コエテコセミナー2022レポート|スクールはどうやって生徒を集めている?プログラミングを広げるための取り組みとは?

コエテコセミナー2022レポート|スクールはどうやって生徒を集めている?プログラミングを広げるための取り組みとは?

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2022年10月17・18日、コエテコは民間プログラミング教育サービスの新しい価値を生み出し、業界発展を目指す 「子ども向けプログラミング教室カンファレンス2022」をオンラインで開催しました。
 
1日目第2部では、ヒューマンアカデミー株式会社の神野佳彦氏株式会社ロボ団代表取締役の重見彰則氏エデュケーショナルデザイン株式会社の水島滉大氏・今澄亮太氏株式会社プログラミング総合研究所の飯坂正樹氏小学館ユニバーサルメディア事業局コンテンツ事業推進センター長の永川大祐氏が登壇しました。

「コエテコ」サービス責任者沼田直之がモデレーターを務め、各スクールの施策やプログラミングの周知を広げるための取り組みについてお話いただきました。本記事では、セミナーの様子をご紹介します。

(ヒューマンアカデミー株式会社)教室のための「次の一手」

まずはじめに、ヒューマンアカデミー株式会社児童教育営業本部FC支援担当、神野佳彦氏が登壇。「ロボット教室から学ぶプログラミング教育市場のポイント」をテーマにお話いただきました。

フランチャイズに必要なもの

私たちは「学びに驚きと感動を」の理念の下、自ら考え、自ら学ぶ子どもたちを育てる教育を提供しています。さらにこの理念の裏側には、「理系分野に興味を持ってもらう足掛かりにすること」とのコンセプトもあります。
 
このような思いで2009年に事業をスタートし、フランチャイズ形式で事業を展開してきました。2022年現在、国内では約1700教室、2万5000人が在籍しており、教室数・生徒数ともに日本最大規模を誇っています。海外でも事業展開を進めています。
 
2009年時のスタート時は、プログラミングへの理解が教育業界にも保護者にもない状態。サービスは全く広がりませんでした。その状態が3年ほど続き、思い切って考え方を一新することにしました。
 
特に注力した点は、1教室あたりの生徒数を増やしていくこと。成功事例をつくってそのナレッジをほかの教室にもフィードバックしながらノウハウを蓄積し、教室数を増やしていくやり方に変更しました。
 
マーケット戦略も「スキミングポリシー」という富裕層向けのアプローチに転換しました。トップ層にターゲットを絞ることで、結果として裾野を広げようと考えたのです。これは進学塾や予備校の戦略と同じです。


支援体制も強化しました。具体的には①徹底したマニュアル化、②理解しにくい内容は動画、③エリア戦略、④FCパッケージを展開しました。
 
①徹底したマニュアル化では、フランチャイズで重要なのは全国で質・量ともに均一のサービスを提供することと考え、指導マニュアルや基本マニュアル、体験会などで話す内容のトークスクリプトを作成しました。
 
②理解しにくい内容は動画というのは、たとえば体験会用DVDの配布ですね。先生が1人で塾を運営していて、体験会では子どもに対応しているので保護者に説明ができないときはこの動画を使ってもらうことで、保護者の満足度を高めます。ほかにも、講師の先生に対してeラーニングやYouTubeも活用して指導方法を教えています。
 
③エリア戦略では、教室を出す場所を決める際、そのエリアの世帯収入や人口分布まで綿密に調べています。エリアの中で、「教室を出したときに一番生徒が集まる場所」を常に分析しています。
 
それ以外には、システムによる在籍管理と反響管理も行っています。すべのフランチャイジーの生徒数や来季の生徒数見込みの状況がすべてシステムでわかります。また、そのシステムを活用して、今後どのような戦略を取っていくべきかもお伝えしています。
 
④FCパッケージですが、私は前職を合わせて25年ほどフランチャイズに関わってきた経験から、フランチャイズを展開する上で重要なのは三つあると考えています。それが「運営法」「指導法」「教材教具」です。これらがきちんとパッケージ化されていると、フランチャイズは軌道に乗っていきます。

常に「次の一手」を考える

教室の運営法をすべてマニュアル化し、教室数も順調に増えていきました。ただ戦略を転換して6~7年経った頃、さらなる進化を遂げるためには「これだけでは足りない」と思うようになりました。
 
そこで次の一手として、「収益構造」に着目しました。教室の情報はすべてデータ化しているので、生徒が1~2人しかいない教室が1年後にどうなっているか、どれくらいの生徒がいればその後の生徒数の増加が進むのかなど、すべてマトリクス化しました。
 
予測と結果を比較すると、ほとんどずれがありませんでした。2018年度には生徒数が約24000人になりましたが、予測との差は約80人ほど。正確な予測ができました。
 
そのような状況下での次の一手が「多段階ロイヤリティ」です。これは授業を受ける生徒数に応じて、本部に収めるロイヤリティが下がっていく手法です。
 
「あと2人生徒がいたらロイヤリティが下がる」となると、教室の先生方は2人獲得するために頑張りますよね。ということは全国的に生徒数が増加し、教室はロイヤリティが下がり、本部は収益が下がったとしても絶対数が増えるので収益がプラスになっていきます。
 
そして次に、「オンライン補助コンテンツ」を展開。授業をすべて映像化し、授業の中で見たり、わからなかったところを家で見たりするためのVODを作成しました。  
 
こちらは有料で、受講している生徒すべてに購入してもらいます。収益の50%は教室を運営している事業者に還元しているので、教室は何もしなくても生徒が増えれば増えるほど補助コンテンツから収益が得られる構造です。
 
次に考えたのが、「加盟教室の努力を無駄にしないこと」。どれだけ募集活動を行っても、教室まで遠かったり保護者が共働きで送迎ができないなど、物理的に通えないお子さんはどうしてもいます。そこでオンライン直営教室を開始し、1年で100名以上の方にご参加いただいています。
 
このようにいろいろな「次の一手」を講じてきましたが、なぜ次の一手が必要なのか。それは、何もしなければ、成長期から成熟期、そして衰退期に移ってしまうからです。成熟とは、言い方を変えれば飽和状態です。だから、その器を大きくする必要がある。 大きくするために必要なのが「次の一手」なのです。

次の一手を検討する上でのポイントは、「加盟教室のためになる」ことです。本部は施策を考え、それを実行していく。加盟教室はエリア内で局地戦を頑張ることが必要です。局地戦に勝つためには、本部内に相談できるスーパーバイザーや研修機能が必要です。


施策が成功して初めて、「次の一手」と言えます。成功させるためには、本部はその施策の根拠を示し、加盟教室はその提案を理解しなければなりません。そのためには、本部には高いスーパーバイザー能力が必要で、加盟教室には研修が必要です。
 
それができれば、必ず生徒数は増えます。加盟教室も「生徒数が増えるんだ」と実感することで本気になって動いてくれ、ネットワークを大きくすることができます。「次の一手を講じる」ことは、伸びしろを自分で作ることにつながるのです。

(夢見る株式会社ロボ団)満足度の高い運営システムづくりとは

次に登壇したのは夢見る株式会社ロボ団代表取締役の重見彰則氏。「ロボ団の運営ノウハウ」についてお話いただきました。
 

ロボ団の教育の目的は、すべての子どもたちの「学力の向上」と「幸福度の向上」につながる環境を提供することです。子どもたちの主体性を伸ばし、世の中に主体的に関わっていってもらいたいと思っています。
 
目指しているのは、教室で学んだことを生活の中に取り込んで、家庭学習で意欲と理解をアップさせ、また教室に戻ってくるサイクルを実現することです。このサイクルを回しながら成長を実感できるチャレンジの機会を提供し、自己肯定感をアップさせてさらに頑張れる環境を提供したいと考えています。
 
コンセプトは「好きを学びに、社会とつながる」。好きなことを学びに繋げて、学んだことを生活に結び付けて吸収しながら、自分の社会を広げていく。その先に自分だけのキャリアが待っていると思います。
 
ロボ団の一番の特徴は2人1組で学習を進める「ペア学習」にあります。なぜペア学習を取り入れているかというと、主体性を伸ばすためには「言語化」できる能力が必要だと考えているからです。
 
コミュニケーションを取る上では必ず言語化が必要ですし、自分と違う相手の話を聞くことで、自分では気付かなかった視点に気付けます。また、ロボットは言語化して論理的に伝えないと動きません。
 
いま生徒数は5500名ほどですが、アンケートでは約87%が「満足」と評価しています。特に満足度が高いのは「先生」です。85%の生徒が「卒業まで継続したい」と言ってくれており、その理由として「楽しく通っているから」という声を多数いただいています。事業成長で見ても昨対比127%ほどの成長を果たしています。

さて、そもそも「運営ノウハウとは何か」を考えると、「運営が型化され、再現性が高いこと」だと思います。教育×ビジネスで再現性を出すには、教育の面ではメソッドやカリキュラム、ビジネスの面では集客と顧客満足、継続年数をしっかり考えていくことが必要です。
 
ロボ団の教材は、教室で受講したものを家庭で親に教えてもらわなくても自習できるコンテンツを用意しています。アプリも用意していて、レッスンブックやクイズ、レポートといったメニューがあります。
 

まずレッスンブックは、全部本部でCADを使って開発しています。2人で同時にロボットの制作を進め、できたら合体。2人で力を合わせてはじめて一つのロボットとしてできあがります。
 
授業では50分中でロボットの生産、プログラミングのトライ&エラー、発表まで全部行います。「おうちミッション」として、家での自習も設定しています。保護者もレポートを確認し、どこまでできるようになったかを知ることができます。このレポートは事業者も生徒がどれくらい理解しているのかを確認するツールになります。


 
SNS機能もついています。自分がつくったものをシェアすることも可能ですし、ほかの子どもたちのつくったものことを見ることで、「じゃあ自分はこういう風にやってみよう」と考えるためのヒントにもできます。毎月優れた投稿に対しては表彰もしています。
 
教師用の教材も提供しています。動画も活用しながら、50分の授業の段取りや目的、注意点が明確になっています。レベルアップ研修や、各教室のナレッジを共有できる仕組みも導入しています。
 
チャレンジの場としては全国のロボ団生2000人による「ダンカップ」というロボコンを開いています。このダンカップに参加した生徒の中から、4年連続で国際大会へ出場する生徒を輩出しています。ほかにはMicrosoftと協働して1分間動画のコンテストを開いています。

重要なのはコアターゲットへのアプローチ

集客面の話をします。私たちは昔からアナログ主体の集客をとっていましたが、どんどんデジタルシフトを進めています。いまは2割ほどがデジタル集客になりました。そのための施策としては、ブログにかなり力を入れています。
 
もう一つは、体験会に参加してくれる子どもたちとの接点づくりに注力しています。入会してくれる子どもはいまどんどん低年齢化していて、83%が小学3年生以下となっていますが、体験会後の入会率が非常に高いというデータが明らかになっています。
 
現状で言うと54%ほどが体験会後に入塾していますので、まずはどうやって体験会に誘引するかが一つのカギになるわけです。
 
スクールを運営しているのであれば、チラシの学校前配布を行うケースも多いと思います。よく「何枚配ったか」をKPIにしがちですが、たくさん配ろうとしてもコロナで手渡しができないケースもありますし、たくさん捨てられているのを目にして悲しい気持ちになることもあります。
 
大事なのは、全員に配布するのではなく、コアターゲットに配布することです。ここで重要なのが「体験」です。単に配布するのではなく、子どもたちがロボットを「体験」できる配布をしています。
 
そこでたとえば、ロボットを持参し子どもに触ってもらったり、消毒ロボットを設置してその横にチラシをセットし、消毒した後そのままチラシを受け取ってもらう流れを作ったり、絶対じゃんけんに勝つロボットを設置したり……といった工夫をしています。
 

いまは100枚配布して、1人体験会に来るといったコンバージョンです。あまり学校の近くでやってしまうと子どもたちの通行の妨げになり、学校側から配布を止められることもあるので、少し離れた場所で配ることも重要です。
 
ロボットに興味のない子たちの通行は妨げず、興味を持ってくれる子どもたちをいかに引き付けるかに注力しています。いかに「もっとやってみたい」と思わせ、子どもたちの好奇心に火をつけられるかがポイントです。
 
今後の展望としては、好きなことをキャリアに生かせるように、いわゆるAO型入試の領域にも結び付けられるようにしていきたいと考えています。事業者のみなさんとも、競争ではなく共創し、業界の発展につなげていきたいですね。

 (エデュケーショナルデザイン株式会社) ゲームで加速するプログラミングの学び

エデュケーショナルデザイン株式会社コンテンツディレクターの水島滉大さんとエンジニアのは今澄亮太さんからは、「ゲーム×プログラミングの効果 マイクラやRobloxを使った主体的な学びを促進させる裏技」をご紹介いただきました。


「マイクラ」「Roblox」とは

水島:弊社ではD-SCHOOLという直営校とライセンス校で、プログラミングの授業をしています。海外を含んで177校あり、オンラインで1万人以上が受講していただいています。あとは小中高校向けに情報科目のサポート教材である「テックラーナー」を提供しています。
 
弊社の特徴は、マインクラフト(マイクラ)やRobloxを使っていることです。そもそもマイクラとは何か。この質問を教室に来る子どもたちにすると、9割5分くらいが「知ってるよ」と答えてくれます。ユーチューバーが動画投稿をしているので、それを見て知るケースが多いですね。
 
マイクラは2011年頃に製品版がリリースされ、どんどんアップデートを重ねて注目を集めるようになったサンドボックスビデオゲームです。NintendoSwitchやプレイステーションなど様々なプラットフォームに移植されていて、テトリスを抜いて世界で最も売れたゲームとなっています。
 
たとえば、プログラムを組んで実行ボタンを押せばすぐに迷路が生成される機能など、わかりやすい機能がたくさんあります。子どもたちにとっては「マイクラができる」ということが魅力になりますし、子どもがマイクラでずっと遊んでいることを気にかけている保護者にも「ゲームが学習になるんだ」とご好評いただいています。


 今澄:次にRobloxについてです。これは何かというと、ユーザーがゲームを作成して共有し、他のユーザーがつくったゲームをプレイできるオンラインゲーミングプラットフォームおよびゲーム作成システムを指します。
 
2020年時点で一月のプレイヤー数は1億6400万人を超えていて、アメリカでは16歳未満の半数以上がプレイしています。日本ではここ数年で普及しました。
 
特徴的な点が、公開したゲームがたくさんの人に遊ばれるとゲーム内通貨をバックするというシステムがあること。この通貨がたくさん貯まると現金に替えることができます。  
 
ゲームをつくるにはRobloxStudioという無料ツールを使います。3Dでパーツを自由に設置し、操作できるアバターも最初から用意されています。アニメーションも複数あります。テキストプログラミングに挑戦したいような中級者以上向けのゲームと言えます。
 

子どもたちの「やりたい」を形に

水島:次に、現場目線でゲーム×プログラミングのよいところをお話しますね。まず挙げられるのは、「子どもたちが夢中で学んでくれる」点ですね。
 
教室は授業が始まる15分前ぐらいから開けているのですが、教室を開けると同時に来て、90分の授業が終わっても最後まで粘っている生徒の姿もよく見ます。興味を持てないものであれば、そこまでできないですよね。
 
自分が頑張れば頑張るほど、マイクラの世界がグレードアップしていきます。それが楽しい、嬉しいということで夢中になることがモチベーションに繋がりますね。
 
今澄:普段からマインクラフトやRobloxで遊んでる子どもたちからは「こういうのを作ってみたい」というアイデアも生まれやすいですね。
 
水島:確かに、「YouTuberがやってるからこれを作りたい」と自分から持ってくることもありますね。教える側は結構大変なんですが、「こうしたらできるんじゃないか」と一緒になって考えていくところは腕の見せ所でもあります
 
プログラミングそっちのけで遊んでしまう生徒もどうしても出てきますが、それを否定するのではなく、自分がやりたいことをまずやらせてあげて、徐々に「それがしたいならこのプログラミングをしてみようか」と軌道修正をしています。
 
今澄: Robloはたくさんのモデルを使えるので、パーツを置いてそこに少しプログラミングを足すだけで自分の世界観を表現することができるのも人気ですね。


水島:僕自身は中学生のときにプログラミングに出会いました。勉強もそこまでできるわけではなく、運動も苦手で芸術センスもない。自己肯定感が低くて「自分は駄目だ」と思っていたときです。
 
そのような自分にとって、プログラミングは自分の思いを具現化できるすごく良い手段だと感じたんです。子どもたちにも、そのように何か自分に自信があるものを一つでも持ってもらえると自己肯定感が高くなるはずです。
 
プログラミングは自己表現のチャネルを増やせます。実際、教室に来てくれてる中にはプログラミングをしているときにすごく輝けるタイプの子どもも多いです。
 
水島:プログラミングを教えるときに気をつけているのはどんなことでしょうか。
 
今澄:私の場合はアレンジの時間を重要視してますね。基本的にはお手本通り作っていくカリキュラムに沿ってゲームを作ってもらうんですが、その途中で子どもから出たアイディアやチャレンジ意欲を重要視しています。多少時間はかかったとしても、「やってみたい」と思う気持ちは重要です。  
 
水島:全国でコンテストを実施していますが、僕らの教材から学び、自分の作品にアレンジしてくれることが一番嬉しいし、指導しがいもありますね。プログラミングを学ぶなら、ゲームを作りながら学ぶのがいいと思っています。
 
水島:教室には幼稚園年長ぐらいから高校生までが在籍していて、パソコンやマイクラのスキルが全然違いますが、自分のレベルに合わせてゲームを作ることができるのもマイクラのいい点ですね。
 
今澄:それで言うとRobloxはテキストプログラミングなので、興味があったとしても、最初はScratchやマイクラッチといったビジュアルプログラミングでプログラミングの基礎を学んでから移行するのがいいかなと思います。

(株式会社プログラミング総合研究所)「プログラミング能力検定」導入のメリット

株式会社プログラミング総合研究所代表の飯坂正樹氏からは、「習い事教室の重要課題『中途退会 防止策としての検定導入~プログラミング能力検定からの事例から学ぶ~」をテーマにお話しいただきました。


 

弊社の活動内容としては「プログラミング能力検定(プロ検)」の開発や運用、国内の情報教育の普及などを行っており、小学生~大学生までのプログラミング教育に関わっています。
 
まずプログラミング教育の課題ですが、 学校では、やはり時間も先生が足りないという課題があります。指導方法や評価方法もまだ定まっていません。もっと大きな視点で言うと、小中高の情報教育が一貫しているとは言えない現状があります。
 
スクールの立場では、目標設定や生徒のモチベーションの維持の難しさ、保護者への成果やメリットの説明の難しさが挙げられます。
 
このような課題がある中、プロ検定は2020年12月に始まりました。認定会場数は2500以上に上り、全国の学校で実施しています。プロ検の特徴を一言で表すと、「プログラミングの概念ごとの理解度を可視化できる」ことです。
 
受験者のプログラミング能力を詳細かつ客観的に評価することで、結果として効果的な学習・指導につながっていきます。成績表では受験レベルごとの「プログラミング能力」とは何を指すのかを細かく分解し、それぞれの概念ごとに細かくフィードバックをしています。

 
出題範囲は大きくはビジュアル言語版テキスト言語版があります。ビジュアル言語版はScratchベースで、テキスト言語版はJavaScript、Pythonを使用しています。レベルについてはビジュアル言語版が1~4の4段階、テキスト言語版が1~6の6段階で設定しています。
 
高校で必修化された範囲を含んでいるので、大学入試に向けた能力の確認にも使っていただけます。一番低いレベル1に関しては、プログラミングを始めた方が週に1回1時間学習して、大体3~4ヶ月ぐらいで十分合格できるレベルです。
 
このレベルわけに関しては、CFRPというプログラミングの学習・教授・評価のための共通参照枠を活用しています。習熟度レベルを三段階にわけて、それぞれ「このレベルになっているとどのようなプログラムが書けるのか」を測定することができます。
 
どの言語を使っていたとしても同じ力を図ることが可能です。このCFRPにプロ検も完全準拠しています。CFRPを多くの教育者や学習者に活用してもらい、全国的にプログラミングスキルの共通認識を育てたいと思っています。
 


プロ検はWeb上で行いますが、現在は不正防止のために会場での受験のみとなっています。ブラウザで動作するため、特殊な機材やソフトウェアは不要です。
 
問題は選択式と実装式を用意しています。選択式では、数秒間の動画を見て、その動きをするプログラムを選択。実装式では、まず動画を見てそのプログラムを自分でつくる問題となっています。
 
導入のメリットもさまざまな観点から上げることができます。
受験者のメリット:プログラミング能力の可視化、学習の効率化、大学入試に必要なプログラミング能力の醸成、中学校・高校での入試優遇
受験者の声:「プロ検の合格が目標になった」「自信がついた」「プログラミングをもっと覚えるために数学や英語も頑張る」
プログラミング教育事業者メリット:集客力強化、具体的な目標設定による継続率の向上、指導の効率化・改善
教室の声:「選択式問題が大学入試問題のサンプルと同じで保護者へ説明しやすい」「生徒のプログラミング能力を定量的に可視化できる」「課題が明確となるため次に向けて取り組みやすい」
 
合格率を見てみると、やはり塾に通われている方が合格率は高いですね。同じレベル1でも、学校で受験した高校生より、スクールで受験した小学生の方が合格率が高いんですね。年齢ではなく、学習の量や質が影響することがわかります。
 
スクールとして、訴求要素は下記の四つになるでしょう。
 
・プログラミング学習の目標として
・資格取得による自信・学習意欲の向上
・学校での学習範囲の先取、大学入試に向けた準備
・受験、就職に有利
 

ぜひプロ検をうまく使いこなし、子どもたちのプログラミング能力をアップさせていってほしいと思います。

(株式会社小学館)「ゼロワングランドスラム」の挑戦

一日目最後は、小学館ユニバーサルメディア事業局コンテンツ事業推進センター長の永川大祐さんが登壇。「子どもたちのモチベーションアップに『プログラミング大会』が効果的な理由~全国小学生プログラミング大会「ゼロワングランドスラム」の事例~」をお話いただきました。

 

子どもたちの「わくわく」を引き出す

小学館では、プログラミング全国大会である「ゼロワングランドスラム」を開催しています。そもそもなぜ小学館がプログラミングに取り組んでいるかというと、プログラミングへの苦手意識がプログラミングへの取り組みを阻害していると考えたからです。
 
小学館はこれまでも子どもたちのわくわくに寄り添ってきました。そんな私たちだからこそ、何かできることがあるんじゃないかと考えたのです。そこでエンターテイメントのアプローチも重要ではないかとの思いから立ち上げたのがプログラミング競技大会「ゼロワングランドスラム」です。
 
いまプログラミングの大会と言うとコンテスト形式が主流になっていて、スキルや知識で戦う大会は多くありません。そこでゼロワングランドスラムでは参加に必要な形式を画一化し、参加のハードルを下げています
 
推進に当たっては小学館集英社プロダクションとテレビ東京、D.A.Cの4社で「一般社団法人ジュニアプログラミング推進機構」を構成。あくまで営利目的ではないぞということで一般社団法人として運営しており、会社の垣根を越えて一丸となってプログラミング業界を盛り上げようとしています。
 
第1回大会は2021年12月より予選をスタートし、2022年2月にブロック大会、3月に決勝大会が開かれました。エントリー数は2000名で、そのうち1500名がWeb予選に参加しました。もともとはオフラインの予定でしたが、コロナ禍の影響でオンラインに変更になりました。
 
種目はマインクラフトとScratchとロボットの3種目。特にScratchの人気が非常に高かったですね。男女比ではやはり男の子が多く、9割近くが男の子です。学年では一番多いのは小学5年生、次いで4年生、3年生となりました。参加者の居住地域は都市部が中心です。

予選ではオンライン上でScratchのクイズを出し、成績上位30名がブロック大会に進出。上位の子どもたちは正答率ほぼ100%ですね。ここで運営側が割り振り、3人1組のチームを組成します。ブロック大会からはチームの中でマインクラフト、Scratch、ロボットそれぞれの担当者を決めて競い合い、チームの合計得点で競います
 
ブロック大会では東日本、西日本でそれぞれ2チームずつ決勝大会に進み、4チーム12名で優勝を競います。オンラインということで盛り上がりに不安もありましたが、当日は私たちの想像以上に、みんなが熱量高く参加してくれました。

 
Scratchではゲーム開発バトル、マインクラフトではオリジナルステージのタイムトライアル、ロボットではビジュアルプログラミングを使用してロボットを動かします。 ロボット競技では劇的な大逆転も見られました。
 
この大会は弊社のメディアやテレビ、新聞などにも数多く展開されました。今後、まずは大会の認知を広げ、参加者を増やして地方大会を開催し、各地でブロック大会を開催してそのブロック大会の入賞者が本大会に進むステップにしたいと考えています。

私たちが望むのは、ゼロワンから有名なヒーロー・ヒロインが生まれること。有名なクリエイターを輩出したり企業からのスカウトを受けたり、「ゼロワン出身」が一つのブランドになることを目指しています。
 
第2回大会は2023来年の夏に予選を開始し、秋に決勝大会を開催する予定です。今度こそオフラインで行いたいと思っています。

誰もが楽しめる大会にするために

大会を作る上で気を配っているのは、「子どもたちにとって他人事にしない」ことです。一部のスーパーキッズだけの大会にしてしまうと、大会の規模が広がらず矮小化してしまうので、いかに「自分も参加できそうだ」と思ってもらえるかを重視しています。特定の言語を習得していることが有利にならないよう、中立性も意識しています。
 
「負けることが自主性や成長につながる」ことも大事にしています。採点にはオリジナル要素や創造性も要素としてはありますが、その割合は多くありません。しっかりと課題を自分のプログラミングで解決しているかどうかを見ています。
 
また、チーム制を取り入れることで運の要素を残しています。自分だけが勝てば優勝できるわけではなく、チーム全体として良い成績を残すことを求めています。
 
「保護者を巻き込むイベントにする」ことも必要ですね。今後さらに、大会が子どもたちの取り組みを褒めたり自慢したりできるような存在になることを目指しています。第一回大会でも、参加した子どもの保護者同士がネットワークをつくりはじめるという現象も見られました。
 
また、今回マインクラフトで優勝した子どもは、「スクールの先生に対策を考えてもらった」と話しています。 スクールとしては、予選レベルであればサポートをしなくても優秀な成績を残せるかと思いますが、ブロック大会以降はぜひ相談に乗り、二人三脚でサポートしてあげてほしいと思います。
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