めざせ世界!WRO日本大会で見えた『ロボットプログラミング教育の可能性』

めざせ世界!WRO日本大会で見えた『ロボットプログラミング教育の可能性』

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2018年9月9日に石川県・金沢市でロボットコンテスト『WRO Japan 決勝大会』が行われ、約2,000チームが参加した予選会を勝ち抜いた130チームが参加しました。

今年で15回目を迎えるWROの国内大会ですが、今大会は金沢市の全面バックアップ、北陸放送との共催など豪華な大会に!『プログラミング教育』の注目の高さが伺われました。

当日はあいにくの空模様でしたが、参加した子どもたちはみんな真剣!熱戦の模様をレポートします。

会場の医王山スポーツセンター

勝てば国際大会も!国際ロボコン『WRO

WRO』は2004年に始まった国際ロボットコンテストです。

競技には『自律型ロボット』と呼ばれるプログラムで動くロボットが採用されて、ロボットの組み立てとプログラミングスキルを競います。2017年の大会には世界から60カ国が参加するなど大きな広がりを見せています。

WROでは毎年異なるテーマが設定されるのですが、今年のテーマは『FOOD MATTERS(食料問題)』。競技を通して社会問題に触れることができるので、科学技術の習得だけではなく様々な学びにつながっています。

日本は、第1回の2004年大会から毎年参加、2008年にはNPO法人『NPO法人WRO Japan』が設立され大会を運営しています。

会場周辺は自然がいっぱい

9月9日の国内大会では、『レギュラーカテゴリ』と『オープンカテゴリ』の2つのカテゴリの競技を実施、ここで勝ち抜いたチームは、11月にタイのチェンマイで開催される『WRO 2018 タイ国際大会』に日本代表として派遣されることが決まっています。

レギュラーカテゴリの競技はさらにミドル/エキスパートに分かれていて、それぞれに「エレメンタリー(小学生)」「ジュニア(中学生)」「シニア(高校生)」と階級があり、その中で代表を目指します。

また、大会には2名以上のチームで参加することが必須のため、チームワークも試されます。競技中に指導者など大人が口出しすることは認められていないので、子どもたちの実力が試される大会でもあるんですね。

ルールを通じて自然と世の中の仕組みを理解

WROでは世界共通の『ルール』があり、それにのっとって競技を実施します。

競技は白い紙の上に黒い線が引かれた『ライントレース』が基本となっていて、階級ごとに異なるコースが用意されています。

黒い線のコースを走りゴールを目指すのですが、コースの上にある『ブジェクト』と呼ばれるブロックを指定された通りにに動かしたりといった制御をプログラミングで行い、合計点数を競います。

例えば、2018年のエキスパート競技(小学生)のテーマは『REDUCE FOOD WASTE』。『食べ物の無駄を減らす』という課題の解決をするロボットを製作します。

コースはこのようになっていて、ロボットを用いて果物(に見立てたブロック)を種類ごとに選別することに挑戦します。

WROで公開されているコース図

スタート時には、10個の灰色の『Fruit Placement Area』に果物がランダムに置かれています。

新鮮なフルーツ(赤いブロック)は『GREGORYSTORE』に、熟成していないフルーツ(緑のブロック)は『Ripening room』に、形の悪いフルーツは(黄色のブロック)『Factory』に、腐ったフルーツ(青いブロック)は『Biogas power plant 』に。

といったように、それぞれのブロックの色を判断して運びます。


『REDUCE FOOD WASTE』と書かれた場所からスタートし、『FINISH』にゴールするまでに与えられた課題をクリアすることで点数が加点されます。

それを2回繰り返し、よい方の点数が結果に採用されます。

実際に本番で使用されたコース当日、実際に使用されたコース

階級により、テーマ、コース、オブジェクトなどに違いはあるものの、課題を解決するためのロボットを組み立て、プログラミングを行い、本番では120秒と決められた時間の中でゴールを目指すことは同じです。

少し複雑なルールですが、ルールを覚える中で、世の中の仕組みが学べるようになっています。

サプライズルール発表!創造力を育む仕組み

さらに、WROでは、『サプライズルール』と呼ばれる当日の朝に発表される特別なルールがあり、大会当日も、競技の開始前に各チームのリーダーが集められ、サプライズルールが発表されていました。


今回、エキスパート(小学生)に与えられた『サプライズチャレンジ』は、赤いブロックの代わりに白いブロックが増えるというものでした。

その白いブロックを
・FINISH AREAに運ぶ
・その場から動かさない

ことで点数が加点されます。

基本的なルールは大会前にすでに掲載されていて、決勝大会に出場するチームは、かなりの時間練習をしてきています。そこで、サプライズルールを設けることで創造力問題解決力が試されるということですね。

組み立てスタート!

サプライズルールの発表も終わり、いよいよ競技スタート!

大会のスケジュールはこのようになっていて、まずレギュラーカテゴリ(ミドル・エキスパート)はロボットの組み立てとプログラミングに取りかかります。


競技には『LEGO®MINDSTORMS ™ のNXTかEV3を使うこと』というルールがありますが、ロボットの形などは後ほど出てくる『車検』に合格していれば組み立て方は自由!

さすがは発想が柔軟な子どもたちです!組み立てているロボットも様々でした。


WROの参加チームは2~3人で1組が多いそうなのですが、組み立てる子、プログラミングする子など役割分担をしていることも。チームワークの大切さを肌で感じることができるんですね。

チームで話し合う様子はまさにエンジニアのよう

パソコンの画面やコースを見ながらチームで話し合う姿はすっかりエンジニアでした。上級者になると、C言語などでプログラミングをする子もいるという話を聞き、驚きを隠せません。

分析のために、スマホで動画を撮る子も

開始後10分ほど経つと、ロボットの組み立て・プログラミングが終わったチームも出てきます。組み立て・プログラミングが終わったチームは、実際のコースに行きロボットを動かし始めます。


ロボットの組み立て・プログラミングと試走を繰り返し、チューニングして理想の動きに近づけていく。プログラミング教育の『問題解決力』が試される場面です。

オープンカテゴリは個性的なロボットがたくさん!

レギュラーカテゴリの子どもたちがチューニングを繰り返している間、今度は別会場のオープンカテゴリの見学に!


オープンカテゴリは『FOOD MATTERS(食料問題)』を解決するロボットを作るというもの。

その場で作るのではなく、あらかじめ組み立てとプログラミングを終えたロボットが展示されています。当日は審査員にプレゼンテーションも実施するので、いかに魅力を伝えられるかという点も試されますね。

食料問題といってもかなり広く、どういった問題に取り組むかも自分たちで考え決められるので、自由度はかなり高めです。

今回参加したのは、23チーム!
それぞれが考えた『食料問題』について解決するロボットを展示し、プレゼンします。

自作のAIで廃棄ロスを削減!Otemon Challenger


展示会場に入ると、追手門学院大手前高等学校のロボットサイエンス部のメンバー3人で構成された『Otemon Challenger』がプレゼンを行っていました。


Otemon Challengerが目をつけたのは『食品ロス』。日本国内の年間食品廃棄量はなんと全体の3分の1にも上るそうです。

メンバーが実際に近くのコンビニの店長に調査をしたところ、その理由の一端にはスーパー・コンビニなどの人手不足があることがわかったそう。

賞味期限の短い品物から前に並ぶよう、商品を並び替える必要があるのですが、時間がなくてできていないという話を披露してくれました。

Otemon Challengerが作ったロボットは『フードロスカットロボット』。

例えば、3×3のマスの中で8個の商品を並び替えるのに181,440通りあるそうなのですが、独自開発したAIを用いることで、すばやく最短ルートを見つけられます。


展示されていたロボットはレゴで作られているのですが、実際に企業と話をしていて、きちんとした素材で作り実用化に向けて動いているんだとか。

追手門学院大手前高等学校のすごいところは、すべて自発的なところ。大会の出場交渉から、企業との交渉も生徒自ら行うという。

このロボットが実際に店頭でか動いているのをみるのもそう遠くないかも?

都会から食糧不足を解決!『Garden Makers』


東京都から参加したという小学生のチームは、東京という土地ならではの視点で、食糧問題の解決に挑戦します。


自作のロボット『VG-1』を家電に見立て、家電量販店の店員風に紹介してくれました。

世界の食糧不足問題』に目をつけたGarden Makersですが、東京で生活する中で実際に農業をする土地がないと感じたそう。そこで、マンションなどの家の中でも農業ができるようにロボットを開発したと話していました。

VG-1という名前も、Vegetable(野菜)を1番おいしくという意味があるそうです。

レゴで作られた機械の中に、カードリッジをはめ込んで野菜などを栽培します。カードリッジは取り外し可能となっていて、4段ほど積み上げが可能。

備え付けられたセンサーが葉っぱの状況などを読み込んで水や光などを調整します。


種類の違う野菜でも、センサーによって水の加減を調整してくれるのも嬉しいポイントですね!

スマートフォンとも連動していてエアコンで温度管理もできて至れり尽くせり!

5年生と3年生の3人でチームを組んでいたのですが、一人を除いてプログラミングは初めて取り組んだと話してくれました。

身近な発見からアイディアを出していくという『気付き』、そして初めて触れたプログラミングで、ロボット制作まで形にしてしまう、子どもたちの成長スピードに驚きました。

他にも、ARを組み合わせることで、身近な人が食事を食べさせてくれるような体験ができる介護ロボットや、(砂漠などで)太陽の位置を自動で判別し、ソーラーパワーで海水を真水に変え農業に活かすロボットなど、アイディアに溢れたロボットが作られていました。

直前まで調整に余念がない子どもたち


レギュラーカテゴリの競技が行われる会場に戻ると、いよいよ組み立て・調整時間も大詰め!

集中力を切らさずに試走とプログラミングを進める子どもたち。コースの周りには行列ができていて、ライバルのロボットの動きを見つめます。


そして、残り時間も10分!さらに混雑するコース周辺!

5分を切ったところで、次に行う『車検』のために、自分たちが作ったロボットを番号が書かれた紙の上に置きに来る子が出始めます。


そして残り時間も1分を切ると『車検場』に続々とロボットが到着!

時間をすぎると失格となってしまうため、最後まで調整を続けたチームは、タイムアップが迫る中大急ぎでロボットを車検場に!

そして、タイムアップ!ロボットたちが車検場に並びました!


車検場に並ぶロボットを見ると、ミドルもエキスパートもどれ一つとして同じ形のものはありません。同じ課題の解決のためにロボット制作とプログラミングに挑んだはずなのに、アイディアは千差万別!子どもたちの創造力の可能性を感じました。

人形がロボットに乗車!こだわりが光ります

エキスパート競技では、全体的にミドル競技よりも一回り大きいロボットが目立っていました。

車検に使われるクリアボックス。これに収まらなければ失格に

自然と沸き起こる拍手、ガッツポーズも飛び出す

車検を終えると、いよいよ1回目の競技が始まります!まずはミドル競技からスタート。

競技が始まる前にオブジェクトの位置を調整!

少しずれるだけでロボットの動きに影響するため、じっくりと時間をかけて調整する子どもたち。


スタートの合図に合わせて、ロボットのスイッチを押します!

スイッチを押したら、あとはロボットを見守ることしかできません。


みんなが無事にゴールできるわけではなく、ロボットが予想外の動きをしてしまったり、止まってしまったりと、本番で思い通りの動きをすることの難しさを実感。

オブジェクトを指定されたとおりに動かして、見事ゴールしたチームの周囲からは拍手と歓声が上がっていました。

無事ロボットがゴール!喜びがあふれていました

ミドルが終わる頃、今度はエキスパート競技が始まりました。


競技が始まってからの見守り方も、チームで全く違います。

その場にとどまって、ロボットを見守る子、ロボットについていく子、課題をクリアするごとに喜びを表現する子など、個性があふれます。


中学生になると、ブロックの形が不安定になり、途中で倒れてしまったりと配置するのに苦戦していた子も。

それでもさすがはエキスパート!完璧な動きの制御を見せてゴールしている子が!周りから歓声が上がっていました。

高校生のコース、シンプルに見えて複雑な動きをするため、難しい

高校生になると、ルールがさらに複雑化!

コンテナを工場に運び、上にある果物を取り、温度管理コントローラーをとって船のところまで行き、出港させ、船に果物を入れてコントローラーを置きゴールするそうです。

そんな中、サプライズルールまで完璧にオブジェクトを動かし、ゴールを決めるチームが現れ、会場の注目を集めていました。ゴールした後はハイタッチ!


こうして、1回目の競技が終了!

うまく行かなかったチームはプログラミングの修正を、うまくゴールできたチームはタイムを縮めたりといったように、調整時間に入ります。

そして、1回目の競技と同様に、車検を受け合格したチームが競技に入ります。泣いても笑っても最後の競技!各チームとも後悔のないように競技を終えてほしいです。

まずはミドルからスタート!

前回から見事に修正してくるチームもあり、競技はどんどん進んでいきます。


179番のチームがスタート!オブジェクトの規定は完璧にクリアし、メンバーからも「よし!」と声が上がります。
後はゴールだけ!

ロボットがゴールに向かい、きれいに収まったか!?と思われたのですが、ほんの少し先から車体がはみだしてしまいました。


直後には悔しそうな顔を見せていたものの、その後は「うんうん」と納得したような表情を見せる子どもたち。

1回目で完璧な試技を見せたチームも、2回目になると苦戦していたりと一筋縄じゃいかない様子。でも、この試行錯誤の過程が大切なんですね。

ガッツポーズが飛び出す場面も

思い通りの結果に納得した子も、悔しそうな表情を見せた子も『プログラミングの難しさ・楽しさ』を感じたのではないでしょうか。

女の子だけのチームも何組か出場していました

競技終了!国際大会に行くのはどのチーム?

以上で競技は終了!
いよいよ国際大会に派遣されるチームが決まる結果発表に移ります。

参加賞として全員に授与されたメダルは金沢美術工芸大学の学生のオリジナルデザインで 、自治体を上げて大会をサポートしているのが伝わります。

まず、オープンカテゴリから発表が始まります。


【オープンカテゴリ】


○最優秀賞
Otemon Quest *
(追手門学院大手前中学校 )

○優秀賞
Candy Samurai *
(世田谷区立中丸小学校
横浜国立大学教育学部附属横浜小学校
渋谷区立猿楽小学校)

Otemon Challenger* 
(追手門学院大手前高等学校 )

優秀賞・最優秀賞を獲得した3チームが国際大会へ派遣されることとなりました。

続いては、レギュラーカテゴリの発表です。
まずはミドル競技から。

【レギュラーカテゴリ(ミドル競技)】

■小学生
①Okinawa JETS
②robotSM
③5・6年チーム


■中学生
①真・北極ペンギン
②Okinawa ROCKETS
③チーム藤野冨田


■高校生
①NSC
②美里工業高校B
③大工B


※ミドル競技は国際大会への派遣はありません

続いて、エキスパート競技の結果が発表されます。

【レギュラーカテゴリ(エキスパート競技)】

■審査員特別賞
高校生:YTHS Rose Garden *
中学生:ウルトラS
小学生:REI&AYU


■小学生
①KTR富山201
②ワイワイ
③フルーツファクトリー


■中学生
①サンダーバード123
②.exe
③ROBO CRAFTERs


■高校生
①analyzer Λ
②int[劔]
③TONO MS


*マークは国際大会へ派遣されるチーム

WRO 決勝大会の取材を通して感じたことは『ロボットプログラミング教育』の可能性。

出来上がったロボットを見ても、一つも同じ形のものはなく、子どもたちの創造力の豊かさに目を見張る場面も!

また、エキスパートでは9時30分から14時までという長時間に渡っての競技時間に「集中力が持つのかな?」とも思っていたのですが、どのチームも集中力を切らさずに、最後まで走りきっていました。

夢中になれるものを見つけたとき、大人でも驚くぐらいの集中力を発揮します。

国際大会では、他国の子どもたちと触れ合う機会もあるそうなので、参加するチームはそうした交流からも学ぶことは多そうですね。

また、WROに参加した子どもの中には、大会に出たことで工学系の大学に進む子や、国際大会への参加経験から海外の大学に進む子もいるとか。
子どもたちの可能性を広げてくれるWROの今後がますます楽しみになりました!

WRO Japan
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