※ 本コンテンツにはプロモーション(PR)が含まれています。また、詳しい最新情報については公式サイトをご確認ください。
データサイエンティストとは一言でいうと、データを分析してビジネス戦略を立て、それをクライアントに提供する仕事。IT先進国アメリカでは「全米最高の職※」ともいわれ、日本でも引く手あまたの存在になりました。
じつはタスクンさんは、建築というまったくの異業種から、たったの1年6ヶ月で現在のポジションに就いたそう。幅広いスキルが求められるデータサイエンティストは当然、IT未経験者にとって狭き門です。
タスクンさんは、どのようにして夢を掴んだのでしょうか?お話を伺ってみました。
※参照元:米Glassdoor
データサイエンティストの仕事は「分析」「可視化」「コンサルティング」の3つ
恥ずかしながら、「データサイエンティスト」のお仕事について深くは知らないライター。「データサイエンティストって、どういうお仕事なんですか?」とたずねると、タスクンさんはこう答えてくださいました。「最近は『データいろいろ屋さん』になっているので業務範囲が広いのですが(笑)、最近ですと、
①お客様のデータを分析し、分析結果を“見える化”する
②週に1度お客さま(企業)にそれを発表し、ビジネスの方針をアドバイスする
③『AWS(Amazon Web Services)』内のデータを可視化し、そのレポートを自動化する
の3つが中心です。ちなみに、AWSとは、膨大なデータを入れておく、インターネット上の倉庫のようなイメージです」
データを集め、分析し、レポートを自動化する。加えて、お客様へのアドバイスも行う。データサイエンティストは、分析から可視化・ビジネスコンサルティングまでを一貫して行う、「データのプロ」なのですね。
子ども時代は「無気力で暗かった」。唯一の救いは?
そんなタスクンさんの働き方は、フルリモートワーク。都内に住む必要がなくなり、この春、小田原へ移住したそうです。小田原は、東京から新幹線で約30分の、海のみえる町です。「ぼくなんかでいいのでしょうか?」爽やかでありながら、堂々と話すお姿は、オンライン越しでも輝いてみえます。きっとこれまでも、素敵な人生を歩まれてきたのだろうな……と思っていたのですが、過去のタスクンさんは、現在とはまるっきり違っていたそう。
「子どもの頃は無気力で、全然しゃべらない子でしたね。今考えると、学校のシステムが合わなかったんだと思います。なんとなく性格を強制的に正されているような気がして、自分を発揮できなかったんですよ」
なんと当時は、子どもながらに「生きている意味ってあるのかな?」とまで考えたそう。一方で、学校にも塾にもきちんと通っていたタスクンさんの異変に、ご両親が気づく術はありません。軽うつの状態は、高校卒業まで続いたと言います。
そんなタスクンさんが「唯一恵まれていた」と話すのは、家庭環境でした。
とはいえ、お父さまは多忙でほとんど家におらず、お母さまは「学校のルールを守り、周りに合わせなさい」というタイプだったとか。この点だけを切り取ると、自分をさらけ出す場所がなくてつらかったのでは、と感じますが……?
「とにかく、両親の仲がよかったんです。それには救われましたね。家族旅行にもよく行きました」
仲睦まじく、幸せそうなご両親のもとで育ったタスクンさん。転機が訪れたのは、大学生のときでした。
インドネシア留学で「爆モテ」を経験、一気に視界が開けた
「大学時代、好きな人がいたんですよ。でも今の自分じゃ、どう考えても好きになってもらえないなと」そこでタスクンさんは、ある決心をします。大学の任意参加プログラムである、インドネシア留学に申し込んだのです。
「海外なんて行ったこともなかったですが、ネガティブで暗い自分から脱却するために、いろいろやってみようと思って。資金は大学からの補助金と奨学金、あとはバイト代で賄いました。いやあ、怖かったなぁ……」
自らをふるい立たせ、いざインドネシアへと旅立ったタスクンさん。そこで、思いもよらぬ経験をします。
なんとタスクンさんは、現地で超モテたのです。「一緒に写真撮って!」は当たり前。たった2週間の留学でしたが、インドネシア人の女性に誘われて、デートもしたといいます。
「日本では全然モテなかったので、驚きました。それで気づいたんです。周囲の環境次第で、こんなにも自分の評価が変わるんだって」
帰国後は失恋してしまったものの、タスクンさんの視界は、留学前とは比べものにならないほど開けていました。以降、なにかを始めるか迷ったときには、
「合うか合わないかは、あとで取捨選択すればいい。まずはチャレンジしよう」
そう考えるようになりました。
建築学科からデータサイエンティストを志した理由
タスクンさんが通っていたのは、「電大」と呼ばれる都内の理工系大学、東京電機大学。ただし、建築デザインに興味のあったタスクンさんは、工学部や情報学部ではなく、未来科学部で建築を学んでおり、データサイエンスとは無縁だったと言います。2017年には、電大の大学院へ進学したタスクンさん。ある日、プログラミング言語のPythonに触れます。
「あれ? コードを書くだけで思いどおりになる」
ここで初めて、コードを書くことのおもしろさを知ったのです。
じつは当時、「このまま建築の道へ進むべきか?」と悩んでもいたそう。
「というのも、もともと建築を学びたいと思った理由が、自分の想像を実現して、それを仕事にしたかったからなんですね。でも現実は、デザインを学ぶ機会はほとんどなかった。就職先も皆、施工管理会社のメンテナンス職や現場監督なんですよ。そうした職業って、すでに先人たちが敷いてきたレールがあるので、未知の世界に興味がある自分には向いてないんじゃないかと」
「ぼく、物事の因果関係を考えるのが好きなんです。それこそ子どもの頃は、普通にテレビを観ながらも『メディアって人々にどんな影響を与えるんだろう?』なんて考えましたから(笑)。そこで、キャリアプランを変更しようとIT職を調べていたとき、データサイエンティストの存在を知って、『自分の好きなことの集合体だ』と思いました」
「現場で必要なのはSQL」現役データサイエンティストからの助言
そんなとき、あるオンラインコミュニティで、偶然にも現役のデータサイエンティストと知り合ったタスクンさん。普通ならオンライン上の交流で終わりそうなものですが、インドネシア留学で行動力を身につけたタスクンさんは、ひと味違いました。彼がとあるオフ会に来ると聞き、直接会いに行ったのです。聞きたかったのは、異業種かつIT未経験からデータサイエンティストになる方法。タスクンさんが得たアドバイスは、
- データサイエンティストの現場では、Pythonよりも「SQL」を頻繁に使う
- そのため、SQLをまずは身につけなさい
「SQLは、Pythonに比べて結果が見えにくいうえ地味なせいか、単体で学べる講座やスクールをあまり見かけません。だからぼくは、現場に突入して身につけることにしました」
このように考えたタスクンさんは、2019年に大学院を卒業後、SES(System Engineering Service)という働き方を選びます。
SESとは、エンジニア専門の委託契約のこと。仲介会社を通じて、定められた期間、エンジニアとして現場で働くスタイルです。経験ではなくスキルを買われるため、未経験者が実績を積む場としても人気があります。
タスクンさんは、運よく職場に恵まれました。しかも望んだとおり、SQLを使ったデータ抽出の仕事を任されたのです。やる気に火がつき、2020年1月からは、データラーニングスクールも受講。(※タスクンさんが受講したコースはすでに廃止されているそうです。)
「スクールは20万円ほどしたので、当時としては、かなり勇気のいる投資でしたね」
独学で統計検定2級も取得し、データサイエンティストに必要なスキルをSESとして働きながら、着々と身につけました。
Twitterで現職の募集を発見。気になるポテンシャル採用とは?
そんなある日、運命の出会いが。Twitterで、現職の募集を見つけたのです。ダメ元で応募したタスクンさん。結果は、採用でした。
年収はなんと、SES時代の1.5倍に。データサイエンティストの年収は一般的に400~600万円からのスタートですが、以降は、一般職とはケタ違いのスピードで昇給するのだとか。「年収4桁万円もまったく夢ではないですよ」とタスクンさん。
大学院卒業から、1年6ヶ月後のことです。絵に描いたようなサクセスストーリーに、ライター自身も驚きを隠せません。
タスクンさんは、幼少期からパソコンに触れていたわけでも、情報系の大学へ通ったわけでもありません。小中学校も公立だったといいます。タスクンさんはなぜ、データサイエンティストの夢を叶えることができたのでしょう?
「ポテンシャル採用だと聞いています。つまり、成長意欲を買っていただけたのではないでしょうか」
ポテンシャル採用とは、キャリア採用(職歴や実績を重視する採用方法)とは異なり、その人のもつ潜在能力に賭ける採用法のこと。タスクンさんの行動力と、学ぶことへの姿勢がプラスに働いたのでしょう。
「あと、Twitterをやる価値は大きいと思います。チャンスを掴みやすいので。IT業界は、Twitter経由の採用も多いんですよ」
データサイエンティストには国語力が必須!?大切なのは「読む力」
最後に、タスクンさんが思う、データサイエンティストに必要な力について伺いました。一般的なイメージでは、プログラミング力? 英語力? はたまたビジネス力? と想像しますが……。「ぼくは国語力だと思います。というのも、読解力があれば、記事や評価、人の言葉から、新しい情報をキャッチアップできるんですよ。数学も大切ですが、その勉強を含め、すべてをフォローできるのは国語力(読む力)ではないでしょうか」
と、意外なお言葉が。とはいえ、タスクンさん自身は子ども時代から読書が大好きだったわけではなく、ゲームが大好きで、朝まで友達とオンラインゲームをするのが日課だったそうです。
「そう考えると、塾で得たものは大きいですね。ぼくは物理が好きだったんですけど、学校の勉強にプラスして、ロジカルに考える力や読解力を鍛えられたのが今につながっています。両親には感謝しています」
そんなタスクンさんの現在の目標は、高校生向けのデータサイエンス教材をつくることだそう。
「未経験だから無理」とあきらめず、やりたいことから逆算して夢をつかんだタスクンさんなら、きっと多くの子どもたちに、勇気を与えるのではないでしょうか。