キミのアイデアで世界を動かそう! 『デジットハッカソン2019~こどもハッカソン』レポート!
『デジットハッカソン』は今回が2回目の開催となる、日本最大級のモノづくりイベントです。大阪日本橋で電子部品販売を行う『デジット』を運営する「共立電子産業」がメインスポンサーを務めるハッカソンです。
3週間で1つのモノをじっくり作る! 日本最大級のハッカソン
ハッカソンとは英語の「hack」と「marathon(マラソン)」から作られた言葉で、ソフトウェアの開発に関わるエンジニアやプログラマー、デザイナーなどが集まって短期間で作業、開発を行うものです。Facebookの「いいね!」ボタンも、ハッカソンから生まれたものです。最近では、アイデアや人材の発掘、他分野の人との交流、また教育を目的としたイベントとして、企業やさまざまな団体によって、世界各地でいろいろな形のハッカソンが催されています。
今年で2回目を迎える『デジットハッカソン』のテーマは「電子工作・デジタル工作で未来をつくる!」。なんと約40社もの企業、団体がスポンサーとしてイベントを盛り上げます。

40以上の企業がスポンサーを務める日本最大級のハッカソン
今年『デジットハッカソン』に出場したのは約80人。エンジニアやプログラマーなどプロの方に交じって、大学生や高校生も参加しています。関西だけでなく、遠方から参加する方もいます。

学生からベテランまで約80名が参加
デジットハッカソンの特徴のひとつが、3週間にわたってモノづくりが行われるというところです。
通常のハッカソンは数日程度で開催されることがほとんどですが、じっくり時間をかけて納得のいくものを作ってもらおうということから、3週間もの長期にわたって開催されています。共立電子産業株式会社の岩田健部長にお話をうかがいました。
昨今、ITの分野がたいへん重視されているのに対して、モノづくりの技術者の地位は十分に評価されているとは言えません。通常のハッカソンは1日から2日の短期間で行われることが多いため、プロトタイプのモノづくりしか行われません。そのため残念ながら、継続的な技術習得やじっくりとモノづくりを行うまでには至りません。
『デジットハッカソン』では、通常のハッカソンのようにプレゼンテーションやデモンストレーションで優劣や順位をつけることはしていません。最終日には一般の方に向けて作品の展示会を行い、協賛してくれる企業それぞれが気に入った成果物をそれぞれで表彰してもらいます。

共立電子産業 岩田健部長
ハッカソン初日にはまず、スポンサー企業各社がプレゼンテーションを行いました。
各企業からは、開発に関わる部品やソフトウェアの貸し出し、実際に作業する環境などがイベント開催中に無償で提供されます。スポンサーからの手厚いサポートのおかげで、参加者は自分たちのアイデアの実現にむけて、思う存分モノづくりに取り組むことができます。
また企業側としても、実際に製品を使ってもらうことで商品の良さを実感してもらい、その後につなげることができるというわけです。
企業プレゼンの後は「アイデアソン」が行われました。今話題になっていることやキーワードなどを洗い出し、意見を交わします。
参加者のほとんどは初めて会ったという人たちばかりですが、さすがモノづくりを愛する方たちだけあって、スムーズにコミュニケーションを取りながらアイデア交換していました。

自分の考えをうまく伝えることもモノづくりの過程では大切なこと

思い浮かぶままにキーワードを書き出す。

コミュニケーションしながらアイデアを固めていく
この日の会場である「タビオ株式会社」は大阪難波のでんでんタウンにも近く、参加者は電子工作部品専門店『デジット』店内を一緒に回りながら、アイデアを練っていました。
この後チームビルディングが行われ、3週間後の発表会に向けてそれぞれのチームで作品づくりに取り組みます。
大人だけじゃない!子どもだってハッカソン!
『デジットハッカソン』のイベント期間中には、さまざまなイベントやワークショップが催されました。はんだでおなじみ『HAKKO(白光)』主催のはんだづけ教室や、『LINE things』『Quadcept』、『AutoDesk』各社によるワークショップが行われ、これからのモノづくりには欠かせない最新の技術を学ぶ機会が設けられました。
『こどもハッカソン』もそのひとつです。子ども向けロボットプログラミング教材を手がける『ダイセン電子工業』が中心になって、小学生参加のイベントが開催されました。
こどもハッカソンでは、初めて会う子ども同士でチームを作り、ピンポン玉を運びながらライントレースするロボットを作ります。
たくさんのピンポン玉を確実にゴールに運んだチームが優勝です。
参加したあるお子さんのお父さまは、「子どもはプログラミングに興味があるのですが学校ではなかなか触れる機会がありません。このようなイベントで実際に教えてもらえると助かります」と話してくれました。

バランスを考えながら機体をスリムにしていく。
基本となるロボット「α-エクスプローラ―」の使い方を習った後は、荷台の制作にとりかかります。
たくさん運べるだけではなく、曲がりくねったラインでも落とすことなく、でも、なるべく早く運ばなくてはいけません。自動でピンポン玉を箱に入れる仕組みも考えなければならず、みんな制作に一生懸命でした。

みごと、たくさんのピンポン玉を運ぶことに成功!
ダイセン電子工業の田中社長によれば、この日の課題はRoboRAVEで採用されているものをアレンジしたものだそうです。
イベント終了後、継続的にロボットプログラミングをやってみたいというお子さんたちは、田中社長さんから詳しくお話をうかがっていました。
『こどもハッカソン』を通して、みんなモノづくりの楽しさに目覚めたみたいです。これからもプログラミングを通して、ぜひ自分のアイデアを実現してほしいですね。

こどもハッカソンのみんな、おつかれさまでした!
ハッカソンだからできる! 奇抜なアイデアで世界を驚かそう!
『デジットハッカソン』の最終日には、大阪梅田にある「うめきたSHIPホール」にて、作品の発表会が行われました。参加者みなさん、学校やお仕事がある中でのモノづくりということで、作業時間の確保には苦労したようです。
前日まで作業に追われて、あまり寝ていないという参加者もおられました。でも、それぞれのチームがアイデアと技術を出しきっただけに、どれも唸らされるものばかりです。
まずご紹介するのは、チーム「ねこまち」によるネコ見守りシステムです。冬になると車のボンネットにネコが入り込んでいて、危ないことがありますよね。
ボンネットの中に取り付けたレーダーセンサーがネコを感知すると、音を立ててネコを追い出します。チーム「ねこまち」はIoTをいかして、ネコと車が一緒に住めるやさしい街づくりを目指して開発をしたそうです。
さらに、LINE thingsをネコの首に取り付けて、地域でネコを見守るシステムも考案したそうで、チームは「LINE賞」を獲得しました。

太鼓の音でボンネットに入りこんだネコは逃げていく
チーム「未来ゴミ箱」は、日本の町中にゴミ箱が少ないということから発想を得て、移動式ゴミ箱システムを開発しました。
必要な時にアプリから少額でゴミ箱を呼び出すことができ、代金は移動ゴミ箱システムの維持費になるというもの。維持管理のことまで考えられた「未来ゴミ箱」は「さくらインターネット賞」を受賞しました。

「未来ゴミ箱」
チーム「アルト」の『Shimeji』という作品はその名の通りキノコ型のオブジェです。
ひとりで車を運転していて、ふと、退屈だな、と思うことありませんか?でも運転中だけに、話しかけられたり、うるさい音が出たりする装置では気が散ってしまいます。
この「Shimeji」なら大丈夫。その場の空気を読んで、キノコのカサからそっと出る水蒸気の煙が、運転中の気分を和らげてくれます。無機質なロボットが有機体のようにふるまう、まさに次世代のマシンです。

「Shimeji」を開発したチーム「アルト」
次にご紹介するのは、植物をペットにしてしまおうというアイデア。チーム「Uni Tech Lab」が作った『Flower Pet』は、人と植物が楽しく会話したりゲームしたりできるシステムです。
外出先からでも、陽当たりや水の状態など、家にある鉢植えの植物の情報を得ることができ、もし水が必要なら、外からでも水やりできるようなシステムを考えました。
また、カメラで鉢植えのある場所の環境を知ることもでき、たとえば日陰にいたら日当たりの良いところまで鉢植えをリモート操作で移動させることもできます。
「水が欲しいなあ」など、植物がお話しするようなシステムにしたことで、まさにペットを飼っている気分になります。この未来的発想で、チーム「Uni Tech Lab」は『将来に期待賞』『未来賞』などを受賞しました。

植物をペットにするという発想が斬新
その他、アイデアは出したものの技術力が追いつかず、残念ながら実現しなかったものもありましたが、皆さんチームワークで3週間の苦労を乗り切っただけあって、最後はいい顔で締めくくっていました。
作品に興味を示す企業が出てくれば、実際に商品化する可能性もあるということで、この『デジットハッカソン』から生まれたものが、いずれお店に並ぶかもしれません。
『デジットハッカソン』は来年も開催される予定とのことで、ご興味のある方はぜひ、こちらをチェックしてください。
取材協力 デジットハッカソン運営委員会、日本デジタル工作推進機構
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