃないか? と思ったのも大きいです。
原:人前でお話しするのは、もともとお得意だったんですか?
四ノ宮:じつは苦手だったんですけど、デザイナー時代に、お客様に直接お会いして商品を売り込む機会がけっこうあったんですね。そういうときって、行きあたりばったりでお話しするとだいたい失敗するので(笑)、事前にあるていど準備して、筋道を立ててお話しする必要があったんです。
だから今も、講座系の配信では原稿を用意しますし、それ以外でも、箇条書きのメモは準備しておきます。時間はかかるんですけど、失敗するよりはいいなって。
原:入念な準備で、苦手な部分を補っているんですね。他にも、VTuberになってみて苦労したことはありますか。
四ノ宮:始めたばかりのころは、お仕事と私生活の両立が大変でした。というのも、配信ひとつするのにも、魅力的なサムネイルを作ったり、配信を告知したり、コメントへご返信したりと、細かい作業がたくさん発生するんです。
1つ1つはたいした量ではないんですけど、それを週に4~5回やると、かなりの時間になってしまって。本業のイラストにさく時間がなくなり、配信を減らそうと考えた時期もありました。結局犠牲になったのは、家事だったんですけどね(笑)。
「セルフ受肉」ってなに? VTube界で飛び交う“ママ・子ども”の意味は?
原:しのさんには「セルフ受肉」という肩書きがついていますが、セルフ受肉ってなんなんでしょう?四ノ宮:セルフ受肉は、そのモデルのイラストを作ったり、Live2Dで実際に動かすといった過程を、すべてセルフで行う技術のことです。Live2Dでモデルを動かすには「モデリング」という技術が必要なんですけど、私の場合は前職でモデリングにすこし触れたことがあったので、今回セルフ受肉に挑戦してみました。
原: しのさんのことを「ママ」と呼んでいる方もお見かけします。
四ノ宮:はい。これからVTuberデビューする方から受肉をご依頼いただくことがあって、私が作ったVTuberさんたちが、そう呼んでくださってます。じつは四ノ宮しのは、私が初めて真剣につくったモデルなので、ここだけの話、私の子ども(受肉した方)たちのほうがきれいに動いたりもするんです(笑)。
原:なるほど(笑)。それにしても、瞬きや笑ったときの目、眉毛まで連動されていてすごいですね……。しのさんが目をつむると、モデルも目をつむるんですよね。うしろ姿って、どうなってるんでしょうか?
四ノ宮:私は2Dなので、じつは画面上では、ちょっと横を向くことしかできないんです。やっぱり「後ろを向く」とか「踊る」となると、3Dの世界になるんですよね。実際、アイドル系VTuberの方や、体当たり系の企画をやりたい方は、2Dと3Dを使い分けてらっしゃると思いますね。
ゼロからVTuberを始めたい!四ノ宮さんに聞く、“最低限”そろえたい機材
原:VTubeの配信は、どうやってされるんですか?四ノ宮:私が配信に使うツールは3つあって、
①ライブ配信用のツール「OBSStudio(オービーエススタジオ)」
②モデルの動きを自分と一体化させたり、机や小物といった環境をつくったりできる「VTubeStudio(ブイチューブスタジオ)」
③イラストを描くための「ClipStudio(クリップスタジオ)」
ですね。
たとえば、今机の上に置いてあるアイスコーヒーは、VTube Studioで映しているんですよ。こうやって、飲むこともできます。
今はマウスでドラッグしているだけですが、もっとリアルに手に持たせたければ、この子の体にそうした機能をつけることも、やろうと思えばできちゃいます。
原:じつは私、しのさんのようなVTuberに憧れてるんです。ゼロから始めるとしたら、まず何をそろえればよいでしょう?
四ノ宮:機材は本当に最低限でいうと、
- パソコン(スペックを満たしたもの)
- マイク
- 音をきれいに拾うためのマイクスタンド
- お顔を映すためのWebカメラ
原:こちらの動画、合計金額まで公開してくださってて、とても参考になりました。ただ、しのさんは、機材に30万円近くかけられたんですよね……。正直、しょっぱなからその金額は勇気がいるなって。
四ノ宮:そうですよね。ちなみに、私がこのパソコンを購入したのは、パソコン周りに詳しい友人に「パソコンだけは良いものを買ったほうがいい」とアドバイスされたからなんです。なので、パソコンはできればケチらず、10万円~最高30万円くらいのものを用意して、それ以外の機材は、安いものから買いそろえてもいいと思いますよ。
VTuberに欠かせない「モデル」。いくらで作れる?セルフ受肉 or プロに依頼
原:ということは、すでにパソコンを持っている人なら、そこまで大きな負担なくVTuberを始められるんですね。四ノ宮:はい。ただ、VTuberに欠かせないものは「モデル」です。これは、イラストやモデリングの技術をおもちでない方は、プロに依頼したほうが早くて確実です。勉強してすべて自分でやる(=セルフ受肉)のもいいと思うんですけど、技術を習得するのに1年も2年もかかってしまいます……。もしも私が初心者の立場だったら、「いつか自分でやるぞ」と闘志は燃やしつつ、ちょっとでも早く活動を開始するために、プロに依頼すると思います。
原:非常に合理的な考えですね。ちなみに、しのさんにすべてお願いする場合の目安の金額はありますか?
四ノ宮:ご依頼内容によって変動があるので、あくまでも目安にはなるんですけども、先日ご依頼を受けた方の場合は20万円いかないくらいでしたね。
原:に、20まんえん……!?妥当な金額なのだろうと思いつつ、軽い気持ちではお願いできないな、というのが正直なところです……。
四ノ宮:確かに、この価格って、学生さんを含めてお若い方々は、どうしても手が出ないと思います。なので、「イラストが私のデザインなら、あとはこだわらない」という方であれば、モデリングを別な方にお願いされてみては? とご提案することもあります。
原:なるほど。モデルを作るには「イラスト」と「モデリング」が必要で、それを別々に依頼する方法もあるということですね。
四ノ宮:はい。ちょっと不思議な話ですが、「スキマ」や「ココナラ」といったクリエイティブ系の仲介サイトを覗くと、安くてもすばらしいお仕事をされる方がけっこういらっしゃるんです。技術力はあるけれど、実績を増やすために最初だけ破格で受けている、みたいなイメージですね。そういう方とうまく出会うことができたら、費用を抑えつつVTuberになれると思います。
原:貴重な情報です。スキルシェアサービスをうまく活用すれば、オリジナルのモデルを、安くつくれる可能性があるんですね。
VTuberで収益を得るのは簡単じゃない。一方で、ファンの応援があれば…
原:ちなみに……。こうして費用をかけて機材やモデルを準備して、無事にVTuberデビューできたとしますよね。ぶっちゃけた話、“もと”が取れる可能性って、どのくらいなものでしょうか?四ノ宮:そうですね。運よくバズったりすれば別ですが、人によっては時間がかかると思います。私自身、半年でやっと初期費用のもとが取れてきた段階なので。どうしても儲かるイメージがあると思うんですけど、じつはきびしい世界でもあるんです。
原:そうなんですね。あの、たとえばYouTuberさんだと、1再生あたり0.1円の収入が得られると聞きます。VTuberさんも、同じ仕組みですか?
四ノ宮:そういった収益モデルもありますよ! ただ、そもそもYouTubeって、動画を投稿したらだれでも収益化できるわけではなくて、「YouTubeパートナープログラム」という審査に通らないと、お金は1円も入ってこないんです。申し込み条件もきびしくて、まずチャンネル登録者数が1,000人以上いて、なおかつ動画の総再生時間が4,000時間いっていないと、審査の土俵にも立てないんですね。
私は3、4ヵ月で通過できたんですけど、なかには1年~3年かかる人もいるみたいです。1度審査に通ってしまえば、「スーパーチャット」という投げ銭システムもあるので、一気に収益を得ることができるかも……?
原:それは初めて知りました。チャンネル登録者数1,000人って、初心者にはハードルが高い印象です。
四ノ宮:なので、そこは視聴者さんに協力してもらって、いっぱい動画を観てもらったり、拡散してもらったりして達成するんですよね。条件さえクリアすれば、よほど過激なことを配信しないかぎり、審査には通ると思います。
原:デビューの時点から視聴者とこまめにコミュニケーションを取って、自分のファンを増やすことが大切なんですね。
身バレ対策は重要。VTuberのお作法はアイドルと同じ!?
原:VTuberとして発信することの魅力って、自分の顔や名前をださず、なおかつ憧れの容姿になりきれることだと思うのですが、パートナーの存在がバレると炎上したり、住所をつきとめられて危険な目に遭ったり、というお話も聞きます。四ノ宮:そうですね。まず、この世界には「ガチ恋勢(こいぜい)」と呼ばれる、そのVTuberさんのことを本当に好きになって、恋してしまうタイプの方々がいらっしゃるんですね。そういう方たちは、とても熱心に応援してくださいます。ただ、なかには原さんのおっしゃるように、気持ちが行き過ぎてしまう方もいるのだとか……
原:それが炎上や、ストーカー事件にもつながると。
四ノ宮:そうした事態をさける方法は2つあって、1つは、最初からパートナーの存在を開示してしまうこと。2つ目が、そういったプライベート情報は公表しないことです。アイドルの方も同じように、不用意にプライベートの情報を開示しないと思います。売り出し方にもよりますけど、皆の憧れの存在でい続けるためのマナーとして、そこを守っているVTuberさんも多いんじゃないでしょうか?
私はたぶん、身バレ対策はそれなりに気をつけているほうだと思うので、自宅に来られたり、変な郵便物を送られたり……などは今のところ大丈夫です。
原:そうなんですね。
四ノ宮:念のため気をつけていることが3つあって、1つは、Amazonの「ほしいものリスト」では住所が開示されない設定にしていること、宅急便でグッズなどを送るときに、こちらの住所が表示されないようなサービスを使うこと。使ったとしても、送るときに再確認もしています。
2つ目は、SNSで極力、写真を投稿しないことです。これはいろいろな方が失敗しがちなんですけど、モノや風景の写真に、自分や周囲の情報が写りこんでしまうことがあるんですね。たとえば、カフェで「こんなの食べたよ」とコーヒーとケーキの写真を投稿したら、うっかりスプーンに自分の顔が写りこんでしまってた……とか。あとは、部屋の間取りや窓の景色から、住所を特定されるケースもあります。
3つ目は、SNSの私生活にまつわるツイートで、身のまわりの情報を出さないこと。たとえば、「マックにお昼ごはん買いに行きます」と「今帰ってきました」の投稿の間が20分くらいだったら、「マックから10分の距離のところに住んでるんだ」と想像できて、住居特定の情報が集まってしまいます。だからなるべく、「周囲に〇〇がある・ない」、「〇〇分(時間)かかって疲れちゃった」などは、発信しないようにしています。
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2024/11/06 11:42
原:かなり細かいところまで気をつけてらっしゃるんですね! 部屋の間取りまで住居特定の材料になるだなんて、知らなかったです(震)。(このあとSNS見直そう……)
四ノ宮:そうですよね。身の危険もそうですし、やっぱり個人情報が出てきてしまうとファンの方もびっくりしてしまいますから、「私生活の写真でバレる」というお間抜けなことにならないよう、気をつけなくてはと思いますね(笑)。
年齢も性別も関係ない。VTuberなら「なりたい自分」で、好きなことに打ちこめる
原:VTuberさんって、女性モデルのほうが圧倒的に多い気がします。女性のほうが人気が出やすい、などはあるんでしょうか?四ノ宮:これは恐らくなんですけど、この業界って、視聴者層に男性のほうが多かったりとか、熱心に応援してくれやすかったり、というのはあると思うんですね。「可愛い女の子になってしゃべってみたい」という男性の方も多いと聞くので、それもあって、女性VTuberが多いのではないでしょうか。
原:ボイスチェンジャーを使えば、異性のVTuberを演じられますもんね。
四ノ宮:変な話、女性VTuberで声が可愛ければ、それだけで簡単に収益が伸ばせる……と語る人もいるくらいです。男性を演じるか女性を演じるかによって、伸びやすさはたぶん、変わると思いますね。原さんもすぐにできる思いますよ! だれも自分を知らない場所で、ゼロから好きなことをやれるって、すごく魅力的な体験だと思います。
原:わぁ、ありがとうございます。しのさんは、今後の夢ってありますか?
四ノ宮:そうですね。まだVTuberとして活動を始めたばかりで、夢のまた夢という感じなんですけど、いつか3Dになりたいなって。チャンネル登録者数1万人を突破したときのお祝いの配信を、3Dの体でむかえたいな、というのが夢ですね。そのための初期費用を、これからも配信をがんばって、貯めようと思っています。
これからVTuberをめざす子どもたちに伝えたいのは、「なにか1つでも胸をはれる特技や分野をつくっておくと、のちにきっと活動で役立つ」ということです。私はイラストが得意なので「お絵描きVTuber」ですし、知人には歌の上手なVTuberさんもいます。「その人といえばコレ」というものがあると、人の目を惹くことができるんです。
VTuberは、性別や年齢、容姿に関係なく、好きなもの、憧れているものに全力で打ちこめる分野です。それゆえに今、VTuberの総数は1万人を超えているといいます。そのなかで有名になって活躍するのはむずかしいし大変なんですけれども、第一に、とっても楽しいんです。
だから、今の時点で
- なにか特技がある
- 知識の深い分野がある
- 話すのが好き
原:しのさん、今日はありがとうございました!
・本格的な配信には、高スペックなパソコンと「モデル」が必要
・モデルは、インターネット上でフリー素材を探す方法と、四ノ宮さんのようなイラストレーターに依頼する方法がある
・スキルシェアサービスなら、モデルを格安で作れる可能性も
・収入は「熱心なファン」の数に比例する
・だれも自分を知らない世界で好きなことに打ち込める、夢のある職業。それがVTuber