近年eスポーツの競技人口が増えています。さまざまな世界大会が開催されており、国内でも数多くの競技大会が行われていますが、詳しくわからない人も多いのではないでしょうか。この記事ではeスポーツとはどういうものか、さらに習い事として学ぶメリットは何かについて紹介していきます。
eスポーツもオンライン学習で勉強する時代
一般社団法人日本eスポーツ連合(以下JeSU)によると、「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称とされています。さまざまな国際連盟や団体もあり、2024年開催予定のパリオリンピックの種目候補としても話題になっている競技です。
JeSUでは公認のプロライセンス制度を設定しており、プロのサッカー選手や野球選手などと同じように、プロのゲーマーとして活躍している人もいます。
実際2019年にクラレが小学6年生を対象に「将来就きたい職業」のアンケートを実施した結果、1位は「スポーツ選手」で、その内訳はサッカー(40.9%)、野球(29.6%)、テニス(6.1%)に続いてeスポーツ(4.3%)が4位に入っていました。
eスポーツを専門に学べる学校や教室もあり、オンライン学習を通じてeスポーツを学べる場も増えています。
eスポーツを「勉強する」メリットは何?
オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学の最近の調査では、定期的にオンラインゲームをやっている子どもは学校の成績もアップしたことが報告されています。eスポーツを学ぶことで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。
情報処理能力・論理的思考能力を身につけられる
eスポーツには対戦形式のように競技性の高いタイトル(ゲーム)が多く、遊びを通じてさまざまな思考能力や判断力を自然に身につけられるのがメリットとされています。たとえば画面内で瞬時に移り変わる状況を素早く把握するためには、情報処理能力が必要です。
さらに対戦ゲームで勝つために過去の自分のプレイを見返して、「負けた理由は何か」「どうやったら勝てたのか」「あのとき勝てたのはなぜか」と考えることは、論理的思考を育むことにつながると言われています。
ITスキルとネットリテラシーを学べる
eスポーツのオンライン学習は、ITスキルやネットリテラシーを身につけることにも役立ちます。
小学校のICT環境が整い授業でもパソコンを使うことが多くなるなか、勉強としてパソコンと向き合うのが苦手な子どももいるかもしれません。
そのような子どもでも、eスポーツを楽しむことでパソコンの基本操作やタイピングに慣れるきっかけになるでしょう。
またオンラインで初対面の人とコミュニケーションを取ることもあるため、相手を尊重することや自分の身を守る方法など、ネットマナーやリテラシーを学ぶこともできます。
メンタル&コミュニケーション能力の向上
チームで競技をすることも多いeスポーツでは、コミュニケーション能力も大切な要素のひとつです。北米教育eスポーツ連盟(NASEF)がeスポーツを学ぶ子どもを対象に行った調査によると、eスポーツによってもっとも効果が見られた能力は「社会的感情教育」の部分でした。
リーダーとしてメンバーをまとめたり、チーム内でやりとりをしながら自分の役割を考えるといった対人スキルが伸びていたということです。
英語学習機会としても有効
eスポーツは世界各国に広まっており、競技の配信動画や最新の情報には英語で発信されているものも多いため、英語に触れる機会が必然的に多くなります。そのため、eスポーツを使った英会話サービスなども登場しており、ゲームでプレイする時間が英会話の学習の場として有効活用されています。
STEM教育との相性の良さ
eスポーツはSTEM教育とも相性が良いとされています。STEM教育とは科学・技術・工学・数学を連携させて学ぶことで、日本でも普及が進んでいる教育方法です。STEM教育の目的は論理的思考能力や想像力を育むこと。eスポーツを学ぶことによって得られるメリットにも通じるものです。
全米の高校生を対象にeスポーツの大会を主催する団体「High School Esports League」は、STEM教育のカリキュラムを評価・開発している「STEM.org」から優良なカリキュラムを提供しているとして認定を受けています。
このような背景もあってか、アメリカの大学や高校では優秀なeスポーツプレイヤーを学業支援するための奨学金制度を確立したり、専用の練習施設を併設するといった奨励プログラムを提供したりしてeスポーツを支援する動きが広まっています。
今後eスポーツの学習がSTEM人材の育成の場として期待されるところかもしれません。
ゲーマーの活躍の場も徐々に広がる
オランダの調査会社Newzooが発表した調査「Global Esports Market Report2020」によると、eスポーツの愛好者は世界で5億人近くいるといわれています。全国の自治体や企業、eスポーツの団体などがさまざまな大会を開催しており、プロのプレイヤーだけでなく多くの人々が競技に参加しています。
2019年の茨城国体では、国体初のeスポーツ大会「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が開催され、全国の予選大会を勝ち抜いた小学生たちも1位の座を競い合いました。
eスポーツの各団体や自治体、企業などと連携した大会は今後も数多く開催され、サッカーや野球といったリアルなスポーツの選手と同じように、ゲーマーたちが活躍する場は広がっていくと見られています。
小学生向けの主なeスポーツタイトル
2020年に鹿児島県で開催された全国都道府県対応eスポーツ選手権では、「グランツーリスモSPORT」など6歳から参加できるタイトルもありました。
グランツーリスモSPORT PlayStation®Hits
実在するクルマや世界中の自動車メーカーが開発したコンセプトモデルなど全150種類以上のクルマを、実在するレーシングコースや公道をモチーフにした首都高速で走らせるモータースポーツゲーム。プレイできる端末 PS4
発売元 ソニー・インタラクティブエンタテインメント
価格 Blue-ray Disk版:2189円(税込み) ダウンロード版:2189円(税込み
URL https://www.gran-turismo.com/jp/gtsport/top/
パズル&ドラゴンズ
パズルとRPG(ロールプレイングゲーム)の要素を組み合わせたゲーム。数種類のモンスターでパーティー(グループ)を作り、ダンジョンの中を敵と戦いながら進んでいきます。敵との戦いに使われるのがパズル。パズルに勝つと自分のモンスターを強くすることができ、さらに強い敵と戦えるという仕組みです。プレイできる端末 iOS11.0、Android OS4.4以降の端末、Fireタブレットの推奨端末
発売元 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
価格 無料(一部有料)
URL https://pad.gungho.jp/
オンラインでeスポーツを学べるサービス2選
eスポーツのプレイングスキルや英会話をオンラインで学べるサービスを2つご紹介します。eスポーツ英会話
英語を話せるeスポーツコーチと一緒に人気のゲームをプレイしながら、生きた英会話を学べるサービスです。特徴:ボイスチャットを使用し、1クラス2~3人の授業を80分行ないます。初級・中級の2コースがあり、挨拶やゲームの基本用語を覚えるところからスタートします。カリキュラムはバトルロイヤル系とアクションシューティング系の2種類あります。バトルロイヤル系のレッスンでは、1~10までのカリキュラムにしたがってゲームの基本用語や行動・要求の単語を覚えたり、敵の場所を示す単語を段階的に学んだりします。アクションシューティング系では、敵の位置を教えるためのレッスンを2回に分けて受講します。英語をしゃべれない子どもには、単語やフレーズのリストを用意。ゲームと連動して覚えていくので、遊びながら自然に英語を身に付けられます。
対象年齢 小学生以上
料金 月額8800円(税込み)
申し込み方法 公式サイトから事前登録
URL https://gecipe.jp/esports-english
スキルタウン
eスポーツのプレイスキルを教えたい人と教えてもらいたい人をマッチングするサイト。サイトに登録するための年会費や月額料金は無料です。特徴:サイトに登録されているレッスンから、自分が教えてもらいたいタイトルのレッスンを選んで申し込みます。同じタイトルのレッスンがあるときは、講師のプロフィールで選んだり、価格などを比べたりして決めることができます。
料金 会員登録無料・レッスン料は各コーチによって異なる
申し込み方法 公式サイトから会員登録
URL https://skilltown.jp/
eスポーツのオンライン学習についてよくある質問・Q&A
eスポーツをオンラインで学ぶことについてよくある質問をまとめてみました。幼いころからゲームばかりさせるのは健康上、良くないのでは?
eスポーツはサッカーや野球などのように天候に左右されることはなく、時間に縛られずにプレイできるのが特徴です。集中力が養われる反面、ゲームに没頭しすぎて長時間プレイしてしまうという問題も起こるため、ある程度親が時間を管理することが必要でしょう。しかし部活として熱心に取り組んでいる子どもにとっては、あまり厳しい制限はストレスが溜まる原因にもなってしまいかねません。
子どもと話し合いながらeスポーツをする時間を含めた1日のスケジュールを決め、自分で制限できるように導いてあげることが大切です。
eスポーツを学んだ子どもの進路にはどんなものがある?
eスポーツの業界にはプロゲーマーや配信者、プログラマーや実況解説者、コーチや大会運営など、ゲームで得た知識や専門性をそのまま生かせる職種が存在します。アメリカではSTEM教育との親和性から、ITソフトウェア系や工学系の人材育成としても注目されています。