「eスポーツはスポーツであるか」の問いには、さまざまな考え方があります。この記事では、eスポーツの定義やスポーツとの違いについて詳しく解説します。
スポーツとeスポーツの定義とは
スポーツは、欧州スポーツ憲章で以下のように定義されています。"スポーツ"とは、気軽にあるいは組織的に参加することにより、体力の向上、精神的充足感の表出、社会的関係の形成、あらゆるレベルでの競技成績の追求を目的とする身体活動の総体を意味する。新ヨーロッパ・スポーツ憲章より引用それに対し、eスポーツは一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)において、以下のように定義されています。
「eスポーツ(eSports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。JeSUより引用eスポーツは電子機器を用いるという点でスポーツとは異なりますが、他者と競技をし成績の追求をする点では似通った点があるといえるでしょう。なお、eスポーツ以外にも、スポーツという言葉を使われる競技があります。
囲碁や将棋などをマインドスポーツと呼び、自転車などを使用した競技をモータースポーツと呼ぶ点から、スポーツという言葉の解釈は広がりをみせているといえるでしょう。
eスポーツの歴史
eスポーツは海外で生まれた言葉で、2000年頃から使われるようになりました。インターネットが家庭に普及されるようになったことで、中国や欧州でeスポーツの広まりが加速します。2000年代前半には、世界でeスポーツの大会も盛んに開かれるようになりました。日本国内は世界から遅れを取り、2007年に日本eスポーツ協会準備委員会が設立しました。これがきっかけとなり、メディアからも注目を集め、eスポーツという言葉が国民に浸透し始めます。それ以降、国内でもeスポーツの大会が開催されるようになり、2018年にはJeSUが設立されました。今後はオリンピックの正式な種目として追加されることも検討されており、eスポーツ市場はさらに拡大していくことが予想されています。
eスポーツの優勝賞金
テニスやゴルフなどの大会と同様に、eスポーツでは3億円を超えるシーズン賞金総額の大会もあり大きな注目を集めています。高校生や大学生が優勝し、高額な優勝賞金を獲得した際にはメディアでも大々的に取り上げられました。日本国内のeスポーツプレーヤーで目覚ましい活躍をしているふぇぐ選手は、獲得した賞金総額が約1億800万円といわれています。高額な優勝賞金が獲得できることで、eスポーツのプロ選手を目指す小学生も少なくありません。実力があれば何歳からでもプロになれるeスポーツは、小学生から高齢者まで世代を問わず対戦を楽しめるスポーツだといえるでしょう。
eスポーツが話題となっている背景とは
eスポーツが話題となっている背景には、大会をライブ中継するYouTube Live、Twitchなどのライブ配信プラットフォームの発展が挙げられます。eスポーツはプレイヤーのみならず、見て楽しむ観客の数も多いことから、他のプロスポーツと同じように、興行ビジネスにも期待が集まっています。さらに、現在では各国にeスポーツの運営委員会が誕生しており、国際オリンピック委員会(IOC)もeスポーツをスポーツ活動と認める発言をしていることから、eスポーツがオリンピック競技となる可能性もあるとされています。
eスポーツとスポーツの競技人口
それでは、世界におけるeスポーツとスポーツの競技人口を比較してみましょう。- eスポーツの競技人口:約1億人
- クリケットの競技人口:約3億人
- サッカーの競技人口:約2億6,000万人
- テニスの競技人口:約1億人
- ゴルフの競技人口:6,000〜7,000万人
- 野球の競技人口:約3,500万人
日本国内では政府がeスポーツを推進する取り組みも始まっており、eスポーツが幅広い世代に浸透することが期待されています。eスポーツのプロ選手が若い世代に大きな影響を与えることから、日本テレビやKDDIなどの大手企業も続々とeスポーツに参入しています。
「子どもにとってゲームは勉強の妨げになる」と考えていた保護者にも、eスポーツの新たな価値観や大会の認知が進んでいます。eスポーツの地位は世界だけではなく、日本国内においても確実に向上していることがわかるでしょう。