文化・教養として考えるAI教育とは? コードアドベンチャー宮城島代表が語る、AI時代の学び方

文化・教養として考えるAI教育とは? コードアドベンチャー宮城島代表が語る、AI時代の学び方
  • 今回お話を伺った方
    • コードアドベンチャー教材開発、運営総責任者

      宮城島 崇之氏

      小学生向けプログラミング教育の現場に長く携わり、段階的な学びの設計をおこなっている。近年はAI教育にも注力し、子どもが自然にAIと向き合えるカリキュラムづくりに取り組んでいる。

AIが日常に浸透し、教育現場でも「AIをどう教えるか」が問われるようになりました。とくに小学生へのAI教育については、「どのように教え、どこまで理解させるべきか」が難しいテーマです。

そこで小学生向けプログラミング教室「コードアドベンチャー」が新たに開講したのが、マインクラフトの世界を使ってAIを学ぶカリキュラムです。

とはいえ、「AI教育は難しそう」「小学生に理解できるのか?」といった声も少なくありません。では、実際の学習現場ではどのような工夫があり、子どもたちはAIとどのように向き合っているのでしょうか。

本記事では、代表の宮城島氏への取材をもとに、AI教育に取り組む背景や授業の仕組み、さらに教室の現場で見えてきた子どもたちの変化を紹介します。

AIの使い方を偏らせない、12ヶ月間のカリキュラム設計

コードアドベンチャー宮城島さんインタビューの写真

コードアドベンチャー 教材開発 運営総責任者 宮城島 崇之氏


——コードアドベンチャーがAI教育に取り組み始めた背景を教えてください。

宮城島さん:きっかけは約2年前です。アドバイザーとして一緒に動画教材を作っているYouTuberの「いぬたぬき」さんが、Web3の開発などに携わっていて、「AIが来ているよ」と教えてくれたのです。

エンジニア界隈でも、AIを使いこなせるかどうかで仕事の効率が段違いだという話をよく聞くようになりました。そこで、ゲーム開発のさらに上位コースとして、AIプログラミングコースを作ろうと思ったのが始まりです。

——カリキュラムの特徴についても教えていただけますか?

コードアドベンチャーAIコースのカリキュラム

宮城島さん:12ヶ月のカリキュラムで、「ゲーム開発編」と「社会実装編」の2部構成です。

実はコース設計がとても難しく、何をどうカリキュラムにすればいいのかが曖昧な状態でした。AIのロジックやエンジンもどんどん進化していて、まだ法整備もされていないのです。

考えた結果、AIはプログラミングに限ったことではないと思い至りました。

今の小学生は、おそらくAIネイティブの世代で、すべての活動にAIが入ってきます。だから、ゲーム開発でAIと協働しながらプログラミングをやっていく感覚と、社会課題や自分の課題解決のためにAIを使っていくという、AIを総合的に学べるコースにしたいと思いました。

最も重視したのは、AIの使い方を偏らせないことです。

AIとのやりとりで自分の考えを深めたり、分からない言葉の意味を聞いたり、AIと対話しながら総合的な活動をしていくことが大切です。教材開発担当スタッフと一緒に、章ごとに異なるAIの使い方を設計しました。

——このAIコースのゴールはどこにあるのでしょう?

宮城島さん:AIと友達になることが第一の目標です。

AIと友達になれば、何が得意で何が不得意かは分かるようになります。AIと仲良くなって、ごく自然に使えるようになってほしいのです。

また、AIコースの目標は、AIと一緒に学ぶための技術的な下地を整えることにもあります。

AI時代では、AIが膨大な知識を持っているためすべてを暗記する必要はありません。AIと一緒に学んでいこうという心構えさえあれば、必要に応じて学びを深められます。

ゲーム制作から社会課題解決まで「多様なAI活用を学ぶ」

コードアドベンチャーのAIコースの画面

——具体的にどのような学習をしているのでしょうか?

宮城島さん:たとえば、ゲーム開発の章では「ツララを出したいです」とAIに伝えると、コードを提示してくれます。「ツララに当たったらゲームオーバーにしたい」と聞けば、当たり判定のコードが出てきます。

一見すると対話は成立しているように見えますが、コードをもらってコピー&ペーストするだけでは、AIの本当の使い方は身につきません。

そこで、次の章ではデバッグ* に挑戦します。「このプログラムのどこが間違っているか、一緒に見つけましょう」とAIに相談するのです。

また、別の章では「このForeverFunctionという言葉の意味が分からない。教えてほしい」と質問します。
* うまく動かないところを見つけて直すこと

このように、章ごとに異なるAIとの対話の仕方を設定しています。これは、人と人とのコミュニケーションにいろいろな方法があるのと同じなんですよ。

応援し合って気持ちを高め合う会話もあれば、ディベートのように互いの考えをぶつけ合う対話もあります。AIとの付き合い方も同じで、用途に応じて対話の仕方を変える必要があることを子どもたちに教えているのです。

正直、かなり高度なカリキュラムだと思います。

しかも小学生向けのAI教育には前例がなく、参考にできるものもありません。大丈夫かなと思いながら作っていましたが、驚くことに子どもたちは、空気を吸うように、身構えることもなく自然に内容を吸収していきました。

子どもたちは難しい概念を学んでいるのではなく、ごく自然にAIの使い方を身につけていきます。

——コードアドベンチャーはマインクラフトの世界でプログラミングを学習します。AIコースでもマイクラを採用した理由について教えてください。

コードアドベンチャーのマイクラで学ぶプログラミング

宮城島さん:子どもたちにとって魅力的な入口だからです。マインクラフトのプログラミングで入って、いつの間にかAIを使いこなせているという自然な導線を作りたかったんです。

違和感なくAIに入っていけるのが理想で、それにはマイクラの世界を入口として出口をAIというイメージで持っています。

声高に「AIが大事」と叫ばず、九九を覚えるのと同じように、当然の教養としてAIを学ぶ。九九を学ぶのに疑問を持つ人はいないように。そういう自然さをめざしています。

AIを学習パートナーとして認識する子どもたち

コードアドベンチャーのAIコースの内容

——実際に授業を行ってみて、子どもたちの反応はいかがでしたか?

宮城島さん:とても難しいことをやらせていると思っていたのですが、子どもたちはどんどん吸収していきます。

最初はフワッとした理解で「言われたからやっている」という感じです。ところが授業を進めるうちに本質を捉えていく。理由はわからなくても、繰り返すうちに「そういうものだ」と身につけていくのです。

先程お話しした、ForeverFunctionの意味を質問させる授業を繰り返すと、「AIは分からないことに答えてくれる」という本質を理解して、今度からは分からないことは聞くようにしようという要素を捉えます。

大人はAIに抵抗感を持つことも少なくありませんが、子どもはまず触ってみて、実際に使いながら自然と使いこなし方を身につけていきます。

AIコースを通じて、AIにしっかり触れることができたという子も大勢いて、設計して本当によかったと感じています。

——AIコースを実際に行ってみて、子どもたちの姿勢やAIとの向き合い方について、どんな発見がありましたか?

宮城島さん:私たちの想像以上に、AIとコミュニケーションを取る子どもが増えたと感じています。

授業で設定した課題だけでなく、それとは関係のない会話を自然に交わしています。遊びの延長のようなやりとりもあれば、「もっと知りたい」という純粋な興味から話しかけている場面もありました。

子どもたちがAIを単なる道具ではなく、学習のパートナーとしてきちんと認識しているのだと気づいたとき、ハッとしました。彼らはAIを、ほぼ人のように捉えているのです。

私たちは「AIと人間は明確に違うものだ」と考えています。でも子どもたちにとっては、AIと人間の境界があまり重要ではないのかもしれません。

——では、AIコースを通して、子どもたちの思考や学び方には、どのような変化が生まれるのでしょうか?

宮城島さん:言語能力はもちろんですが、それ以上に「考える力」の本質が鍛えられると思います。

AIは表現に揺らぎがあり、こちらの指示に対して必ず同じ答えを返すわけではありません。

思い通りにいかない場面では、「なぜうまくいかなかったのか」「他にどんな可能性が考えられるのか」を一つひとつ検討していく必要があります。その過程で、自然と高度な論理的思考が求められます。

もうひとつ大きいのは、プログラミングを“言語”として理解できるようになる点です。

プログラミングは本質的には「言語」です。日本語で話すか、プログラミング言語で話すかの違いだけで、やっていることは「言葉で伝える」ことです。この気づきこそが、今起きているパラダイムシフトであり、子どもたちが身につける本質的な力だと思います。

「将来必要だから」だけでは語れない、プログラミング教育

コードアドベンチャー宮城島代表の写真

——AI時代における教育の本質的な価値についてどうお考えですか?

宮城島さん:教育の形が変わるはずです。人間の間違えるパーセンテージとAIの間違えるパーセンテージはほぼイコール、もしくはAIの方が正確になっています。分からないことは先生に聞いてもAIに聞いても同じなら、より近い存在に聞くようになります。

AI時代が進むにつれて、教員の役割も変化します。知識を教える存在というより、人間だからこそできる寄り添いや、子ども一人ひとりを支えるコーチング的な役割が、より重要になっていくのではないでしょうか。

また、AIの活用の仕方は2極化すると思っています。なるべく頭を使わない方向にAIを使うグループと、AIを活用してとんでもない生産性で仕事をする人たちです。

どちらが「正しい」「間違っている」という話ではありません。ただ、自分の人生をより楽しむという意味では、答えに収束していく使い方より、発想を広げていくような使い方のほうが、より人間らしいと感じています。

だから、子どもたちには、「夢や、やりたいことを実現するために、AIは力強い道具なんだ。だから積極的に使っていこう」と伝えたいです。

——プログラミング教育の立ち位置についてはどう考えていますか?

宮城島さん:プログラミングは、AIが自動でコードを書いてくれるようになったことで、「AIがやってくれるなら、人が学ぶ必要はない」という捉え方をされがちです。そこに、私は少し違和感を覚えています。

たとえば「音楽制作ソフトがあるんだから、ピアノを習う必要はない」という議論と似ています。でも、ソフトやAIがどれだけ進化しようと、ピアノを学ぶことの本質は全く別のものです。

ところが、プログラミングに関しては、その2つが同一視されてしまっています。「AIがプログラムを組んでくれる」ことと「私たちがプログラミングを学ぶ」ことが、トレードオフの関係になってしまっていると感じます。

しかし、習い事の本質は、「道具があるから学ばなくていい」という発想とは、まったく別のところにあるはずです。

——つまりプログラミングも、将来役に立つかどうかだけで語るものではない、ということですね。

宮城島さん:今、私たちがやるべきことは、「ピアノ教室」のような立ち位置をプログラミング教育でも確立することです。

たとえばピアノ教室は、先人たちの努力によって「教養」「文化」として社会に根付いています。別にプロのピアニストになるわけではないのに、それでもピアノは学ぶ価値があります。

プログラミング教育の問題は、「将来必要だから学びましょう」と言いすぎたことです。

ピアノ教室はそんな言い方はしません。「将来ピアノが弾けることがこの子にとって意味がある、ピアノを学ばないと将来大変だ」なんて勧誘はしませんよね。

プロになれるかもわからないのに、一種の詐欺になってしまいます。「ピアノをやってみませんか、ピアノはいいですよ」ぐらいの感じでしょう?

プログラミングも同じです。文化的な生活を送るために学んでもよいのです。

プログラミング学習によって子どもの生活の幅や趣味の幅、仕事の幅が広がるかもしれないし、広がらないかもしれない。自然な雰囲気でプログラミング教育活動をしていくことが、必要ですね。

AI時代に向けた、コードアドベンチャーの今後の展望

コードアドベンチャーAIコースのカリキュラムとスケジュール

——今後の展望を教えてください。

宮城島さん:1〜2年ごとにカリキュラムのアップデートをおこないます。AIのエンジンがどんどん変わっているし、AIができることの幅も増えていくため、時代に合ったAIの活用方法を常に見直していかなくてはなりません。

私たちの入口はマインクラフトのプログラミングです。魅力的な入口でスタートして、いつの間にかAIを使いこなせるようになっていけば、AIが日常に溶け込んでいくはずです。

AIコースを受けた上で「僕ってAIと友達になれなかった」でもいいのです。それもひとつの生き方です。

でもやってみないと、向いているか向いてないかは分からないですよね。そのための最低限付き合ってみる期間が、12ヶ月のカリキュラムかなと思っています。

文化・教養として考えるAI教育

「AIと友達になる」という表現は、一見すると抽象的に聞こえるかもしれません。

しかし取材を通じて見えてきたのは、AIを特別な存在として構えるのではなく、分からないことを聞いたり、考えを深めたりする相手として、ごく自然にAIを使いこなす子どもたちの姿でした。

AI教育の必要性を強調するのではなく、文化として、教養としてAIに触れる。視点の変換こそが、これからのAI教育に求められているのかもしれません。

そして、コードアドベンチャーの取り組みは、AI教育における視点の転換を実践している事例だと言えます。
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