決め手は「成功体験」WRO世界大会入賞者を育てた教育方針とは(後編)

決め手は「成功体験」WRO世界大会入賞者を育てた教育方針とは(後編)
自律型ロボットによる国際コンテスト、WRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)レゴ社公認の大会で、世界中から子ども達が集い、ロボット制作の技術や発想を競います。

2018年度の大会はタイ・チェンマイで行われ、小学生チーム「Candy Samurai(キャンディサムライ)」がオープンカテゴリー世界8位に入賞!

「世界の食糧問題を解決する」というテーマに対し、「廃棄される食料をフリーズドライし、飴に加工するロボット」を提案しました。

今回は、そんな彼らが通うIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」を訪れ、メンバーの一人、只石 倖大(ただいし・こうだい)くんのご両親にインタビュー。

前編では、小さい頃からものづくりが好きだったという倖大くんの日常についてお話を伺いました。

後編では、会社経営者であるお父様の教育方針について語っていただきます。

世界を舞台に戦った『Candy Samurai』の三人


倖大くんの作品「UFOキャッチャー」。もちろんしっかり動くロボット



お父様インタビュー

祖父の会社が倒産

—お父さんは会社経営者だと伺っておりますが、どんな教育方針で倖大くんに関わっておられるのでしょうか。

倖大の教育には、自分自身の原体験が大きく影響していると思います。

というのも、自分の家はめちゃくちゃ厳しかったんです。おじいちゃんが両方とも経営者だったのですが、どちらも小学校の頃に倒産してしまって。

「起業なんかしないで、サラリーマンやって、いい大学行って、いい会社入って、転職なんか考えずにずっと頑張れ」

「どんなにつらくても土日は休めるんだから、25日の給料は我慢代だと思って受け取れ」

と言い聞かされ、門限は6時、テレビは7時までと決められていました。夜にやっている番組は見られないので、クラスで会話に入れなくてつらかったですね。

LITALICOワンダーのスタッフに作品の説明をする倖大くん


人生を変えた恩師の一言

厳しく育てられたら、人間、二択だと思うんです。すごく真面目になるか、不良になるか。どっちだと思います?(笑)

—うーん(笑)。この流れでいきますと、失礼ながら……

そうなんです。不良になっちゃって。ずっと遊び呆けて、勉強は一切せずに過ごしました。

そんなある日、問題を起こしたんですね。そのときの先生の一言が、自分を変えてくれました。

「何をやっているんだ、お前は頭がいいのに」って言うんですよ。「頭がいい」なんて親にも言われたことがない。生まれて初めて人に認めてもらったんです。

当時の自分は、遊び呆けていたとはいっても「テレビ禁止」には逆らえず、読書を趣味にしていました。

先生が言うには「お前の発言は、しっかりと本を読んでいる、知識のある人間の言葉だ」と。

「お前が仮にグーのパンチを振り回しても、せいぜい100人しか相手にできない。頭を使えば、世界が相手になるんだぞ」って言うんですよ。どれだけカッコいいんだよ、と衝撃を受けました。

—名言ですね!「今日から勉強しよう」って気持ちになります。

それから家庭教師をつけてもらい、偏差値を38から72まで上げ、日本で唯一、総理大臣を二人輩出した名門である高崎高校(群馬)に合格することができました。それが一つ目の奇跡かな。

自分の人生には三つの奇跡があるのですが、二つ目の奇跡は就職のときですね。

まだ、親の教えを守って「サラリーマンで一生働いていくんだな」と考えていたので、モヤモヤした思いを抱えながらも就活をしていました。

でも、キーエンスという会社に出会って、死ぬほど入りたいなと思って。テキストを何冊もやり、めちゃくちゃ努力して入社することができた。

三つ目は起業したときなのですが、長くなるのでこのあたりでやめておきます(笑)。

ともかく、そうした経験があっての子育てなので、ぜひ倖大にも脳みそがスパークするような体験をして欲しかった。たくさんの成功体験をしてもらいたいと、そういう方針で子育てをしています。


教育の軸は「成功体験」

—ご自身の体験が教育の軸なんですね。只石さんの考える成功体験について、より詳しく教えていただけますか。

成功体験って二つあると思うんです。一つ目は、自分自身が認める成功体験。もう一つが、人との比較によって生まれる成功体験。

そうした成功体験を味わって欲しくて、たとえば水泳だったら、潜水だけを徹底して教えました。学校に通っていればある程度は普通に泳げるようにはなると思うんですけど、あえて潜水に特化して。

今では12mくらい潜水することができて、短い方であればプールの端から端まで泳ぐことができます。クラスの誰よりも遠くまで潜水できるんです。こういうのが、人との比較によって生まれる成功体験かな。

—習い事ひとつとっても成功に重きを置くんですね。一貫した教育方針ですね。

自分の人生を省みると、あれもダメ、これもダメと禁止されて、人生の前半があんまり楽しくなかったんです。

そのおかげで今があるのかもしれないですが、「何かを犠牲にして、何かを得る」というのではなく「すべてを得る」のが人生だと思っているので、一つでも多くの成功体験を積んで欲しいと考えています。

只石さんは世界大会でもコーチ役を務められた(写真右端)


楽しんでいる背中を見せる

—なるほど。成功体験以外に、教育で気をつけていることはありますか?

自分の背中を見せることかな。水泳の場合だったら、自分自身が「水って楽しい、泳ぐのって最高だ!」と楽しんでいる姿を見せていますね。

車もめちゃくちゃ楽しそうに運転するし。「車って最高だよな!」っていうのを見せる。

自分のオフィスに連れてきて「働くってどういうことで、経営ってどういうことなのか」っていう話もします。

読書もそうですね。最近はビジネス書が多いですが、それでもランキングに入るような本は一通り読んでいて、倖大の前でも本を読んでいる姿はなるべく見せるようにしています。

「月曜日」が一番好き

—お仕事が好きって言えるのは素敵なことですよね。楽しくないと、人生の大半がつまらなくなってしまうわけですし。

感動したのは、一緒にテレビか何かを見ているとき、番組の中で大人に対して「何曜日が好きですか?」というアンケートを取っていたんです。

大概の人は「土曜日」って答えると思うんだけど、倖大に「パパは何曜日が好きだと思う?」って聞いたら「月曜日」って答えるんですよ。

「何で?」とたずねたら「パパは仕事が好きなんでしょ」って。その答えを聞いたとき、「背中を見せる」っていう育て方は間違ってなかったんだ、って思うことができました。

妻は「土日の、家族の時間より好きなの?」って微妙な顔をしてたんだけど(笑)。土日は必ず家族でどこかへ出かけているし、ないがしろにしているわけではないですよ。

ただ、「大好きな仕事をするには、今頑張ろう」っていうメッセージがしっかり伝わっていたことが嬉しかったんですよね。

LITALICOワンダーの授業の様子


—他に、声かけなどで気をつけていることはありますか。

タクシーを降りるときや何か取ってもらったとき、どんなときでも「ありがとう」は忘れないようにしています。

人生、人に好かれたもん勝ちだと思っているんです。自分の能力を開花させるにも、必ず人の力、人との繋がりが大切になるので、感謝の気持ちは忘れてはいけない。そうした教育をせずに勉強だけしても仕方がないし、もったいないと思うんですね。

だから、普段はほとんど倖大に対して怒らないですが、礼儀を欠いたときや友達を侮辱するような態度を取ったときは叱ります。


夫婦はお互いにリスペクト

—前半はお母様にインタビューしましたが、お父様の教育に対するリスペクトを感じました。お父様から見ると、お母様は倖大くんに対してどういう関わり方をされていますか。

妻がすごいなと思うのは、人を嫌わないんです。「嫌いな人」というのが、彼女にはいないんじゃないかな。

倖大に対しても深く愛情を注いでいて、息子本位で接しています。そういう姿を人として尊敬しています。

—お母様はカメラマンをされているんですよね。ということは、倖大くんはお母さんの背中も見ている?

そうですね。「仕事をしている姿は見せようぜ」というポリシーは共通しているので。

写真を編集している姿などを倖大はしっかり見ているはずです。

映画は「最強のYouTube」だ

—先ほどお母様は「夜にテレビを見せないように……」とおっしゃっていましたが、お父様としてはYouTubeなどをどう考えていらっしゃいますか。

とくに禁止はしてないけど、本物を見て欲しいとは思っていますね。

「YouTubeの動画を1本作るのに、どれくらいコストが掛かってるか考えろよ」と。同じ映像を見るなら、数百億円かけて作られている「映画」をしっかり見せたいと思って、子どもが見るに値するものはほとんど見せています。

—さすがは本物志向ですね。どんな映画を見るんですか?

パッと思いつくものだと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか。最近だと『アイアンマン』みたいなアメコミ系も一つ残さず見ています。

あとは、倖大は宇宙ものが好きなので『ゼロ・グラビティ』も見せました。『エイリアン』みたいにグロテスクな要素があるものは、まだ早いので見せてないけど。

LITALICOワンダーに通ってみて

—低学年からLITALICOワンダーに通っておられるとのことですが、入塾の決め手はなんだったのでしょうか。

体験授業に来たときに、ロボットの見本を置いて「1時間で作ってもらいます」と言われ、正直「うちの子はそこまでできるんだろうか」と思いました。

でも見事に、指を近づけたらセンサーが反応して、ワニの口が開いて噛みつく、というようなロボットを作り上げてくれて「子どもってここまで出来るんだ」と感動してしまいましたね。

経営者として、人の可能性を勉強させてもらったような気持ちでした。

ロボット製作に取り組むLITALICOワンダーの生徒たち


WRO世界大会の様子。子どもの可能性は計り知れない


(思考力・創造力を養うマインクラフトクリエイトコースはこちら)

—今回、WRO世界大会入賞という素晴らしい結果を残されましたが、おうちでの様子はどうだったのでしょうか。

しょっちゅう泣いていましたよ(笑)。経験者のチームに入れてもらって、うまくいかなくて。



残りの二人はロボティクス的な設計が得意なんですが、倖大はアーティスティックに作るんですよね。左右非対称だったり。

この日も倖大くんは、アームが「ださい」と作り直していた


それがぶつかることもあったんですが、リーダーのお父さんが倖大の個性を見抜いてくれて、得意なところを任せてくれた。それが本当にありがたかったですね。

—最後に、LITALICOワンダーの魅力を教えていただけますか。

一言で言うなら、妻の接し方は「愛情」、自分の接し方は「成功体験」が軸になっています。

LITALICOワンダーさんの教育方針は、子どもへの関わり方に「愛情」があり、ロボットの世界大会もそうですが、たくさんの挑戦の機会と「成功体験」をつくってくれるので、我が家の教育方針にピッタリでした。LITALICOワンダーさんに出会えて、本当に良かったと感じています。

—ありがとうございました。
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