ブロックプログラミングで3Dゲーム・AIプログラムが作れちゃう!バンダイのプログラパークとは

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ブロックプログラミングで3Dゲーム・AIプログラムが作れちゃう!バンダイのプログラパークとは
2021年10月、バンダイから、“作って”“遊んで”“シェア”できるプログラミングソフト「PROGRAPARK(以下、プログラパーク)」が公開されました。

プログラパークは、ブロックを組み合わせるだけで簡単に3Dのゲームが作れてしまうアプリ。スマホ/タブレット/パソコンはもちろん、micro: bitにも対応しているそうです。

シンプルな障害物避けゲームから……

高度なストラテジーゲームまで作れちゃう!


なんでも、プログラパークの下地となった「Mind Render(マインドレンダー)」は、あの東京大学工学部の授業に導入されるほどの実力派アプリなのだとか。なんだかカワイイ、それでいて本格派なプログラパークでは一体、どのようなことができるのでしょうか?

今回はバンダイ本社にお邪魔し、プログラパークの開発者である豊田 淳さん、Mind Renderの生みの親である白土 良一さんに、同アプリの魅力と誕生ヒストリーについて伺いました!

(左)株式会社モバイルインターネットテクノロジー 会長 白土 良一さん
(右)株式会社バンダイ 経営企画部 新規事業創出チーム アシスタントマネージャー 豊田 淳さん


(プログラパークの導入動画。コロンとしたキャラクターたちがなんともカワイイ!)

基本プレイは無料!プレミアムプランなら豪華学習動画が見放題

—本日はありがとうございます。さっそくですが、プログラパークとはどのようなアプリなのでしょうか。

豊田:

「PROGRAPARK(以下、プログラパーク)」は、ゲームを“作って”“遊んで”“シェア”できるプログラミングソフトです。基本プレイは無料で、お手持ちのスマホ/タブレット/パソコン(Windows/Mac)にアプリをインストールしてお楽しみいただけます。ちなみに、バンダイナムコIDを連携していただければ、複数の端末で内容を同期しながらアプリをご利用になれますので、おすすめです。

対象年齢は3歳〜で、どなたでもお使いいただけますが、ゲーム制作に興味が出てくる小学校3年生〜くらいのお子さまですとより積極的に楽しんでいただけるのではと思っています。ちなみにスマホ版(iOS/Android)であれば、教育用マイコンボードのmicro: bit(マイクロビット)と接続することもできます。


—非常にマルチなアプリなのですね。「基本プレイ無料」ということは、有料コンテンツも用意されているのでしょうか?

豊田:

よくぞ聞いてくださいました。そうなんです。プログラパークの「クリエイション」モードは無料でお使いいただけるのですが、より楽しんでいただくために大ボリュームの「学習動画」をご用意しており、こちらが有料コンテンツ(860円(税込)/30日間)となっております。くわしくご説明いたしましょう。

緑色のボタンが「学習動画」。他にもいろいろと気になるモードがあるが……説明はのちほど!


プログラパークの「学習動画」がユニークなのは、同じ事柄を、5つの角度から学習できることです。私たちはこれを、「多方向学習方式」と呼んでいます。

具体的には以下の5つの切り口をご用意しており、自分に合った方法でプログラミングを学んでいただけます。

①じっくり動画

動画は右上の画面で進行していく。動画を見ながら手元のブロックを動かせるので、複数のウィンドウを行き来しなくてよいのがポイント


一般的な「教材」のイメージに近い動画です。プログラムの作り方をイチから丁寧に学んでいく方式で、タブレット学習や各種の解説動画に慣れ親しんでいるお子さまであれば、スムーズにプログラミングを習得していけることと思います。

②かいぞう動画


先ほどの「じっくり動画」がイチから積み上げる方式だったのに対し、この「かいぞう動画」では、完成版のゲームをまず遊んでもらいます。

すると、子どもなりに、気に入らないところが出てきます。「もっとステージの難易度を上げたい」とか、「別のオブジェクトに変えたい」とかですね。そういった気持ちを原動力とし、すでにあるゲームを“改造”しながら学んでいくのが、こちらの「かいぞう動画」となります。

ゲームで遊ぶことが入り口になっているので、いかにも勉強という雰囲気ではなく、楽しみながらプログラミングを学習できるのが魅力です。

③くみたて動画


次にご紹介するのは「くみたて動画」です。これは、組み立て感覚でとにかく手を動かしてゲームを完成させるアプローチです。

プラモデルや家具についている説明書って、言葉じゃなくて、図で説明するじゃないですか。それと同じで、とにかく手を動かして、プログラムを組んでみる。すると、10〜20分程度でひとつのゲームが完成してしまう、というのが「くみたて動画」になります。

メリットとしては、短い時間で「できた!」という体験が得られるので、お子さまのやる気につながりやすい点が挙げられます。はじめから難しいことを考えさせるのではなく、とにかく成功体験を得てもらいたい、というのが「くみたて動画」のアプローチです。

④やりかた動画、⑤ブロック動画

「やりかた動画」と「ブロック動画」は、いわばレファレンスです。


「やりかた動画」では、「ジャンプをさせたい」とか、「落下したらゲームオーバー」のようなゲームにありがちな処理について、目的から逆引きする形でプログラミングを学習できます。


一方の「ブロック動画」では、それぞれのブロックがどのような処理を担っているのかを学習できます。たとえば、「コメント」ブロックはプログラムの意味をメモしておくためのものであって、とくに処理はしないよ、といったことですね。

①じっくり動画、②かいぞう動画、③くみたて動画でプログラムを学び、オリジナルのアイディアを実現する段階になったら、お悩みに応じてこちらの動画を見てもらうと良いかなと思います。

以上のとおり、プログラパークでは充実した学習動画をご提供しています。現時点でも60本を公開しているほか、100本以上の追加コンテンツも予定しています。もちろん、無料でお楽しみいただいてもよいのですが、もしも「より踏み込んだプログラミングを学ばせたい」とお考えでしたら、ぜひプレミアムプランへのご加入もご検討ください。

クリエイションモードは無料で楽しめる。まずはいろいろと触ってみるのもアリ

ビジュアルからテキストへの移行をシームレスに

—プログラパークは非常に充実したプログラミングアプリですが、前身となったのは、白土さんが開発されたプログラミングアプリ「Mind Render(マインドレンダー)」だそうですね。Mind Renderは東京大学の工学部の授業にも導入されている実力派アプリと聞きますが、今回、バンダイさんとタッグを組まれた理由は。

ストーリー系ゲームから高度なシミュレーションまで、幅広く応用できるMind Render

Mind Renderは東大工学部ほか、ソフトバンクグループのサイバー大学でも導入されている


白土:

私たちモバイルインターネットテクノロジー(MIT)はかねてよりモバイル端末向けのアプリ開発を行なっており、その過程において、さまざまな挑戦を行なってきました。その代表例が、VR空間でFXトレードができる「GMO-FX VRトレード」です。残念ながらサービスは終了してしまいましたが、金融の世界に初めてVRを取り入れた点で、非常に先進的でした。

このアプリを開発した背景には、Unityへの期待がありました。Unityは主にゲーム開発プラットフォームとして知られますが、マルチなプラットフォームに向けての開発がとにかく簡単だったんです。たったひとつアプリを作るだけで、スマホ、タブレット、パソコン、コンソール(いわゆる家庭用ゲーム機)のすべてに対応できてしまう。もちろん微調整は必要ですが、それぞれに向けたバージョンを開発する場合と比較すると、かかるコストを格段に下げることができました。もしもUnityをゲームではなく、ビジネスユースに導入できたら……そんな思惑から生まれたのが、先述のトレードアプリだったわけです。

かつて白土さんが開発された「GMO-FX VRトレード」


さて、そのようにUnityの可能性を探る一方で、STEM教育の方向でもいろいろとプロジェクトを進めていました。というのも、5年ほど前に昔の仲間と再会しまして、「何か一緒にやろうよ」となったんです。

友人がフィリピンやシンガポールでSTEM教育に取り組んでいたことから、「教育の分野で何かやりたいね」と盛り上がりまして。はじめはScratchをベースに、ロボットを動かして遊ぶようなものを考えていたのですが、ロボット側の不具合などで思ったように行かず……。語り始めると長くなるので省略しますが(笑)、とにかく紆余曲折しつつ、試行錯誤を重ねてきました。


そうこうしているうちに、Scratch関連の教材がいろいろと登場し、「Scratchで実現できる範囲はやり尽くされているんじゃないか」という話になりました。そこで目をつけたのが、GoogleがOSS(オープンソースソフトウェア)として公開している「Blockly(ブロックリー)」です。自由度の高いBlocklyとUnityを組み合わせれば、きっとおもしろいものができるはず。だいたいこのような経緯から、Mind Renderが誕生したのです。

GoogleのOSS「Blockly」。組み立てたコードをJavascript、Python、PHP、Lua、Dart言語に変換できるなど、自由度が高い


—いわば、これまでの知見の集大成として生まれたソフトだったのですね。開発者ご自身としては、プログラミング教材として、どのような点が優れていると感じられますか。

白土:

現在のプログラミング教育の課題は、ブロックプログラミングからテキストコーディングへの移行コストが高すぎることです。Scratchであれば、ものの数分レクチャーを受けただけで、イラストでもゲームでも、何かしら作ることができます。これがC言語やPythonになると、いろいろと勉強してはじめて、簡単な図形が書けるか書けないかといったところでしょう。これでは、習得のコストに対して、得られるベネフィット(利益)が少なすぎます。

Mind Renderと、それを下敷きに生まれたプログラパークなら、学習コストは抑えながらも非常に高度な作品を生み出すことができます。Mind Renderが大学の授業に導入されているのも、この“コスパの良さ”があってのこと。プロトタイプ(試作品)段階をMind Renderで行うことにより、試行錯誤のサイクルを早めることをねらいとしているのです。

確かな実績とバンダイのエンタメノウハウが融合し、最強のアプリへ

—そんなMind Renderを下地として開発されたプログラパークには、バンダイのどのような知見が生かされているのでしょうか。

豊田:

私どもはエンターテインメントの会社ですから、プログラパークにおいても、とにかく子どもが楽しめることを最優先としました。Mind Renderの素晴らしさはそのままに、バンダイならではのエンターテインメントの知見を注ぎ込むことで、よりお子さまが楽しみやすいコンテンツを、と考えたのです。

今の子どもって、とにかくビデオゲームが大好きでしょう。そんなゲームが入り口になっていれば、いわゆる“お勉強”の雰囲気ではなくて、楽しみながらプログラミングに親しんでくれるのではないか。そんな思いで、開発・運営を行なっています。

—確かに、プログラパークはいい意味で“教材”っぽくないですよね。まずは遊んでみよう、というつくりになっていて。

豊田:

そうなんです。一般的な教材ですと、はじめにプログラミングの画面が表示されますよね。一方、プログラパークでは、高クオリティなサンプルゲームがずらりと並ぶ、アプリストアのような光景からスタートします。このサンプルはどれもバンダイが制作していますので、ゲームとしてしっかり楽しめると思います。

「フルーツ&爆弾」「1000円ほしい」今すぐ遊びたいゲームがたくさん並んでいます


豊田さんお気に入りの「きのこ大爆発」。大量のきのこを反発させ合い、「爆発」に見せかけているのだそう。発想の勝利!


また、プログラパークには「いいね」数に応じたランキング機能も備えており、お子さまの創作のモチベーションにつながります。Scratchなどと同様、「かいぞう」機能* も備わっておりますので、他の人からインスパイアを受けた創作もしやすいのが特長です。
* すでにある作品に改造を加え、新たな作品を生み出す機能。

プログラパークではゲームを同名で保存できないほか、「歴代クリエイター」が表示される仕様になっています。歴代クリエイターにリスペクトし、「かいぞう」を楽しみましょう。


ちなみにプログラパークでは、イラスト機能はあえて実装しませんでした。イラストを描けるようにしたり、外部の素材をインポートできるようにしたりしてしまうと、著作権違反の問題が出てきてしまうので……。その代わりに、「プリミティブ」と呼ばれる3D素材を多数ご用意しており、自由にお使いいただけます。そのまま配置してもよいですし、いくつかの立体を組み合わせて新たなオブジェクトを作り出すのもよいでしょう。組み合わせ次第では、「こんなにスゴイものを作れるんだ!」と驚かせられると思いますよ。

さまざまな素材の、シンプルなブロックもあれば……


すぐに使えるキャラクター素材も。「ザコ」という潔いネーミングが個人的に好きです


—工夫次第で、いろいろなものが作り出せるのですね。ちなみに、この「バトルクリエイション」というのは?

いいところに気付きましたね!これもプログラパークの目玉でして、なんと、作ったAI同士を戦わせることができるんです。

決められたルールの中で、自作のAIプログラムがどこまで健闘できるか?子どもは“バトル”が大好きですから、きっと盛り上がってくれるのではないかと期待しています。

2つのAIプログラムを選んだら……


バトルスタート!どちらのAIが強いかな?

子どもの「つまらない」にショック。アプリを通して伝えたいこと

—今日のお話を通して、プログラパークの魅力がいろいろと見えてきました。プログラミング=キャリアにつながるイメージが先行する中、「とにかく、まずは遊んでみよう」というメッセージが素敵ですね。

私たちが、こんなにも“楽しさ”にこだわるのには理由があります。

ある日、とあるプログラミング教室さんを訪れたところ、「学校でプログラミングの授業を受けたよ」というお子さまがいらっしゃいました。「どんな内容だったの?」とたずねてみると、「つまらなかった」と。先生の言う通りに図形を書かされるだけで、「全然おもしろくなかった」って言うんです。

寂しいと思いませんか?プログラミングって、本当はすごく楽しいもののはずなんです。それなのに、画一的な“お勉強”になってしまい、「つまらない」と言われてしまうのはあまりにももったいないですよね。


私自身、子どもの頃からゲームを作るのが好きで、書いたものが目の前で動く楽しさに魅了されたうちのひとり。子ども達がプログラミングを「つまらないもの」と思ってしまわないよう、プログラパークを通して、魅力を伝えていきたいと考えています。

白土:

今のお話に、私も同感です。いまの教育のアプローチは、かなり科学寄りですよね。ある方法で60分間授業をしたら、子どもの習熟度はこのくらいになる、というような。一般教養を身につける上ではよいのかもしれませんが、こうしたやり方だけでは、一点突破型の子どもを育てることはできません。

豊田さんがおっしゃった通り、プログラミングの魅力は、頭の中で描いたアイディアが形になる点だと思っています。だからこそ、このアプリに「Mind(頭の中が)Render(描き出される)」という名前をつけたのです。バンダイさんのエンターテインメントの知見で、子ども達のクリエイティビティがどのように広がっていくのか、私も楽しみでなりません。


—豊田さん、白土さん、ありがとうございました!

「プログラパーク」のダウンロード(無料)はこちら

©2021 BANDAI


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