ジュニアロボコンの頂点に立つのは誰だ! 『ロボカップジュニア・ジャパンオープン2019和歌山大会』
地方予選を勝ち抜いた212チームが「和歌山ビッグホエール」に集結、「サッカー」「レスキュー」「オンステージ」の3種目それぞれの頂点を目指して、熱い戦いを繰り広げました。
今回は、その白熱の会場からレポートします。
全国から強豪ロボカッパーが集結!
『ロボカップ(Robo Cup)』は
「2050年までに人のサッカー世界チャンピオンチームに勝てるロボットチームを作る!」を目標に、1997年から始まったロボットコンテストです。企業や大学などのチームが中心となって毎年開催されています。
そのジュニア部門である『ロボカップジュニア』の出場条件は、チームすべてのメンバーが19歳以下であること。
日本一を決める大会『ロボカップジュニア・ジャパンオープン』は、昨年から3年にわたって和歌山県和歌山市にある多目的アリーナ『ビッグホエール』で開催されています。
全国を25のブロックに分けて行われた地方予選を勝ち抜いた212チーム、総勢568名が熱い戦いを繰り広げました。

小学生ロボカッパー(ロボカップの選手のこと)も多数参戦
ロボカップジュニアの最大の特徴は、リモコン操作ではなく、プログラミングして自分で動く「自律型」のロボットを、子ども自身が手作りするということ。
市販のキットをそのまま使うということはほとんどなく、それぞれのアイデアと工夫が加えられたオリジナルのロボットで戦います。
さらに上位チームになると、マイコンやエレクトロニクスを駆使した大人顔負けのロボット制作を行っており、全国から集まった仲間と技術や情報交換をする場にもなっています。

経産省、総務省両大臣を迎えての開会式。ともに和歌山県のご出身なんだとか。
ロボカップといえば、まずはサッカーでしょ!
ロボカップジュニアには世界大会を目指す「World リーグ」と国内の大会である「NIPPONリーグ」2つのリーグがあります。ロボカップジュニアの競技種目は3つ。まず、ロボカップの花形競技と言えば、なんといっても「サッカー」でしょう。
サッカーリーグには「ビギナー」「ライトウェイト」「オープン」の3つのカテゴリーがあります。
ライトウェイトとオープンは、7月にオーストラリアのシドニーで行われる「ロボカップジュニア世界大会」への日本代表チームの選抜も兼ねています。

全てのロボットにキビシイ車検が課せられる。これをクリアできなければ試合に出場できない。
ここまで読んで、「どうせ子どもの大会でしょ」と思われている方に、まず見ていただきたいのが、次のサッカー「ライトウェイト」の動画です。
1チームは2台のロボットから成り、ロボットの重量制限は1.1キログラム。赤外線を発するボールを感知して近づき、相手のゴールにシュートすれば点が入ります。
手前の「LEGEND」はジャパンオープンの常連チーム。滋賀県にある立命館守山高校のクラブのメンバーで構成されています。
途中、1台がラインアウトしてペナルティで1台になったにも関わらず、審判の手からボールが離れるや否や、すぐにボールを感知して動き出す速さは世界レベル!
そのシュートの美しさに観客からもため息がこぼれます。LEGENDはこのスピードと正確な動きでみごと準優勝に輝き、念願の世界大会への進出を果たしました!

チーム「LEGEND」はポスター審査で「優秀プレゼンテーション賞」も同時受賞。
同高校の先輩チーム「Ri-one Nano (リオンナノ)」は昨年のライトウェイトの覇者。今年はロボットの重量制限が2.4キログラムの「オープン」カテゴリーで出場し、こちらもみごと世界大会へ進出です。
昨年の経験を生かして、世界でも優勝を目指してがんばるとのこと。シドニーの世界大会でも、日本のロボット技術の高さを示してくれることと期待しています!

はんだづけコーナー。試合の直前までロボット調整は続く。
困難を乗り越え被災者を救え! レスキューリーグ
次にご紹介するのは「レスキューリーグ」。災害現場に見立てたコースを走行し、被災者を救うという競技です。「レスキューリーグ」にはライントレースを基本とした「ライン」、迷路のようなコースから被災者を見つける「メイズ」、そしてシミュレーションソフトを使う「レスキュー・シミュレーション」の3つがあります。
「ライン」と「メイズ」は、ロボットが周囲の状況を判断しながら、さまざまな障害物の置かれた複雑なコースをたどって被災者を探し出すという競技です。

緻密な計算が必要なレスキュー競技。急斜面の走行や障害物を乗り越えるため頑丈なロボットが求められる。
「レスキュー・シミュレーション」は、大会当日に発表されるフィールドにあわせてその場でプログラムを行い、画面上で動くロボットが被災者を見つけて救助します。

画面上で対戦する「レスキュー・シミュレーション」
サッカーのような華やかさはないものの、プログラミングにじっくり取り組むことが得意なお子さんには最適な競技です。
なんと言っても、地震国である日本にとって、レスキューロボットはこれからの飛躍が期待される分野です。レスキューリーグに出場したお子さんたちの中から、将来ホンモノのレスキューロボット開発者が生まれることを期待します。
子どもならではのアイデアとパフォーマンスが光るオンステージ
そして最後にご紹介するのが「オンステージ」です。
ステージ上でロボットがパフォーマンスを行うこの競技。人も一緒にパフォーマンスすることも可能で、テーマや使うロボットの数、音楽、映像などにも決まりがなく、自由度が高い分だけ、アイデアと高い創造力が試される競技です。
審査は「プログラミング」「構造・構成」「センサーの使用」「振付け」「衣装」「エンターテイメント性」の6つのカテゴリーごとに、複数の審査員によって行われます。

関西ブロックから出場のチーム『ブレーメンの音楽隊』
チーム「ブレーメンの音楽隊」は小学生と中学生の混合チームです。100以上のアイデアの中から、このパフォーマンスをチョイスしたそうです。
かわいい見かけとは裏腹に、ロボットはArduinoなどのマイコンを使って動かす本格的なもの。それぞれのメンバーが、最低でもひとり1体のロボット制作を行うようにしたそうです。

ロボットの資材集めも子どもたちが行ったそう。
パフォーマンスの中でニワトリが産む卵は、実際の卵の殻を集めて作ったのだとか。100円ショップやホームセンターなどで材料を選び、カラフルなステージでかわいいパフォーマンスを披露して、みごとNIPPONリーグ第3位に入賞しました!

ホンモノの卵の殻を固めた「たまご」。
「オンステージ」の難しさは評価基準が多様なこと。ロボットの作りや動きが重要なことはもちろんですが、当日のプレゼンテーションが審査を左右します。
構成や音楽、動画などの芸術的なセンスや創造力も大切な要素です。そしてなにより自由な発想を実現するためには、思い通りにロボットを動かすための技術が必要です。技術力、芸術性、パフォーマンス能力など総合的な力が求められる難易度の高いカテゴリーです。
「オンステージ」のワールドリーグに出場したチーム「マジック・タイム」は、愛知県の学校のロボコン部のメンバーで結成されたグループです。
前日練習ではなかなかうまくいきませんでしたが、本番では完ぺきなパフォーマンスを披露した度胸には驚かされました。まずはその演技をお楽しみください!
チーム「マジック・タイム」の演技は、なんとロボットを使って人体切断マジックをしようというもの。
箱に入ったメンバーの体を切断するロボットは、観客の拍手を感知して作動します。LEGOのEV3を基に精巧な仕掛けを作り上げたそうです。この大きな装置は分割して、バスで会場まで持ち込んだのだとか。
すばらしい演技を見せてくれたチーム「マジック・タイム」はみごとオンステージの部門で優勝に輝き、世界大会への出場が決定しました。
世界大会に向けてまだまだ改良が必要な部分も多く、また、パフォーマンスを英語にしなければならないとのこと。本番で見せた度胸を武器に、世界に通用するエンターテインメントとして、思う存分に力を発揮してきてください!
ボランティアスタッフが集まるのは、ロボカップに魅力があるからこそ
ロボカップジュニアでは、審判や選手の誘導など、すべてボランティアのスタッフによって行われています。
スタッフの中にはロボカッパーの親御さんも多く、遠方からもたくさんの方がボランティアスタッフとして参加されていました。惜しくも地方予選で敗退した子どもたちや、すでにロボカップジュニアを卒業した学生スタッフなども加わって、スムーズで公正な試合進行のために尽力する姿が印象的でした。

得点付けやタイムキーパーなどには、中学生スタッフも

会場の設営を仕切るのは、ご存知ダイセン電子工業の皆さん。
「人のサッカーチャンピオンに勝つロボットチームを作る!」という当初の目標に向けて、ロボカップで使われる技術は年々、高度になっています。そのため、ロボットを始めたばかりのお子さんにとっては、出場のチャンスが得られにくいという点が問題になっています。
それでも、特にNIPPON リーグには小学生も多く参加しており、ロボカップはまだまだお子さんたちをひきつけてやまない大会なのだと感じました。
ロボカップジュニア・ジャパンオープンは来年もここ和歌山県で開催されます。秋以降、各地で地方大会が開催されます。興味のある方はぜひこちらをチェックしてみてください。
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