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これからの時代に求められる力を強く意識しながら、子どもたちを惹きつける、ハードウェアと教材カリキュラムの設計が好評です。
開発/運営は、ソニーグループの教育事業を専門とするソニー・グローバルエデュケーション(SGED)。コンセプト作りから徹底的にこだわったというKOOVにはどのような思いが込められているのでしょうか?
今回は代表取締役社長である礒津政明(いそづ・まさあき)さんにインタビューし、KOOVのコンセプトと特徴、その社会背景について詳しくお伺いしました。
文部科学省「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」委員に就任し、「プログラミング的思考」を提唱する。
「グローバルエデュケーション」の名の通り、KOOVはアメリカや中国など、海外展開も積極的に行っている。
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「論理的思考力の育成」だけではなく……
—さっそくですが、KOOVはどういった思いから生まれた教材なのでしょうか。
KOOVという教材は、プログラミング教育に対するメッセージとして作りました。
というのも、一般にプログラミング教育の目的は論理的思考力の育成だと言われることが多いんですね。
もちろん間違いではないのですが、論理的思考力を育てる方法は他にもあります。気軽に取り組める国語のドリルやパズル教材などがそうでしょう。ではなぜプログラミング教育に取り組むのか。
それは、プログラミングスキルの習得はもちろんですが、創造性と試行錯誤のマインドセットを育むためなんです。
創造性を育むためには、答えが1パターンの教材ではいけない
—まずは創造性の育成に関して伺えますか。
プログラミング教材を色々と見ていると、ゴールが1つしかなく、たどり着く方法も1通りしかないものが目につきます。
授業もそう。ガイドに従って作業を進め、最終的にみんなが同じものを作る。そこには何ら多様性がありませんし、従来の教育とまったく変わりません。答えが1通りしかない授業、教材では創造性を育めません。
これから子どもたちが生き抜いてく社会の状況を踏まえると、プログラミング教育は、答えが1つではない課題にどうアプローチするかを創造的に考える教育であるべきだと考えています。
なぜなら、答えが1つしかない課題、答えにたどり着く方法が1つしかない課題を解決するのは、AIが得意とするからです。
逆に、課題を自分で定義できること、答えが1つではない課題に対して「その人しか持てない」「共感を呼ぶ」視点を持てることは、これからより大切になってくると考えています。
このような背景から、KOOVは自由に形を作れて結果に多様性があり、思った通りに動かせる教材にしようと設計しました。
授業カリキュラムも、課題を自分で定義する体験ができ、一人ひとりが個性を発揮して、オリジナルのロボットを組み立てる内容が多く含まれています。
変化の激しい現代では「正解」が誰にもわからない
—では、もう一つの試行錯誤のマインドセットに関して伺えますか。
創造力を育成するうえで、試行錯誤する力を身に付けることはとても重要だと考えています。
なぜなら、変化の激しい現代では「正解」が誰にもわかりません。例えば、ビジネスでいうと以前は事業の計画をしっかりと練って進めるのが大切でしたが、今では計画を立てること自体が難しくなってきています。
猛スピードで様々な脅威が発生し、環境が大きく変わり、あっという間に売り上げがなくなるかもしれない。1年後の情勢すら読むのが難しく、5年後、10年後がまったく読めないんです。
ビジネスの現場以外でもテクノロジーにより物事のスピード感が上がっているのは、世の中すべてに言える傾向だと思います。
そんな時代にあっては、いろいろな情報を咀嚼し、課題を設定して、自分の出した仮の答えを素早く検証するサイクルが大切です。
「長い時間をかけて計画し、いかに良いものを一発で作るか」ではなく、「試行錯誤を繰り返しながら、いかに良いものに近づけていくか」。このマインドセットの育成を強く意識しています。
また、新たな時代の試行錯誤のマインドセットを育てるには、小さい頃から取り組むのが重要です。大人になるとリスクを恐れてアイデアが少なくなってしまいますから。
創造力を育成するKOOVの特徴とは?デザインの工夫で男女比が均等に
— KOOVのコンセプトとその背景についてお話いただきましたが、KOOVの特徴について詳しくお伺いできますか?
まず、KOOVで身につく力は普遍的な力だと考えていますので、KOOVを設計するにあたり、ジェンダーニュートラルは当初から意識していました。試作を繰り返し、男の子も女の子もすんなり受け入れられるデザインを目指しました。
実際に教室を訪れると男女比が均等に近くなっており、狙いは達成されたと感じています。
子どもたちの強烈な「やってみたい!」「触ってみたい!」を引き出すには、モノが必要
—画面オンリーのプログラミングではなく、ブロック型にしたのはなぜでしょう。
KOOVがブロック型なのは、子どもたちの強烈な「やってみたい!」「触ってみたい!」を引き出すには、モノが必要だと感じたためです。モノがあれば「友達がすごいものを作っている!」と直感的に分かりますから。
加えて、やり直しのしやすさもポイントです。木工だと、切ってしまった木は元に戻りません。KOOVならすぐに壊して新しいやり方を試せるし、プログラムだってすぐ書き直せる。
イメージしたのは粘土です。ただ、デジタル時代の教材として、粘土は表現の幅が足りない。これからの時代は、どの分野に進んでもプログラミングを使って表現する機会が多くなりますから。
テクノロジーがあまり活用されていなかった領域でも、プログラミングによって、より豊かな生活が実現されることは、今後さらに増えていくと思います。例えば、ファッションの領域で、サイズの計測が自動で行われるようになりましたよね。
KOOVはシンプルなパーツで組み立てられ、かつ、プログラミングして自由に動かせる教材です。この特長が、現代に合った表現の幅を生み、試行錯誤のマインドセットを育むんです。
自分の作った作品を全世界へ公開
— KOOVには、子どもたちの創造性を刺激するユニークな機能があると伺いましたが、どのような機能なのでしょうか?はい。KOOVのアプリ内では、自分の作った作品を全世界に公開し、他のユーザーからコメントを受けることができます。
自動翻訳機能もついているので、アメリカや中国のユーザーからコメントを受けるなんてこともあるんですよ。
実は、子どものふりをして作品を投稿して楽しんでいる社員がいるのですが、他のユーザーからコメントやいいね!をもらうと「創作意欲が全然違う!」と話していました。
実際に、アプリ内では、子どもたち同士のやり取りが毎日活発に行われて盛り上がっているんです。
※ 不適切な表現を含むコメントが投稿されないよう、ソニー・グローバルエデュケーションが管理しています。
ー他のユーザーからフィードバックを受けて、モチベーションupや改善に繋げてもらうと。エンジニアの世界でいう、GitHubにも近いですね。
そうですね。世の中が複雑化して、一人の発想や開発だけで良いものを作り切るのが難しくなっていますし、生の声を取り入れながら作る方がスマートですよね。
その潮流が見られるのはエンジニアの世界だけではありません。企業の商品開発においても、以前は、スーツを着た人が会議室にこもってやるイメージでした。しかし今では顧客から意見を聞き、すばやく商品に落とし込むような方法が主流なんです。
こうなったのは、ビジネスがグローバル化しているのも大きいですね。世界に展開しようとすると自分の感覚だけではまったく通用しませんから。ソニーグループでも、商品を作るときに国内外のユーザーの声を聞くことがとても多くあります。
いかにオープンにフィードバックをもらって作品に反映させていくか。そんな体験を子どもたちにもして欲しいという思いから、こういった機能を加えました。
—礒津社長、ありがとうございました。新たな時代を築いてきた、ソニーグループさんらしい理念を伺うことができました。
近日公開予定のインタビュー後半では、未来教育事業部 エデュケーション エヴァンジェリストの清水輝大(しみず・てるひろ)さんより、「レッスン」「コンテスト」から成る具体的なカリキュラムの内容、講座を受けることにより身に付く力などなどをお話しいただきます。
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「これからの時代に求められる力を身に付けること」と「子どもたちを惹きつける」を両立したKOOV(クーブ)。創造力と試行錯誤のマインドセットの育成というゴールが、KOOVハード・アプリ・授業カリキュラムに一貫して落とし込まれていると感じました。KOOVのロボット・プログラミング教室 体験授業のお申込みはこちらから。
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