(現地取材)WRO2022 in ドイツに密着!日本選手の活躍を写真でレポート
ドイツ最大のサッカースタジアム「ジグナル・イドゥナ・パルク」で行われた今年の国際大会には、73の国と地域から365チームが参加。


歓迎セレモニーはスタジアムで。サッカーファンの「コエテコ」責任者・沼田も大歓喜!

さまざまなSTEM教材の展示もありました

笑顔で迎えてくださったのは、ドルトムント観光ブースの担当者

広々とした会場には、各国の選手団が集います!(写真はロボミッションエリアの一部)
前回、密着取材を実施したプログラミング教室「ロボ団」からは小中合わせて3チームが出場し、目が離せない大会となりました。
世界的なロボットづくりの大会であるWRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)の季節が今年もやってきました。日本全国から強豪が押し寄せる中で、小・中学生部門ともに優勝を勝ち取り、世界大会へ進出するのは「ロボ団」からの3チーム。その実力の秘訣は?そして、世界へ向けての作戦とは。特別インタビューで聞いてみました!
2024/11/06 10:16
そんな熱い大会となれば、ぜひともこの目で見たいもの。この記事では、選手団とともにドイツへ赴いた「コエテコ」取材班による詳細なレポートをお届けします!

ロボ団チーム「Au」

ロボ団チーム「舞桜」

ロボ団チーム「マイナム」
競技の枠組みが変更されたWRO2022
今回(2022年)の大会では、競技の枠組みと名称が変更されました。〜2021年まで | 2022年〜 |
レギュラー・カテゴリー | ROBO MISSION(ロボミッション) |
フットボール・カテゴリー | ROBO SPORTS(ロボスポーツ) |
オープン・カテゴリー | FUTURE INNOVATORS(フューチャーイノベーターズ) |
(2021年時点では、パイロット競技の扱い) | (正式競技へ) FUTURE ENGINEERS(フューチャーエンジニアズ) |
ロボ団から出場の3チームは、いずれもロボミッションに参加。さあ、一体どのような大会になるのでしょうか。
【1日目】豪華な歓迎イベントと感動の開会式
東京からほぼ24時間、丸1日のハードな移動を経て、前日の夜にドルトムントに到着したという選手団。体調などは大丈夫だろうか……という大人たちの心配もなんのその、翌日の朝には、ピリッとした雰囲気で練習に挑む選手たちの姿がありました。



会場には73もの国と地域から365チームが集います。さまざまな言葉が飛び交う会場はまさに「異文化交流」にピッタリの環境ですが、選手たちのきびしい目線が注がれるのは、当然ながら他チームのロボット。


日本ではまだまだ男子児童・生徒の参加が多いロボット大会ですが、国際大会では混合チームや、女子のみのチームも多数活躍していました
「どうやって得点するつもり?」
「あのスピードはどうやって出しているの?」
そんな心の声が聞こえてきそうです。

ピリリとした練習時間を終え、選手が向かったのはドイツ最大のスタジアム「ジグナル・イドゥナ・パルク」で行われる歓迎イベントです。


イベントには聖歌隊が登場したほか、「こんなときだからこそ連帯を」という願いを込めて、ジェリー&ザ・ペースメイカーズの『You'll Never Walk Alone』を会場全体で合唱。肌寒いドイツの気候の中でも、心まで温かくなるようなひとときでした。


歓迎イベントのあとは会場へ戻り、過去の選手たちが口を揃えて「感動した」と思い出を語る開会式(オープニングセレモニー)へ。

未来感MAXの会場が選手たちのテンションを高めます!

セレモニーの音楽は、「温故知新」を表現するクラシック×ポップスの生演奏。さすがはドイツです
クラシック音楽大国ならではの素敵な演奏を楽しんだのち、始まったのはParade of Nations(国旗パレード)です。

「Ladies and gentlemen, we welcome……Greece!」
(みなさん、歓迎しましょう……ギリシャ!)
「And from the German neighbor country……welcome the Netherlands!」
(そして、ドイツのお隣の国……オランダ!)
司会の掛け声とともに、大きな国旗を掲げてステージに上がる選手たち。これだけの国や地域から選手が一堂に会するなんて、大人の私たちも感動が止まりません。

大きな旗をたなびかせ、ステージに上がる選手たち

観客席からも応援の声が上がります
そして、日本の名が呼ばれました!
「So we welcome……Japan!」(そして……ようこそ、日本!)


国旗を掲げて入ってきたのは、プログラミング教室「コズミックITスクール」からフューチャーイノベーターズ競技に出場するチーム「YT LAB.」の選手。堂々としたたたずまいが実に立派でした!

そんな国旗パレードでは、ウクライナを代表して参加した選手にスタンディングオベーションが起きる場面も。
大人たちが頑張るのはもちろん、今、この場に参加している選手のみなさんとともに、平和な世界を作っていかなければならないと強く感じさせられたセレモニーでした。

国旗を掲げるウクライナの選手。会場では競技に熱中するのはもちろん、さまざまな場面で反戦のメッセージを発信していました
【2日目】サプライズルールが発表され、競技スタート
2日目の朝がやってきました。スタジアムに向かうメトロは各国の選手団でいっぱい。ヨーロッパの薄暗い朝もやを吹き飛ばすような元気のよさで、ぞくぞくと選手が集結します。

実は日本よりも北に位置するドイツは、朝の8時半でも薄暗いまま。それでも選手は朝から元気いっぱいです!
そんな2日目は、サプライズルールの発表で始まりました。
サプライズルールとは、大会当日になって知らされる追加の評価ポイントのこと。「事前に知らされているポイントについては、満点が当たり前」とも言われるハイレベルな国際大会において、サプライズルールに対応できるかどうかは勝敗を左右する大事なポイントです。

サプライズルールを発表するジャッジ(審判)の周りを取り囲む選手とコーチ

ひとことも聞き逃すまいと、真剣に耳を傾ける日本選手

作戦タイムです
ジャッジの周りには選手だけでなく、コーチや保護者も集結。どう対応していくか、選手の皆さんに話を伺いたい気持ちもありましたが、どのチームも真剣そのもので、とても話しかけられるような雰囲気ではありません。祈るしかないままに見守っていると、競技が始まってしまいました。

競技中はロボットや競技台に一切触れてはならないルール。観客はもちろん、選手自身もやきもきしながらロボットの動きを見つめます

念入りにロボットの最終チェックをするチーム「舞桜」

ガッツポーズをして去っていくチーム「Au」

どうやらいい感じのようです!

ジャッジとともに得点を確認。間違いがないことを確かめ、選手自らがサインをします
しかし、そんな選手たちの真剣さが実ったのか、2日目の終了時点で、中学生チームはかなりの好位置をキープ。対する小学生チームは「あと少し」といった雰囲気でした。さすがは世界、そうやすやすとは勝たせてくれません。

いずれにせよ、結果はまだ分かりません。3日目の結果がどうなるのか、ドキドキの展開です。
なお、会場ではロボミッションと同時進行で、ロボスポーツやフューチャーイノベーターズ、フューチャーエンジニアズの競技も進行していました。

ひょうひょうとしながらもロボスポーツで好成績を残していたのはProgLabのチーム「ちゃんぽん」
どの競技も見どころたっぷりでしたが、とくに目を引かれたのはフューチャーイノベーターズのプレゼンブースの数々。
日本からは、WROの実力校である追手門学院大手前中学校「Otemon Quest」チームや、コズミックITスクールの「YT LAB.」チームが大活躍していました。

「Otemon Quest」のブース

「Otemon Quest」の選手

「YT LAB.」のブース
その他の国のブースも、各国の伝統をじょうずにアピールしていたり、高機能なロボットが展示されていたりと、かなり気合いの入ったつくり。
ジャッジ(審判)との質疑応答もかなり本格的で、世界と渡り合う覚悟を試される現場だと感じました。

この競技では、ジャッジや他チームからの質疑にも的確に答えなければなりません。語学力はもちろん、積極的にアピールする力が問われます

笑顔が素敵なフィリピンチーム

ロボットアームを操作して迷路をクリアするゲームや……

オリジナルのレスキューロボットのアイディアを発表するチームも

こちらのチームはオリジナルアプリまで。どの競技も、レベルの高い戦いです
【3日目】どのチームも怒涛の追い上げ!
2日目のハードな競技のあと、フレンドシップナイト(交流会)を楽しみ尽くして、さすがに疲労の色が漂う3日目の会場。しかし気は抜けません。3日目の競技のほうが、2日目よりも配点が高いのです。
コンテンツ盛りだくさんの2日目を終え、さすがに疲れた様子の選手たち

それでも、朝早くから作戦会議をする「舞桜」の選手
ロボ団から出場の3チームはというと、前日にかなりの好成績を残したチーム「Au」のまわりには、腕組みをして様子を伺う他国の選手がズラリ。少しでもヒントになる動きはないかと、注意深く練習風景を観察しています。



ときにはジャッジまでもが質問に訪れるチーム「Au」。何を隠そう、ライターの夏野も他国のチームから「日本はどういう教育をしているのか」とくわしくたずねられました。
そうして始まった本番。同時進行で進むそれぞれの競技をせわしなく行き来しながら取材をしていると……
チーム「舞桜」から歓声が!どうやら、かなりの好成績で競技を終えたようです!

手を叩いて喜ぶチーム「舞桜」

同じく競技を終えたチーム「Au」。結果はどうなるのでしょうか
前日、あとひといきだった小学生チーム「マイナム」も善戦したよう。最終的な結果がどうなるか、あとは祈るだけです。

豪華なソンブレロ(伝統的な男性用帽子)が目立っていたメキシコチーム。それぞれの国を背負った戦いは決してたやすくはありません。
なお、隣のエリアでは、複数のピンポン玉を押し合い、相手のエリアに投げ入れて得点を競うロボスポーツが進行中でした。今年から始まったこの競技には、プログラミング教室「ProgLab(プログラボ)」からチーム「ちゃんぽん」が出場。それも相当な好成績のようで、まるでスポーツバーのように観客が押し寄せています。

人が増えすぎてのぞき見ることも出来なくなり、ノリの良い司会が「Thailand leading!! Thailand leading!!」(タイ先制!)「Japan turned around!! Japan turned around!!」(日本が逆転!)と“スポーツ実況”で盛り上げる場面も。

会場には選手のきょうだいや、見学にやってきた地元の子ども達も。ロボスポーツの熱戦に興味しんしんです
各部門での日本チームの活躍がめざましい3日目、果たして結果はどうなったのでしょうか。
【閉会式】そして結果は……
怒涛の3日間が終わり、ついに閉会式です。最終的な順位はどうなったのか、どの国の選手も、期待と不安でいっぱいです。

まず発表されたのは、フューチャーイノベーターズ競技の結果。ここではなんと、ジュニア部門で追手門学院大手前中学校「Otemon Quest」チームが1位を獲得しました!

NPO法人WRO Japanのプレスリリース(2022年11月20日 07時46分)Otemon Quest チーム(追手門学院大手前中学校)が金メダル受賞!~WRO 2022 ドイツ国際大会~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000046874.html >
出場選手のはじけるような笑顔、そして感動の涙が大きなスクリーンに映し出され、会場からは大きな拍手が贈られました。

そして、次はいよいよロボミッション競技です。まずは「マイナム」の出場したエレメンタリー部門。3日目競技ではなんと8位につけたという「マイナム」ですが、残念ながらランクインはならず。
世界の壁はとても高かったけれど、ハイレベルなロボット制作の技術には世界中からの注目が集まりました。「マイナム」の皆さん、熱い戦いをありがとうございました!

台湾、マレーシア、香港、韓国……ロボミッション競技 エレメンタリー部門では、アジア圏からの出場者の活躍が目立ちました
続いては「Au」「舞桜」が出場するジュニア部門。8位から順に発表されていくと……

なんと、「舞桜」は4位、「Au」は7位にランクイン!残念ながらメダルには手が届かなかったものの、両チームともに名前を刻むという快挙を成し遂げられました。「舞桜」「Au」の皆さん、ありがとうございました!
2022年11月17日(木)〜19日(土)の3日間にかけて開催された「WRO 2022 ドイツ国際大会」にロボ団の中学生2チームがROBOMISSIONジュニア部門の日本代表として出場し、世界4位と7位にダブル入賞を果... Read more "
https://robo-done.com/news/3850/ >
なお、ロボミッションのシニア部門には「独学でロボットを学んだ」という栄光学園のチーム「Kamakura Now」が6位にランクイン。
大盛り上がりのロボスポーツには、ProgLabのチーム「ちゃんぽん」が4位にランクインしました。どのチームも、スポーツマンシップに則った堂々たる戦いぶりが見事でした!

プログラボからのお知らせをご案内します。
https://www.proglab.education/news/20221129.html >
WRO2023の舞台はパナマ。新たな出会いに期待を寄せて
表彰式が終わると、次回の開催地、およびテーマが発表されました。スクリーンに映し出された地上の楽園のような景色は……中南米の国、パナマです!
会場には来賓として、パナマのファーストレディであるYazmín Colón de Cortizo(ヤスミン・コロン)氏が招かれました。素敵なビデオとコロン氏のスピーチが終わると、パナマ選手団が素敵な衣装で登場。いかにも楽しそうな雰囲気で、ドイツとはまた違った大会風景が今から楽しみになりました。


なお、来年(WRO2023)のテーマは「CONNECTING THE WORLD」(世界をつなぐ)だそう。パンデミックや不安定な世界情勢下だからこそ、世界中で「つながる」ことの大切さについて考える大会となりそうです。

ときにライバルとして、ときに友達として交流を深めた選手たち。実力も、情熱も持ち合わせたみなさんには、きっと明るい未来が拓かれていることでしょう。大きな感動をありがとうございました!

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