コエテコではこれまで、オンライン/教室でのワークショップや開発者・額田さんへのインタビューなど、さまざまな角度からembotの魅力をお伝えしてきました。
そんな中で感じたのが……
見ていたらやりたくなっちゃって……
私にも工作させてもらえませんか?
いいですね!
ぜひオリジナリティあふれるロボットを作ってみてください♪
というわけで、今回はembotを使ったオリジナル作品作りにチャレンジしてみました♪
マジで好き勝手やりますよ!!

どんな作品に仕上がったのでしょうか!?
「embot スターターキット」の中身はこれだ!
今回、工作に使用するのは「embot スターターキット」。かわいらしいクマ型のロボットが作れる、もっともベーシックなキットです。
含まれているのは以下の部品。
- 本体用ダンボール(3枚)
- コア
- ブザー
- LEDライト(赤・緑)
- サーボモーター(2個)

ダンボールは次の機会までとっておきます
LEDとサーボをどう使うかがカギになりそう。
まずはテーマ決め。機能から逆算もアリ
と、取り組み始めたものの……何を作ろうかなあ。
いったん、機能(できること)から逆算するのがいいかな。

公式サイトによると、embotのサーボモーターは0度〜180度まで動かすことができるそう。「バイバイ」のような動きができるってことですね。
これをヒントに、ネタ集めをしてみよう!
美しすぎる日の出をLEDで表現しよう
ちょっと話は逸れるのですが、ちょうどこの時期、宮城県の南三陸でお仕事がありました。地元の方と話していると、日の出が本当にきれいだから、絶対に見たほうがいいですよ。
明日の日の出は、確か6時8分だったかなあ。
(お、起きられるかな……?)
なるほど!それはぜひ見たいです。

うわあー!!
興奮してシャッターを切りまくるライター。画面で写真を確認すると……
……この景色、LEDライト(赤)で表現できるのでは?
サーボの使い道も決定!ウミネコを作ることに
とはいえ、このままでは「LED(赤)が光っているだけの作品」です。それが悪いわけではないのですが、せっかくのサーボモーターを生かせないのはもったいない気もします。どうしようかな、と窓の外を眺めていると……

たくさん飛んでいたウミネコ(シャッターチャンスを逃したため、フリー素材で失礼します)
ウミネコだ!

カモメと間違えられがちなウミネコ。見分けるポイントはクチバシの色と、尾羽に黒い筋があるかどうか(再び、フリー素材で失礼します)
本当にミャーって鳴くんだな〜。
ウミネコを題材にするといいかもしれないな。
サーボモーターで羽を動かせば、おもしろい作品になるかも。
まずは全体のイメージを固めよう
と、手を動かす前に、まずは全体のイメージを固めておきます。今回表現したいのは、美しい日の出とウミネコです。組み合わせるとこんな感じかな?

イラストにするだけで、ぐっと具体的になりました。このイメージをもとに、いよいよ制作に入りましょう!
キャンバスに日の出を描こう
まず取り掛かったのは、ウミネコのバックに添える日の出の絵です。塗り絵用のミニキャンバスを使い、アクリル絵の具で描いていきます。
今回、材料は全て100均で調達。ミニキャンバスは塗り絵用で、猫の下絵が描いてあったが……

今回は無念、白で塗りつぶして使います!ごめんよ
絵筆を握るのなんて久々です。

なんだか前衛的な仕上がりに
と、とりあえずベストを尽くします。
紙粘土でウミネコを制作。針金でギミックを仕込もう
絵の具が乾くのを待つ間に、ウミネコの制作に取り掛かります。ここでポイントとなるのが羽のギミック。羽が自由に動くようにしておかないと、サーボモーターが生かせないからね。

2mmの針金で骨組みを制作。切り口が危ないので、お子さんが使う場合は保護者がカットしてあげましょう

羽が上下できるように針金をセット。ここがポイントです!
この骨組みをベースに、紙粘土で成形していきましょう!
ところがどっこい、トラブル発生!
と、ノリノリで制作していたライターですが、ここでイヤな予感が。思った以上に紙粘土が重いな……

妙ちきりんなモンスターみたいになってしまった
そうなのです。こちらの紙粘土、思った以上に重量があり、どちらかというと石膏粘土のような質感だったのです。
乾くのを待ってみたものの、状況は好転せず。サーボが重さに耐えられない予感がしてきました。
「紙粘土をやすりで削って軽くする?」など代案も考えましたが……ここは潔く、作戦変更!
仕方ない。別の素材で作り直そう!
気を取り直して…本体完成
というわけで、再び本体に取り掛かるライター。骨組みに丸めたコピー用紙を詰めて強度を増したら、空き箱から切り出したパーツで大体の形を整えます。
コピー用紙をくしゃくしゃにして骨組みに詰めます。新聞紙でもgood

親戚からもらった『六花亭』の箱を素材として再利用

いい感じです!
このままだとガムテープが丸見えなので、紙袋から切り出した紙で表面をキレイに。「フラワーペーパー」を羽がわりにくっつけると……

紙袋だって立派な素材になります

100均で買った「フラワーペーパー」。これを伸ばして貼ると……

こんな感じに!
ぐっと鳥らしくなりました。
この軽さなら、なんとかサーボも動いてくれそう。割り箸を柱がわりにし、針金で土台も作って浮かべてみました。

ゴニョゴニョしてる間に片方の羽が外れてしまいました。焦らない焦らない
実はここが一番大変でした……。
今回はスケジュールの都合上、「ガムテープで机に貼る」という強引な手段で解決したけど、もっと別のやり方があったはず。紙粘土を重りにするとかね。
宙に浮いたデザインはけっこう大変なので、工作初心者は「置く」タイプのデザインがいいかも!

ちょっぴりまぬけなお顔になったけど、愛嬌があっていいですね
完成です!LEDとサーボはあとで設置するとして、いよいよプログラムに取り掛かりましょう♪
LEDライトとサーボをプログラミング

さあ、ここからはいよいよプログラミングです。取材で会ったお子さん達はスイスイ進めていたことですし、ライターにもきっとできるはず。
「バイバイ」の動きをベースにしたいな。
YouTubeにアクセスしてみると、embot公式動画のほか、個人で取り組まれている方の解説動画がズラッと出てきました。今回は「いの先生のICT教室」さんが公開されている、こちらの動画を参考にさせていただきました。
なるほど、「for」ブロックはこう使うのね。

ライターが作成したプログラム
今回、プログラムで実現したいのは以下の動き。
- LEDライト(赤)を点灯させる。
- 左右の羽根をバタバタさせる。

セットの内訳はこんな感じ。
「ライトをつけ、左右のサーボを動かし、ちょっと待機して、また左右のサーボを動かす」までを1セットに
こうしておけば、ちょっと見せたいときは「2回繰り返し」、ひたすらバタバタさせたいときは「10回繰り返し」のように調整できます。

ちなみに、画面下の「sim(シミュレーション)」ボタンを押すと……
思い通りの動きになったかどうか、画面上で確かめられる。コアの電池が節約できてgood
あとはコアとLEDライト、サーボをウミネコに取り付けていきましょう。
いよいよウミネコが動き出す!
プログラムが完成したので、いよいよウミネコ本体に部品を取り付けていきます。まずはキャンバスに穴を開け、LED(赤)をセット。
続いて、左右の羽根にサーボモーターを接着。これでいけるか!?と思いきや……
あらら。土台のほうが回っちゃってる。

白い羽(赤色矢印)を回したかったのですが、ウミネコの羽が大きかったので、黒い土台(青色矢印)のほうが回ってしまいました
というわけで、左の羽はキャンバスに穴を開けて固定。右の羽は、化粧品の箱を土台がわりに接着することに。

キャンバスにサーボを固定。うまくいきました
これでいよいよ……

完成です!!
美しい南三陸の思い出を、ロボット工作で表現することができました。
今回の反省会&振り返り
……と、上のgifを見て、違和感を覚えた方も多いでしょう。「右の羽、動いてなくない?」と。そうなんです。キャンバスに差し込んだほうのサーボはうまく動き、バタバタさせることができたのですが、もう片方はどうしてもうまく動かすことができませんでした。

動かなかったほうの羽の裏。うーん、何がいけなかったんだろう
ベースとなった針金の動きがスムーズでなかったのか、柱代わりに採用した化粧品の箱が小さかったのか。どこかに設計ミスがあったと思うのですが、今回はやむなくこちらでフィニッシュとなりました。悔しい〜!
とはいえ、初めてembotでの自由工作に取り組んだことで、embotの良さが改めて見えてきました。それぞれ振り返っていきましょう。
電子工作が気軽にできる!
まさしくembotの魅力No. 1と言える「電子工作の気楽さ」。これに関しては、何度でも強調しておきたいと思います。というのも、工作って(楽しいけど)すっごく大変なんです。思うような形にならなかったり、作り直したり……。そこに「難しい電子工作」が加わってしまうと、お子さんや、不慣れな方にはちょっとハードルが高くなってしまうのではないでしょうか。

embotのコアには、ケーブルの色に応じたカラーリングが施されている。どこにどのケーブルを差すかが一目瞭然
embotでは電子工作の部分をなるべく簡単にしていることで、そのわずらわしさがほぼゼロになっているのが嬉しい!「ちゃんとLEDライト、つくかなあ」なんて不安にならず、工作部分に集中できました。本当にありがたかったです。
意外とケーブルが長い!
自由工作をするにあたり、ちょっと気になっていたのが各部品のケーブルの長さ。キャンバスとウミネコがちょっぴり離れているので、ケーブルが短かったらどうしようと(工作終盤になって)心配になったのですが、結果はまったく問題ナシ!「事前に長さを確認しておけば?」って話なのですが、工作は瞬発力も大事。プログラムで動かす段になって「ケーブルが届かん!」という事態にならなくて良かったです。

動画や教室で学べる!
最後のポイントは、解説コンテンツの豊富さ。embot公式はもちろん、個人による解説コンテンツもいろいろあって、迷ったら頼れるのが非常にありがたく感じました。また、embotは現在、スクール向けカリキュラムのテストマーケティング中なのだとか。今後は民間スクールなどでembot工作に取り組めるようになっていくのかもしれませんね。
最後に発生した「羽が動かない!」トラブルなどは、一人でいると心が折れがち。でも、教室で先生やクラスメイトと一緒に作ってみれば、きっとクリアできるはず!
毎年、夏にはembotアイデアコンテストも実施されていますので、気になる方はぜひ応募してみてくださいね!
開発者・Master Nu(マスター・ヌー)におひろめ
ウミネコ完成後、コエテコでは特別にembot開発者であるMaster Nu(マスター・ヌー)こと額田さんにコメントをいただきました!
小学館のYouTubeチャンネル「ピカいちCHANNEL」にも出演されたMaster Nu。(クリックすると動画が開きます)

体験記をお見せし、embot工作のアドバイスをじっくり伺いました!
よろしくお願いします!
作りたい動物の特徴を捉えるとgood!
embotの達人であるMaster Nuに直接コメントをいただけるなんて、光栄です!
私の工作、いかがでしたか?
もう「素晴らしい」の一言です!embotで楽しく工作していただき、ありがとうございます!
体験記を読んで、すごくいいなと思ったポイントが2つありました。
まず1つ目は、対象となる動物の特徴をしっかり捉えていることです。今回はウミネコ(鳥)を表現してくれましたが、鳥の特徴ってどこだろう?って考えると、多くの方が「羽」っておっしゃると思うんですよ。
もちろん、クチバシとかを動かしてもいいんですけど、2個しかないサーボモーターをどこに配置するか?って考えたときに、やっぱりメインは羽にしたい。動物の特徴を捉えて、もっとも重要なポイントにサーボモーターを配置しているのが素晴らしいと思いました。
特徴となる箇所にサーボモーターを置く、言われてみると大切なポイントですね!キリンだったら首が動くとか。
そうそう。ゴリラだったら、ドラミング(両腕で胸をたたく動作)をさせるとかね。
作りたいモチーフのうち、どこが中心的なポイントなんだろう?って考えると良い作品になりやすいと思います。

ダメならキッパリ、次いきましょう!
もう1つ良いなと思ったのは、「紙粘土だと重すぎる!」と気づいたときに、エイっ!と思い切って方向転換されたことです。
工作って大変なので、「作り直すのが面倒くさいなあ」「紙粘土のまま、なんとかできないかなあ」と考えてしまいがちですよね。そこをパパッと切り替えられていたのが素晴らしいです。
実を言うと、私も「面倒くさいなあ、このまま完成させられないかなあ」って思っちゃいました(笑)。
しかも、記事中ではカットしたんですけど、プログラムも初めはうまくいかなかったんですよ。「○秒待つ」が必要なことに気づけなくて、「あれ〜?全然手が動かないよ〜」って。
ありますよね(笑)。
何を隠そう、embotの開発中にも「全然うまくいかない!」ってトラブルはたくさんありましたし、アプリ開発なんかでも「何がいけないんだ!?」って袋小路に入り込むのはしょっちゅうです。
でも、失敗を経由したからこそ、重さに気を使うようになりましたよね?
それは間違いないです!紙で作り直すときも、「羽の長さはもっと短くしておこう」と改良できました。
試行錯誤を繰り返すことで、最終的な完成度がグッと上がったはずです。このプロセスこそがembotを通して体験していただきたい「学び」なので、たくさん失敗していただけて良かったなと思います。

「失敗を失敗にしないスキル」も大事です
とはいえ、最後まで片方の羽が動かなかったのは心残りでした……。
うーん、何が原因だったんでしょうね。どうやら、プログラムには問題がなさそうですが。
おそらく、柱代わりに使った化粧品の箱が小さすぎて、サーボモーターにひっかかったのかなと。
もしくは、箱の高さが足りなかったのかなあ。
ふむふむ。やはりハード(工作物)側に原因がありそうなんですね。
今回は締め切りがあったのでやむを得ませんでしたが、もう少し時間があれば、もっとよくなっていたかもしれません。
そうかもしれませんね。
とはいえ、先ほどもお伝えしたとおり、工作って一筋縄では行かないことが多いんです。
できる限り改良したいところですが、どうしてもうまくいかなかった場合、ひとつ方法がありまして。
方法?
「はじめから片方の羽しか動かすつもりはなかったんだ!」って開き直って、プログラムのほうを変えちゃうんです(笑)。
な、なるほど〜〜!
「これは、もとから『片手でバイバイ』してくれるプログラムだから」みたいな。
そうそう。「行ってきます」って言ったら「バイバイ」してくれる作品、にコンセプトを変えちゃう、みたいな。
ものづくりをしていると、どうしても解決できない問題は出てきます。そんなときは固執せず、アイディア自体を変えてしまうのもアリ。
むしろ、そうした柔軟性も身につけられるのが、工作の楽しみなんじゃないでしょうか。

今年もやってくるコンテスト。キミのアイディアを待つ!
そういえば、今年もそろそろ「embotアイデアコンテスト」の時期がやってきますね!
出場を考えているお子さん達に、何かアドバイスはありますか?
おっ!では、アイディアの出し方についてひとこと!
今回、夏野さんはウミネコを見て、「これを作るぞ!」とアイディアを練ってくれました。これも素晴らしい方法なのですが、もうひとつ素敵な方法があって。
それは、「とにかくいじくり回してみる」ことです。embotなら、基本のクマを作ってみて、いっぱいプログラムを作ってみるとかね。遊んでいるうちに、「ここを改造して、何かにできないかな?」とアイディアが浮かぶかもしれません。
いろいろなものを見て、触ってみて、柔軟にアレンジできるのがembotの魅力ですので、今年もぜひ、みなさんの力作を楽しみにしています!
マスター、ありがとうございました!


「embotアイデアコンテスト」は今年の夏も開催予定!コエテコでは追って最新情報をお届けする予定ですので、ぜひ楽しみにお待ちください!
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私も工作した〜い!