(取材)大学発ベンチャーが地方のクリエイティブを進化させる!株式会社COMARS代表取締役吉武莞氏

(取材)大学発ベンチャーが地方のクリエイティブを進化させる!株式会社COMARS代表取締役吉武莞氏
「立命館大学発・琵琶湖のほとりのクリエイティブベンチャー」の看板を引っ提げ、ドローンを活用したクリエイティブ事業を展開しているのが株式会社COMARSです。

地方のクリエイティブのけん引を目指す同社がどのようにして生まれ、どういった場面でドローンを活用しているのかについて、同社取締役の吉武莞氏に伺いました。
 

株式会社COMARS取締役 吉武莞氏

大学発ベンチャーとして誕生後、コロナ禍で事業転換

――まず、COMARSの発足の経緯を教えてください。
 
弊社はいわゆる“大学発ベンチャー” です。立命館大学ではビジネスプランを考える授業があり、その場で生まれた学生団体を母体として2019年に設立しました。最初はインターネットと自転車を組み合わせたIoTモビリティの開発・研究をしていたのですが、新型コロナウイルスが流行して人々の生活様式が変化。移動そのものができなくなり、モビリティへの需要が低下しました。
 
一方、映像制作への需要はコロナによって増大しました。もともと弊社ではIoTモビリティ事業のプロモーションとして映像制作を手掛けていたのですが、コロナが流行してから「そんな映像が作れるなら、ぜひ仕事をお願いしたい」とお声がけされることが増え、本格的に映像制作事業に着手しました。
 
いまはクリエイティブ産業を軸足に置き、クリエイティブ事業やドローン事業など4つのセグメントで事業を展開しています。
 
――コロナの流行を受け、どのように映像のニーズが高まったのでしょうか。 
 
コロナの流行により、「体験」できる機会が格段に減少しました。そのため、これまで映像を必要としてこなかった企業や自治体が、映像を使ってアピールしたいと考えるようになったんですね。

たとえば、大津市では小学生が毎年浄水場見学をするのですが、コロナ禍で叶わなくなったことから見学の代わりとなる動画制作のご相談を受けました。当初は「1時間の映像を1本作ってほしい」というご相談だったのですが、弊社からは最大限に魅力を引き出すためにバラエティに富んだ短い映像を複数本作ることを提案し、採用していただきました。そのうちの1本がドローンを使った映像です。
 

これらの動画はかなり好評で、いまYouTubeで計5万回くらい再生されています。大津市の小学生だけではなく、いろんな人たちに視聴されていますね。
 
――素晴らしいです。改めて、御社の強みはどのような点にあるのでしょうか。

 
ドローンを使って撮影した素材を使い、映像制作を行えるところですね。ドローンを使用した映像制作はまだまだ新しいので、そこに特化した映像制作を打ち出せる点は選ばれるポイントになっています。

(COMARSの制作実績をまとめたYouTubeビデオ)

「地方」×「クリエイティブ」への挑戦

――滋賀県と言えば琵琶湖のイメージがありますが、事業を展開する上で「滋賀県の会社であること」はどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
 
琵琶湖の存在は非常に大きいですね。当然ですが、湖上には誰も住んでいないので申請さえすれば自由に飛ばせます。また、どの季節に撮影しても四季折々の非常に美しい映像が撮影できます。
 
それに、ドローンへの需要も高いんです。というのも、滋賀県のレジャーや観光の中心には琵琶湖があるため、ドローンが活用されるシーンが多彩なんですね。SUPやカヌーといった手持ちのカメラでは撮影が難しいアクティビティもたくさんありますし、自転車で琵琶湖をサイクリングしながら一周する「ビワイチ」などのアクティビティも、ドローンでの撮影で臨場感ある撮影が可能です。最近では琵琶湖を舞台にしたトライアスロン大会でも公式映像を制作させていただきました。

 
――地方にいることでの利点を感じながら事業を展開されておられるのですね。一方で、地方のクリエイティブベンチャーだからこそ感じる課題はどのようなものでしょうか。
 
日本におけるクリエイティブ産業は、東京に一極集中しています。制作会社の7割が東京で、2割が大阪。それ以外のすべての県を足し合わせて1割程度といった状況です。
 
では、なぜこのように首都圏に集中するのか。営業していてすごく感じるのは、地方では映像やクリエイティブがビジネスとして根付いていないという課題感です。クリエイティブの値段も全く定まっておらず、弊社が提示する価格と顧客が求める価格が乖離することもよくあります。
 
ただ、だからこそ滋賀でビジネスを展開していく意味は非常に大きいと考えています。今後は地方でクリエイティブ産業の一翼を担い、若いクリエイターを育てて、持続可能なクリエイティビティのシステムを構築していくことが目標ですね。
 
クリエイターがしっかりお金を稼げないことには、クリエティブは成り立ちません。弊社は低価格で勝負するのではなく、高クオリティの映像を適正な価格で提供していきます。
 
――これまで、東京一極集中の弊害をどのような点で感じてこられたのでしょうか。
 

地方の中小企業はビジネスの規模こそ小さいですが、その地域にとってなくてはならない存在です。もともと環境意識の強い滋賀県では、琵琶湖の自然の恵みを生かしたお菓子作りに挑戦している菓子メーカーや、地場産の食材を中心に扱うスーパーなど、特色のある事業で地域に貢献している企業が多く見られます。
 
ところが、そういった企業がPR用に映像を作りたいと考えたとき、「滋賀 映像」とネットで検索しても、出てくる映像制作会社は東京ばかり。東京の会社では絶対にダメだというつもりはありませんが、やはり、地元の強みをわかっている企業の方が圧倒的に良いものを作れる場合も多いはず。だからこそ我々は地域密着でやっていきたいし、事業を通じて地方のクリエイティブレベルを引き上げていきたいとも考えているんです。

映像制作のプロとしてのスクール運営

――そんな御社はドローンスクールも運営されていますが、どのような内容の講習を行っているのでしょうか。
 
弊社は国土交通省航空局HP掲載講習団体である一般社団法人地域再生・防災ドローン利活用推進協会(RUSEA)の滋賀大津支部として、座学講習と実技講習と組み合わせた講習会を開いています。受講者の居住地によって柔軟に対応していますが、主に大津市内の体育館で行っています。

(提供:COMARS)


コースは実技講習が一日間の「ベーシックコース」と二日間の「アドバンスコース」の二つ。法律の知識など座学の講習はeラーニング形式で実施し、オンラインでいつでも受講できます。

ベーシックコースは本当に基本的な操縦技能を身に付けたい方にお勧めしている、昼間にドローンを目視しながらの飛行が可能となるコースです。

対するアドバンスコースは日中の目視での飛行はもちろん、目視外飛行や夜間飛行までできるようになるコースです。体育館を借りているのは、こうした難易度の高い練習においても通行人や建物を傷つけないように配慮するためです。

なお、実際に業務で生かすとなれば、目視外や夜間の飛行スキルが間違いなく必要になるため、業務目的でドローンを活用されたい方にはアドバンスコースの受講を強くおすすめしています。

また、12月からは「国家ライセンス制度」が始まります。この資格取得を視野に入れると、やはりアドバンスコースの受講が必要になります。(※資格制度の開始後も現行のアドバンスコースは継続されますが、カリキュラム・講習日数・講習価格等は変更される予定です。)


――どういった方が受講されるのでしょうか。
 
受講生には立命館大の学生が多く、ほかのスクールよりは若い世代が中心になっています。毎回、4割ぐらいは20代以下の方が占めています。みなさん様々な目的で講習を受けに来られますが、傾向としてはうちの強みである映像制作スキルを学びたいと思って来られる方が多いですね。
 
――映像制作スキルを持っている御社だからこその強みを、どのように講習に生かしているのでしょうか。
 
どのスクールでもそうですが、インストラクターごとに個性があり、得意分野があります。農業なら農業、点検なら点検を熟知している方から教わったほうが、テキストの外にある実務的なスキルを学びやすいです。

その視点に立つと、弊社は実際に映像制作をしているので、実践的なカメラワークを教えることができます。たとえば、「ここに人が立ってるんだったら、こうロールして撮るといいよ」とか、「普通のカメラだとこれが限界だけど、ドローンだとここまでできるよ」とか。このくらい踏み込んだ内容をレクチャーできる点は、受講者からも評価されていますね。
 
また、最近ではライセンス制に伴う市場拡大を見据え、実際にはそこまで業務に携わっていないにも関わらず指導にあたっているスクールやインストラクターがいるといいます。こうしたスクールでは、何かトラブルが起きた際の対処法を充分にレクチャーできない可能性があります。

その点、弊社には蓄積された運用ノウハウがあり、トラブルシューティングの経験も豊富なので、「こういうトラブルが起きてしまったら、このように対処しましょう」と指導できます。

――具体的には。

たとえば、ドローンは目視で飛行しているつもりが、ひょんなことで目視外まで飛行してしまうことがあります。よくあるのは、「背の高い木の後ろに回り込んでしまった」などですね。このような場合は、すみやかに解決しなければ「目視外飛行」になってしまいますし、何より危険です。

ですから、このような状況に陥ってしまったら、目視できる場所まで移動することを原則としつつ、ドローンをホバリングさせてGPSで場所を確かめ、元の場所に戻す必要があります。ところが、ドローンに慣れていない人はついパニックになってしまうのです。

弊社であれば、そのような対応方法についても実務経験を踏まえて教えることができます。よくあるトラブル事例を知っておくだけでも、パニックは防げるもの。これが、技能だけを教える会社との差別化を図るポイントにもなっています。

(提供:COMARS)

 
――本日はいろいろなお話をありがとうございました。最後に、「ドローンに関心はあるけれども、チャレンジする勇気がない」という方に向けてメッセージをお願いいたします。

12月に「国家ライセンス制度」が始まることで、いま、ドローン業界はすごく注目されています。また、ライセンス制に伴い、機体の登録やリモートIDの搭載など、周辺制度の整備もバタバタと進んでいます。

そんな状況だからこそ、ドローンを使ってみたいと思われる方は早め(12月まで)に受講された方がスムーズに資格を取得でき、安心してドローンを飛ばせるはずです。当社では説明会を開催するほか、LINEでの質問も積極的に受け付けていますので、なんでも気軽にご相談ください。新たなクリエイターの誕生を、とても楽しみにしております!
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