「聞いたことはあるけれどどんなものなのかよくわからない」「いろいろあってどれを取り入れたらいいか迷ってしまう」「うちの子に合うものはどれか知りたい」という方も多いですよね。
そこでこの記事では、「モンテッソーリ教育」「シュタイナー教育」「レッジョ・エミリア・アプローチ」という海外の3つの教育方法についてご紹介します。
海外の教育方法ってどうなの?日本の教育との違いとは
近年ではモンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア・アプローチなど海外の教育方法が日本でも注目を集めています。日本の教育では共立、共存を重要視する傾向が高いのに対し、海外の教育では自分の意見、考えをアピールする力や、個性を重視されています。たとえばアメリカでは、一人一人の個性に合わせて能力を伸ばす教育や、自己主張ができるような教育が重視されています。
また、海外では「褒める」ことが子どものやる気を促すとされており、子ども達のいいところを見つけてどんどん褒めていくことが多いです。子どもは褒められることで「もっと頑張ろう」と意欲が湧くようになり、自信を身につけることができます。
ただ、近年では日本においても海外の教育メソッドを取り入れた幼稚園、保育園が増えているため、国内でも海外の教育方法で学びを受けることができます。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育は、1907年に医師であるマリア・モンテッソーリが考案した教育方法です。元々は、知的障がい児の感覚教育法でしたが、健常児にも効果が高いことが分かり、教育法として確立されました。
モンテッソーリ教育では、子どもには自分を育てる力「自己教育力」があると考えられています。大人が教えなくても赤ちゃんは寝返りできるようになったり、子どもは走れるようになったりしますよね。
その自己教育力を大きく発揮させるためには、教具・環境・教師とのかかわりが重要です。
モンテッソーリ教育では、活動のことを「お仕事」と呼びます。子どもが関心を持ったものに取り組ませるのが基本です。子どもの発達段階に合わせた教具を準備しておき、時間にゆとりをもって子どもが納得できるまで取り組めるようにします。
メリット・デメリット
モンテッソーリ教育のメリット- 集中力が身につく
- 個性を伸ばせる
- 主体性が育つ
- 手先が器用になる
- 体を動かす活動は少ない
- 運動が好きな子どもには向かない
- 協調性に欠ける
コエテコ「モンテッソーリ教育とは|具体的にはどんなことをする?特徴や概要を徹底解説」
シュタイナー教育
シュタイナー教育とは?
シュタイナー教育は元々、クロアチア共和国で始まったと言われています。哲学者であるルドルフ・シュタイナーが提唱し、1919年にドイツの学校で取り入れられました。その後、ドイツを中心に各国で取り入れられ、100年以上の歴史があります。
シュタイナー教育では、子供の発達段階を3段階に分けています。
- 0〜7歳 (身体を育てることが中心)
- 7〜14歳 (心を育てることが中心)
- 14〜21歳 (頭を育てることが中心)
「オイリュトミー」…音楽に合わせて体を動かすことで健康な身体や感性を育てる
「フォルメン」…直線・曲線・幾何学模様などを描くことで集中力や芸術性を養う
他にも、自然に触れ合う活動、世界の文化に触れる活動などが多く取り入れられています。
「小学校に入る前から読み書きができるようにしよう」「絶対音感のためには3歳からピアノを…」というような日本の早期教育とは、異なる方向性なのがシュタイナー教育です。子どもの発達を中心にプログラムを組んでおり、知識や技能の習得を急がせません。
日本でシュタイナー教育を取り入れている園や学校はまだ多くありません。フリースクールなどで取り入れられている例が多くあります。
メリット・デメリット
シュタイナー教育のメリット- 園や学校は、自然に囲まれた教育環境
- 芸術や音楽に関するプログラムが充実していて、表現力・創造力が豊かになる
- シュタイナー教育を取り入れた小学校では、テストがないこともある
- 一般的な園や学校とは違う部分が多いので、進学や転校の時に子どもが戸惑う
- 途中で他の教育方法に切り替えたいときに、負担が大きい
コエテコ「シュタイナー教育とは?8年間同じ担任!自然素材で子どもを育む」
レッジョ・エミリア教育
レッジョ・エミリア教育とは?
レッジョ・エミリア教育とは、教育家のローリス・マグラッツィが提唱した教育法です。イタリアのレッジョ・エミリアという都市から広まったことから、このように名づけられました。レッジョ・エミリア教育の基本的な考え方に、「100のことば」があります。これは、「100人子どもがいれば、100通りの考え・表現がある」という考え方です。
また、子ども一人ひとりの個性を引き出し、伸ばしていくため、3つの教育理念を掲げています。
「社会性」:4〜5人程度の小グループで意見を出し合いながら活動を進めていきます。協調性や自立性が身につくと言われています。
「時間」:1つのテーマについて、1年単位など長期間にわたって活動します。大人からタイムスケジュールや手順を示すのではなく、子どもたち同士で話し合って探求していきます
「子どもの権利」:子どもが主体的に取り組めるよう、大人の感覚で否定せず、子どもの権利を尊重します。(迷うこと、黙ることも権利の1つと捉える)
大きな特徴は、子どもたちが取り組みたいことを中心としたプロジェクト型の活動や、アート活動を多く取り入れていることです。
メリット・デメリット
レッジョ・エミリア教育のメリット- 子どもがやりたいことを、自分たちのやり方・自分たちのペースで追求できるので、自主性や探求心が育つ
- 活動の自由度が高く、子ども同士で多様性を認め合うことができる
- アートの専門教師(アトリエスタ)がサポートしてくれる
- レッジョ・エミリア教育を全面的に取り入れている園や学校が少ない
- 公立の学校とは取り組み方がだいぶ異なるので、子どもが戸惑う
- 指示されて動くことに慣れているお子さんは、慣れるまで時間がかかる
コエテコ「レッジョ•エミリア教育とは?幼児教育に効果をもたらす教育メソッドって本当?」
まとめ
この記事では、- モンテッソーリ教育
- シュタイナー教育
- レッジョ・エミリア教育
日本では、このような教育を基本理念とした幼稚園・保育園はあまり多くありません。
しかし、日常の幼稚園・保育園の活動を見てみると、実はこのような手法を取り入れた活動は多く行われています。
例えば、園に置かれているおもちゃにはモンテッソーリ教育の教具があったり、レッジョ・エミリア教育のようにクラスのみんなで1カ月以上かけて1つの工作をしたり、という姿はご存じの方が多いと思います。
ご家庭では、「そんなにぼーっとしてないで!」「いつも同じものばっかりやってるじゃないの!」とついつい大人目線で声をかけがちですよね。
しかし、このような教育法について知ると、お子さんに対しての見方や捉え方が変わってくることがあります。
「5歳ってこういうことに関心をもつ年頃なんだ」「大人がこんな風にかかわるとこんな力が伸びるのね」ということが分かると、お子さんの遊びの様子を見て「今はこういう学びの段階なんだ」と親が認識することができます。
どれが1番良いかではなく、お子さんにあったものを選んだり、お子さんをもっと深く知るためのヒントとして活用していきたいですね。