実際に受託開発の現場で「少しつらいな」「このままでいいのかな」と感じているエンジニアは、少なくありません。
今回は、受託開発のWebエンジニアから、自社サービス開発の会社へ転職したHさんにお話を伺いました。
受託開発をどう強みに変えて自社開発へ移り、年収100万円アップを実現したのか——受託と自社開発の違いも含めて、リアルに語っていただきます。
「受託出身は不利」と思われがちですが、実は自社開発で活きる力がたくさんあります。
「受託開発はやめとけ」と迷っているあなたに、次の一歩のヒントが詰まっています。
「受託開発はやめとけ」は本当?つらいと感じた受託エンジニア時代
従業員500名ほどの「受託開発」の会社で、Webサービスの開発をしていました。
受託開発とは、お客さん(他社)から「こういうシステムを作ってほしい」と依頼を受けて、その通りに作る仕事のことです。
私が担当していたのは、求人サイトや学生向けの情報サイトの保守・機能追加で、2年以上関わりました。
5名以下の小さなチームでリーダーを務め、お客さんとの打ち合わせ(要件調整)やシステム設計から、画面まわり(フロントエンド)、裏側の処理(バックエンド)、サーバー(インフラ)、動作確認(テスト)、公開後の運用・保守まで、サイトに関わる幅広い範囲を担当していました。
要件定義からインフラ、リリース後の保守まで、本当に幅広い領域を少人数で回されていたのですね。
長年運用されているシステムならではの苦労はありましたか?
はい、裁量が大きい分責任もありましたが、システム全体を見渡せる良い経験になりました。
担当していたのは2010年頃から運用されている古いシステムだったため、機能追加だけでなく、技術的負債に起因する障害対応や負荷対策も求められました。
たとえば、検索エンジンのクローラーによるサーバー負荷を特定し、アクセスの判定方法や運用を改善してサーバー台数を約50%削減したこともあります。
受託開発の仕事を通じて得られたことと、「自社サービス開発に移りたい」と思ったきっかけを教えてください。
良かった点は、少人数チームで上流から下流まで幅広く経験できたことと、関係各所と調整しながら問題を解決するコミュニケーション力が身についたことです。
一方で、受託開発では基本的に顧客から依頼された内容を形にするため、「こうすればもっと良くなるのでは」と思っても、自分の考えを反映できる範囲が限られていました。
決められたものを作るだけでなく、自分でも機能やサービスの方向性を考え、ユーザーにとってより良いプロダクトを継続的に育てたいと思ったことが、自社開発へ移ろうと考えたきっかけです。
受託出身は不利?転職の不安と、受託経験という強み
自社開発への転職の難易度については、未経験から自社開発エンジニアは厳しい?もあわせてご覧ください。転職を考え始めたとき、一番の不安は何でしたか?
転職そのものへの大きな不安はなく、新しい環境への期待のほうが強かったです。
ただ、前職では古いフレームワークを使い続けるなど、新しい技術やモダンな開発環境に触れる機会が限られていたため、その点が選考で不利になるのではないかという懸念はありました。
受託出身であることが不利になると感じた場面、逆に強みになると気づいたことはありますか?
受託出身であること自体は、特に不利だとは感じませんでした。
むしろ、長年運用されるサイトの保守まで担当していたため、「最初の設計の良し悪しが数年後の保守性や機能追加にどう影響するか」を実務から学べた長期的な視点は、大きな強みだと気づきました。
また、顧客の要望の背景を整理して仕様に落とし込む要件定義力も、自社開発でそのまま生かせる武器になると考えていました。
受託から自社開発への転職活動でやったこと|エンジニア転職サービスの活用
エンジニア向けの求人サービス選びは、バックエンドエンジニアに強い転職エージェントも参考になります。転職活動では、転職サービスをどのように活用し、担当者にはどんな相談をしましたか?
Findyなどを利用し、自社開発企業の求人やスカウトを確認しました。
担当者との面談では、キャリアの背景や今の技術環境に対する課題感を率直に話し、今後身につけたいスキルや次の会社に求める条件を相談しました。
エンジニア経験者の方が対象
エージェントと対話することで、どのような変化がありましたか?
一人で考えているだけでは曖昧だった部分が、質問に答えながら言葉にするプロセスを通じて非常にクリアになりました。
自分がなぜ転職したいのか、どんな開発環境で働きたいのかが明確になり、テストを書く文化や自動化の取り組みなど、希望条件を具体的に整理できたのは大きかったです。
書類や面接対策では、具体的にどんなサポートを受けましたか?
本選考で聞かれる可能性が高い質問一覧を事前に共有してもらい、準備を進めました。
特に助かったのは、面接後の企業からのフィードバックです。
第三者から自分がどう見えているかを客観的に把握でき、「次の面接ではここが重点的に確認される」といった情報をもとに対策を調整できたため、選考を重ねるごとに自信を持てるようになりました。
関連記事:IT転職サイトおすすめランキング10選!エンジニアに強いサイト比較
サービス以外で、ご自身で工夫して行った対策はありますか?
面接前には、企業が公開している情報だけでなく、面接官が公開している記事や経歴まで徹底的に調査しました。
事前に相手を深く理解しておくことで、志望理由や逆質問の内容を具体的にし、自分の経験の中から何を重点的に伝えるべきかを戦略的に準備して臨みました。
自社開発に転職して分かった、受託開発との違い|年収100万円UP
受託開発と自社開発の違いをより詳しく知りたい方はSES・受託・自社開発を経験して見えたキャリアを、エンジニアの年収相場はITエンジニア年収相場ガイドで確認できます。転職活動の結果と、年収面での変化を教えてください。
約1年間じっくりと活動し、約20社に応募して3社から内定をいただきました。
自分に合う企業を見極められた結果、転職後の年収は前職と比べて約100万円アップしました。
複数の選択肢の中で、今の会社に決めた決め手は何でしたか?
これまで培ってきたRuby on Railsの経験を生かしながらスキルを伸ばせる環境だったことに加え、面接を通して感じた働く人や組織の雰囲気が自分に合っていると確信できたことが最終的な決め手になりました。
実際に自社サービス開発に移ってみて、受託時代と一番変わったことは何ですか?
「何を作るか」「なぜ必要なのか」という上流の企画段階から議論に参加できるようになったことです。
受託開発では決められた要件に沿って実装することが中心でしたが、今は機能を検討する段階からさまざまな職種の人と話し合って決めています。
実装方法だけでなく、機能そのものについて考えることが仕事の一部になった点が、一番の大きな変化であり、やりがいでもあります。
「受託開発はやめとけ」と悩む人へ|自社開発という選択肢
同じくエンジニア転職の体験談として、元営業が自社開発エンジニアになった話や電力会社から未経験でエンジニアになった話も参考になります。最後に、受託開発から自社開発への転職を考えている人へアドバイスをお願いします。
受託開発の経験は、自社サービス開発でも十分に生かせます。顧客の意見を聞いて要件に落とし込む力、納期を意識して進める力、保守まで見据えて設計する力は、自社開発でも不可欠です。
モダンな技術経験が少なくても、受託出身だからと不利に感じる必要はありません。
決められたものを作るだけでなく、「どんな機能ならもっとサービスが良くなるか」を自分で考えたい人は、ぜひこれまでの経験に自信を持って、自社サービス開発に挑戦してほしいと思います。
前職ではどんな開発をされていたのですか?