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教育イノベーターの祭典「Edvation x Summit」とは?デジハリ大学院・佐藤昌宏教授に聞く

教育の現場にテクノロジーを導入し、学習の効率化や教員の負担軽減をはかるEdTechエドテック)」。Society 5.0の時代に向け、新たな学びを形作るカギとして注目を浴びています。

今回インタビューするのはデジタルハリウッド大学大学院教授 佐藤昌宏(さとう・まさひろ)先生。実務家教員として「エフェクティブ・ラーニング・ラボ」の指導を担当するほか、教育イノベーターのためのお祭り「Edvation x Summit(エドベーションサミット)」を主宰されています。

日本の教育にEdTechがもたらすものとは?詳しくお伺いしました。



(Edvation x Summit公式ページはこちら)

目的とテクノロジーがあればどこまでも行ける

—さっそくですが、佐藤先生はデジタルハリウッド大学大学院でどのようなお仕事をされているのでしょうか。

私は実務家教員として「エフェクティブ・ラーニング・ラボ」の指導教員を務めています。

実務家教員とは、主にビジネスの現場での実務的な経験を生かして指導を行う教員のことです。いわば理論と実務を架橋する立場ですね。

私はかつてeラーニングの会社を立ち上げた経験があります。残念ながら経営はうまく行かなかったのですが、その大きな失敗と小さな成功体験を指導に活かしています。

(佐藤先生が指導する「エフェクティブ・ラーニング・ラボ」公式ページ)

—「実務家教員」という肩書きは、一般にあまり耳慣れないものかと思います。実務家教員の良さとは何でしょうか。

私の分野に関して言えば、デジタルテクノロジーが関係する学びの最先端は現場にしかありません。「ツイッター」がこれほど流行することを、アカデミックな世界が20年前に予測できたでしょうか?おそらく無理だと思います。

今の技術は猛烈なスピードで進歩するので、現場にいなければ何が起こっているのか体感的につかみづらいんです。

アカデミックなやり方がダメと言っているのではありません。アカデミックの良さは現象を理論化し、体系化することで、誰でも再現できる形に持っていける点です。

目の前の事象が特殊な事例ではないか、公(おおやけ)の知として認められるか検証したり、100年かけて基礎技術を見直したりするのがアカデミックの役割で、とても大切なことです。

ただ、手法を試行錯誤したり、結果を公開したりするスピードではやはり現場の方が勝ると思います。

—佐藤先生がEdTechに力を入れるようになったきっかけを教えてください。

私はかつて、大企業で働いていました。……自分には合わず、心身を壊しかけ、色々なことを考えました。

「安定って何だろう?」と考えました。大企業といえば「安定」の象徴でしょう。なのにどうしてこんなに追い詰められているのだろうと。

上司や会社ではなく、マーケットだけを志向して二本足で立てたらどれだけ「安定」するだろう……。それこそが本当の「安定」なんじゃないか。私が学びの目的を「サバイブ(生き残る)」と定義したのはこのときですね。

会社を辞めてからの期間はとにかく勉強しました。今の時代、わざわざ学校に通わなくても利用できるコンテンツがたくさんあります。デジタルテクノロジーの進化が学びを変えたんです。

「学ぶ目的」と「テクノロジー」があれば何でもできる。この考え方が、私の軸になっています。

履修主義を到達主義に変えていく

—教育にテクノロジーを入れる意味・価値は何でしょうか。

デジタルテクノロジーには「あいまい」がありません。データにすると可視化できるし、分析できるし、再現性が担保できる。

これまでの教育はベテランの先生による感覚や職人技で対応してきたところが大きいでしょう。テクノロジーを入れれば、人に頼らずとも教育の質を上げられるんです。

教育は何のためにある?と考えてみてください。それは、学習者の成長ですよね。先生たちの仕事を生み出すために教育があるわけじゃないんです。

—佐藤先生はいろいろな場所で「スタディ・ログ」の活用を強調されていますね。なぜ「スタディ・ログ」の活用が重要なのでしょうか。

学習のログを活用すればできることはいっぱいあります。フルマラソンを走るとき、「あと何キロ」の表示がなければつらくて途中でやめてしまうでしょう?

今の教育はまさにこの状態です。自分のどこが弱いのか、どう成長したかが見えてこない。学習テストは受けるけれども、足跡として見る機会があまりないんです。

もともと持っている能力や学ぶスピードは人によって違います。これまでの学校は「履修主義」でした。歳をとれば学年は進んでいくけれども、それが学習内容と必ずしもリンクしていなかった。

これからの学びでは「履修主義」「到達主義」に変えなければいけません。学びを可視化し、個別最適化する。そして、結果を客観的に振り返る。これが重要なんです。

内閣官房の「教育再生実行会議 第十一次提言」にも「スタディ・ログ等を活用した個別最適化された学び」は盛り込まれているんですよ。

—「スタディ・ログ」の具体的な活用イメージを教えてください。

学習ログがあれば、学校外ともシームレスにつながります。

たとえば、塾に通う場合。学習ログを塾の先生に共有できれば、いちいち授業の冒頭で「どこを勉強してきた?」とアセスメントする時間を省略できます。省略した時間は指導に回してもらえばいい。それぞれの生徒が最適な学習環境を手にできるんです。

EdTechは万能薬ではない

EdTechには期待が高まる一方、「導入しただけ」のケースもあると聞きます。先生はEdTechをどう活用すべきだと考えますか。

私はいつも言っているのですが、イノベーションにはビフォーアフターが必要なんです。テクノロジーを入れたことにより、現場がどう変わったか。それがなければ、使えないテクノロジーを入れただけなんですよ。

EdTechは万能薬ではありません。EdTechが効果的なところ、人間によるアプローチが効果的なところ、それぞれあるでしょう。分類せずに使おうとするから「テクノロジーが効かない」ということになる。

大切なのは処方箋です。それぞれの子に合わせた学びの処方箋を作り、最も効果的な方法でテクノロジーと人間の力を組み合わせる。これが、一斉授業ではできなかった学びのイノベーションです。

テクノロジーで縮まる格差、広がる格差

—プログラミング教育に関しては、地方格差や経済格差が大きいのでは?と言われます。EdTechに関してはどうでしょうか。

むしろ、経済格差、地方格差ともに縮まると思いますね。

パソコン1台とインターネットがあれば最高水準の教育が受けられるのだから、経済的な負担は軽くなります。

地方格差もそうで、オンライン家庭教師のサービスを利用する子の多くが「むしろインターネットの方が良い」と答えます。

通学の必要がなく、身なりに気を使わなくてもいい。先生がパッとURLを送ってくれるなど学習面でのメリットも大きい。今や都会に住んでいる子であっても積極的にオンラインを選択するほどです。

ただ、かえって広がる格差があると思っています。それは生産性格差と、モチベーション格差

まずは、生産性格差ですね。これからの時代、テクノロジーを使いこなせるかどうかで生産性は大きく開いてくるでしょう。

それから、モチベーション格差。何かをしたい子に対してテクノロジーはとても優しい。一方、何もやりたいことがない子にテクノロジーは何も与えてくれません。

いずれの格差についても、子どもに気づきを与え、お尻や背中を押してあげる大人の存在が必要でしょう。EdTechが万能薬でないゆえんです。

プログラミング教育に重要な「真・善・美」

—来年度からはプログラミング教育が必修化しますが、何か感じられていることはありますか。

今は様々な技術がコモディティ化(一般化)しています。新しい技術を開発せずとも、既存の技術を組み合わせてイノベーションを起こせます。

だからこそ、STEAM教育の「A」が大事。iPhoneがなぜ売れたか?カッコいいからでしょう。純粋に機能だけ見れば日本のケータイのほうが優っていたけれども、スティーブ・ジョブスの哲学とか、デザインセンスは真似ができなかった。だから世界を席巻したんです。

Society 5.0とも言われるように、これからの社会はテクノロジーベースになっていきますから、STEM的な知はもちろん必要です。でも、最後のエッセンスとして必要なのは「真・善・美」を見極める力です。

私はハッカソンの審査員を務めることがありますが、ときおり「技術のお披露目会」のように感じてしまう発表もある。誰が喜ぶのか?どんな価値を提供したいのか?を考えて欲しいですね。

プログラミングスキルもそう。「将来のため」と考えると、勉強が筋トレみたいになっちゃう。そんなの全然楽しくないですよ。

自ら課題を設定し、解決するためにスキルはある。はじめから「社会課題を解決しよう」と思わなくても、まずは自分のため、次に目の前の誰かのため、そして社会のためにスキルを活かして欲しいんです。

Edvation x Summitで教育にうねりを起こしたい

—ではいよいよ、Edvation x Summitについてお伺いできますか。

Edvation x Summitをひとことで言うと、教育イノベーターのためのお祭りです。

ねらいは、学びの選択肢が(実質)一つしかない日本の教育業界に新たな選択肢を示すこと。それから、イノベーターをネットワーキングして勇気付けるとともに潜在的なイノベーターを育てることです。

(教育イノベーターのための祭典、Edvation x Summitへはこちら)

私は2009年から大学教員を務めていますが、当時はEdTechの話をしても誰も相手にしてくれませんでした。そりゃそうだよね、eラーニングすら流行していませんでしたから。

そんなとき、アメリカに「サウス・バイ・サウスウエスト」というカンファレンスがあると聞いて、英語もあまり出来ないままテキサス州・オースティンに単身飛び込んで行ったんです。

(「サウス・バイ・サウスウエスト」について詳しく解説した記事はこちら)

そうしたら「俺もEdTechをやりたいんだ」みたいなやつがわんさかいた。活発なディスカッションや懇親会もたくさん開かれ、ホームのような感じがしたんです。言葉は違っても、同じ目的に向かっている人が1万人近くいる。これはすごいぞと。

そこから日本からベンチャー企業を自腹で連れて行って、ブースも借りて日本の教育を発信したり、持ち帰ったり。今年で7年くらいやっています。そうしていつしか、日本でも「サウス・バイ」のようなことをやりたくなったんです。

だって、「サウス・バイ」の面白さ、高揚感、迫力を口頭で説明しようと思っても伝えきれないでしょう。だったら、と思って始めたのがEdvation x Summitなんです。

一般的な「起業家」でなくとも、先生や研究者の中にもイノベーターはいる。でも、こうした人が何かをしようとすると怒られたり否定されたりして落ち込んだりしがちです。

Edvation x Summitを通し、「自分のやっていることは間違っていないんだ」「もっと勇気を出して変えよう」と思ってもらいたいですね。

—ありがとうございました。

公開日:2019.09.05

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