FLL(FIRST® LEGO® League)2024-2025「熱闘!躍動!感動!」全国大会の様子と結果を徹底レポート
コエテコでは16日の「FLL Challenge」(9~16歳が対象)を取材。予選大会を勝ち抜いた40チームが集結した迫力満点の競技会の様子を、多数の写真とともにお届けします!
レゴ®ロボットプログラミングに興味をお持ちの方はもちろん、ロボット大会の雰囲気を知りたい方もぜひご覧ください。
FLL大会概要 - FLLは、まさに熱狂と創造の渦だ!

レゴ®ロボット(マインドストームまたはSPIKEプライム)を使用。
約15のミッションを2分30秒で攻略、3回の試技で最高得点を競う。
2. イノベーションプロジェクト(プレゼンテーション)
社会問題(年間テーマ)について研究。具体的問題を特定し、独自の解決策を考案。
審査員の前でプレゼンテーションを行う。
3. ロボットデザイン
ロボットとプログラミング、全体戦略の説明。
メカニズム、耐久性、効率性、安定性を評価。
大会ではチームピットエリアにブースを設け、他チームとの交流も行う。
冬の寒風が吹きすさぶ日でしたが、会場に一歩足を踏み入れた瞬間、熱気の渦に飲み込まれる感覚がありました。
参加者たちのエネルギーがまず圧巻です!

みんな明るい!みんな元気!みんなやる気満々です!
カラフルなオリジナルTシャツを着たチーム、制服に揃いのリボンでヘアスタイルを決めた女子チーム、ロボットを宝物のように抱えて歩く学ラン姿の学生もいるかと思えば、思わず二度見してしまう不思議なキャラクターのキャップをかぶった参加者もいます。

大切な相棒でもあるロボットを見つめる参加者たち。
さらには白衣を纏いながらもサンゴ礁のようなツノを頭に乗せた男子たちが専門用語を矢継ぎ早に交わしながら颯爽と歩いていく。アイドルコンサートさながらの手作り応援グッズをまとめて会場へと急ぐ保護者の皆さんもいる。
大勢のボランティアの方々は笑顔のまま横を走り抜けていくし、とにかくもう、会場全体がエネルギッシュ!
笑顔がいい!大会を楽しんでいますね。
会場の一角に並ぶ展示ブースは、まさに子どもたちの創造力の宝庫です。各チームが工夫を凝らしたポスターや自慢のロボットを誇らしげに展示。参加者同士が互いのブースを訪れる姿もあちこちで見られます。

白衣姿が決まってます♪

ポスターのデザインにも工夫が感じられる。素晴らしい!

大会を盛り上げてくれたチーム。
展示ブースは単なる成果発表の場ではなく、アイデアの交換と友情が育まれる交流拠点となっているのですね。
FLLの大会はすごいと耳にしていましたが、コエテコ取材班もしばし呆然としてしまいました。
FLLの6つのコアバリューとは?

FLLが大切にする6つのコアバリュー
FLLでは、大会を設立したNPO法人FIRSTが掲げる6つの理念を実践しているかどうかも、重要な評価ポイントとなります。
科学技術を磨き、競技で戦いながらも、その過程で仲間との絆を大切にする。他のチームとの交流を通じて互いに学び、敬意を持って接する。限界を設けずに創造力を発揮する。そして、すべての活動を楽しみながら、互いの成果を祝い合う。この6つの理念から、FLLが単に技術を競う大会ではないことがうかがえます。
「FLLのコアバリューのひとつに、楽しむ(Fun)があります。参加者は活動を楽しみ、互いの成果を祝福し合う、競争だけでなく創造性を分かち合うことを大切にしているんです」
この時大会関係者がお話してくださった、「互いの成果を祝福し合う」という言葉の意味、そして「楽しむ」の本当の意味を、取材班は最後になって理解することになります。
それでは、まずは白熱の戦いが繰り広げられている競技会のレポートから始めましょう。
熱闘!ロボット競技部門

ホームエリア・ロボットの発進エリアなどが定められており、ルールは厳密だ。
FLLの大会参加者は二つの主要競技に挑みます。
ひとつは、レゴ®製ロボットを設計・プログラミングして課題に取り組む「ロボットゲーム」。もうひとつは、今季のテーマ「SUBMERGED℠(海洋探査)」に関連した、海洋探査の社会問題に対する解決策を発表する「プロジェクト・プレゼンテーション」です。
総合点で評価され、好成績を収めたチームは世界大会への切符を手にします。

世界大会。なんとエキサイティングな響きでしょうか。世界110カ国から代表チームが参加し、しかも世界中の複数の地域で開催されます。異なる文化や背景を持つ子どもたちが、ロボットや科学技術を通じて交流を深める様子が目に浮かぶようですね。

緻密に製作されたロボット。
ロボット競技は、指定された15のミッションを遂行するロボットをプログラミングし、競技フィールド上で実際に動作させ、2分30秒の制限時間の中で得点を競います。

参加者はもちろん、保護者や先生などの応援にも熱が入ります。
「3・2・1・LEGO®!」の掛け声と共に競技がスタート!

カウントダウンはいっそう熱が入る。

おや?頭にのっているのはサンゴ礁?ユーモアたっぷりの白衣姿です。

得点は最後にチームも確認した上で決定となる。かならず子ども達にも得点表を見せて納得した形で完了する。
参加者の様子は千差万別。隣の子と手をつないで祈るような仕草を見せていたり、うまくいったのか思わずみんなで飛び上がって喜んでいたり。かと思えば全員で「行け行け!押せ押せ!」とロボットを叱咤激励するチームも!
見ている取材班もドキドキわくわく、みんなのきらめくような個性がまぶしく映りました。

分身であるかのようにロボットを励ます!?メンバー達。
ロボット競技のフィールドテーブルは、海中に見立てられており、マップのようになっています。

調査船や潜水艇など、ミッションを行う15のモデルが設置されている。
ロボットを駆使して、サンゴ礁の修復や超音波探査機を移動させたり、クジラの口に「オキアミ」の餌ブロックをおいたり、貨物船をクジラの移動ルートを避けた安全な場所に移動させたりします。こうしたミッションをクリアーすることで得点が得られます。

思わず「いけ〜!」と声がでちゃう。まっすぐに見つめる瞳が輝いていますね。

ラウンド間は戦略見直しと調整が可能で、この時間が結果に大きく影響する。真剣な表情が印象的です。
15もあるミッションを、たった2分30秒の間に次々とクリアーしなくてはなりません。
チームワークも大事ですし、いかに短時間で効率よくロボットを動作させるか、戦略も重要なポイント。
ただミッションをクリアーすればいいわけではありません。たとえば、チーム内で協力し合えているか、相手チームへの敬意があるかといった点が評価され、加点されます。一方、スポーツマンシップに欠けるような行為があれば減点の対象となります。
単にロボット・プログラミングの技術力や成績向上だけをめざすのではなく、互いに協力し合い創意工夫をすることで、価値ある体験を積み重ねていくことを目的としている、FLL独自の強い想いが感じられますね。
イノベーションプロジェクト(プレゼンテーション)&ロボットデザイン

FIRST® LEGO® League Challengeでは「ロボットデザイン」「ロボットゲーム」「コアバリュー」「イノベーションプロジェクト」の4要素がそれぞれ総合成績の25%を占めます。
熱戦が繰り広げられたロボットゲームですが、非公開で行われるイノベーションプロジェクトも好成績を得るためには重要です。今回は特別に、あるチームのイノベーションプロジェクトを取材させていただきました。

審査員がパッと見てすぐわかるよう工夫されたパネル。

役割分担をしてチームでプレゼンテーションに臨む。
このチームは海洋ゴミ問題に着目した「ダイレクト自販機」プロジェクトを発表しました。
メンバーは環境省のデータとフィールドワークから1リットル以下のペットボトルゴミが多いことを突き止め、タンブラーに直接飲料を注ぐ「ダイレクト自販機」を提案。
身振り手振りを交えながら、「自動販売機は200万台あって誰でも知っています。そこでペットボトル飲料ではなく、持参したタンブラーを利用すればプラスチックごみも減り、海洋環境改善に貢献できます!」と力説。その言葉はとても力強く、チームの想いがまっすぐに伝わってきました。

発表している以外のメンバーを見てください!スクリーンに注意を向けようと体で示すメンバー、パネルを掲げるメンバー、みんなでアピール。
そして、工夫を凝らした図を指しながら、タンブラーを逆さにセットして洗浄と充填を同時に行う仕組みを紹介。「実装すれば年間1万本のペットボトル削減ができます」と結論づけました。
質疑応答では「実用化できる?」といった質問に、少し緊張した様子ながらも「予算が必要と専門家に言われました」と率直な回答。審査員は「次のステップとして考えるといいね」と温かく指摘していました。
続くロボットデザインでは、予選会での課題をどう改善したかを説明。「メンバー全員がプログラミングに関われるよう工夫しました」と一生懸命にアピール!

一生懸命に、本当に一生懸命に語り続けていました。がんばったね!
質問に対しては、時に視線を合わせて誰が答えるのか一瞬迷うような微笑ましい一幕も。でも、次の瞬間には適切な回答をしっかりとした口調で答え、別のメンバーが自然な流れで補足の解説をすることもあり、チームワークの良さが伝わってきました。
緊張の中にも自信に満ちた姿がとても印象に残りました。
他のすべてのチームも、今回の課題を深く掘り下げ、ロボットデザインについても制作プロセスからその意図までしっかり考え抜き、発表していたようです。
それにしても、「ロボット大会」と一言ではくくれないほど、FLLの大会は密度の濃い内容だということが改めてわかりました。
パフォーマンスタイムから見えてきたFLLの真髄とは

表彰式を前に、会場は期待に満ちた空気に包まれていました。メインスポンサーの挨拶に続いて司会者が「パフォーマンスタイム」を告げると、会場が一斉にざわめき立ちます。
「去年も最高だったんだよ!」と小声で友だちに教える子、「あの子たち何をするんだろう?」と舞台を指差す子、そしてすでに知っているかのように仲間と肩を組んで楽しそうに待ち構える子たち。
FLL大会の魅力を知った子どもたちは、翌年も参加したくなるというのが納得できる光景です。
あるチームの子どもたちが颯爽と壇上に駆け上がりました!

大いに会場を盛り上げてくれたメンバー達。
「さあ、クイズの時間です!」と元気な声が会場に響き渡ります。四択クイズが始まると、なんと答えは手の動きで表現するというユニークなルール。子どもたちの手が一斉に動き、会場は笑顔と歓声に包まれます。

「あー、はずれた〜」なんて声も!
「やったー、正解!」クイズを勝ち抜いた子どもたちが次々と壇上に集まり、最後はじゃんけん大会へ。進行役のメンバーとの真剣勝負に、会場からは「がんばれー!」と熱い声援が。勝利した子どもたちの顔には満面の笑みが広がり、嬉しそうに賞品を受け取っていましたね。
大いに盛り上がったクイズ大会の後は、さらに驚きの展開が待っていました。年齢も所属チームも異なる参加者たちが次々と壇上へ集結します。スクリーンに映像が映し出され、音楽が鳴り響きました。
「ダンスタイムの始まりだ!」

ダンス!ダンス!ダンス!
TikTok風のショート動画に合わせて、子どもたちは次々と流行のダンスを披露します。
「あっ、これ知ってる!」と座席から立ち上がる子が続出。会場全体がダンスフロアと化し、はねたり飛んだり、手を振ったり。止まることを知らないダンスの連続に、会場は大爆笑と熱気に包まれていきます。

ドリームランド的な!? ポップなダンスにみんな夢中!
競技で真剣勝負を繰り広げていた子どもたちが、今はひとつのファミリーのように一体となって踊っています。くるくる回り、ぴょんぴょん跳ねる子どもたちの笑顔は、まさにFLLの本質を体現していました。
冒頭で大会関係者が語っていた「Fun!」の意味が、この瞬間に鮮明に伝わってきます。
彼らは大会に向けてチームで切磋琢磨し、意見をぶつけ合い議論を重ね、他のチームと交流し競技で戦いながら友情を育み、多くのことを学んでいる。そして、すべてを楽しんでいる!これこそが、世界中に広がるFLLの大きな流れなのです。
そこにFLLが重視する二つの理念が輝いていました。
「Gracious Professionalism(優雅なプロ意識)」競争しながらも互いを尊重し合うこと。真剣に勝負に挑みながらも、相手を思いやる気持ちを忘れない姿勢です。
「Coopertition(協争)」「協力」と「競争」を融合した考え方で、全力で競い合いながらも全力で助け合う精神。勝つことよりも学ぶことの大切さを体現しています。
FLLは確かにロボット競技大会です。しかし、勝利の鍵はロボットの性能やプログラミングだけではありません。仲間や相手を尊重する姿勢、助け合う精神、そしてそのプロセスで技術だけでなく人間的に成長していくこと、それがFLLの真髄なのです。
世界へ羽ばたけ!FLL2024-2025受賞者は

では最後にFLL Challengeから、世界大会への切符を手にしたチームを紹介しましょう。
チャンピオン賞1位 私立東海中学校(私立東海中学校)

世界大会:アメリカ/ヒューストンのWorld Festival
※World Festival:FIRSTが主催し、各国の代表1位のチームが参加する大会
見事、第一位を獲得したのは私立東海中学校チーム!
受賞後のインタビューでは、「みんなの力で勝ち取った、嬉しいです!」と答えてくれました。メンバーひとりひとりに強みがあり、チームワークが自慢なのだとか。これまでも大会に参加したものの「世界大会へは一歩足りなかった」だけに、喜びもひとしおの様子でした。

「ワールドフェスティバルでも優勝をめざします!」
ビシッと最後の一言も、力強く決めてくれました。おめでとう!
チャンピオン賞2位 FIRST FUJISAN Swimmy(株式会社アイズアカデミー)

世界大会:ギリシア/コリントス
チャンピオン賞3位 行くぜ、仙台。(Crefus仙台校)

世界大会:南アフリカ・ケープタウン
総合賞4位 FIRST FUJISAN Dolphin(株式会社アイズアカデミー)

世界大会:アメリカ/フロリダ
世界大会へ(5位〜7位)
総合賞5位 RS (ロボット科学教育Crefus所沢校)
総合賞6位 トルマリン(千葉県印西市立原山小学校)

総合賞7位 今、鎌倉。(栄光学園中学高等学校)

フューチャー賞 TEAM NARIOKA Stella(板橋区立板橋第五小学校)

各部門受賞
- イノベーションプロジェクト賞 Two Leaves 田園調布雙葉学園
- ロボットデザイン賞 FIRST FUJISAN Swimmy 株式会社アイズアカデミー
- コアバリュー賞 私立東海中学校
- ロボットパフォーマンス賞 今、鎌倉。 栄光学園中学高等学校
- ブレークスルー賞 PLAN:9C ロボット科学教育Crefus新百合ヶ丘校
- ライジングオールスター賞 Vrillante Solar 大阪市立墨江小学校
- モチベーション賞 真凛 東京都大田区立入新井第一小学校
競い合い学び合う子どもたち「次のステップを踏み出そう!」
2日間にわたるFLLの大会は、こうして無事に幕を下ろしました。「ここからがスタートライン」閉会式での理事長の言葉は、受賞したチームはもちろん、参加したすべての子ども達に響いたのではないでしょうか。
また明日からスタート。次をめざして、世界をめざして、未来をめざして。子どもたちの瞳が、遠く、高く、広く、たくさんのものを見つめられますように。
FIRSTのビジョンは、科学技術の分野において尊敬されるヒーローを生み出すこと。未来のエンジニアやイノベーターが踏み出す一歩を、応援します!さぁ、あなたもFLLをめざしてみませんか?
※FLLは、日本では、NPO法人 青少年科学技術振興会 FIRST Japanによる運営。文部科学省、経済産業省、国立研究開発法人科学技術振興機、国立研究開 発法人海洋 研究開発機構、大田区教育委員会、川崎商工会議所 が後援しています。
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