しかし転職は今後の人生を左右する、大きな転機の1つ。
せっかく転職するのであれば、満足できる結果・成果を残したいものですよね。
実は転職にはおすすめの時期があり、しかも年代によって進め方にコツがあるのをご存知でしょうか。
効率的に転職活動を進めるためには、時期やコツを見極めることが重要です。せっかくの転職活動、成功に向けてベストなタイミングで上手く進めたいですよね。
今回は転職におすすめの時期と、年代別の転職のタイミングと進め方について解説します。
企業の採用ニーズが高まる転職おすすめ時期とは?
年間を通した転職市場全体の動きは、一定ではありません。企業の意向や求職者の動向に応じて、求人が増える時期・企業の採用ニーズが高まるタイミングは変動します。まずは、転職市場が活発化する時期をご紹介します。
新年度入社に向けた2~3月の採用
企業の採用ニーズが年間で一番高まる時期は、一般的に2~3月と言われています。新年度に向けて社内体制を整えたり退職者の人員補充をすることを目的に、企業は積極的に採用活動を行います。
一方で2~3月は転職希望者、つまりライバルが増える時期でもあります。
どんなにスキルや実績を有していたとしても、準備不足では他の転職希望者との競争に負けてしまう可能性も。
このように2~3月は求人数が増える時期ではありますが、同時にライバルの数が増え転職競争が激化するシーズンでもあります。
ライバルとの競争を勝ち抜くため、転職に向けて入念に準備を整える必要があります。
下半期開始に合わせた8~9月の採用
下半期スタートの10月に合わせ、異動や新事業の立ち上げを行う企業は少なくありません。新事業部署立ち上げや夏のボーナス後転職した人員のポジションを補填するため、8~9月は中途採用の求人が増加する時期です。この時期の求人は、2~3月と比較して即戦力を求める求人が多い点が特徴です。
そのためこの時期は、ある程度のキャリア・実績・スキルを持つ転職希望者が歓迎される傾向にあります。
2~3月・8~9月は確かに採用ニーズが高まる時期であり、普段目にすることのないポジションの求人が出てくることもあります。幅広の情報の中から自分の希望に沿った応募企業を選択できるメリットがあります。
しかし一方でしっかり転職準備をした上で転職に臨まないと、高い競争率に阻まれ転職活動が停滞する可能性もあります。
また、市場動向は業界や職種によっても異なります。
あくまでも参考にとどめ、自分自身にあったスケジュールで転職活動を進めることが肝要です。
転職におすすめしない時期
中途採用は新卒採用と違い、通年で採用活動が行われています。しかし、転職時期を見誤ると活動状況が不利になったり、優位に進まないケースも起こり得ます。
転職活動に取り組む際は、活動時期を見極めることが大切です。
求人数が少ない11〜12月
11月から12月にかけては、多くの企業が年末年始休暇に向けて業務を締めくくる時期となります。多くの業務が一段落する時期のため、新たな採用活動を控える企業も多く、求人が減る傾向にあります。そのため、求人数が少なくなる11月~12月は、転職活動を控えたほうが良いでしょう。
ただし、すべての企業が一様に採用活動に消極的になるわけではありません。企業や業界によっては、積極的に採用活動を行っているケースもあります。
有益な情報が得られた場合はすぐに転職活動に取り組めるよう、常にアンテナを張っておきましょう。
現職の勤務先の繁忙期
繁忙期は普段よりも仕事量が増加し、忙しさがピークに達します。このような時期に転職をしようとすると、転職活動に十分な時間を割けず、「思うように活動に取り組めない」といった懸念が考えられます。また繁忙期に転職すると、現職企業から「都合の悪い時期に辞めていく」という印象を与えてしまいかねません。執拗に引き留めを迫られたり、希望する時期に退職できない可能性もあります。
スムーズな転職を叶えるためにも、現職の勤務先の繁忙期を避けて転職活動を開始しましょう。
【年齢別】転職におすすめの時期と求められるスキル・能力
『20代、30代、40代…、自分にベストな転職タイミングはいつなのか?』誰しもが抱く疑問だと思います。本項目では年代別の転職タイミングと、企業が各年代に求めるスキルや能力をお伝えします。
社会人経験3年未満(第二新卒)での転職
第二新卒はほぼ新卒と同等に扱われるケースが多く、スキルよりもポテンシャルが重視される傾向にあります。先述の通り秋入社に向けた採用はキャリア・実績・スキルを重視する求人が多いですが、2~3月はポテンシャルを重視する採用が増える時期。
社会人経験の浅い第二新卒には、2~3月の転職がおすすめです。
参考:第二新卒での転職はやめとけ?
参考:第二新卒向け転職エージェント
25~29歳
25歳~29歳は、新卒で入社した会社である程度裁量権を得られる年齢。経験を積んできた中で「本当にこの仕事が自分の天職なのか」「もっとキャリアアップできないのか」など、様々な理由から転職を考える人が増える時期です。
25歳~30歳は転職市場のボリュームゾーンでもあり、企業の採用ニーズも高い年代です。
そのためこれまでと同じ職種・業種で仕事を探すにしろ、新しい職種にチャレンジするにしろ、時期を気にせずまずは求人情報を探してみることをおすすめします。
参考:20代向け転職サイトおすすめ一覧
30~39歳
30代は昇進や結婚などライフイベント重なる方も多く、おのずと自分のキャリアプランを見直す年代です。転職市場においては、実績やスキルを求められ即戦を期待されます。そのため30代の転職においては特化したスキルを持たない場合、厳しい転職になる可能性が高いことも念頭に置いておきましょう。
転職を開始する時期は、8~9月が狙い目。
退職者の補充を目的に「戦力として活躍できる人材を採用したい」と考える企業が増えるため、スキルや実績を活かせる企業と出会えるかもしれません。
参考:30代向け転職サイトおすすめ一覧
40歳以降
年齢に見合うだけのキャリアを求められる傾向にある40歳以降。未経験から別業種にチャレンジすることはなかなか難しく、同職種での活躍を期待されるでしょう。
また、市場に出る求人数は20代、30代に比べて少なくなります。
そのため転職活動も長期化する可能性が考えられます。
転職に最適な時期を狙うよりも常にアンテナを高く張り、希望条件に合う求人を見つけたらすぐに動けるよう準備と心づもりをしておくことが大切です。
参考:40代向け転職サイトおすすめ一覧
業界・職種別の転職時期の傾向
転職に最適な時期は、業界や職種によって大きく変わることもあります。転職活動に取り組む際は、目指す業界や希望する業種の転職時期を把握することが大切です。
また外資系企業か日系企業かによっても、求人が多くなる時期は異なります。
外資系企業は、1月から新たな予算が組まれるため、残りの予算を使い切るために10月~12月に求人が増えます。一方日系企業は、決算時期や年度始まりに合わせ、2月~3月もしくは7月~8月に採用を強化する傾向がみられます。
教育業界 | 2月~3月、6月~7月 |
旅行業界 | お盆・年末年始前 |
サービス業界 |
2月~3月 |
クリエイティブ系の職種 | 時期は問わない |
外資系企業 | 10月〜12月 |
日系企業 | 2月~3月、7月~8月 |
転職しやすい時期に活動するメリット
転職しやすい時期は求人数が多くなるため、多様な選択肢の中から希望にマッチする求人を選べるといったメリットが挙げられます。特に年度末は、採用予算の使い切りを目指して積極的に採用活動を進める企業も多いため、面接の機会が増え、内定をもらいやすくなるでしょう。さらに転職しやすい時期は企業の採用意欲が高く、選考がスムーズに進みやすいタイミングでもあります。そのため転職時期を調整できるのであれば、より転職活動を優位に進められる時期から活動をスタートしましょう。
転職しやすい時期に活動するデメリット
一方で転職しやすい時期に活動に取り組むことでデメリットに感じられてしまうケースもあります。転職が活発化する時期は、求人数が増えると同時に求職者の数も増えます。必然的に選考の難易度も高くなると予想できます。
そのため、面接でアピールするスキルや経験、志望動機などがより重要になってくるでしょう。
さらに転職エージェントなどの人材紹介サービスを活用する場合、求職者が増えることで個別のサポートが限られてしまうケースもあります。またキャリアアドバイザーからのフィードバックや選考進捗などの情報共有が遅れる可能性も考えられます。
理想の転職活動を進められるよう多様なサービスを併用したり、スケジュールをコントロールすることがポイントです。
最適な時期に転職をするために理解すべきこと
理想の転職を実現するためには、転職活動を始めるタイミングを適切に測ることが必要です。転職活動の時期を決めるとき、留意したいポイントを紹介します。転職活動期間を逆算して動き始める
転職活動を始める場合は、「転職を希望する日」をゴールに設定するのが鉄則です。目指すゴールから逆算して転職スケジュールを立てれば、効率的な転職活動が可能となります。個々の年齢・キャリアによる違いはありますが、転職までに必要な期間は3~6カ月とするのが一般的です。例えば「2月に転職したい」と希望する人は、前年の8~11月には転職活動を始めることが必要となります。
転職活動スケジュール
転職活動には、「転職イメージの具体化」「情報収集・応募先検討」「応募・面接」「内定・退職・入社」の4つのフェーズがあります。それぞれのフェーズで必要な期間の目安は、以下のとおりです。
期間の目安 | 活動内容 | 詳細 |
1~2週間 | 転職イメージの具体化 |
スキルや実績の棚卸しやを行ったり、転職目的を明確化したりする |
2週間 | 情報収集・応募先検討 |
気になる業界・企業情報をチェックする。転職希望先の企業と自分とのマッチ度を測る |
4~5週間 | 応募・面接 | 気になる会社に応募する。複数社を併願するのが一般的 |
4~6週間 | 内定・退職・入社 |
引継ぎ・退職・入社準備を行う |
転職活動期間を逆算するときは、上記の流れを踏まえた上でスケジュールを組んでください。
ただし人によっては、自己分析や情報収集により多くの時間を割きたいと考えるかもしれません。また、なかなか内定をもらえないときは、転職活動期間がさらに長くなることもあるでしょう。
転職活動スケジュールはあまりギチギチに決め過ぎず、大まかな流れを追っていくのがおすすめです。
転職先が決まった状態で退職する
在籍中の職場に退職を伝えるのは、転職先が決まってからがおすすめです。転職先を決めておくメリットとしては、以下の3つがあります。- 職歴に空白期間を作らずに済む
- 収入の不安がない
- 引き止めに合いにくい
職歴に空白を作ると、「働く意欲がないのでは」「計画性がないのでは」などと勘ぐられる可能性があります。今後のキャリアプランを考えれば、職歴に空白が生じるのは好ましくありません。
また収入の不安は、「早く次を探さなければ」という焦りにつながります。転職先の見極めが甘くなる・本意ではない会社に応募してしまうなどが起こりやすく、理想の時期の転職を実現するのが困難です。「最悪、今の会社を続ければいい」という心構えの方が、転職活動にも余裕が出ます。
このほか引き止めに合いにくいのも、転職先を先に決めておくメリットの1つです。「次が決まったので」と伝えれば、人事担当者や上司も「辞めるな」とは言えません。
ボーナス月も考えて転職を検討する
受給資格があるのなら、ボーナスを受け取らずに転職してしまうのはもったいない話です。転職のタイミングを考えるときは、「ボーナスを受給できること」を重視しましょう。例えば6月・12月にボーナスが支給される会社なら、以下の転職スケジュールがベストタイミングとなります。
夏 | |
5月 | 内定 |
6月 | 現職ボーナス支給・退職届提出 |
7月 | 引継ぎ・退職 |
8月 | 転職先入社 |
12月 | 転職先ボーナス支給 |
冬 | |
11月 | 内定 |
12月 | 現職ボーナス支給・退職届提出 |
1月 | 引継ぎ・退社 |
2月 | 転職先入社 |
6月 | 転職先ボーナス支給 |
注意点は、ボーナスの支給規定や算定対象期間は会社によって異なる点です。まずは自社の就業規則を確認し、ボーナスを受給できるベストタイミングを測ってください。
またボーナス支給前に退社の意思表示を行うと、支給額が減額されるケースも散見されます。ボーナスを満額受け取りたいなら、転職を伝えるのは「ボーナスを受け取ってから」がおすすめです。
自分に合ったタイミングを見極め、計画的に転職活動を進めることがポイント
職場で嫌なことがあったり友人の話に触発されるなど、何かのきっかけで急に思い立ち、勢いで転職する方もいらっしゃいます。中には成功することもありますが、後悔するケースも少なくありません。転職を行うには、次の多くの工数・ステップを踏む必要があります。
- 転職目的の明確化
- 自己分析
- キャリアの棚卸
- 転職スケジュール立案
- 応募先企業の選定
- 応募書類の作成
- 選考(内定)
- 退社準備
- 入社準備
勢い任せに転職を進めてしまうと、理想条件に沿う企業と巡り合えない・ライバルが多く内定に結び付かないなどの事態に陥ってしまうことも考えられます。
また例え転職に成功したとしても、引き継ぎのタイミングがタイトになり退社・入社において前職や新しく入社する企業双方に迷惑を掛けてしまう可能性もあります。
より成功の確率を高め、満足できる転職を叶えるためには計画的に転職活動を進めることがポイントです。
転職を検討する際は、本記事で紹介した転職時期やタイミングを念頭に置き、自分にとってベストなタイミングを見極めた上で行動に移しましょう。
転職時期おすすめに関するよくある質問
続けて転職の時期に関する、よくある質問をご紹介します。転職活動はタイミングが重要です。ほんの少し行動が遅かったばかりに内定を掴み損ねてしまう可能性はゼロではありません。
自身の転職時期に関する疑問もしっかり解消しておきましょう。
春に転職がおすすめ理由は?
春は、新年度に向けて1年の中で最も求人数が多くなる時期です。また企業側も新たなプロジェクトやビジネスの展開に向けて、新しい人材を採用する動向が強くなります。そのため転職希望者にとっては、幅広な選択肢の中から求人を選べるだけではなく、転職先での成長やキャリアアップのチャンスも高まる時期と言えるでしょう。
転職時期を問わないのであれば、チャンスが広がりやすい春の転職をおすすめします。
転職前の退職におすすめの時期は?
転職前に退職する場合、次に紹介する3つの時期が適切と言えるでしょう。- 担っている仕事が一段落した時
- ボーナス支給後
- 年度末や中間決算前後
転職活動は、現職の繁忙期を避け、担っているプロジェクトの完了に合わせて逆算した上で計画的に取り組みましょう。またボーナス支給のタイミングに合わせて退職するのも1つです。
さらに、年度末や中間決算前後に退職するのもおすすめです。年度末や中間決算前後は人事異動や業務整備など、内部変化が起こりやすいタイミングです。次の転職先でキャリアアップや成長のチャンスを得られる可能性も高まるため、即戦力として活躍できるスキルや経験がある人は、年度末や中間決算などの時期に合わせて退職するのも良いでしょう。
ただし、いずれのタイミングでも、退職を決める前には必ず現在の雇用契約や労働法に則って、適切な手続きを踏んで退職するようにしましょう。また、退職に至るまでは現職の仕事に専念し、最後まで責任を持って勤め上げることが大切です。
パワハラが原因の転職でも時期を気にするべき?
パワハラが原因で転職する場合は、時期を考慮する必要はありません。パワハラによる精神的な負担やストレスが長引くほど健康上の問題を引き起こす可能性も高まるため、早急に対処することが大切です。ただし精神的な負担やストレスが原因で健康状態に問題がある場合、転職活動に支障が出てしまう懸念も考えられます。そのため、必要に応じてカウンセリングや精神科医の診断を受け、適切な対処を行うことが大切です。
若いときの方が転職は成功しやすい?
厚生労働省が発表した「中途採用に係る現状等について」を見ると、転職希望者のうち転職に成功した人の割合は、年代が上がるほど低くなっています。すなわち転職市場では若い年代ほどニーズが高く、転職に成功しやすい傾向です。若い年代が有利なのは、いわゆるポテンシャル採用が多いことが挙げられます。ポテンシャル採用とは、求職者の「可能性」「将来性」を評価基準とする採用方法です。経験や実績よりも将来性・やる気・社風とのマッチ度が重視されるため、未経験の分野でも採用される確率は高くなります。
これに対し30代以上の求人は、「即戦力」が求められるケースがほとんどです。転職を成功させるには、「自分のスキルや実績が、企業ニーズとマッチしていること」が重要となります。
30代以上の転職は、情報収集と自己分析の徹底が必須です。自身のスキルや実績の棚卸しをしっかりと行い、「入社後、どのように企業利益に貢献できるか」をアピールしましょう。
求職者の強みや実績が企業のニーズとマッチすれば、30代以上でも理想の転職は十分に可能です。
参考:中途採用に係る現状等について|令和元年9月27日 厚生労働省職業安定局
転職におすすめの時期まとめ
今回は、転職におすすめの時期と年代別の転職のタイミングについてお伝えしました。「思い立ったが吉日」ということわざもありますが、転職においてはことわざ通りにいかないこともあります。
転職タイミングの見極めや事前準備のない状態での転職活動は、知らぬうちに転職の難易度を高める結果に。
ただし時期を見計らいすぎて転職への一歩を踏み出せないようでは、本末転倒です。
仕事の変化やライフイベントなども考慮した上で、自分にとってベストなタイミングを見極めるのも大切です。
人生のターニングポイントにもなり得る転職。しっかり準備をして後悔のないように臨みたいものですね。