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(インタビュー)文部科学大臣 萩生田光一|GIGAスクール構想、新学習指導要領にかける思いは

小中学校の児童/生徒1人につき1台の学習用端末(パソコンやタブレット)を配備する「GIGAスクール構想」がこの4月、ほぼ全ての小中学校で始まりました。当初5ヵ年計画として構想されていたところを、今般の事情を鑑みて前倒しされた形です。

新学習指導要領の「全面実施」初年度* である中、新型コロナウイルスが流行するなど、慌ただしいままに過ぎ去った2020年度。ICTツールは学校現場にどのような変化をもたらすのでしょうか?
* 小学校の場合

文科省が新たな学びにかける思いについて、萩生田光一 文部科学大臣にお話を伺いました。

(インタビュアー:GMOメディア株式会社 代表取締役社長 森 輝幸)


実は20年以上前から推進してきた「学校のICT化」

—文科省として、「GIGAスクール構想」にかける思いは。

これからの時代においては、変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備えた持続可能な社会を創っていくことが重要です。

未来に生きる子ども達には、予測不可能な社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質や能力を身につけていただきたいと思います。

そのためには、すべての子ども達の可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びを実現することが重要です。ICT教育は、そのためのツールとして有効なものになるのではと。「GIGAスクール構想」を通して学校ICT環境を整備することで、子ども達によりよい学びを提供できるのではないかと考えております。

—そもそも、「GIGAスクール」が構想された背景は。

流れを振り返りますと、実は20年以上前から、GIGAスクールの原型となる構想は地方財政措置として進んでいました。「1人1台」とまでは言わないものの、できれば「3人に1台」の学習用端末を各自治体で確保してくださいね、という形です。

ところが、各地方にはそれぞれ課題があり、政策の優先順位が異なりますから、なかなか「3人に1台」が実現しない自治体もあった。その結果、数値をみると全国平均で「5.4人に1台」、それも(自宅に持ち帰れない)古い型のデスクトップ型パソコンを含めて、という状況に留まってしまいました。

これは大きな問題だということで、地方財政措置ではなく、全国的に進めていこうと考えたのが「GIGAスクール構想」でした。


—「GIGAスクール構想」は当初5ヵ年計画とされていましたが、今年の3月(2020年度中)までに前倒しされました。やはりコロナ禍の影響でしょうか。

はい。今般のコロナ禍において、子ども達の学びを保障する観点から極めて重要だという判断で、前倒しをしました。

ただし、その以前から、日本の学校ICT環境が遅れている危機感は強く認識していました。

というのも、コロナ禍の教育について開催されたユネスコの教育大臣会合で他国のICT教育についてたずねましたところ、日本以外の10カ国は相当な密度でオンライン授業を実施しているそうなんですね。

一方で日本の状況をみると、2020年4月時点でのオンラインを活用した指導の実施はおよそ5%に留まっており、かなり遅れていることが明らかになった。これは何とかしなくては、と機会あるごとに関係各所に申し上げてきたことが、このたびの前倒しにつながったと言えるでしょう。

デジタル化の推進は、質の高い教育を実現する上で必要不可欠です。今年度は「GIGAスクール元年」として、新しい時代にふさわしい、”令和の日本”型学校教育の実現を目指していきたいと思っております。

ニーズに幅がある高校ICT、一律の基準は困難

—小中学校に続き、高校のICT化はどう進められていくのでしょうか。

高等学校は義務教育ではないものの、進学率は約99%に達しています。そうなると、小中学校とのシームレスな繋がりが重要になってきますから、なんとか高校のICT化も進めていきたいと考えております。

ただし、高校には小中学校とは違った課題があります。それは、学校によって求める「学習用端末」の中身が大きく異なることです。

たとえば工業高校などでは、自宅に持ち帰れるノートパソコンよりも、専門的なツールが快適に動くデスクトップ型パソコンのほうが必要とされるかもしれない。一方で、BYOD(個人が所有している端末を持ってきて使うスタイル)のほうがやりやすい学校もあるかもしれない。

このように、小中学校と比べて、各学校で大きくニーズが異なる可能性が考えられますから、国が1人に1台、同じ基準で端末を整備する、という方向では難しいと考えております。

ただし、これとは別に、経済的に困難で自分のパソコンやタブレットを持てない、あるいは、自宅にWi-Fi環境がない、という子どもに対しては、できる限り配慮することが極めて重要です。パソコンを配布したり、自宅にルーターを貸し出したりするなど、すでに実施している支援もありますが、これからも実態を踏まえて、オーダーメイドで支援していきたいと考えております。

ICTは教員/子どもの双方に好影響を期待

—学校教育においては、教員の過重労働が問題視されています。学校のICT化は、現場の先生にどのような影響をもたらすでしょうか。

私のところには、先生方からたくさんのメールが届きます。「GIGAスクール」への反応はそれぞれで、「新学期がワクワクします」というものもあれば、「勝手が分からず苦労している、この大変さをわかってくれ」というものもあります。どちらも大切なご意見として受け止めています。

学校のICT化は、先生方の負担を減らし、子ども達に個別最適な学びを提供する上で必要不可欠です。たとえば小テストひとつにとっても、これまでは放課後に丸つけをなさっていたものが、ICTツールを使えば一瞬で完了できる。しかも、そのデータを用いることで、子ども1人1人の習熟度に応じた課題を出せるわけですから。

この恩恵を最大限に受けるには、教員養成の内容も見直す必要が出てくるかもしれません。これまでの大学の教職課程では、ICT活用に関する科目はそこまで重要視されてきませんでした。もちろん、プライベートではICT機器を使いこなされていると思いますけれども、単にICT機器を使うのと、ICT機器で児童/生徒に授業をするのとでは、求められるスキルが異なってくるでしょう。

そのような意味では、ICT教育が当たり前になる時代に沿った先生方を育成していくのも大切ではないかと考えています。

—「オンライン授業が浸透すれば、リアルな学校は不要になる」などの意見もありますが。

私個人としては、ICT教育の可能性はむろん感じているものの、対面コミュニケーションの大切さも評価していただきたいと考えております。

学校というのは、単に知識を得るだけの場所ではありません。友達と過ごすかけがえのない時間もまた大切ですから、「学校がいらない」というのは、いささか極論ではないかと思います。

ICTツールを使えば、集団の中で学ぶ良さは残しつつ、個別最適な環境で学習ができるようになりますので、多様な子ども達を誰ひとり取り残すことなく、全ての子どもの可能性を引き出すことができるのではないかと考えております。

新学習指導要領にかける思い

—昨年度から(小学校では)新学習指導要領での学びが始まりました。今回の学習指導要領改定のねらいの要点は。

急激に変化する社会の中で、これからの時代を生きる子ども達には、一人一人が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重する姿勢を身につけていただきたいと考えております。

多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となっていただく。学校教育を通して、そのような資質・能力を総合的に育成していくことが重要なのではないかと。

このような考えのもと、令和2年度から順次実施されている学習指導要領においては、育成すべき資質・能力を「知識及び技能」、「思考力、・判断力、・表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」という三つの柱に整理しました。各教科等の特質に応じ、これらをバランスよく育成することを目指していきたいと考えております。

—同じく、昨年度から小学校ではプログラミング教育が必修化しました。中学校では内容拡充、高校では必修化、そして大学入試では「情報」新設となりましたが、文科省がプログラミング教育にかける思いは。

これはよく言われることですけれども、現代というのは、予測困難な時代だと思うんですね。

たとえば私が子どもだった頃などは、親や先輩の背中を追いかけ、同じように努力すればなんとかなる、という考えが主流の時代でした。ところが、今は世の中が変化するスピードがあの頃とは比べものにならないくらい速いですし、まさにこのコロナ禍のように、想定外の出来事が訪れることもある。未来に生きる子ども達には、壁にぶつかっても前向きにアイディアを出し、問題を解決していく力をぜひ身につけていただきたいなと考えております。

Society5.0の到来など、変化の激しい社会において、情報や情報技術を主体的に選択し、適切に活用していく力はますます強く求められるようになるでしょう。そのため文科省では、学習指導要領において、新たにプログラミング教育を必修とするとともに、情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力として位置づけております。

プログラミング教育のねらいは、コンピューターに関する知識、技能を習得するのみならず、物事を論理的に考える力を育成することです。言い換えると、プログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力、すなわち「プログラミング的思考」を身につけさせることが必修化のねらいです。

文科省においては引き続き、各学校における実施事例を周知するなどの取り組みを進め、プログラミング教育の充実を図っていきたいなと思っております。

GIGAスクール時代の責任ある大臣として

—最後に、新しい時代における学びについて、ひとことお願いします。

ICT技術は社会のあらゆる場所で日常的に活用されるようになっており、パソコン/タブレットは子ども達にとって、鉛筆やノートと並ぶマストアイテムになったのではないかと考えております。

誤解を恐れずに申し上げれば、今の子ども達が大人になる頃には、「ICTとはまったく無縁」という職業は、ほぼなくなるのではないでしょうか。というのも、出前の配達ルートや、建築現場の図面、オーケストラの楽譜なども、すでにデジタル化されているところがたくさんありますよね。この流れは今後も進むと考えられるので、ICTと一切接点を持たない人生というのは、ちょっと考えづらいのではと思うのです。

このような考えのもと、学校教育において、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクを可能な限り減らしつつ、子ども達の学びを保障するためにも、ICTを積極的に活用することが極めて大切だと考えております。

今後も私は、”GIGAスクールを始めた時代の責任ある大臣”として、専門家や科学者の皆さまのご指導を仰ぎつつ、新しい学びを実現していきたいと考えております。保護者の皆さんにおかれましては、学校や事業者等から発信される情報やメッセージに耳を傾けていただくとともに、ぜひICTを活用した様々な取り組みにご理解とご協力をいただければ幸いです。

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