未来のDX人材を発掘!デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」とは?

未来のDX人材を発掘!デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」とは?
2024年より、文部科学省共催でスタートしたデジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」。情報教育を実社会に生かす機会として、中学生から高校生たちがデジタル技術を駆使し、暮らしや学校生活をより快適にするアイデアを発表する場です。 
 
情報教育とは、デジタル技術を活用し、問題解決能力や創造力を養う学びのこと。近年では、探究学習やDX人材の育成が求められており、本コンテストはその一環として開催されています。 
 
今回は、主催団体である一般社団法人デジタル人材共創連盟の代表理事・鹿野利春氏に、コンテストの意義やコンテストへの期待などお話を伺いました。 

全国情報教育コンテスト

デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」は、「情報Ⅰ・Ⅱ・探究・デジタル部活動で得た力を発表できる場所」をコンセプトとしたコンテスト形式のイベントです。

全国情報教育コンテスト

https://zenjyocon.jp/ >

全国情報教育コンテストの概要 

全国情報教育コンテスト 公式サイト


—デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」について教えてください。 
 
デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」とは、中学生から高校生たちが「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」「総合的な探究学習」「デジタル部活動」などで培ったスキルや成果を発表するコンテスト形式のイベントです。本コンテストの目的は、情報教育で学んだ知識を実社会に結びつける経験を通じて、次世代のデジタル社会を担う人材を育成することにあります。 
 
本コンテストの背景には、「Society5.0(ソサエティ5.0)」という日本が目指す未来像があります。Society5.0とは、狩猟社会(1.0)、農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)に続く、新しい社会の形です。AIやロボットなどの技術を活用し、人々の生活をより快適で持続可能なものにすることを目指しています。この未来を実現するには、若い世代のデジタル活用能力が不可欠のため、学校教育でも基盤づくりが進んでいます。 

2022年より、高校で必修化された「情報Ⅰ」は、プログラミングやデータ活用、ネットワークなど、情報社会で必要な基礎知識を学ぶ科目です。さらに発展的な内容を扱う「情報Ⅱ」は、より高度なデータ分析や情報技術の応用を学び、将来の専門的なキャリアに繋げることができます。これらの学びを発表する場として、本コンテストが開催されています。 
 
第1回デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」の様子

※ 第1回デジタル学園祭「全国情報教育コンテスト」


—今回は2回目の開催と伺いました。1回目に続き、2回目を開催するにあたり、どのような思いがありますか? 
 
若い世代のデジタル活動のモチベーションを高めるためには、コンテストやコミュニティがあった方がよいと感じました。たとえば、野球の場合は甲子園、数学の場合は数学オリンピックなど、さまざまな発表の場があります。ですが、これらは一部の生徒たちしか参加できません。本コンテストでは、より多くの生徒が参加し、日々の学びを積極的にアウトプットできる環境を提供したいと考えています。 
 
—本コンテストの魅力を教えてください。 
 
他校の生徒たちとの交流はもちろん、本番前にメンターがサポートする仕組みや審査員から直接アドバイスを受けられる点が大きな魅力です。また、数学オリンピックなど頭脳明晰な生徒だけが参加する場ではありません。特定の能力を競う場ではなく、情報技術に関連していればどんな学生でも参加しやすい点もありますね。本コンテストは学生たちの日常で一番身近なコンテストでありたいと思っています。 
 
本コンテストでは、技術面での審査が目的ではなく、学校生活や暮らしの中でDX化する際に、問題点を発見することを重視しています。その上で、どのようにDXを活用して問題を解決できるかを考えてもらいます。高度なレベルの技術より、問題発見とDXを活用したアイデアを大切にしています。 
 
—第1回目のコンテストでは、どのような成果発表がありましたか? 
 
ファイナリストに残った学生でたとえると、自転車の安全性向上を目的に、ヘルメットに方向指示器を組み込みました。顔を左に向けるとヘルメットに左の方向指示が点灯する仕組みです。一見、単純なアイデアに見えるかもしれませんが、電子回路やプログラミング、3Dプリンターを活用したパーツづくりなど、多くの技術が組み合わされています。 
 
別の学生もAIを活用したユニークなアイデアを発表していました。幼少期の頃を思い出すとわかりやすいのですが、わからないことを両親に質問したときすぐ答えてくれたと思います。でも大人になるに連れ、答えてくれなくなりますよね。そこで、AIを使って教科書の内容を取り込み、AIが回答するなど、身近なところから実用的なアイデアが多く発表されました。 

文部科学省との共催。「文部科学大臣賞」も用意

—文部科学省との共催と伺いましたが、共催にされた理由を教えてください。 
 
本コンテストは情報教育分野ですので、情報Ⅰや情報Ⅱ、総合的な探究など、これらの学びを通して将来活躍できる人材の発掘が求められています。文部科学省が推進する「DXハイスクール事業」とも連携し、本コンテストを情報技術の発表の場として位置づけています。第1回目の開催時に文部科学省の担当者にも来ていただき、第2回目からは正式に共催で開催する運びになりました。 
 
こうした背景から、本コンテストでは「文部科学大臣賞」も用意しています。文部科学大臣賞は、文部科学省が認めた大会の最高賞になります。すでに3回以上開催され、一定の実績が認められた大会でしか授与されないため、その価値は非常に高いです。 
 
—大会への応募は個人のみでしょうか? 
 
第二回に関しては、応募自体は中学生以上であれば、個人でもチームでも可能です。同じ学校の生徒同士に限らず、学校の枠を越えて応募できます。ただし、最終審査会は来場が必要なため、1チームあたり4名までとしています。 
 
今年のテーマは「暮らしや学校生活をDXする」ですが、アイデアのみでの応募も可能としています。ただし、応募作品として提出する成果物は、何らかの情報技術が活かされていることが求められます。たとえば、フォトショップでのイラスト作成や単純な動画編集のみでは情報技術の活用とは言えない場合があります。応募の際は、情報技術がどのように活用されているかを説明する補足資料の提出も可能です。また、第1回目で応募し落選した場合でも、改良を加えた成果物であれば再応募が可能です。 
 
—書類選考から最終審査会の流れについて教えてください。 

応募いただいた書類をもとに書類選考を実施します。審査結果は、2025年2月27日(木)頃に発表予定です。審査通過者のみに、メールにて結果通知を行います。
 
最終審査会は3月22日、渋谷スクランブルスクエア内の「渋谷キューズ」で開催します。ファイナリスト10組が順番に発表し、企業担当者や有識者の方が観客席から見守る中で審査が行われます。かなり緊張されるかと思いますが、これまでの成果を発表する場ですので、本領発揮できるよう頑張ってほしいと思っています。発表中はBGMやスポットライトの演出があり、コンテストならではの雰囲気を体験できます。せっかくの晴れの舞台ですので、ぜひ雰囲気も楽しんでください。 
 
—第1回目の開催で、審査員や生徒の反応はいかがでしたか? 
 
審査員も本気で生徒たちの発表に向き合っているため、新たなチャンスが生まれていると感じています。たとえば、感情分析のプログラムを開発した生徒がいたのですが、ある企業の方から「我が社でも同様の事業を行っています」との声が寄せられました。 
 
コンテストに参加することで、直接関係のない場面でもよい影響が生まれるのは、とてもうれしいです。また、審査員からのフィードバックを求める声も多く、生徒たちはその意見をもとに作品を改善しています。こうした改良が加えられた成果物が世に出ていくことを考えると、非常にワクワクしますね。
最終審査会では、審査員も真剣な眼差しで審査に臨みます

最終審査会では、審査員も真剣な眼差しで審査に臨みます。


未来で活躍するDX人材の育成


—教育機関や授業内容に対して、本コンテスト通じて期待することはありますか? 
 
情報Ⅰや情報Ⅱ、そして総合的な探究学習を組み合わせて、本コンテストを学校教育のアウトプットの場として活用してほしいと考えています。先生方も生徒とともに作品を創り上げる過程で、これまで知らなかった技術に触れる機会が生まれるでしょう。その際に、オンラインで調べたり、企業や大学と連携したりすることで、学校の授業の枠を超えた学びが促進されると期待しています。我々としては、学校内で完結せず、学校外にも繋がりを持ってほしいといった思いがあります。 
 
—出場する生徒たちには、どのような成果物を期待しますか? 
 
私たちの想像を超えるアイデアが出てきたらおもしろいと思います。脳波を活用した技術や生成AIを予想外の方法で応用した作品など、提案してくれたらいいのかなと。ちょっとした工夫で「自分も挑戦してみたい」「これならできるかも」と思えるような作品が出てきたらうれしいです。 
 
—デジタル教育業界における課題は、どのようなものがあるのでしょうか? 
 
現在、情報Ⅰの内容は充実していますが、情報Ⅱの学習機会が十分に提供されていません。1つの課題として、情報デザインや統計、データの活用といった学習をどのように活用するかを示す、ガイドラインが普及していない点が挙げられます。せっかくの学びを生かしきれていないのが現状の課題ですので、改善しなくてはいけないと考えています。 
 
また、ロボット分野の取り組みもまだ少ないので、今後の発展に期待したいところです。他国の技術が進化しているので、日本も遅れを取らないよう、積極的に取り組んでいけたらと思います。 

—このコンテストに興味を持っている学生や、次回大会に応募を考えている学生へメッセージをお願いします。  

全国どの学校・どの教室でも「知っている人が参加している」と言われるくらい、身近なコンテストにしていきたいと考えています。コンテストへの参加が当たり前になる未来を実現したいですね。  

また、総合的な探究学習は、制度的に設けられた自由研究と同じ位置づけになります。学習の成果はコンテストや大会などで発表することでより深まり、発表を目指して取り組むことでモチベーションも高まると思います。過去の大会の様子や受賞作品を見ることで、次回の挑戦に向けたヒントが得られるかもしれません。ぜひ興味を持った方は、今後の開催情報にも注目していただければと思います。 
全国情報教育コンテスト 公式サイト


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商号 GMOメディア株式会社 (GMO Media, Inc.)
設立年月日 2000年10月13日
GMOメディア株式会社の事業内容 メディア事業、ソリューション事業
所在地 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー 12F
資本金 7億6197万円(2024年12月31日現在)
上場市場 東京証券取引所 グロース市場(証券コード : 6180)
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