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まち全体でクリエイターを応援する金沢市の魅力(副市長インタビュー後編)

人口約46万の中枢中核都市・金沢では、2020年度から全小学校・全学年でのプログラミング教育を実施します。

授業時間の確保という課題に直面しながらも「ベーシックカリキュラム」を練り上げ、まち全体でプログラミング教育を進めていく金沢市。

今回は細田大造副市長にインタビューし、伝統と進取の共存する街・金沢の取り組みについて語っていただきました。

この後編では広義の「ものづくり」を育む金沢の文化について伺います。

金箔や加賀友禅などで有名な金沢市。現在も、ITを含めた広義の「ものづくり」を大切にしている(写真提供:金沢市)



「伝統」と「進取」の共存


—プログラミング教育について一歩踏み込んだ取り組みを行う金沢市ですが、それを可能にした土壌とはなんでしょうか。

金沢は、ITなども含む広義の「ものづくり」が盛んな土地です。

金沢というと金箔や加賀友禅など「伝統」のイメージがありますが、そうした古いものも大事にしながら、新しい価値を常に取り入れて創造活動をしていこう、という文化があるんですね。

現代アートを展示する「金沢21世紀美術館」などもその文化を体現したものではないかと思います。

金沢21世紀美術館(写真提供:金沢市)
まちの動線上にあり、訪れやすい美術館としてアートファンから好評


—「21世紀美術館」はアートファンの間で大人気ですよね。

ええ。他にも金沢には金沢美術工芸大学があり、宮本茂さん(『スーパーマリオ』シリーズ等)、細田守さん(『サマーウォーズ』等)、東村アキコさん(『東京タラレバ娘』等)、米林宏昌さん(『借りぐらしのアリエッティ』等)などそうそうたる先輩OBがいらっしゃいます。

金沢はアートやITに関する人的ネットワークに恵まれていると言えるでしょう。

まちとしても先日、大人にも子どもにもロボットを身近に感じてもらいたい、というねらいで近江町市場と21世紀美術館でAI魚のMIRO(マイロ)を展示しました。


中にはMIROに熱中しすぎて、プールに落ちた子もいたんですよ(笑)。

クリエイター育成の拠点

日本全国のクリエイターが集結する「イート金沢」

—まち全体としてアートへの感度が高いのですね。ITに関しては、他にどのような取り組みがあるのでしょうか。

金沢市では1997年から「イート金沢(eAT KANAZAWA)」 という祭典を行なっています。IT・映像・デザイン関係のクリエイターが年に一度、金沢に集まり、アイディアをぶつけあうイベントです。

イベントの夜には「夜塾」という合宿も開かれ、発表者と聴講者が交流します。金沢という街は、クリエイターを育む拠点になっているのです。

シビックテックアプリ「5374(ごみなし)App」


同じく金沢は市民の皆さんが自らテクノロジーを活用して地域や社会の問題を解決する「シビックテック」でも有名です。

具体的には、Code for Kanazawa(コード・フォー・カナザワ)の「5374App(ゴミナシアップ)」ですね。ごみの収集日を知らせたり、ごみの分別を検索したりできるアプリで、国内初のシビックテックアプリと言われています。

ごみに関するシビックテックアプリ「5374App」。Android・iOS両方に対応しており、それぞれのアプリマーケットから入手可能


金沢工業大学のAI技術実験


—インタビュー前半で「大学の先生や学生の皆さんが指導補助に入られた」とお伺いしましたが、大学との連携も盛んなのでしょうか。

ええ。たとえば先日は、金沢工業大学の研究チームがAI技術を使った点字ブロックの実験を金沢駅で行いました。


これまでの点字ブロックは”進める方向”は教えてくれるものの、”進んだ先に何があるのか”は教えてくれませんでした。

トイレの入り口まで行けば音声案内が流れますが、”どこにトイレがあるのか”自体は教えてくれない。

金沢駅は、金沢を訪れてくださった方が初めに降り立つ場所です。だからこそ金沢駅でこのような実験を行い、市民の皆さんも協力してくださいました。地域一体となって新しいものを生み出そうとしているのです。

「金沢モデル」の全貌


—行政・地域・大学が一体となってプログラミング教育を進めていかれるとのことですが、”金沢モデル”の全体構想について教えてください。

金沢のプログラミング教育は「触れる」「深める」「極める」の3つのステージで構想しています。

「触れる」では、先ほども紹介した市のプログラミング教室のほか、未就学児を対象とした図書館でのアルゴリズム絵本の読み聞かせ、ものづくり体験会、幼稚園・保育園での出前講座などを行い、すべての子どもがプログラミングに触れる機会を創出します。

「深める」では、先日金沢で開催されたWRO(ワールド・ロボット・オリンピアード。全国・世界規模のロボット大会)をはじめとし、プログラミングに挑戦する子どもがアイディアを発揮できる場をつくります。

WROで参加者全員に配られたというこちらのメダルは、伝統工芸である「水引」と電子回路を組み合わせたようなデザイン


そして「極める」ではトップクリエイターへの道を拓きます。具体的には、大学の研究室や企業のラボへ参加できる場をつくる、などですね。

コワーキングスペースやサテライトオフィス、起業を支援するスタートアップルーム、クリエイティブラボなど、市としてクリエイターを応援する環境整備も進めています。地域の方と一体となり、新たな価値を創造する活動拠点を整備することを考えています。



—まち全体で環境を整備するイメージの“金沢モデル”ですが、構想するにあたり、他の学校なども参考にされたのでしょうか。

はい。有名な小金井市立前原小学校(東京都)へ訪問させていただきました。松田孝校長が就任されて以来、プログラミング教育にかなり力を入れられている学校です。

そこで驚いたのは、先生に教わるのではなく、自分たちで遊びながら学んでいく子ども達の姿でした。先生はメンター的な役割をしていて、具体的なスキルを教えるのではなく「こんなのできたよ!」と見せにくる子ども達を導いているのです。

—プログラミングの授業だと、コミュニケーションが活発になるとはよく聞きます。

授業というと、先生が話し、子ども達はノートを取るというスタイルを思い浮かべてしまいますが、子ども同士で「それどうやって作るの?」と教えあいながら学ぶ方法もあるんだ、というのが非常に新鮮でした。

市のプログラミング教室でも、5年生の子どもが3年生に教え、大学院生が補助を務めていたことがあり、驚かされました。

ITというと「人と接する機会が減るんじゃないか」とおっしゃる方がいますが、本当はまったく逆で、むしろITを通じてコミュニケーションが増していると感じます。

変わらないものも大切に

—最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

どれだけ技術が進んでも、人間の本質的なところは変わらないんじゃないかと思っています。

新しいスキルを学ぶのも大事ですが、情報を取捨選択する力や文化を大切にする気持ち、地域との結びつきもより大事になってくるのではないでしょうか。

金沢では「加賀宝生子ども塾」「金沢素囃子子ども塾」など伝統文化を学ぶ活動も行なっています。古くからのものを大切にしながら新しいものを取り入れていく。それが金沢の魅力なのです。


まとめ

クリエイターの育成やロボット大会の誘致、シビックテックアプリの支援など、まち全体でものづくりを支える金沢市。

コワーキングスペースやクリエイティブラボの整備など、プログラミングを学んで成長した子ども達が力を発揮できる場の整備にも余念がありません。

「金沢の方は、金沢が大好きな人が多いんですよ」とおっしゃる細田副市長。まちを盛り上げるパワーも、そんなふるさとへの愛着から来ているのかもしれませんね。

2020年から全小学校・全学年でプログラミング教育をスタートさせる金沢市のこれからに期待が高まります。


取材後は副市長おすすめの金沢おでん店「黒百合(くろゆり)」で休憩!駅ナカにあり、おでんや魚介を気軽な価格で楽しむことができます。女性一人でも入りやすいお店。金沢グルメを満喫しました!



公開日:2019.03.15

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