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「教育版マインクラフト」第一人者にインタビュー(前編)〜現場の先生と「新しい授業」をつくる〜

人気YouTuberをはじめ、世界中の人が楽しむ「マインクラフト」の世界。「マイクラ」の略称で親しまれるこのゲームですが、実は教育効果の高いツールとして一部の学校教育にも取り入れられています。

2016年には教育版(Minecraft: Education Edition)が登場し、今年の9月には念願のiPad対応に。プログラミングや化学が学べ、創造性とコミュニケーション能力を育てる「マイクラ」とはどのようなゲームなのでしょうか。

今回は「教育版」第一人者である、日本マイクロソフト社 原田 英典(はらた・ひでのり)さんにお話を伺いました。

日本マイクロソフト株式会社 ティーチャーエンゲージメントマネージャー 原田 英典(はらた・ひでのり)氏



現場の先生と授業づくりをする「ティーチャーエンゲージメント」チーム

—本日はありがとうございます。さっそくですが、原田さんはどのようなお仕事をされているんですか?

私は日本マイクロソフト社の文教営業統括本部にてティーチャーエンゲージメントチームのマネージャーを務めています。これは「先生と一緒にテクノロジーを活用した授業を作っていきましょう」というチームで、比較的珍しい部門かと思います。

というのも、一般的に我々のような(コンピュータの)会社が訪問する先は、教育委員会の学校施設の整備を担当するところが主になるのですね。製品を採用していただければ、売上に直結してきますので、ぶっちゃけた話、企業としては当然力が入るところになります。

ところが、こうした部署と現場とでは感覚が離れている場合もあって、せっかく導入していただいたのに現場ではうまく活用されないケースもあります。

そこで我々ティーチャーエンゲージメントチームは、先生達と直接コミュニケーションをとり、新しい授業をご提案するんです。先生達にアプローチすることで、よりよい授業が継続して提供されていくという発想ですね。


—私の知り合いにも学校の先生がいますが、感覚のズレについてはよく聞きます。「マインクラフト」を学校へ導入するとなると、難しい局面があるのでは?

新しい授業を提案するのは、我々にとってもチャレンジング(挑戦的)な試みです。

というのも、若い先生の中にはコンピュータの利便性を理解し、授業にも取り入れたいなと考えている方は大勢いるんです。

ただ、学校の設備が追いついていなかったり、先輩や上司にあたる先生が認めてくれなかったりで、なかなか使うことができないというような環境に悩んでおられる先生もいます。

これは日本に限らない話で、たとえばアメリカでもそうなんですよ。アメリカはアメリカでレガシー(古典的)な教育は強いですし、それぞれの学校が独立して権限を持っているため、学校ごとに授業も違い、先生が働く環境も多様です。

世界でプログラミング教育を推進しようとしても様々な環境がありますから、先生の努力に加えて、外部団体の活動も重要です。たとえば、ビル・ゲイツ(Microsoft社)やマーク・ザッカーバーグ(Facebook社)が「Code.org(コードオルグ、全米の教育にプログラミングを導入することを目指す団体)」にお金を投入して、プログラミングの普及に力を入れている例もあります。

工夫次第で色々なものが作れる「マイクラ」の世界。年齢を問わず楽しめるのが魅力だ



北欧の親は「学校に求めるもの」が違う


—アメリカというと「IT大国」なイメージがありますが、日本と変わらない部分もあるんですね。

ええ。雰囲気が違う例ということであれば、北欧(アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド等)の教育が挙げられます。

北欧は寒かったり曇りの日が多かったり、厳しい教育だけでは学校に来たがらない子どもがいっそう多くなります。

だから、保護者が学校に求めるものも他国とは全然違ってきます。日本では教育というと「規律正しく、しっかりした」というイメージがありますが、北欧では「子どもが楽しく通い、のびのび過ごす」ことを重視する保護者も多いです。

それで学校も、IKEAやマリメッコのような、カラフルで明るいデザインにすることが検討されることも多いです。赤かったり丸かったり、日本にもある屋内遊園地のような雰囲気の学校もありますよ。



何を隠そう、「マインクラフト」は北欧・スウェーデン発のゲームです。「のびのびと楽しいこと」が教育の第一条件だから、ゲームを取り入れることにも抵抗が低い。それで「マインクラフト」のようなゲームも教育に活用されている事例も多くあります。

豊かな自然が再現された「マイクラ」の世界。寒帯にはシロクマが住むなど、動物たちにも出会うことができる



「マイクラ」を通じて、会社の垣根を超えた授業づくりが可能に


—北欧のゲームだったんですね。現在までの歴史を簡単に教えていただけますか。

「マインクラフト」の開発が始まったのは2009年のことで、初期の開発バージョンはNotch(ノッチ)というプログラマがわずか一週間ほどで作ったと言われています。

いいプロダクトってじわじわ広がっていくもので、「マインクラフト」も草の根的に人気を集めていきました。正確な時期は分かりませんが、2013年ごろには日本でも広く知られるようになっていたと思います。

その後はご存知の通り、2014年に弊社(Microsoft)が開発元の企業から引き継ぎ、マインクラフトの提供を継続させていただく形となりました。

—子会社化されたことで、教育利用にはどのような効果がありましたか?

「マインクラフト」の権利を取得させていただいたことにより、先生方と柔軟に協力できるようになりましたね。

たとえばですが、先生方が我々にサポートを求めようにも、他社の製品(Apple社のiPad等)だとちょっと言い出しにくいじゃないですか。「Microsoftの製品じゃないし……」って(笑)。

でも「マインクラフト」の話なら、他社のパソコンで動いていてもMicrosoftがサポートできる。新しい授業づくりがしやすいんです。


まとめ


IT化が進まず、電車内の広告すら「働き方の古さ」を訴える日本ですが、IT大国・アメリカでも意外と課題は変わらないよう。新しいスタイルに馴染みづらいのは世界共通なのかもしれません。

一方で、雪深い気候でも活発になれる「楽しさ」が第一条件となる北欧の教育。北欧の国・スウェーデンで生まれた「マインクラフト」は日本の教育をどのように変えるのでしょうか。

続く中編では、「マインクラフト」がどのようなゲームなのかをおさらいします。実際の活用事例と合わせ、「マイクラ」の魅力を存分に語っていただきます。

公開日:2018.12.25

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