(取材)WRO2022世界大会出場、「ロボ団」の3チームに直前取材!世界に立ち向かう作戦、そして意気込みは
そのハイレベルな指導と、子ども達の自発性を伸ばす環境づくりは各方面から高く評価され、昨年(2021年)には株式会社イードによる「イード・アワード2021プログラミング教育」で顧客満足度 最優秀賞(総合顧客満足度第1位)を受賞。ほか3部門でも1位を獲得するなど、高い支持を受けています。

ロボ団の実績はそれだけではありません。世界的なロボットづくりの大会であるWRO(ワールド・ロボット・オリンピアード)では、レギュラーカテゴリ全5部門に22チームが出場。そのうち小中学生の3チームはドイツ・ドルトムントで行われる世界大会にも出場します。

WRO Japan決勝大会において、民間スクールのチームが小中学生でダブル優勝したこと、WRO国際大会の日本代表に4年連続選出されたのは日本初の快挙だそう。まさに破竹の勢いと言うべきでしょう。
そして、この記事ではなんと、世界大会に出場する3チームへのインタビューが実現!
個性豊かな3チームはいかにして世界への切符をつかんだのか?さらには、世界で爪痕を残すためにどのような作戦を立てているのでしょうか。それぞれのチームに聞いてみました!
エキスパート競技 エレメンタリー部門優勝:直営校ロボ部選抜コース「マイナム」

チーム名である「マイナム」はドイツ語で"考える"という意味です。練習や大会で壁にぶつかっても、考え続けることで乗り越えたい、という想いを込めて決めました。
——コーチに質問させてください。ズバリ、このチームの強みはどこでしょうか?
このチームのすごいところは、なんとメンバーの2人がそれぞれ1台ずつロボットを制作していることです。1台は全国大会にも出場したロボットで、ポイントを押さえながら確実に点数を獲得するもの。そしてもう1台はスピード重視で新規に制作しているものです。
WROは、全国大会と世界大会とではレベルが大きく異なります。2台目を制作し始めたのは、「全国大会のレベルのままではボコボコにやられるぞ」という危機感から。2台とも現地へ持参し、状況に応じてどちらのロボットで戦うのか決断するそうです。
——「マイナム」の2人を指導するにあたり、どのような点に気を配られていますか。
自分達の頭で考えることを徹底してもらうべく、「わからない」と抽象的に相談されても答えないようにしています。「〇〇が分からない」「〇〇は試してみたけど、ダメだった」というふうに、ある程度は自分で考えて、トライしてからでないとアドバイスしないよ、と。
厳しいかもしれませんが、そのくらいの自主性を持たなければ、言葉の通じない国での競技に勝ち抜くことはできません。慣れない環境でも力を発揮できるよう、心を鬼にして見守るようにしています。
——メンバーのお二人に質問です。お二人はそれぞれ、チーム内でどのような役目を担当していますか。世界への意気込みも聞かせてください。
大畑:僕は年長からずっとロボット作りに取り組んできて、3年生からは毎年WROに出場しています。
初出場の3年生では結果を残せなかったけど、4年生では全国大会に出場できて、(5年生である)今年は世界大会にも出場できることになったので、とても嬉しいです。
僕は植田くんよりも1年先輩なので、世界大会に向けた新型ロボットを試作する役目を担当しています。世界大会はスピード重視なので、スピードを可能な限り上げつつ、精度を上げられるよう工夫しているところです。
現地ではサプライズルールも含めてなるべく多く得点し、メダルを勝ち取りたいです。

大畑選手のロボット。大会では「アームの動きに注目」とのこと
植田:僕は2年生のときにロボ団に入って、今年で3年目になります。WROには去年も出場したけど結果が残せなくて、今年、いきなり世界大会に出場することになったので少し緊張しています。
僕は全国大会のロボットをさらにパワーアップさせる担当で、できるだけスピードを上げられるように頑張っています。ブロックがタイヤに噛まない(干渉しない)ようにバーをつけるなど、安定して得点を獲れるような設計にもしました。

ロボットづくりの楽しいところは、自分が考えたことが実現できることです。うまくいったりいかなかったりするけど、それも楽しい。世界大会では、頼りになる大畑くんと一緒に良い結果を残したいです。
エキスパート競技 ジュニア部門優勝:長久手校「舞桜」

- 堀田 壮真さん(中3)
- 安松 星那さん(中2)
- 楠本 大翔さん(中3)
「舞桜」というチーム名は、好きなYouTuberの名前から取りました。とはいえ、世界に向けて日本らしさも表現できる名前なので気に入っています。
——三人はそれぞれ、チーム内でどのような役目を担当していますか。世界への意気込みも聞かせてください。
安松:僕は昔からロボットが好きで、日ごろから身近なものの構造に興味・関心を持ってきました。たとえば扇風機なら、「なぜ羽が回るんだろう」と調べてみたり、分解してみたり。
そうしているうちに、だんだんと「ものの構造」が分かってくるようになったので、WROにもロボット担当として参加しています。2人からもらった「こういうロボットが欲しい」というリクエストを形にするのが僕の役目です。
WROのロボットで苦労したのは、重心の位置ですね。速く進むためには低重心でなければいけませんが、フィールドに「段差を乗り越える」ミッションがあるため、重心を下げすぎるわけにもいかないんです。そこのバランスに苦労したのと、まっすぐに走らせるために左右対称にも気を配りました。
会場では場の空気に飲まれないよう、落ち着いて臨みたいと思います。
楠本:僕と堀田くんはプログラム担当です。分担はそこまではっきり決めていませんが、僕が構想を練って、堀田くんが形にすることが多いです。
僕はお父さんと独学でロボットを作ってきて、小学3年生から毎年WROに出場してきました。2020年には全国大会で準優勝を勝ち取りましたが、世界大会がコロナで中止になったので、今年は「念願の世界大会」という気持ちです。
世界大会は、満点が当たり前な世界です。その上で、いかにタイムを縮めるか。そして、サプライズルールに対応できるかが問われます。
そのためにはロボットが停止している時間をなるべく縮め、最短ルートをなめらかに動くようにしなければいけません。堀田くんと協力しながらさらにプログラムの精度を上げ、メダルを持って帰りたいです。
堀田:僕は2回目の世界大会出場です。一応、チームリーダーは僕ということになっているけれど、とくにそれを意識したことはないです(笑)。
僕たちは3人ともそれなりの経験者なので、ときには意見がぶつかることもありますが、ケンカになるのではなく「そこは違うんじゃないかな」と冷静に話し合えるのがチームの良いところだと感じています。
世界大会にはすごい実力者が集まってきて、言葉も通じないので、もしかすると空気に圧倒されてしまうかもしれません。そんな緊張感に流されないように、3人でしっかりと結果を残して帰りたいです。
——コーチにも質問です。「舞桜」の3人を指導するにあたっては、どのようなことに気を配られていましたか。
堀田くんも言ってくれたとおり、このチームは3人ともベテランなので、コーチからあれこれ指示することはほぼありません。あくまでも彼らの構想や思いを尊重し、見守るスタンスですね。
彼らは本当に仲が良く、ロボット制作の進捗などもLINEグループで共有し合っているようです。密に情報を共有しているので、進みも早い。そんなチームワークが「舞桜」の強みだと感じています。
これから頑張るポイントがあるとすれば、英語でのコミュニケーションですね(笑)。今日もロボ団に在籍するネイティブ講師と英語でコミュニケーションをとる練習をしたのですが、伝えたいことがなかなか伝わらず、もどかしい思いをしたようです。
世界で結果を残すには、ロボットの設計やプログラミングの工夫はもちろん、慣れない場所でも臆せずに自己表現する力も欠かせません。本番まであとわずかとなりましたが、なんとかコミュニケーションの壁を乗り越えて爪痕を残してもらいたいです。
エキスパート競技 ジュニア部門3位入賞:直営校ロボ部選抜コース「Au」


——「Au」というチーム名の由来は?
定金:チーム名の「Au」は「金」の元素記号で、僕たちの「金メダルを獲りたい」という気持ちから名付けました。
元素記号にしたのは、僕たちが3人とも理科好きだったからです。最初は「塩化ナトリウム(NaCl)にしよう」なんて話したりもしたのですが、やはり素直に「金メダル」を表す「Au」にしようよ、という方向で意見がまとまりました。
——三人とも実力者ですが、チーム内の分担は?
定金:チーム内での役割分担は、僕(定金くん)がロボットの設計、笹埜くんがプログラミング、成田くんが現地でのロボットの組み立てを担当しています。それぞれの分担は、なんだろう、自然な流れで決まりました。
WROでは、ロボットは崩した状態で運搬して、現地で組み立てなければならないので、成田くんがその役目を担ってくれることになりました。
——世界大会に向けて、どのような作戦を立てていますか。
定金:WROの世界大会ともなると「満点を取るのが当たり前」の世界になるので、これといって作戦は立てていません。とにかくスピードと精度を上げて、すべての得点を取ろう、という感じです。
ただ、それにあたって課題になったのが、スタートしてすぐの場所に設置されるレゴブロックの段差でした。得点するにはこの段差を越えていかなければならないのですが、すごく難しくて。タイヤの大きさを変えるなど、ロボットの設計を工夫してなんとかクリアできるようにしました。
あとは、カラーセンサーの個体差にも苦労させられました。プログラムは合っているはずなのに、なぜか色を読み取れないことがあって。色の読み取りは点数にダイレクトに響くので、ここはプログラムを工夫して乗り切れるようにしました。

——本番まであとわずかとなりましたが、残りの時間でどのようなことに取り組みたいですか。
定金:プログラムの精度向上はもちろん、「サプライズルール」の予想・対策もまだなので、そこを詰めていきたいです。
WROでは当日になって発表される追加ルール(得点ポイント)があり、これを「サプライズルール」と呼びます。満点が当たり前のWROでは、これを取ることが他チームとの差別化につながるので、なんとか対策をとり、結果を残したいです。
——コーチにも質問です。ズバリ、「Au」の強みはどこでしょうか。
このチームはとにかく仲良しで、能力的にもバランスが取れているのが素晴らしいところです。それぞれの強みがじょうずに分散しているので、「サプライズルール」をはじめとした未知の状況にも柔軟に対応していけるポテンシャルがあります。
——コーチから見た3人の印象は。
まず、定金くんはコミュニケーション能力が高いですね。ともすればお調子者な一面もありますが(笑)、やるべきときにはきちんとモードを切り替えて取り組んでいますし、ロボットの設計にも真剣そのもので、頼もしい限りです。
笹埜くんはプログラムの作り込みが緻密で、「たった1週間でここまで仕上げてきたの!?」と驚くほどです。ほんの短期間でロボットの速度がグンと上がっていることも珍しくなく、コーチとして目を見張ります。
そして、成田くんはそんな二人をまとめたり、バランスを取ったりするようなポジションです。ときには一緒にふざけることもあるけれど、どこか冷静に状況を観察して、「今、自分達は何をすべきか?」をそっと示してくれるような存在です。
——3人を指導するにあたっては、どのようなことに気を配られていましたか。
口を出しすぎないことですね。勝つにしても負けるにしても、自分たちで作りきったロボットでなければ学びは得られません。僕はコーチとして同行はしますが、主役はあくまでも「Au」の3人なので、どうしても困っているとき以外は見守り役に徹しています。
この1年間、彼らはさまざまなトラブルを乗り越えながら世界大会へのチケットを勝ち取ってくれました。あとは実力を出し切るだけ。チーム名にも冠した「金メダル」をぜひ、ともに持って帰りましょう!
ロボ団代表・重見 彰則氏による激励コメント
ロボ団では毎年WROに挑戦していますが、今回出場するチームには世界大会経験者をはじめロボコンでの実績があるメンバーが多く含まれています。選手たちにはその経験を活かし、当日出されるサプライズミッション含めてパーフェクトな結果を残してほしいところです。そしてWROでは、競技だけでなく、フレンドシップナイトなど文化の異なる同世代の選手たちと交流する機会も多く設けられています。競技に打ち込むのはもちろん、そうした交流の機会も最大限に活用しながら視野を広げて帰ってきてくれることを願います。
【なんと!】コエテコ取材班もドイツへ。3チームの活躍をお楽しみに

それぞれの強みを活かし、世界へ羽ばたくこととなった3チーム。どのチームも個性豊かで、現地での活躍が今から楽しみです。
そして、ここでサプライズ!なんと、コエテコ取材班もドイツ・ドルトムントで行われるWRO世界大会に同行することとなりました!
実力派ぞろいの3チームが「まったくレベルが違う」と口を揃える世界大会のフィールドは、どのような場所なのでしょうか……。
気になる現地の様子を、コエテコがバッチリお届けします!
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