【レポート】EXA KIDS 2024|ITキッズによる作品コンテスト 大人が嫉妬する才能が終結!白熱した大会の様子を見てみよう!


今年の大会では、新たに「ユーモア」を加えた3つのコース(チャレンジ、エキスパート)が設定され、29組のファイナリストが参加。作品テーマは「ふわふわ」「ざらざら」「ねばねば」「ぷるぷる」という感覚に訴えかけるユニークなキーワードです。
EXA KIDSはITやプログラミングを学ぶ小・中学生の子供達、そして子どもたちを取り巻く大人に向けて、IT教育のムーブメントを起こすイベントです。
https://exa-kids.org/ >
今回設定されたテーマ

「ふわふわな映像」と聞いて、どんな作品を想像しますか?
「ざらざらしたゲーム」ならどうでしょう?
これらは意味よりも感覚に訴えるテーマで、ITを駆使してどのように表現するかが挑戦のポイントとなりました。参加者たちは「ふわふわ」「ざらざら」「ねばねば」「ぷるぷる」から1つを選び、自由な発想で作品を制作しました。
多彩なジャンル、自由な発想

ファイナリストたちは、それぞれの感性を生かし、ゲーム、アプリ、映像作品、イラスト、音楽など、多様なジャンルでテーマを表現。このテーマの感覚をITと組み合わせた実験的な挑戦に、独自のアプローチで取り組みました。
応募作品はプログラミングだけにとどまらず、ITを活用したものづくりなら何でもOKというルールのもと、使用言語やプラットフォーム、ツールの制限なく、自由な作品が集まる結果となりました。
心を動かす作品が続々登場

審査員が「賞を決めるのが怖い」と語るほど、どの作品も力作ぞろい。見ている人の心を動かすことが審査基準とされ、白熱した審査の末、各コースの受賞者が発表されました。
ファイナリストたちの斬新な発想と才能が光るプレゼン発表の後に行われた授賞式では、オンライン会場が大興奮と熱気に包まれる瞬間が続きました。

それでは、各コースの受賞者とその作品の一部をご紹介します!
特別審査員の皆様

- MC:ギチ(樋口聖典・青柳貴哉)
- 吉田佳寿美(KATHMI)(GRAPHIC ARTIST)
- 犬飼 博士(運楽家/ゲーム監督/一般社団法人運動会協会理事)
- 松山 洋(株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役)
- Pop(インディーゲームクリエイター)
- 竹下 暁子(山口情報芸術センター[YCAM]パフォーミングアーツ・プロデューサー)
- 竹林 暁(株式会社TENTO)
エキスパートコース受賞者
最優秀賞:ごそた『Neo生態系Evolution』

エキスパートコースで最優秀賞を受賞したのは、ごそたさんです。選んだテーマは「ざらざら」。セル・オートマトンを活用し、独自のゲームを制作しました。
このゲームは「ライフゲーム」をベースにしており、プレイヤーは研究室の研究員となり、研究室内で発生した謎の生物「バグズ」を収集、進化させていきます。ゲーム内では、新種のバグズを発見して捕獲し、その生態を観察するという内容です。ザラザラした質感を感じさせる表現と、独創的なゲームデザインが高く評価されました。

ごそたさんは、ゲームの内容だけでなく、世界観やデザインにも細かいこだわりを見せます。機能説明を文字だけで伝えるのではなく、アイコンなどを使ってグラフィカルに表現し、プレイヤーが直感的に操作できるように工夫しています。
さらに、配色にも独自の工夫が光ります。一次審査では白黒のデザインでしたが、そこに青を加えることで、視認性を保ちながらも不思議で魅力的な世界観を見事に表現しています。この配色によって、ゲームの雰囲気がより一層引き立てられています。

ごそたさんは、ライフゲームの魅力について「デザインとして、増殖していくビジュアルの美しさに加え、ルールが単純でありながら、その中でここまで複雑な挙動が生まれるのが不思議で面白いと思います」とコメント。
シンプルなルールから広がる複雑で予測不可能な挙動が、ライフゲームの魅力を深く感じさせる要素となっています。

審査員の竹林さんはごそたさんの作品について、「システムもデザインも素晴らしい」と絶賛。さらに、「単純な法則の中で複雑なパターンが生まれ、それを観察することの素晴らしさを教えてくれる作品です」とコメント。また、UIやストーリーが一次審査の時から大幅にアップデートされており、その進化に圧倒されたと講評しています。
システム面、デザイン面、そして改善の過程までが高く評価されました。
受賞者コメント
今心臓がバクバクしています。この制作期間を頑張って良かったなと思います。(ごそた)審査員コメント
スライド制作&レイアウト&デザインのレベルが(フォントのチョイス含めて)高すぎます。プロレベルですよ。セル・オートマトン!?ドットなのに本当の生物細胞に見えるのが凄いです。(松山)ざらざらからLIFE GAMEをおもいついてるのはセンスいいわー。 プレゼンも完璧。資料の言葉と絵の過不足なさはプロレベル。 アプリも過不足なくすばらしい。音もすばらしい。(犬飼)
シンプルだけども、とても洗練された設定、UI、ビジュアライズ。シンメトリー構造、アートとしても美しいです。(KATHMI)
作品のUIやプレゼン資料からセンスを感じました。 偶然性を上手く生かせるゲームに今後の新化を期待しています。(pop)
エキスパートコース受賞者
優秀賞:やまやま『カチロボ冒険記(ゲームPV風アニメ)』

優秀賞に輝いたのは、「カチロボ冒険記」という架空のゲームのPV風3DCGアニメーションを制作したやまやまさんです。ハイクオリティでコミカルなCGアニメーションが特徴の作品です。
やまやまさんは、今回のテーマ「ふわふわ」「ざらざら」「ぷるぷる」「ねばねば」のすべてを盛り込みたいと考え、ゲーム上のステージやキャラクターにそれぞれのテーマを投影しました。その結果、テーマが作品全体にうまく反映され、視覚的にも楽しませてくれる作品に仕上がっています。

やまやまさんは、なんと3本分のPVを制作。同じゲームをベースにしながらも、全く異なる世界観をそれぞれのPVで見事に表現しています。それぞれのアニメーションは、テーマごとのユニークな要素を取り入れつつ、異なる雰囲気を持つ世界観を作り上げており、作品の多様性と深さを感じさせます。

やまやまさんのこだわりは、キャラクターをゼロからモデリングしている点。さらに、既存のフリー音源などでは見つけられなかった効果音は妥協せず自作し、タイトルデザインをはじめ、細部に至るまでこだわりを感じさせる作品に仕上げています。この丁寧な作り込みが、作品全体のクオリティを一層高め、観る人を魅了しました。

「いつかPV風の作品を作りたい」という思いを作品に投影し、持っている感性と技術を100%投入したというやまやまさん。プレゼンでは、自身がフリー音源をミキシングしたBGMに合わせて、踊りながら発表する姿も印象的でした。その情熱とクリエイティビティが、作品に一層の魅力を与えました。
受賞者コメント
ファイナリストまで進めて、優秀賞まで取れたのがすごく嬉しいです。(踊)(やまやま)審査員コメント
ダンスもプレゼンの一部で素晴らしかったです。好きなもののこだわりが詰まった意欲作ですが、ティーザーとして複数の世界観をまとめているので、もっとそれぞれのシーンが見たいと思わせるカット割りも良かったです。(竹下)見てる時点で嫌になるというか、才能に嫉妬する。3つの映像がどれも印象が違っていて新しい魅力が伝わるようになっている点がお見事です。フォーリーまでやって自分でSEまで作ってるとは。プロレベルというかプロですよ、これ。(松山)
とにかく演出のクオリティが高くて良かったです。また、素材も全て自分で作るというその意気込みも素晴らしい(pop)
審査員の松山さんが「才能に嫉妬する」とコメントした通り、才能と感性に溢れる作品でした。
その他受賞者一覧
チャレンジコース受賞者
最優秀賞:エビサーモン/スライムゲーム’s

可愛いスライムがダンジョンを攻略していく、ほっこり楽しい冒険系ゲーム。
受賞者コメント
みんなの作品がすごいな〜と見てたらその中で自分の作品が選ばれてとても嬉しいです。(エビサーモン)審査員コメント
小学校を満喫中、というキラーワードで持っていかれましたね。スライムの挙動がとにかくユニーク。小さく縮むと早く動くという発想が最高でした。(竹下)スライムのプルプル移動が実に気持ちいい。ゲームは「一度でいいから触ってみたい」と思わせたら勝ちですからね。それが魅力として表現できています。物理的発想でスライド加速するという点も素晴らしい。理にかなっています。(松山)
優秀賞:Driftnumata/Puru-Puru-CarRacing

セリーみたいにプルプルしている車両を、ぶつけ合ったりひっくり返らないように気をつけて競いあうゲーム。
受賞者コメント
びっくりして今震えが止まらないです。(Driftnumata)審査員コメント
最高だった!新しいスターの誕生を感じます!(犬飼)ユーモアコース受賞者
ユーモアコースは大会MCのギチにより、MVPが選出されました。MVP:とととととやす/この作品、なにかふわふわしていますよね?

有名キャラに似たキャラがたくさんいる世界。主人公が有名キャラ(もどき)に気付かれないように探索をするゲーム。
受賞者コメント
初めてEXA KIDSに応募したんですが、賞を取れるとは思ってませんでした。来年は良いのが思いつけば…(とととととやす)MCコメント
心を掴まれました(笑)可愛くした、って言ってたけどめちゃくちゃ怖かった(笑)絶対来年もまた見たいです!(ギチ青柳貴哉)プログラミング能力検定協会賞:kanayasun/和菓子洋菓子大戦争

誰しも、1度は聞かれたことがあるであろう「和菓子派か」「洋菓子派か」という質問に、決着をつけるアクションゲーム。
「豊かな発想と楽しさはもちろんですが、それを実現するために高度な プログラミング技術が必要な作品だと思いますので、その点を評価させていただきました。 私たちはkanayasunさんのように、やりたいことを実現するためにプログラミングを 勉強する人を応援したいと思っていますので、これからもプログラミングの 勉強を続けていただき、新しいアイデアをどんどん実現していってください。 おめでとうございます!」(プログラミング能力検定協会)
ITeens Lab賞:つむpiano/胡蝶之夢

「胡蝶之夢」をイメージした曲・MV。リアルとイラストを掛け合わせ、視覚と聴覚に訴える作品。
「いろいろな面で昨年からの成長が感じられて非常に感動しました。 世界観の作り込みがとても良かったです。ぜひITeens Labへ!」(ITeens Lab)
河辺商会賞:別宮志郎/追悼〜6年間の感謝をこめて〜

小1から一緒に過ごした、女王バチとの思い出をムービーにした作品。
「ものづくりに携わる会社として、一番大切だと思うことをここに込められればと思いました。 ということで、一番『思いやり』を感じた作品を選ばせていただきます。 審査員の方々もおっしゃっていましたが、『思いやり』だけではなく、そこから得た経験を研究者として捉え直し、作品へ昇華させる姿勢は素晴らしかったです。 今後の作品も楽しみにしております」(株式会社河辺商会)
良肉問屋賞:Neptune/Floating House

海の上をふわふわ旅しながら、自給自足をするゲーム。
「『こんな世界があったらいいな』と、本気で想像したからこそのリアリティが、所々に感じられてとても良かったです。 まだまだたくさんのアイデアを秘めていて、それらをもっともっと話したそうな感じ、ファンになりました。イメージすること、イメージを形をすることが本当に好きなんだということ伝わります。今後も色々な作品をつくってください。楽しみにしています」(良肉問屋)
特別審査員からの総評コメント
力作揃いの作品に、審査員からのコメントも届きました。毎年見ていますが、「プログラミングだけすごい」、「プレゼンだけすごい」ではなくて、「総合的に凄い」という子達が集まるようになってきたなと。何かと何かを組み合わせて、見ている人たちにすごい体験を与えてくれました。(竹林)
みなさんのプレゼンにより、驚きあり、ため息あり、感動あり、の1日となりました。今興味を持っているものとデジタルとの組み合わせが、とても多様化しているなと思いました。好きなもの×手段、が複数あることの強みを感じました。(竹下)
今日参加していたみなさん全員が等しく化け物に見えました。どの分野でも活躍できる人たちだと思います。特別な領域へようこそ!(松山)
大人になると余計なことを色々と気にするようになりますが、今日集まったみなさんは自分の好きなことや楽しいことに全力で取り組んでいるのを見て、心を動かされました。何事も楽しんで取り組んでもらえたらと思います。(pop)
自分の子供の頃を思い出しました。自分が子供の頃にこんなカッコいいコンテストがあったら僕も出たかった。みんなが羨ましい。楽しかったな〜って思って死ぬには、作り続けるというのが良いと思います。(犬飼)
ホントみんな素晴らしくて甲乙つけ難かったです。進化の著しいIT技術を活用して、自分の好きを突き詰めて、みんなの前で発表するということが宝物だと思います。良い時間を過ごしました。(KATHMI)
ITキッズたちの斬新な発想と才能が存分に発揮された本大会。どの作品も「本当に小中学生が制作したの?」と驚くほどのクオリティで、次世代を担う若きクリエイターたちの可能性を改めて感じさせる素晴らしい機会となりました。
Amazonギフトカードプレゼント中!
あわせて読みたいガイド
RECOMMENDこの記事を読んだ方へおすすめ
-
embot大展覧会2024|子どもたちの独創性あふれる作品が大集合!
2024年8月24日、台場フロンティアビルにて「embot大展覧会2024」が開催されました。 embot大展覧会2024では、子どもたちが出展者であり審査員!審査員の意見と子どもた...
2024.11.06|鳥井美奈
-
小学生がIT企業に潜入⁈プログラミングサマーキャンプレポート~スイカ割りのプログラム化に挑戦~
2019年8月4・5・7日にKids VALLEY「未来の学びプロジェクト」による「プログラミングサマーキャンプ2019」が開催。このイベントは、渋谷区の小中学生を対象にしたプログラミ...
2024.11.06|Yukiko
-
DeNA主催のKids VALLEYイベント「プログラミングサマーキャンプ2019」レポート
2019年8月4・5・7日にKids VALLEY「未来の学びプロジェクト」による「プログラミングサマーキャンプ2019」が開催。このイベントは、渋谷区の小中学生を対象にしたプログラミ...
2024.11.06|KAWATA
-
Scratchを使ってゲームを開発!サイバーエージェントでの「ゲームクリエイター体験講座」レポート!
2019年8月4・5・7日にKids VALLEY「未来の学びプロジェクト」による「プログラミングサマーキャンプ2019」が開催。このイベントは、渋谷区の小中学生を対象にしたプログラミ...
2024.11.06|千鳥あゆむ
-
九州初のプログラミングコンテストを開催 ITキッズフェスティバル「エクサキッズ」体験レポート
2018年2月25日(日)に福岡市中央市民センターで開催されたITキッズフェスティバル「エクサキッズ2018」。 イベントでは、九州で初めての開催となる小・中学生によるIT・プログ...
2024.11.06|コエテコ byGMO 編集部