プログラミング教育がわかる、プログラミング・ロボット教室がみつかる

通っているのはNINJA?みんなと一緒に学ぶプログラミングクラブ「CoderDojo」

株式会社Innovation Power 代表取締役 / 
一般社団法人 CoderDojo Japan 理事/ 
CoderDojo Kashiwa Champion
宮島衣瑛(みやじま きりえ)氏

現在、大学2年生の宮島衣瑛(みやじま きりえ)さんは、高校2年生の時に起業した社長でもあり、世界中で開催されている子どものためのプログラミングクラブ「CoderDojo」のひとつである「CoderDojo Kashiwa」の運営者でもあります。3足のわらじで大忙しの宮島さんですが、もともとはロボットが好きな普通の子どもだったそう。

そんな宮島さんの子ども時代や、「CoderDojo Kashiwa」の運営に携わることになった経緯などについてお話をうかがいました。

高校1年の春、「CoderDojo Kashiwa」の運営をスタート

--- 宮島さんは、どんな子どもでしたか?

宮島さん:普通の子どもだったと思いますよ。ただ、ブロックが好きで、幼稚園の時からレゴ教室に通っていました。僕が通っていた教室は新浦安にあるんですが、住んでいた柏から新浦安までは、同じ千葉でも乗り継ぎが悪くて片道50分位かかるんです。母親は幼稚園児の僕とベビーカーに乗った3つ下の弟を連れて、2週間に1回通わせてくれました。それが一人で行けるようになるまでずっと続いたんですが、ホント大変だっただろうな、と思います。

2012年の夏、宮島さんが通っていたレゴロボット教室に、「カンファレンスに生徒さんを参加させませんか?」という声が掛かりました。当時中学3年生だった宮島さんは、中高一貫校に通っていたため夏休みに受験勉強の必要がなく、教室の仲間2人と一緒にアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)で開催されたScratch(スクラッチ)のカンファレンスに参加。そこで「CoderDojo」と出会います。

宮島さん:僕たちの他に「CoderDojoTokyo」の運営をやった方も参加されていて、そこで初めて「CoderDojo」の話を聞いたんです。「CoderDojoは誰でもどこでも教室を開設することができるから、君の地元の柏でも作ってみたらどう?」と軽いノリで言われたんですね。その頃の僕は部活を引退し、3学期は何もすることがありませんでした。時間もあるからやってみようかな、と。

こうして高校1年の春に「CoderDojo Kashiwa」が誕生。「CoderDojo」のコミュニティ作りに携わる過程でプログラミングに限らずいろいろ考えたり、周りの大人に教えてもらう機会が数多くあり、その体験と魅力を周囲にも伝えたいという思いが次第に強くなっていったそうです。

「僕、見た目も大学生っぽくないんで」と笑う宮島さん

高校2年で起業、代表取締役に

--- 高校2年生の時に2人のご友人と共に起業されていますが、それはどういった経緯だったのでしょうか?

宮島さん:株式会社Innovation Powerは、プログラミングの会社といっても、ザ・ベンチャーみたいなものではなく、教育を主軸にした会社を目指して起業しました。僕らのミッションは、教育とテクノロジーをどう融合させていくかを考えることです。
僕、プログラミングは書けるんですが、「プロのプラグラマーとしてやっていくにはどうかな?」と高校生ながら思っていました。そんな時、TEDxKidsへの登壇などいろんな偶然が重なり、「会社作れるかな?」みたいな感じで始めたんです。

--- 高校生で会社を立ち上げるという相談をご両親にした時、反対されませんでしたか?

宮島さん:親は会社の役員や監査にも入っていません。僕と同級生と信頼できる大人の3人が役員です。法人の登録は書類関係がめちゃくちゃ大変でしたが、親にやってもらったのは、印鑑証明だけかな。まだ、未成年なのでそこは大変でした!親は本当に僕のやっていることに口を出さないんですよ。興味があるのかないのか(笑)。

「CoderDojo」の魅力とは?

---「CoderDojo」は道場に参加する子ども達や、その保護者から料金を徴収しない、という憲章を掲げています。大学生の宮島さんにとって完全ボランティアでの教室運営は負担が大きいのでは?

宮島さん:財団からの資金サポートは一切なし、立ち上げた人がみんな自腹です。ですが、それではさすがに厳しい。Dojoによっては寄付ボックスみたいなものを置き、参加料金ではなく募金形式にしているところもあります。他にはスポンサーの存在があります。これは「CoderDojo Foundation」とRegional Body契約を結んでいる「CoderDojo Japan」のスポンサーではなく、各「CoderDojo」のスポンサーです。「CoderDojo Kashiwa」は僕がお願いして、2社ほど一般企業様にご支援いただいています。ただ、実は運営にはあまりお金はかかりません。「CoderDojo」はプログラミング塾ではないので、決められたカリキュラムや、やらなきゃいけないことがないんです。

--- 「CoderDojo」の魅力について教えてください。

宮島さん:「CoderDojo」の魅力は、プログラミングを教わる場所ではないことです。子どもたちはDojoにやってきて思うままにプログラミングをする。分からないことを大人に聞く。昔の寺小屋的な自学自習の精神です。最近では子どもたち同士が質問しあっていて、すごく面白いですよ。Dojoでは大人は一緒に解決策を探っていく人という立場なので、ティーチャーではなくメンターと呼んでいます。大人が前に立ってこうやるんです、といったワークショップ形式の「CoderDojo」はあんまりないですね。決められたカリキュラムがないのが「CoderDojo」の良いところですから。

どこでもプログラミングに触れられる環境を作るために

--- このところ、日本での「CoderDojo」の数が飛躍的に増えていますね。

宮島さん:2016年8月に日本で初めて「DojoCon Japan」というカンファレンスが大阪で開催され、国内の「CoderDojo」の運営者が集まったことが大きいと思います。いろんな情報公開やセッション、ワークショップが行われ、各地域にあるDojo同士の交流が深まり、共感が広がりました。第3回の「DojoCon Japan」は2018年に東京で開催予定で、僕が実行委員長として準備を進めている真っ最中。開催場所は東京駅周辺のIT系企業内を予定しています。
「CoderDojo」の理念は、誰でもプログラミングが学べる機会がある、ということ。例えば関東には42ヶ所も「CoderDojo」がありますが、四国には少なかったり・・・。柏市内には僕たちが4ヶ所作りましたが、同じ千葉県でもDojoが一つもない地域もあります。その地域格差を解消し、どこでもプログラミングに触れられる環境を作るための戦略として、「CoderDojo」を増やしていきたい。東京での「DojoCon Japan」開催が注目されることで、一つでもDojoが増えればいいと思っています。

「世界の関係者が集うアイルランドのDojoConにも行ってみたい」


宮島さん:柏市の小学校がプログラミング教育を始める2年くらい前に、「CoderDojo Kashiwa」キャラバンプロジェクトをやろうと思っていました。学校がプログラミング教育をやりたくても教える人がいなくてやれないのなら、俺らが回ってやろうぜ!みたいな勢いで今では柏市教育委員会と「CoderDojo Kashiwa」が協力して、市内42校すべての公立小学校でプログラミング教育を行う事業を一緒にやらせていただいております。その際、大きなことを実現させるためのプロジェクトには、力や組織といったものが必要だと教えてもらいました。

--- 宮島さんがこれからやりたいことは?

宮島さん:やりたいことは本当にたくさんありますが、目指すのは、子どもたちのとびっきりの笑顔にあえるプログラミング教育です。それを実現させるものが「CoderDojo」という組織とInnovation Powerという会社です。そこで出会う人々の関係は自分にとって、とても大切です。「CoderDojo」のように僕がいいなと思うプログラミング教育は、いまの日本のように教えてもらうことを前提にした教育ではなかなか理解されないかもしれませんが、今後も日本にDojoを増やしていきたいですね。

--- 最後に、子どもたちにメッセージをお願いします。

宮島さん:プログラミングに興味があれは、ぜひ「CoderDojo」を覗いてみて下さい。ここは教わる教室ではありません。プログラミングを通じてみんなと一緒に学べる、そんなコミュニティです。



<編集部コメント>
10代での起業やプログラミングクラブ運営といった経歴だけ聞くと、まぶしくてとても近寄りがたいイメージを持ってしまいがちですが、実際にお会いした宮島さんはユーモアあふれる語り口と笑顔がとってもチャーミングな方でした。ご自身のことを「普通の子どもだった」と語り、これまで出会った人々との関係をとても大切にしている宮島さん。その姿は、子どもたちにとって理想の先輩、将来自分もこうなりたい、というあこがれを抱かせてくれる存在に違いありません。

それぞれの地域ごとに様々な形態で運営されている「CoderDojo」では、宮島さんのような道場主(Champion)や素敵な仲間(NINJA)たちが待っているはず。プログラミングと気軽に触れ合える場所として、個性豊かな「CoderDojo」が増えていくことを期待したいですね。



「CoderDojo」
2011年にアイルランドで始まり、日本では126ヶ所以上、世界では85ヶ国・1,600ヶ所で開催されているプログラミングクラブ。ボランティアによって運営され、アニメーションやゲーム制作、アプリケーション開発、3Dモデリング、IoT、ロボティクスなど様々なことを学ぶことができます。プログラミングクラブが行われる場所のことをDojo(道場)、参加する子どもたちのことをNinja(忍者)と呼ぶなど、日本人にとっては親しみやすい用語が使われています。

CoderDojo(英語サイト)
https://coderdojo.com/
CoderDojo Japan
https://coderdojo.jp/


■ 宮島衣瑛(みやじまきりえ) プロフィール
1997年5月13日生まれ
株式会社InnovationPower 代表取締役
CoderDojo Kashiwa Champion
一般社団法人 CoderDojo Japan 理事
学習院大学文学部教育学科2年(※インタビュー時点)

高校1年生の春から、地元である千葉県柏市で小中学生向けのプログラミングクラブ「CoderDojo Kashiwa」を主催・運営。プログラミング教育を始めとするICT教育全般について、全国各地で実践研究を行っている。2017年4月より柏市教育委員会とプログラミング教育に関するプロジェクトをスタート。市内すべての小学校で実施するプログラミング学習のカリキュラム作成やフォローアップを担当している。

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この記事を書いた人


コエテコ編集部

2020年から始まる小学校での「プログラミング教育の必修化」に向けて、小学生を対象としたプログラミング教室、ロボットプログラミング教室の市場はどんどん拡大しています。社会・教育・産業構造が大きく変革していく中で、未来の日本を担う子どもたちはグローバル化・情報化社会を生き抜く力を身につけなければなりません。 コエテコ編集部では、習い事やプログラミング教育に関わるテーマをわかりやすく、面白く伝える記事を作成し、皆さんにお届けしていきます。

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