「高い」!?SNSで大炎上したFMV「はじめての じぶん パソコン」

「高い」!?SNSで大炎上したFMV「はじめての じぶん パソコン」
子ども専用「じぶん」パソコンとして発表された富士通クライアントコンピューティング 「LIFEBOOK LH」シリーズ。

子どもの生活・子どもの学びに密着した製品でありながらも、SNSの一部では「スペックの割に高いのでは」「いや、きっと富士通ならではのノウハウが詰め込まれているに違いない」と議論が盛り上がりました。

そういった声を「認識しております」と富士通クライアントコンピューティング。今回は実際の開発者に製品の工夫や意図について徹底インタビューしました。

「導入機」という位置付け

—ズバリ単刀直入にお伺いするのですが。正直なところSNS等ではマイナスの意見も見られましたよね。「こんな性能で……」とか。

安藤 : ええ、そうなんです。ただ、ちょっとそれには誤解があるのかな……と思っていて。

—誤解、と言いますと?

こちらの製品は、ご家庭で初めてパソコンを触っていただくお子さんを想定したものなんです。いわば導入機という位置付けなのですが、そうなると大人向けの製品とはまた違ったものが求められます。

スペックは確かに、本格的に触りはじめると物足りなくなる性能かもしれません。でも、そこは結構努力していて、いたずらに高くなく、どれだけ語れる商品になれるか。そういうことを意識しているんです。

—なるほど。では、順番にお伺いしていきたいと思います!

パソコンに「親しむ」環境を定着させたい

—まず、FMV「LIFEBOOK LH」シリーズ設計に至る背景を教えていただけますでしょうか。

谷口 : はい。FMV「LIFEBOOK LH」シリーズは今後の教育の動向を踏まえて作られました。

まずは、小学校でのプログラミング教育の必修化。加えて受験がCBT化(Computer-Based Testing、コンピュータを使った成績評価)されること。

これら両方を踏まえて、小学生のうちからパソコンに慣れ親しむことが必要と考えました。ですから、子どもの未来を支える・成長を促すことをコンセプトに据えています。

家庭用コンピュータが普及し始めてからはや20年余。「子どもが必要とするコンピュータ」像も確実に変化している


保護者の方としては、必修化ということで「パソコン自体は与えたい」とは考えるけれども「何を選べばいいの?」と迷われますよね。

子どもは初めてパソコンを触るわけですから、様々なトラブルに対応できる製品でなくてはいけません。

落としてしまう、踏んでしまうといった乱暴な扱いも想定しなければいけませんでした。

一方でコンテンツについては、パソコンスキルだけではなく必修化するプログラミング教育や英会話といった内容もカバーしつつ、子ども自身が楽しんで学べる仕掛けが必要になります。

FMV「LIFEBOOK LH」シリーズにはそれらをトータルで盛り込みました。

学校現場から見えた「想像もしなかった使用シーン」

—安藤さんはハードの設計に携わられたとのことですが、設計の際には実際の学校現場などをご参考にされたのですか?

安藤 : そうですね。富士通の製品は文教市場での支持をいただいているんです。小中高、公立も私立も含めて多くの学校に授業用の端末等を納入しておりまして、タブレットに関してはシェアの7割を獲得しております。

そんな中で、実際の授業風景を拝見いたしますとこれまで想像もできなかったような使用シーンが広がっていて。

—「想像もできなかった使用シーン」ですか。具体的には……?

安藤 : まず、無造作に地面に置いてしまったりとか(笑)。携帯用ゲーム機と大差ない感覚というか、「高価なもの」「机の上に置いて使うもの」という考え方、扱い方をまだ知らないんです。

それで、ぽこっと地面に置いてしまう。置いたことすら忘れて蹴飛ばしてしまう、踏んでしまう。

—「置いたことすら忘れて」!でも、確かにちょっと分かるかも……。

はい。それが当たり前なんです。ですからFMV「LIFEBOOK LH」シリーズもそういった使われ方を前提に設計いたしました。

「たとえばこういうことをすると……」
「揺らさないでね」と警告が出る!

—では、頑丈にする仕組みを具体的に教えていただけますか?

安藤 : はい。たとえば製品の周りにはぐるっとラバーがついていますよね。これが補強の役目を果たしているので、少しぶつけてしまっても大丈夫です。

ラバーにはグリップの目的もあって、パタンと閉じたとき(タブレットのような形状にしたとき)に机の上で滑ってしまわないようになっています。

グレーの部分がラバー(ゴム)。ぶつけたときのクッションになるほか、滑り止めも兼ねている

実際の学習シーンにこだわった設計

ぺたっと折って「タブレット」型に

—折り曲げの話が出たので、こちらの仕様についても詳しく教えてください。

安藤 : はい。基本的には、子どもの実際の利用シーンから「こういう仕様が必要だよね」というポイントを掘り下げて設計してあります。

たとえばこのようにぺたっと折った形状はドリル学習などを想定しています。付属のペンを使って書き込んでもらうわけですね。この形状のときはキーボードは反応しないようになっています。


ドリル以外には「筆まめ」が入っているので「せっかくだから、年賀状を自分で作ってみようか」という形で使っていただけます。

パソコンというのはツールなので、学習だけでなく、いろいろなことがやりたい・できると思って欲しいんです。

折って立てれば、手前にノートが置ける

折って立てる形状は、手前にノート類などを置くことを想定しています。ノートを使って勉強するときにはキーボードが邪魔になってしまうな、と。

それから、たとえば英会話のように動画で学習するコンテンツって音声が出ることが多いですよね。そこで、どう折りたたんでもスピーカーが裏側に行かない(隠れない)レイアウトにもしてあります。

こだわりのスピーカー位置。動画の閲覧にも便利そうだ

サイズ感は「あえて子ども専用にしない」

—徹底的に子どもの学習シーンを想定してあるんですね。でも、大きさやキーボードの配置に関しては大人向け製品と同じになっていますね。これは一体……?

安藤 : 設計においては「子どもに寄せる要素」「あえて寄せない要素」のメリハリを意識しました。寄せる要素としては、コンテンツや内容につまずかないための工夫など。一方で寄せない要素としてはサイズ感などがあります。

たとえば、子どもは手が小さいですけれども、キーボードは大人用と同じサイズです。あえて小さなものにはしていません

というのも、ふつう中学校に置いてあるパソコンは普通の大人向け製品ですよね。

専用のキーボードや専用の入力方法を身につけてしまうと、中学校へ上がったときせっかく覚えたスキルが生かせなくなってしまうんです。
だから、あえて小さいサイズのキーボードにはしませんでした。

谷口 : ピアノだって、大人と同じピアノを使って練習しますよね。確かに初めは弾きにくいけれども、一生懸命頑張って、コツを覚えて、最終的には楽に弾けるようになる。それもまた成長じゃないかなと。

男女を問わないブルーのケース、カスタマイズしやすい表面

—本体の次は、ケースについて教えてください。デニムのような色合いのケースは、実際の子どもの意見を反映させているのでしょうか?

安藤 : はい。カラーに関しては、実際に小学生のお子さんにアンケートを取りました。イエローやグリーンなど何パターンか用意していたのですが、一番人気だったブルーを採用しました。

男の子だけでなく女の子でもブルーを選ぶ子は多く、分け隔てなく受け入れていただける色なのかなと。

ケースには男女ともに人気が高かったというブルーを採用。考えてみると筆者(女性)も子どもの頃はピンクよりブルーが好きだった


小学生って、思っている以上に多感な存在なのかなって思うんです。大人側がカテゴリーに分けて、そこに受けそうなものを用意してもハマらないんです。

最大公約数的な捉え方がしにくい存在なので、とりあえずシンプルに1色展開にしました。もちろん今後、皆さんからのお声をいろいろといただけましたら多色展開も考えております。

—なるほど。いろいろな形の穴が空いているのは、整理がしやすいようにですか?

谷口 : はい、その通りです。こちらのケースは「お道具箱」をコンセプトにしています。

パソコンは付属品が多い製品ですので、保護者の方からも「うちの子、散らかしたら全然片付けないんだけど、パソコンを与えても大丈夫なのかな」という心配の声をいただいていました。


そこでパソコンスキルだけでなく、お片付けも勉強しましょうと。マウスならマウス、SDカードならSDカードを入れる場所、というのが分かるようなデザインにして、各付属品がばらばらにならないようにしました。

かつ、子どもが自分の好きなものを入れられるスペースも作っています。

そうすることで、自分でお片付けをする力もつけられるし「自分だけのパソコン」と愛着を持っていただけるかと。子どもは「自分だけのもの、オリジナルのもの」を欲しがるので。

—なるほど。確かに、愛着を持つのは大事ですよね。

谷口 : そうなんです。大人向けのマニュアルだけでなく子ども向けのマニュアルやローマ字入力表も用意しているのはそういう意図なんです。

愛着の面でいうと、パソコン本体の表面にもこだわりがあります。一度、触ってみてください。

ポコポコと盛り上がった表面。汚れがつきにくく、シールを貼っても剥がしやすい。


こうした凹凸のある表面にすることで指紋がつきづらくなっています。デザイン面も極力シンプルにしてシールなどを貼ってカスタマイズできるようにしました。

かつ、貼ったシールを将来的に剥がしたくなったとき簡単に剥がしやすい仕様にもなっていて、クリーニングが簡単なんです。

成長した子どもが「このシールはそろそろイヤ!」と思ってもカンタンにイメチェンできる仕様だ

ハードだけでなく、コンテンツにも注目

—言いにくいことですが、パソコンを買うとなると安くはない買い物になってしまいます。価格についてはどうお考えでしょうか。

谷口 : 価格については、本体だけでなく、ついてくるサービスやコンテンツも見ていただけたら……と思うんですね。「FMVまなびナビ」と言うのですが、ハードとソフトをトータルの価値として捉えていただけたら、と。


—「FMVまなびナビ」ですか。詳しくお伺いできますか?

まず、子どもたちに身につけて欲しいスキルとして、パソコンの基礎であるタイピングと、これから始まるプログラミング教育、そして英会話をカバーする学びを展開していこうと考えました。それが「FMVまなびナビ」です。

「FMVまなびナビ」は5コース(「総合パック for キッズ」を含めると6コース)あり、それぞれのコースの主なサービスとして以下があります。

「FMVまなびナビ」各サービス(5コース)

・タイピングコース「ふくまろタイピング」
・プログラミング「QUREO」
・プログラミング「マイクラッチ」
・教科書準拠「学研スマートドリル」
・学研のオンライン英会話「Kimini(キミニ) 英会話」


富士通はこれまで文教市場にハードを展開し、大きなシェアを得てきました。

一方でサービスや学習コンテンツに関しては実績がございませんでしたので、教育方法、子どもたちがどういったものを喜んでくれるのか、保護者の方の関心はどこにあるのかといった点については、ノウハウを持った企業をいろいろ当たりました。

その結果、学研さん、D-SCHOOLさん、Tech Kids Schoolさん、イータイピングさんと協業できることになったんです。

—なるほど。パソコン=プログラミング、ではなくて、子どもの学びをトータルで捉えるイメージですね。それぞれのコンテンツについて、簡単にご説明いただけますか。

初めて触れるパソコンなのでタイピング学習を外すことはできません。そこで、20年以上タイピングを専業でやっていらっしゃるイータイピングさんと組んで「ふくまろタイピング」を開発しました。


「ふくまろタイピング」には子どもが夢中になれる要素を入れてあります。

それはズバリ「ランキング」。

全国の「じぶんパソコン」ユーザと競争ができるんです。競うことで学習スピードを上げるのはイータイピングさんの知見ですね。自分専用のカルテも確認することができ、成長を実感することができます。

キャラクターの「ふくまろ」は可愛いんですけれども、実はとても賢いAIなんです。それで、知性のシンボルであるふくろうをモチーフにしているんですよ。

—なるほど。タイピングからカバーするという考え方は、まさに「導入機」としてのコンテンツですよね。その他、学校の勉強や英会話についてはいかがですか。

はい。そちらは、学研さんにご協力いただいた「学研スマートドリル」「Kimini(キミニ)英会話」をご用意しています。

「スマートドリル」に関して言うと、学校教育の補完をどうやって自宅で展開するか、と考えたときにそれぞれの学校が採用している教科書に準拠した内容がやはりいいのかなと。

学ぶ内容が学校の教科書と違ってくると、教科書に出ていないことが習えるというプラスの面もあるんですけれども、保護者の安心感でいうとやはり準拠していた方がいい。

本屋さんにも学校準拠の参考書が売っていますが、ああいうイメージですね。その上で動画という特性を生かし、テストや問題を解いたあと「ここがポイントだよ」と補足できるようなコンテンツにしています。

「Kimini(キミニ)英会話」については、生きた英会話を学ぶことに重点を置き、実際に外国の先生とオンラインで会話するカリキュラムを展開しています。これに関しても、学研さんのノウハウが生きています。

というのも、オンラインの英会話って、自分が喋ろうとしないと沈黙のまま終わってしまうんですね。その点、学研さんの英会話はカリキュラムがしっかりしていて、子どもが黙っていても先生の方から話せるように促してくれるんです。

—なるほど。では最後に、プログラミング教育の方はいかがですか。

まずは「マイクラッチ」ですが、こちらはやはりYouTuberなどの影響で「マインクラフトをやりたい!」というリクエストが多かったんです。学習目的でマインクラフトを取り入れている会社を探しましたところ、D-SCHOOLさんと協業させていただけることになりました。

このコンテンツのすごいところは、実際のエンジニアが出演している動画教材だということですね。

「マイクラキング」という名前で子どもたちをサポートしてくれます。「マインクラフト」は自由度が高い反面、ゲームにあまり慣れていない子だと操作方法が分からなかったり、何をしていいのか戸惑うことがあるんです。そこで、少しずつステップを踏んで展開していくようなカリキュラムにしています。


そしてTech Kids Schoolさんの「QUREO」。こちらはプログラミング教材なのですが、対象年齢も低学年からカバーしていて、なんと480くらいの講座があるんです。

子どものことを考えると、キャラクターが多かったり、ストーリーがあったりしたほうがのめり込む。「QUREO」もそうした知見を生かし、楽しくプログラミングを学べるようになっています。

—FMV「LIFEBOOK LH」シリーズを購入することによって、これらのコンテンツに特典が与えられると。

これらのコンテンツは一定期間、無料で体験できるようになっていたり、割引価格で利用できたりします。オンラインからオフライン(実際の教室など)への接続もスムーズで、オンライン体験でカリキュラムが気に入ったスクールさんに、割引価格で入塾できたりもします。

また、保証やサポートの面で言うと、パソコンでしっかり学んでいただくと必然的に利用時間は長くなりますよね。長く使って欲しいからこそ、修理特典や、よりスペックの高いパソコンへ買い換えるときの割引権などもセットにしています。

全体として、子どものパソコン利用が「普通のこと」になるまで、つまり、定着までしっかりと面倒を見られるようなプランにしているんです。

—なるほど。子どもがパソコンで学ぶことが当たり前になる、そのための製品なんですね。本日はありがとうございました!

まとめ

SNS上でネガティブな反応が多かったことから実現した今回の取材。

「子どもは床にパソコンを置く」「置いたことを忘れて踏む」など、大人からするとちょっと想像できないような世界が広がっている……というのは、やはり文教市場に大きなシェアを持つ富士通ならではの知見でした。

取材を通して感じたのは、徹底的に生の子ども達に向き合う姿勢。

パソコンスキルだけでなく「お片づけ」や「物を大切にする姿勢」を育てていく。ある意味でパソコンの枠を超えた商品なのかもな……そんなことを感じた取材でした。

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