子どもの性格は十人十色ですから、「絶対にこれ!」と決まった答えがあるわけではありません。
とはいえ、特別な知識がなくても、楽しみながらプログラミングに触れられるビジュアルプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」はかなりの有力候補になるはず。
この記事ではScratchの魅力を紹介します。
Scratch(スクラッチ)とは?
Scratchはアメリカの有名な大学、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボで開発されたビジュアルプログラミング言語です。プログラミングと聞くと「パソコンの画面に向かって、難しいことをする」イメージがありますが、Scratchではブロックをつなげていくだけでプログラミングすることができます。
ブロックを組み換えるように順序を変えたり、新しいものを足したりできるので、プログラムを書き換えるのも簡単です。
作ったプログラムがうまく動かなくても、簡単にやり直せるのが特長といえるでしょう。
アニメーション、プレゼンテーション、ストーリー、ゲームなど自由自在につくりあげることができ、作品を世界に公開できる場も用意されています。
Scratchは、どうしてかんたんなの?
「子どもたちがかんたんに楽しく学習できる」ことを何よりも優先させて開発されたScratch。そのすぐれた特性をご紹介します。
カラフルなブロックを感覚的に操作できる
ブロックは8色に色分けされています。カラフルなブロックを「引っ張ってきて、つなぐ」、つまり「ドラッグ・アンド・ドロップ」の繰り返しによってプログラミングを行います。
Scratchという名前も、この「パチッとはめて、つないでいく感じ」からつけられたそうです。
ブロックの色はそれぞれの機能が指示する種類によって色分けされています。
動き、見た目、音、ペン、制御、調べる、演算、変数といった機能がひと目でわかるので、タイピングが苦手だったり、漢字の読めないお子さんであっても安心。
最初はわかりやすいブロックから使えばOK!
動きをあやつり、見た目を自由に変化させ、音をのせる。
それらを指示するブロックをつなげるだけでもプログラムとして動きはじめ、プログラミングの楽しさを知ることができます。
まるでブロック遊びをしている感覚でプログラミング学習ができるというわけです。
むずかしい「文法」を意識せずにプログラミングできる
一般のプログラミング言語では、「文法」や「階層」を意識することが不可欠です。小さな指示をいくつもつくり、それらをまとめて中くらいの指示にし、その中くらいの指示をいくつかまとめて大きな指示を出す……
しっかりと構造化されたプログラムをつくるのが重要なのですね。
こうした概念は仕事をする上では欠かせませんが、はじめて挑戦する子ども達にとっては「めんどうくさい」「難しそう」と感じさせてしまうもの。
Scratchは子どもでも、難しい概念を意識することなくブロックをつなげ、最後に大きな指示にまとめることによって、自然と階層の整ったプログラムを作ることができます。
試行錯誤が簡単にできる!
プログラミングでいちばんツライ作業はバグフィックス。プログラムがうまく動作しないときに、一行一行チェックして間違いを取り除く作業です。
テキスト(文字)を使って行うプログラミングでは、バグ1つを発見するまで英語の羅列をずーっと眺める必要があり、大人でもイヤになってしまうほど。
Scratchなら、ブロックを操作することで意図した通りに動かなかった(=エラー)プログラムを、別のブロックに替えて試してみる(=トライ)が簡単にできます。
「もうちょっと速く動かそうかな」なんて微調整もかんたん。
楽しみながら、より完成度の高いプログラムをつくっていける、それがScratchの最大の魅力です。
Scratchは導入しやすい
Scratchはさまざまなプログラミングスクールで教材として使われているなど、ビジュアルプログラミング言語の中では一定の地位を占めています。では、なぜこれほどまでに使われているのでしょうか?もちろん使い勝手の良さも理由の一つだと思いますが、なんといってもフリーソフトゆえに無料で導入できるということが大きいでしょう。PC関連の設備費や通信料などはかかってしまいますが、ソフトウェア自体は無料で使うことができます。
また、面倒なインストールなどが必要なく、ブラウザ上で動くというのも魅力のひとつ。アクセスするだけで簡単に使うことができますし、バージョンアップなどを行わなくても常に最新の状態に保たれています。
ゲームからプレゼンテーションまで!Scratchでできること
簡単な操作でトライ&エラーもできるScratch、その一方で驚くほどに多彩なプログラミングが可能です。その一例を紹介しましょう。アニメーションやゲームができる
スプライトと呼ばれるキャラクターや道具を選んで配置し、しゃべらせたり、動かしたりして、楽しいアニメーションやゲームができます。子どもたちの頭のなかにある、アニメーションやゲームのイメージにすこしでも近づけていけるよう、工夫していくことが楽しさと進歩を両立させます。
プレゼンテーションやストーリーもできる
単純なブロックの組み合わせにより、つぎつぎと画面が変化をしたり、動き出したりします。ブロックによる指示を少しずつ変えていくことで、キャラクターにジャンプをしたり、走り出したりさせることもでき、プレゼンテーションやストーリー表現に役立ちます。
長く遊べる、深くなる、広くなる
できあがったゲームですぐに遊ぶことができます。不具合が見つかればすぐに直せます。
好きなキャラクターを増やしたり、武器を変えたりなどの変更も自由自在です。
修正しながら完成度を高めていくこと自体が、子どもにとっては楽しい遊びとなるでしょう。
楽しくつながる、世界中に広がる、自信につながる!
Scratchには自分でつくった作品を公開できるサイトがあります。WEB上に公開すれば、身近な友達だけでなくサイトを訪れた世界中の人たちに楽しんでもらうことができコメントももらえます。
身近な友達や日本国内だけでなく、遠い世界の人たちが自分の作ったもので楽しんでもらえたることは、子供たちにとって大きな自信につながります。
世界の子どもたちが作った作品から刺激を受け、さらにアイデアが豊かになっていきます。
世界の「仲間」とプログラムを育てていくことも
「リミックスツリー」という興味深い機能もあります。これは、誰かの作品を引き継ぐように、改造して発展させていけるというものです。
自分の作品と改造された作品とが木の枝が分かれるようにつながって表示され、互いに課題と改善されたポイントを比較できます。
Scratchで育つ子どもの創造性とは?
楽しく遊べるScratchですが、本来の目的は学習ツール。プログラミングを通して、期待できる子どもたちの変化を紹介します。
論理的思考が身につく
文科省が2020年からプログラミング学習を必修化する背景にはIT人材の不足があります。そしてIT人材に必要なものは、論理的思考力と言われます。
これを身につけるためには、国語の読解学習もいいかもしれません。
しかしそれ以上に、自分から論理的に考えたり、考えざるを得ない経験することの効果は大きい。
Scratchを使い、楽しんで遊びながらブロックを組み換えて作品を完成させていくなかで、論理的思考を訓練していることになるわけです。
より高度なプログラミング言語への橋渡しとなる
はじめは8色に分けられたブロックを選び、動きや見た目などを変えていくことを楽しんでいた子どもたちも、だんだん用意され、物足りなさも感じるようになります。さらに高度で表現力の高いプログラミング言語に興味を持つきっかけとなればシメたもの!
プロフェッショナルなレベルに進むことも夢ではない、大いなる成長過程の第一歩となります。
共同作業の楽しさを知る
学校に導入された場合や、プログラミング教室では数名のグループに分かれScratchに向かうこともあります。皆であれこれアイデアを出し合います。
不具合が出たときには、どこが問題なのか、どうしたら直せるかなども話し合います。
失敗をくりかえしながらも、最後に正解を見つけたときには、仲間と一つの仕事を完成される大きなよろこびを得ることができます。
自然とおぼえられる英単語も
アメリカ生まれのScratch。用語や命令文のなかに少なからず英単語も含まれています。
それらの単語を自然とおぼえていけるのもメリット!
また、公開したプログラムには世界中から英語を含めたいろいろな言語でコメントがくることもあります。
英語に苦手意識を持った子どもでも、じぶんのプログラムに寄せられた感想にはつい辞書片手に読み込んでしまうことでしょう。
先人の知恵を使う力
「リミックス」という機能を使うと、他の人の作ったプログラムを利用して新しいプログラムを使うことができます。実際のプログラミングの現場でも、何かを1から作るという経験はそれほど多くはなく、既存のコードに追加したり、誰かが作ってくれたプログラムを利用したりすることが多いです。もちろん、他人の書いたプログラムを使うためには、その中身を理解できる力が必要です。どのように動くか仕組みが分かっているからこそ、自分の意図通りに作り変えたり組み込んだりすることができるのです。
全てを自分の力で作ろうと思うと時間がかかりすぎてしまいます。また、「車輪の再発明」という言葉もあるように、同じように動くプログラムをわざわざ作り直すことは時間の無駄でもあります。Scratchではリミックス機能を積極的に使っていって、先人の知恵をどのように使うのかという能力を磨くのがおすすめです。
Scratchは大人も楽しめる
子どもの学習用に開発されたScratch。しかし、その幅広い表現力は大人でも十分に楽しめるものです。
子どもが遊んでいるのを見るだけではなく、両親も参加し、競争でおもしろいプログラムを追求することで、親子のコミュニケーションにも有効です。
子どもたちの豊かさ、強さを知る
えてして「大人は完成形、子どもは未完成」と考えがちです。でも、子どもたちの想像力/創造性はときとして、大人をはるかに上回ります。
あらためて子どもたちの発想の素晴らしさにふれてみること、それもまた子育てに大いに役立つ刺激となります。
Scratchに初めて出会ったときに躊躇なく入り込んでいく姿、夢中になってトライ&エラーをしつづけるようす、未来を生きる子どもたちの強さを見ることでしょう。
共に学ぶことの楽しさを知る
「教育」も大事!「共育」も大事!子育てをつづけるなかで、ご両親も一緒に育っていけるのが理想的な関係といえます。
Scratchを間において、子どもと向き合う。
そんなひとときは「共育」を進めるまたとない機会となります。
最先端を知る
Scratchは「MITメディアラボ」という世界最先端のIT頭脳集団による学習ツールです。多彩で豊かなアイデアがひしめいているアメリカで作られたビジネスモデルのひとつともいえます。
このScratch自体は無料で提供されていますが、大人の目線で見てみれば、開発のコンセプト、完成後のさらなる改革、ビジネスとしての広がりなど、考え方の参考になるポイントはいくつもあります。
プログラミングは仕事にも活かせる
生活や仕事のなかでプログラミングやコンピューターを全く使わない場面というのはどんどん少なくなってきています。また、年功序列型の雇用から、どんどんスキル重視型の雇用にスライドしていっているという現状もあります。そんな中で、大人もプログラミングを学ぶ意義は大いにあります。自分が持っているスキルに加えてプログラミングやプログラミング的思考を身につけることができれば、ビジネスにも役立てることが可能でしょう。
Scratchはその入門として最適です。通常のプログラミング言語では抵抗感があるという方も、Scratchは子どもでもとっつきやすいように作られているので、空いた時間で気軽に学習を始めることができます。Scratchの学習をするだけでも、プログラミング的な思考は十分に養われるでしょう。
まずはScratchから始めてみて、必要に応じてプログラミング言語を学習してみてはいかがでしょうか。
Scratchを子どもたちは、どう受け止めたか?
サイト上で公開されている作品にそえられたコメントから子どもたちのようすをご紹介しましょう。Scratchのどんな点が気に入っているのか、夢中なのかが見えてきます。
プログラミングって楽しい!
ゲームを作った子どものコメント欄を見ると、キャラクターを増やしたり、不具合を直したり、音を加えたりなどの修正が非常に熱心に何度もされているのがわかります。自分だけではなかなか気がつかないことでも、実際に遊んでくれた人たちからのコメントから要望を知ることができ、バグが指摘されることもあります。
一度作って自分だけで遊ぶだけでは自己満足になり、そこからの成長は止まります。
Scratchでは、公開することによってさらにレベルアップさせる機会が生まれ、マンネリもなく取り組んでいくことが可能です。
みんなにも遊んでほしい!
「追加してほしいキャラがあれば、コメントで教えてください」「おおぜいに楽しんでもらえるように作りました」
プログラムを公開した子どもたちからよく寄せられるコメントです。
ただ自分が満足して終わるのではなく、他の誰かを喜ばせるために作り、またもっと喜んでほしいと考えているのが伝わります。
それに対して「最高!」「おもしろかった!」「次のステージも作ってください」と素直なコメントがたくさんあがっています。
やりとりを通して他の誰かを喜ばせることを経験し、さらに努力する姿勢が育っていきます。
改造してもらってうれしい
Scratchの世界では改造することを「リミックス」といいます。ゲーム、アニメーション、ストーリーなど初めに作った人の作品をコピーして自分のアイデアを加えていくことが、普通に楽しめるのがScratch。
面白いプロジェクトを見ること、リミックスできるようにすることが、プログラミングを学ぶ良い方法であり、新しいアイデアを生み出すことにつながると。
自分の作品がリミックスされるということは、誰かに注目された証拠です。また「リミックスツリー」のマークをクリックすれば、自分の作品が始まりとなりいくつのリミックスができたのかを見ることができます。
大きなツリーは大勢に注目され、認められたということ。
だから子どもたちも「リミックスしてみてね」というコメントを載せるのです。
Scratchで学べるおすすめスクール
ここでは、そんなScratchで学べるおすすめスクールをまとめます。スタープログラミングスクール
スタープログラミングスクールは、パソコン教室「パソコン市民講座」を全国で96教室運営する株式会社チアリーが展開する子ども向け講座です。
パソコン教室の運営の経験豊富な企業ならではの、きめ細かなカリキュラムが用意されています。
選べる3つのクラス
スタープログラミングスクールが展開する講座は3コース。- Scratchプログラミングコース
- ロボットプログラミングコース
- Webプログラミングコース
プログラミングする姿勢と考え方を育てていく
「パソコンやタブレットにふれていない時間も大切なプログラミングの時間」スタープログラミングスクール独自のポリシーがここに集約されています。
考えるという姿勢を大切にし、企画書にまとめる、プレゼンするなど、幅広い能力が育てられます。
保護者にもうれしい!百貨店やショッピングモール内の教室
スタープログラミングスクールの教室の多くは、百貨店やショッピングモール内にあります。お子さんが勉強している間、保護者の方々は買い物を楽しんだり、終わったあとで、みんなでごはんも食べられるかも。
駅に近いので、1人で通うときにも安心です。
スクールは長くつづくものなので、小さな便利がうれしいものですね。
市民パソコン塾
市民パソコン塾は、通信教育で有名な中央出版株式会社が展開するプログラミング教室です。
業界最安値をめざして、1講座(50分)1,100円(税込)の完全月謝制スクールを展開しています。
さまざまなレベルに応えるコース設定
市民パソコン塾の特徴は、コースの種類が多いこと。「プログラミング入門コース」「プログラミングチャレンジコース」「プログラミング練習コース」「プログラミング入門(ゆったりコース)」と4種類です。
いずれも同じ低料金設定で、いそいで学びたい人、マイペースでじっくり知識を得たい人など、幅広い層のニーズに応えていきます。
Scratchを使って直感的に学べるカリキュラム
教材は米MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発されたビジュアルプログラミングツールのScratch(スクラッチ)。ブロックを組み上げるようにかんたんな操作でプログラムを組むことができるので、小さい子どもでも入りやすく、でも、その一方で突き詰めていけば奥行きも深いツールを使って学習できます。
2画面のパソコンを使って反復学習
市民パソコン塾の授業の特徴は「映像テキスト用モニター」と「実施用モニター」の2画面を使った学習方式です。「映像テキスト用モニター」をくり返し見ながら「実施用モニター」であれこれと試行錯誤でき、生きた知識が身につきます。
価格は安くても、内容はお安くない!コエテコおすすめのスクールです。
まなるご(manalgo)
プログラミング教室 manalgoは、小学1年生〜中学3年生を対象としたプログラミング教室です。教室を 全国に展開し、個別学習やパソコンの貸出もおこなっています。初心者の方も安心して通えると定評があります。
講座は、初心者のための「プログラミング講座」と、ネットリテラシーを育てるための「インターネット講座」。どちらも1回60分の個別指導で行われ、小さい子どものうちから、将来必要とされるコンピューの基礎を学べます。
使用機材は、スクール備え付けのパソコンとインターネットを使います。
また、プログラミングの学習にはMIT(マサチューセッツ工科大学)で開発されたビジュアルプログラミング言語Scratchを使って、だれもがわかりやすい授業でプログラミングの考え方から学んでいきます。
内容はジュニア・プログラミング検定に完全準拠!
自宅にパソコンがなく、プログラミング学習もどうやってはじめればいいかわからないような家庭の方には大変便利で、負担も少ないプログラミングスクールといえそうです。
Scratchで学べるその他のスクールを探す!
コエテコでは全国7,000教室以上から、お住まいの近くにある教室を探すことができます。無料体験授業にもインターネットから申し込み可能!
「Scratch」を使用しているその他のスクールはこちらのボタンから探せます。
まとめ
2020年4月、小中学校でのプログラミング教育必修化に向けて、「準備をはじめなくてはいけない」「でも、どこからはじめたらいいかわからない」
という方も多いでしょう。
でも、思い切って一歩を踏み出せば、意外とハマってしまうかも。
そんな「はじめの一歩」にScratchはきっと頼もしい味方になってくれるはずです。