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イラストもデジタルの時代。 N高卒の女性イラストレーターが「デジ絵」を極めるまで

今をときめく、子どもたちの憧れの職業。それは、YouTuberに次いで「イラストレーター」であることをご存じですか?

イラストレーターと聞くと、なんとなく「さまざまな画材を使って、漫画やポスターの絵を描く人」を想像してしまう私たちの世代。もちろんそれもイラストレーターの仕事スタイルですが、現代のイラストレーターは活躍の場がすこし異なるようです。

たとえば、2017年に、漫画賞/持ち込みポータルサイト「マンナビ」が263名*を対象に行ったアンケートによれば、いまやプロの漫画家の72%が、紙に描くアナログイラストから、デジタルイラスト=「デジ絵」に移行しているのだとか。
* トキワ荘プロジェクト入居者・OBOG、過去トキワ荘プロジェクトのイベントや講習会に参加した方、全国の教育機関などへのご連絡および、TwitterなどのSNS上での発信を通じて収集


その結果イラストレーターは、アニメーターやゲームクリエイターに並ぶ「デジタルクリエイティブ職」として、子どもの“なりたい職業”で断トツ1位となっているのです。

今回、お話を伺った桜田ななさんは、そんなイラストレーターのひとり。Twitterで偶然流れてきた彼女のイラストに、筆者は目を奪われました。


美大に通いながら、個人でイラストレーターとして活躍する桜田さん。彼女はイラストを、全行程パソコンと液晶タブレットで描いています。桜田さんはいったい、どのようにしてデジ絵と出会ったのでしょうか?

デジ絵に欠かせない機材のこと、お父様の想い……。気になることをすべて伺ってきました。

「食卓テーブルのうらに落書き」した幼少期。きっかけはある児童書との出会い

桜田さんのイラストレーターとしての活動は、企業から依頼された案件と、コンテストへの応募が中心。2021年9月には、「テレビ東京コミュニケーションズ」と「株式会社Unpacked」が主催する学生向けイベントのメインイラストを手がけました。

引用元:『U18キャリアサミット』公式サイト


「小さいころから絵を描くのが大好きだった」という桜田さん。幼少期は、食卓テーブルのうらにクレヨンで落書きするほどだったそうです。

イラストレーターという職業に興味をもったのは、小学5年生のころでした。

「『らくだい魔女はプリンセス』という児童書、ご存じですか? この本のイラストを担当された、千野えながさんという方の絵が好きで。よく、真似して描いていたんです。そのうちに、『私もこんな仕事がしてみたい』と思うようになりました」


当時のツールはもちろん、スケッチブックや自由帳。いわば、絵を描くことが好きな、ごく普通の女の子にすぎませんでした。ところが3年後、桜田さんはデジ絵と出会い、大きく運命を変えることになります。

「イラストの道へ進みなさい」ご両親の想いとは

中学2年生のある日。ご両親が突然、デジ絵を描くためのツール「ペンタブレット」を、桜田さんに手渡したのです。

(写真はイメージです)タブレット上に絵を描くと、それが画面に反映される「ペンタブ」


ご両親が桜田さんに伝えたのは、「あなたはイラストの道へ進んだほうがいい」ということ。桜田さんは当時を、こう振り返ります。

「素直に受け取ればよかったのですが、当時は反抗期まっさかりで(笑)。誰だってそうだと思うんですけど、親に決められたレールの上を走るのは嫌じゃないですか。当時はプライドが許さなくて。自分のことは自分で決めたいと思っていたんです。そういう反発心があって、結局ペンタブを使い始めたのは、半年くらい経ってからかな。

ちなみに、ちょうどこのころ、病院で『起立性調節障害』と診断されて、学校へあまり行けなくなっていたんです。家にいる時間が長くなったのが、ペンタブを使い始めるきっかけになりました」

(写真はイメージです)起立性調節障害の症状のひとつは、血圧がうまく調節できないこと。立ち上がると倒れてしまうため、毎日の登校はむずかしかった


桜田さんは、「このときのおかげで今がある」と言いきります。桜田さんのお父様も、当時の心境を語ってくれました。

「ペンタブレットは、娘の14歳の誕生日プレゼントとして贈りました。『ほしいものが特にない』と言われたので、それならば、と。与えた当初はお蔵入りしていましたが、中2の秋ごろから起立性調節障害の症状に悩まされ始め、学校を休みがちになったときに、デジ絵をやり始めたんです。

それからは、Twitter上で友達もでき、デジ絵が心のよりどころになったのでしょう。腕前がどんどんと上がり、半年もすると、まるで別人のような絵の仕上がりになっていました。娘も楽しくて仕方がなかったようです」

ネットの高校、N高へ進学。2万円の中国製液タブでキャリアスタート

やがて中学卒業の時期が近づき、N高への進学を決めた桜田さん。

じつはN高は、入学条件のひとつが、Apple社製のノートパソコン「MacBook」を用意すること*でした。桜田さんは必然的に、自分のパソコンをもつようになります。 
* コースによる。詳細はN高公式サイト参照

\「ネットの高校」として斬新な取り組みをするN高。コエテコでも過去に、N高理事のドワンゴ・夏野剛氏を取材/

そのころには、すっかりデジ絵の虜に。ときにはノートパソコンとペンタブを手に、戸外での作業にも挑戦しました。

そこで桜田さんは、ある決心をします。ペンタブよりも1ランク上の、「液晶タブレット」を購入しようと決めたのです。しかし液タブは、最低でも3万円、高いものだと10万円以上。購入費用はいったい、どうされたのでしょうか……?

「Amazonを眺めていたら、3万円の液タブがタイムセールで2万円になってたんです。『これなら自分で買える!』と思って、中国メーカーのものでしたが、パッと買っちゃいました。そうしたら、意外にも使いやすくて」


(「液タブ」 はペンタブとちがい、画面に直接イラストが描ける)

ノートパソコンと、液晶タブレット。プロのイラストレーターさながらの機材を手に入れた桜田さんは、ついに、イラストを「趣味」から「仕事」にしようと決めます。当時、高校2年生。最初に起こした行動は、コンテストへの応募でした。

すると、あれよあれよという間に賞を受賞。たとえばこの作品は、国内最大規模のデジタルイラストコンテスト「pixiv高校生イラコン2019」で、佳作に入賞したもの。

タイトル「ほどく髪」。女の子がリボンをそっとほどく「音」に着目した


KADOKAWAの社内ブランドが1994年から主催する「電撃イラスト大賞」にも、意を決して応募しました。


「私は最初、本のイラストレーターになりたかったんです。そのためには、出版社さんに営業する必要があって。そこで必要になるのが、ポートフォリオだったんですね。

コンテストでの受賞歴はポートフォリオに載せられますし、なにより就職活動で有利になる。『イラストレーターの桜田ななです』より、『私にはこれだけの実績があります』のほうが、たとえその場でお仕事に繋がらなかったとしても、印象にのこるじゃないですか

大学1年生になった今、イラストを持ち込んだ出版社は、なんと15社以上。事前に提出方法を電話で確認するなど、基本的な礼儀も怠りません。

デジ絵はスマホでも挑戦できる。一方で、理想の環境は?

児童書のイラストに魅せられた小学生時代。そして、つらい病気を乗りこえながらも、デジ絵のスキルを磨いてきた桜田さんは、「自立した大人になって欲しい」と願う多くの保護者にとって魅力的な存在です。

ただ、多くの保護者が気になるのは、

「そんなに機材を買ってあげられない!」
「デジ絵を極めたところで、子どもの将来は安泰なの?」


の2つではないでしょうか。とくに教育費の面は、保護者の気持ちひとつではどうにもならない面があり、悩ましい問題です。

しかし、桜田さんによると、「まずは試しに」なら、スマホでもデジ絵は描けるとのこと。

「私は学校の決まりで買った流れでしたが、普通は10~20万円もするパソコンなんて買ってもらえないし、親にも頼めないと思うんです。なので、まわりの中高校生の子たちは、iPadやスマホに『ibisPaint(アイビスペイント)』という無料のお絵描きアプリを入れて、指でイラストを描いてました。私も最初はそうでしたよ」

ためしに筆者もダウンロードしたところ、たしかに簡単にイラストが描けました。一方で、スマートフォン画面は小さく、指先で「人」や「風景」を描くのは職人技。スマートフォンで挑戦する場合は、タッチペンを買うのをおすすめします。

\こちらも参考になります/

このように、「お試し」はスマホでも良いとして、桜田さんのようにイラストを「仕事」にする予定であれば、
  • デスクトップパソコン / ノートパソコン
  • ペンタブレット / 液晶タブレット
の組み合わせを、思い切って用意するのが理想的とのこと。ペンタブレットは5,000円程度から買えるため、すでにパソコンのあるご家庭なら、負担は大きくありません


ちなみに桜田さんの液タブは、「HUION(フイオン)」というメーカーのもの。

「お気に入りは、左側についているショートカットキーです。これがあると、右手で絵を描きながら、左手でペンの太さや色を変えられるんですよ。作業スピードが倍になります」

動画提供:桜田ななさん


((再掲)桜田さんの使用する液晶タブレット)

絵がうまくないと、イラストレーターにはなれない?

さて、もうひとつの疑問は「イラストレーターは安定した仕事なのか?」です。

筆者のリサーチによると、卒業後の進路は大きくわけて、企業に就職する道、フリーランスとなる道の2つがある模様。そのうち高収入を目指せるのは、ゲーム・アニメ制作会社への就職です。エンジニア向け転職サイト「レバテックキャリア」によると、その平均年収は400万円~1,200万円。「意外と安定しているんだ」と感じた保護者も多いのではないでしょうか。

もちろん企業の規模やスキルによって幅は出ますが、企画・開発にまで携われるようになると、年収はきちんと上がっていくのだそう。反対に、新卒でフリーランスとして食べていくのはいばらの道。まずは企業に入って、コミュニケーションスキル、人脈といった基礎を積み上げてから独立するのが、いわゆる「王道」のようです。

そこで、気になることがもうひとつ。イラストレーターになるには、やはり絵がうまくないといけないのでしょうか? 桜田さんが、そのヒントをくれました。

アナログだとむずかしい描写も、デジタルなら可能になるんです。たとえば『かげ』。私が使っているイラストツール『CLIP STUDIO(クリップスタジオ)』には『3Dデッサンモデル』という機能があり、キャラクターに“かげ”をつける際、お手本にすることがあります」

筆者も実際に、「CLIP STUDIO」で3Dデッサンモデルを出してみました


こんなふうに陰をつけ、ポーズも指定できます。ここまでの操作はものの5分


「それから、『反転』で左右のバランスを確認できるので、絵のくずれも修正しやすいです」

じつはイラストレーター界隈(かいわい)では、3Dデッサンモデルや写真をなぞって描くことは、決して珍しくありません。たとえば「手」のような繊細なパーツは、イラストレーター自身の手を写真に撮ってなぞる方法が、プロを含めて浸透しているのだそう。

桜田さんは言います。「なかには3Dデッサンモデルを上手に扱えずに挫折する方もいる、と聞きます。『その技術を持ち合わせていること自体がすごいこと』だと、友人に言われたのが印象的です」

もちろん、生まれ持った才能があることも成功の一要因。一方で、こうした「ツールを使いこなす力」があれば、桜田さんのようなイラストを描ける可能性はグッと上がります。

「デジ絵」を極めることで得られる、意外なスキル

桜田さんのお父様は、「思いどおりにならないこと、ままならないことの代表、それが子育て」だと笑います。「私自身が無理をせず、娘にも無理をさせない。その範囲で、娘の好きなこと、興味のあることを支援してきた」のだそう。

桜田さんの夢は、プロのイラストレーターになること。そのために今後は、新しい技術を学びたいといいます。

「SWAV(すわぶ)さんという方の、3DCGでモデリングされた背景に憧れがあって。私は、『Blender(ブレンダー)』というツールを使うんですけど、3DCGをマスターすれば、作品のクオリティを上げられると思うんです」


「プロになりたいと考える場合、『そもそもパソコンを使える環境にいるかどうか』は、大きな壁だと思います。ただ、もし今の時点で機材がそろっていないとしても、紙でも、スマホでもいいので、とにかくトレース(模写)などから始めてみることが大事。上手な人の作品をインプットしておけば、いざ自分でアウトプットするときに、トレースで得た知識から新しいものを生み出せるので。好きならとことん描いちゃいましょう! というのは、イラストレーターを夢みる子たちに伝えたいですね」

桜田さんのお話から見えてきたもの。それは、デジ絵を極めようとすると、最先端のITスキルを自然と身につけることになるのだ、ということです。たとえイラストレーターの道を歩まなくとも、各種ツールに抵抗なく親しめる素養は、いずれどこかで役に立ってくれることでしょう。そのためには、はじめから「機材を揃えなくでは」と気負わず、まずはスマホアプリなどから始めてみるのも有効な選択肢。まずは手元にある道具を使い、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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